「心の居場所をつくる」

対談(生越理事長✕竹本代表)

2010年春、関西に住む10人のメンバーが中心となって、「京都自死・自殺相談センター」を開設しました。翌年には特定非営利活動法人を取得し、電話相談窓口※1をはじめ、相談してこられる方の気持ちを大切にしながら、徐々に活動内容を充実させてきました。活動を継続してきたなかでより鮮明になったSotto※2の特徴や大切にしていることについて、設立当初から理事を務め今年度から理事長を務める弁護士の生越と、代表の竹本の対談でお伝えします。


「Sottoの変なところ」

竹本:生越さんは、日本の自殺者数が十数年連続で3万を越えて、自殺の問題が社会的問題として扱われるようになった最初期の頃から、ライフリンク※3と連携しながら携わっておられると思うんですけど。色んな活動や様々な団体を見ておられると思うんですけど、そのなかでも、Sottoのここが変だよというところは、どんなところですか?

生越:変なとこねー(笑)。

竹本:僕ら中にいるとなかなか自覚化できないところもあって。

生越:ある種ね、近代的じゃない(笑)。

竹本:めっちゃ近代的だと思ってやってますけど(笑)。

生越:あはは。発想が近代的じゃない。

竹本:なるほど。

生越:典型的なとこでいえば、お医者さん。行政もそうだし、僕ら弁護士だってそうなんだけど。何か悪いものがって、それを取り除けば、問題が解決するという見方。それは、対象を現象化する。つまり原因論ですよね。原因があって、結果があって。結果をよくするには、その悪しき原因を取り除けば良いんだっていう考え方。基本的に法律だってそう、医学だってそう。二元論的に理解しようとして、目的と原因で全てものごとを見てしまう。これが私は近代的なものの見方だなと思ってる。

竹本:近代の価値観を否定するつもりはないのですが、ただ、そこからこぼれ落ちざるを得ないところを、どう拾い上げるのかということを考えています。近代的、科学的な見方でいくら考えつくしても、埋められない部分は必ずある。むしろ、取りこぼす部分に大切なものがあるのではないか、という視点は最初期の頃からありますね。

生越:そうそう、原因論だけでは、物事は回らない。一昔前は、この原因論には限界があるいう認識をもちながらも、世の中の流行りにのっかり、あえて、原因論を使う研究者や実践者がいた。だけど、最近は徹底して原因論に全幅の信頼をおいている人が多い。そのなかでSottoは、それだけじゃないだろう、そこには限界があるんだと時代の波に逆行し、あらがっているところが、変なとこだし、Sottoらしいくユニークだなと思う。原因論だけでは解決しない、もっと複雑に絡み合った人間の心情に活動の視点を置いている。そのなかで、手段として、近代的なものを使うのはもちろん必要だけどね。

竹本:僕なんかは団塊のジュニア世代で、科学的な客観的な視点で分析することによって問題が解決して良い結果が得られるんだという、そんな教育、価値観で生きてきました。だけど一方で、それだけじゃ幸せは得られないと肌感覚では感じている。そのギャップみたいなものが根本にある。だから、変に社会の多くの人がいうオーソドックスな議論や考え方は、確かにそれはそれで大事だけど、限界がある、別ものも必要じゃないか、という想いはあります。

生越:例えば、経済的な、自由主義という考え方。神の見えざる手、といわれるような自由主義的なことがいわれるじゃないですか。アダム・スミスがいう神の見えざる手には条件があって、キリスト教的な社会的な道徳的な規範があってこそ自由主義が成り立つ。だから、いまある民主主義や自由主義というのはある意味フィクション。人間の根っ子を支えているものについて議論する必要を感じる。それは表層の部分では掴みきれない、人間の苦悩かもしれないし、喜怒哀楽かもしれない。だから、ある種、Sottoは正当近代派かもしれないね。近代がなんであるか、近代の限界を知ってSottoは活動しているのかもしれない(笑)。

竹本:そんな風に意味づけしてくれると嬉しいですね(笑)。近代の価値観を否定するつもりはなくて。むしろそこからこぼれ落ちざるを得ないところを、どう補足していくか、フォローしていくのか、という視点は最初期の頃からありますね。継続していくなかでよりクリアになった気はしますね。


