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【 インタビュー 】 フロッキープリント beanxious × 山城

苔寺や鈴虫寺など、京都を代表する観光名所が立ち並ぶ、京都の西エリア。竹藪のグリーンに映えるオレンジの暖簾が風に揺れる。

ここに、国内はもちろん、世界でも有数のフロッキー加工を手掛けるブランドbeanxiousの直営店がある。

フロッキーという名前をご存知の方はどれだけいるだろう?
電車やバスの座面、シルバニアファミリーのボディなどに使われていた、ビロード風の加工を思い出して欲しい。

植毛加工とも呼ばれる特殊な加工は、接着剤を塗布した生地に長さ数mmの繊維を固着させ、立体的で手触りのある素材を生み出している。思わず触れたくなるあの”もふもふ”っとした独特の手触り。

フロッキーアーティストとして活躍する、吉田貴志さんの奥様である吉田実里さんが店頭で、お客様にフロッキーの魅力を丁寧に伝えていた。

「ブランド名であるビーアンキシャスは、“気になる・気がかり”という意味なんですよ」

なるほど。
確かにこのもふもふは気になる。

「主人が、本物のフロッキープリントを手がけておられた師匠の元に弟子入りしてフロッキー加工を学びました。ご高齢だったので存続させなければと。」

京都の小さな工場で出会ったフロッキー加工に魅せられて、その技術を学び、磨いて生まれたビーアンキシャス。フロッキー風は数あれど、唯一無二の加工とデザインたち。

アメリカ発祥のフロッキー加工。
戦後、日本に技術が入り、かつては多くの職人がいたが、今ではこの技術を継承している職人は数少ない。

「結婚して子供が生まれるまではOEM(相手ブランド商品の生産)だけをやっていたのですが、子どもが生まれて、お揃いの服を家族で着たくなって、自社ブランドビーアンキシャスが生まれました」
と、笑顔で語る。

クラフト市から販売を始めたあるとき、百貨店のバイヤーが、この“もふもふ”に惹かれて声を掛けた。それをきっかけに、ビーアンキシャスと共に、フロッキー加工が世に広まり始める。

「かわいいだけじゃないかっこよさは、子供とお揃いで着てもおしゃれで、たくさんの人に喜んでいただいています」。

また、「好きな数字とバックの種類、フロッキーカラーを選んでいただき、オーダー製作が可能な世界に1つの、モフモフトートバックが人気です!」と語る。

大量生産ができない、手作業が主となるフロッキー加工。
ひとつひとつの工程を、丁寧に大切に仕上げることで生まれる“もふもふ”。
繊維を服に突き刺し、静電気を用いて美しくも愛らしい“もふもふ”が生まれていく。
数日間干して、安定させて仕上げる。すべてがハンドメイド。
手間暇と時間がかかり量産は出来ない。
「手を抜いたら楽にはなるが、すべての作業が楽しいからこそ、続けていたい」。
真っすぐに吉田さんは語る。

改良と工夫を重ねていまのクオリティを生み出すことができた。
ビーアンキシャスならではの美しい仕上がりは、人々をわくわくの世界へと導くようだ。

「フロッキーとは何かを少しでも知ってもらい、触れて欲しくて」
フロッキー加工で生まれる毛束のような丸いぼんぼりは、もう一度使用できる様に職人がひとつひとつ、指でほぐして再生させております。

「まだまだ知られていないこのフロッキー加工を、一人でも多くの人に届けたい」
そんな願いを込めて直営店をオープン。

「雑木林が広がるこの土地を見た時、ここが良い! って直観で思ったんです」

4年の歳月を経てのオープン。
想いと願いが詰まった小さなお店には、世界屈指の技術が生み出した、かわいくもCOOLな商品が立ち並ぶ。

「百貨店を通じて、全国の催事に出店していたので、地方では知られていても、京都ではまだまだ認知度が低いですから、ここから新たな挑戦が始まります」

いつか阿闍梨餅さんにみたいに、京都を代表するブランドに育てたいと、吉田さんは意気込みを語る。

優しさと温もりと技術を秘めたフロッキー加工。
そのフロッキー加工を生かしたCOOLでかわいいデザインたちが、
ここから世界へ羽ばたく日は近い。

思わず触れたくなる“もふもふ”が、
あなたを待っている。

撮影協力
beanxious
〒615-8285 京都府京都市西京区山田北ノ町22-4
営業時間 : 11:00~16:00
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〒604-8074  京都市中京区富小路三条下ル朝倉町539番地
WEB SHOP : http://yamashiro.biz



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