「人のあたたかみや優しさに触れる」

生越:話を戻すと、他の団体と違うところは、その限界を理解しているので、結局、息がながいし、地に足が着いている。自殺対策基本法※4ができた当初、多くの団体が自死遺族の分かちあいの会を作りました。だけど約10年が経ったいまとなっては、遺族会を開催しても「人が来ない」「ボランティアでの運営は難しい」など様々な課題がでてきて、多くが形骸化してしまっていると聞きます。それに比べて、Sottoは地に足がついている気がする。そこは背骨がしっかりしているからだろうな。

竹本:体験を重要視する感覚がSottoには強いかもしれない。自分たちが実感できるところはやれるけれど、実感できていないところは分からないからやれない。実感できていないところは自分たちにはできないので、他の団体や領域にまかせる。

生越:「諦め」じゃなくて、「明らめ」だね。Sottoみたいに体験からスタートする団体がある一方で、理詰めからはじめて「自殺者数が3万人を超えて大変だ。どうにかして減らさないといけない」ってなっちゃうと、団体やボランティアも続かないことが多いように思う。Sottoはボランティアで参加している人たちも内発的な面をしっかり持って関わっている感じがする。そこがいいよね。

竹本:養成講座※5を受講して、電話相談員として認定するかしないかという判断をするんですけど、そのときの基準となるのが体験的なところ。自分自身が人のあたたかみとか、優しさに触れることによって生じる安心感を、研修のなかで実感することができたか。人間同士のあたたかみ、優しさを実感できているかどうかということを大事にしている。変な団体ですよね。(笑)

生越:それでいいんじゃない。もう7年目もたってる。すごいよね、大したもんだよね。

竹本:Sottoで長いこと、ベテランで長くやっている相談員でも、おそらく、社会学的な自殺の知識ってあまりもっていなかったりする。

生越:大切にしていることが感覚的なものなんだから、それはそれで良いんじゃない。同じ「聴く」でも、カウンセリング的な姿勢や他の電話相談の団体とも、Sottoがやっている姿勢って、ちょっと違うよね。そこに対して自覚的だし、自信をもっているところも良いなと思うよ。



「できること、できないこと」

生越:団体が継続してきたなかで、変化してきたことや、活動をするなかでより鮮明になってきたことってあるの?

竹本:変化してきたことか、やっぱり最初の頃は硬さみたいなものがあった気がしますね。

生越:へぇー、こうあるべきだって感じ?

竹本:そう、こうじゃなきゃ駄目なんだっていう思いが強かった気がします。これこそが全てだ、Sottoが一番だっていう思いがあった気はするかな。

生越:そっか、意外。あまり感じなかったな(笑)。

竹本:なかったのかな(笑)。やればやるほど、うちも一部でしかないんだと思うようになった。色々あるなかの、うちは一部を担っているだけのこと。だけど、この一部分では一番になろう。勝ち負けじゃないけど、自信をもってプロの団体になろう。そういう意識が明確になってきたことは変化ですかね。最初の頃はぼんやりと他の団体と連携しながら何となくやっていけたら良いのかなという気持ちは何となくあったけど。

生越:無理して連携する必要はないよ。連携はあくまでも手段だからね。お互い目的が一致して、そのために必要ならばやるべきだとは思うけど。

竹本:そうですね。他の団体はSottoのここを使いたいってなったら協力することもあるだろうし。Sottoもこの部分が足りないからどこかに協力してもらうとか、良いなと思う人とは一緒にやっていきたいとは思うようになったかな。そんな硬さみたいなのは最初より取れてきた感じはしますかね。へたなはなし、大事なところ以外は何でもいいじゃんみたいな、肝は座ったかもしれません(笑)。

生越:なんとなるよ、みたいな(笑)。そのいい加減さが良いかもね、もちろん、いい意味でね。国の自殺対策や大きな組織のメンバーとして、もう10年以上、自殺の問題に関わってきて、社会制度として対策を講ずることもしてきたけど、最近ね、どうにもならないなと思っちゃった。

竹本:先生がそんなこと言っちゃっていいんですか(笑)。

生越:たくさんの事例を見てきましたけど、システム的にどうにかしようと思っても手のつけようがない。もちろん、将来的に何か変化があればいいですよ。ただ最近、ある種のあきらめというか、諦観というか、諦念というか。諦めるけど諦めないみたいな。受動的な姿勢。

竹本:過度な期待はしないみたいな感じですか。

生越:そう、やれることをひたすら一生懸命やる。もちろん、弁護士としての仕事、領域では諦めないですよ、やれることはまだまだある。だけど、現場レベルで、あるいは、社会学的な知見で、自殺の問題をたくさん見てきたけど、制度を整えることで何か劇的に社会が変わるとは思えなくなったかな。いまのシステマチックに問題解決をしようという流れの限界が分かっていないと途中で折れちゃう。法律を作り、地域自治体でも自殺対策の計画づくりが義務化されたけど、オリンピックが終わったら、また自殺者数は増えてしまうんじゃないかな。景気の影響は絶対ありますからね。

竹本:そういう意味では、Sottoはやれること、やれないことが、とてもシンプルに明確になってきています。「目の前の孤独な状態にいる人に、僕らの温かさが伝わることによって、その孤独感が少しでも和らぐ」ことがSottoにできること。それ以外のことは、そんなに上手くできないと思ってます。


「あたたかなつながり」

生越:だけど、孤独を和らげるといっても、実際問題、話をして電話をきったら、また孤独感にさいなまれるものなんじゃないの。

竹本:Sottoに相談したことがあるとないでは、心情的な感覚は全然違うと思います。周囲とのつながりが完全に断絶してしまって、世界中に自分のことを分かってくれる人は居ない、ひとりぼっちなんだっていう感覚をもつ人。一方で、とにかくあそこにつながれば自分のことを理解してくれる人が居るんだっていう感覚を持ちつつも、だけど今は一人で孤独を感じるという人では、同じ孤独でも全く違うと思っています。

生越:確かに、それは全く違うね。

竹本:「ただ聴く」ということの重要性を指摘されることがあります。実際に話を聴いてもらうことで、受け入れてもらえる居心地の良さを感じたり、自分の考えが整理されるという効果があります。Sottoは、この「ただ聴く」ということをこえて、より積極的に心情の部分で深く関わることにより、死にたいほどの苦悩を抱えている人が、自分の想いを理解してくれる人が居る、人のあたたかさ・ぬくもりを感じることができる、というところを目指しています。

生越:なるほど、自分のことを理解してくれる人が居る、しかもその人は自分にあたたかさを持ってくれていることを体感することで、現実の日常生活のなかでも、孤独感は少し減るのかもしれないね。もちろん、孤独が全て無くなるわけはないけど、その感覚を体感しているか否かでは、全然心の持ちようが違うだろうな。同じ「聴く」でも、カウンセリング的手法や、他の電話相談の団体の手法とも、Sottoがやっている姿勢って、ちょっと違うよね。そこに対して自覚的だし、自信やポリシーを持っているところも良いね。

竹本:他の団体でも相談員さんによっては、自然とやれている人はいると思います。本気で関わろうとする時、人のあたたかさは自然と伝わることがあります。意図するかどうかの違いはあっても、同じようなことは起こるでしょう。だけど、これを理論化し、さらにトレーニングしている点において、他の団体との違いがあるのだと思います。

生越:そうだね、伴走支援まで関わっているところは、問題解決の過程で人と人として関わらざるを得ない場面も出てくる、葛藤も含めてね。Sottoの、あたたかさに触れることによって、半歩でも前に進んで、友達に声かけてみようかなとか、仕事探してみようかなとか、つながるのかもね。

竹本:Sottoがそのような発想をもっている理由は、いま自分たちがたまたま元気で居れるのは何故なのかって考えたときに、僕ら自身があたたかなつながりを幾つか持っているから、頑張れているという実感があるんです。

生越:逆に、Sottoに相談してこられる方は、そういうあたたかな関係が全く無くなっているのかもしれない。

竹本:だから安心してつながれる人や場所が少しでも増えれば良いんじゃないかな。いま僕は一人で居ても割と平気です。少し前に仕事で色々と上手くいかなかった頃は、夜に無性に寂しくなって孤独を感じて、誰でもいいから捕まえて飲みにいっていた時期がありました。そのときに、僕自身があたたかなつながりや関係を必要としているんだなと強く実感しました。だからこそ、人のあたたかさを提供したい。そこに特化して、そのためにトレーニングもするし、実力を上げていきたい。人生とも重なってますね。

生越:それは大切ですよね。私も孤独に強い人間だと思う。子どもの頃ね、誰とも遊ばなかったの。ずっとみんなが遊んでいるのを離れて見ていて、それはそれで楽しかった。だけど、居心地の悪さを感じることもあった。そんなときに何気なく声をかけてくれる人は何人かいて。

竹本:それが重要だったんですよね、たぶん。

生越:そうそう、気にかけてくれる人がいるんだと感じるだけで十分だった。たくさんの人と関わるのではなくて数人でいい。孤独で苦しんでいる人が思うほど、たくさんはいらない。数人でいい。その1本がSottoで、それがきっかけとなって2、3本できれば、結構生きていける気がするんですよ。

竹本:本当にそう思います。

生越:Sottoがそのきっかけになれたら良いね。

竹本:リア充みたいな関係性って、意外と支え少ないんじゃないかな。

生越:疲れそうだね。ボクは元々無理だけどね。

竹本:生越さん、無理そう(笑)。損得関係でつながっていると、自分がキラキラしているときには一緒に盛り上がれる関係を保てるけれど、そうじゃなくなるって危険性を常に感じながらなので、結構しんどかったりするなと思いますね。まぁ、僕はキラキラ系じゃないから実感はないんですけどね(笑)。

生越:僕も(笑)。

竹本:そういう意味でも、近代的じゃないかもしれないですね。前時代的な感じ。

生越:ボクは弁護士だから近代じゃないと駄目なんだけどな(笑)。



「継続的なトレーニング」

生越:話が脱線しちゃうけど、長いこと一緒に事件を担当している弁護士の後輩がいて、最近彼から書面があがってきて。なんだこれはっていう薄い内容だったの。期限も一週間以上過ぎてる。それでこれを出してきたから、こいつ大丈夫かって思ったの。話を聞いたら、実は身内が病気らしくて、精神的にも落ち着かないし、時間も余裕がなったらしい。だけど時間がないとはいえども、これはひどいだろうって話をして。その事件について、本当に短い時間、10分ぐらいだったけど、考えていることとか気付いたことを共有した。そしたら、その2時間後ぐらいに驚くような完璧な資料がでてきて。彼とは、これまでに想いや考えを議論しあってきたから前提が共有できている。前提や感覚的なものが共有できていると、そんなに言葉はいらない。

竹本:なるほどな。確かに、設立の初期メンバーとは団体として進むべく前提について、時間をかけて本音をぶつけ合って議論したから、しっかり共有できているなとは感じますね。だけど、関わる頻度が違うボランティア全員とそれが出来るかっていうと難しいところもありますよね。

生越:そうそう、そういうビジョンをつくるとか、組織について考えるということは、誰でもできるわけじゃないだろうね。

竹本:適材適所みたいなところもあるでしょうね。違う役割とか、担うポジションがあるんだろうなとも感じます。

生越:そうそう、仕事のジャンルがあわないこともあるよね。なかなかレベルアップしない人とか、ちゃんと勉強しない人に「きみさ、きみの大事な家族が大きな病気をして難しい手術することになってさ、出頭医がマニュアル本を読んでたら、どう思う?」って言うの。「もちろん嫌です」って皆な言うわけ。もちろんマニュアル本も必要な場面はあるし読むかもしれないけど、患者のために必死になっている人じゃなかったら手術してほしくないわけ。だから、僕らも弁護士として精一杯勉強しよう、と。

竹本:全く一緒だなって思うのが、うちもボランティア養成講座をするじゃないですか。全10回するんですけど。人の気持ちを感じることが得意な人もいるし、苦手な人もいる。講座を終える頃には、みなさんある程度できるようになるんですけど、すぐ相談の現場に出てもらって良いかというと、当然そうじゃない。電話相談員が電話でているときに、自分で大丈夫かなっていう不安を感じながらやっている相談員は駄目だと思うんですよ。どんな相談がきたとしても、死にたい気持ちを含めて、ちゃんと自分は関われるんだ、相手の気持ちを受け取れるんだっていう自信がないと、やっぱり電話相談員になるべきじゃないと考えるようなりました。活動を継続するなかでハッキリしてきたことの一つですね。

生越:Sottoが求める電話相談員のセンスって誰しもが持っているわけではないんじゃないかな。誰でも出来るわけじゃない気がしていて。

竹本:僕の感覚としては、そんな特別な力じゃないなと思っています。トレーニングすれば、誰でもある程度身につく能力だと。

生越:そこが難しいんじゃないですか、継続的なトレーニングが。

竹本:確かにそうかも。対人支援に関心をもつ方は、3ヶ月ぐらいSottoの研修を受けてくれることで、ある程度いけるようになると思うんですよ。ただ、そのあとも継続してトレーニングする人は本当に良い相談員になる。だけどトレーニングをサボる人は難しい。筋トレと一緒だと思ってます。

生越:相談員になってからも努力がいるもんね。僕らも一緒だけど。

竹本:一方で、相談員だからすごいとも全然思っていなくて。できないから駄目なわけじゃなくて、できる人が担えばいいだけのこと。好き好んで関わりたいと思うところにできる範囲で活動に携わってもらえるのが良いな。


「Sottoのこれから」

竹本:生越さんがこれからSottoに期待することってありますか?こんなことしちゃえばとか。こんなことやっちゃいなよみたいな。

生越:拠点づくりのプロジェクト「Sottoの家」※6は面白いね、実現できたらすごいよね。すごく孤独で辛い人とか、生きていても仕方ないって思っている人って、なかなか救えないなと感じることが正直多い。Sottoに関わることで、人に対してあたたかみを感じて、ちょっと何かしてみようかなと、次の半歩につながってくれたらと思います。あたたかな安心できるつながりを一つでも多くつくるために、電話相談やメール相談※7、おでんの会※8もそうだろうし、Sottoの活動は行われているんだと思っています。それに向けて自信をもって一貫してやっていけば良いなと思う。具体的なアイディアはないけど。

竹本:ぶれないということですかね。

生越:そうそう。「パジャマパーティー※9」が空振りだったっていうのは、あれはさすがにハードル高いよね(笑)。それが「ごろごろシネマ※10」につながっているから無駄じゃなかったんだろうけどね。

竹本:「パジャマパーティー」は攻めましたね(笑)。コンセプトは悪くなかったと自信は持っています。

生越:Sottoが大切にしていること、目指すものに向けて試行錯誤、トライアンドエラーを繰り返してほしい。変に慎重にならないで、とりあえずやってみてほしい。いまのメンバーは「いい加減さ」が効いているなと思う。まずはやってみて考えるという雰囲気。そういう体質、勢いは、これからも持ち続けてほしいなと思います。

竹本:僕も正直なところ、色々と失敗してみて良いかなと思っています。Sottoに相談してくださる方が傷ついたり、生きていたくないとか、もう嫌だという感情を大きくするようなことだけは絶対したくないし、してはいけない。そうならないというところだけ担保できれば、別に失敗してもいいと思う。よりよいものを模索し続けないと、時代は常に変化するし適応できなくなる。それこそ、自分たちがやりたい「心の居場所づくり」ができなくなってしまう可能性だってある。だから、変わることを恐れずに、死にたいほどの苦悩を抱える方の心の居場所づくりという基軸を据えて、相談してきてくださる方がしんどくならないかどうか、という点を常に基準としながら、これからもやっていけたら良いかなと思います。


生越照幸(Ogoshi Teruyuki)
Sotto理事長。弁護士。厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」メンバー、一般社団法人自殺対策全国民間ネットワーク監事、自死遺族支援弁護団事務局長などを歴任。2012年よりライフパートナー法律事務所を設立。

竹本了悟(Takemoto Ryogo)
Sotto代表。宗教者。海上自衛隊に入隊するが僧侶となるため退官。現在は、浄土真宗本願寺派総合研究所研究員。浄土真宗本願寺派西照寺住職。


※1 電話相談窓口…活動当初より開設しているSottoの活動の中心。金曜・土曜の19時から翌朝5時半までの受付。2016年度の相談件数は2543件。いたずらなどの内容はほとんどなく、死にたいほどの悩みを抱える方からの相談が大半。http://www.kyoto-jsc.jp/nayandeirukarta/
※2 Sotto(ソット)…NPO法人京都自死・自殺相談センターの愛称。「そっとそばに居る」という団体の姿勢をあらわしている。
※3 ライフリンク…NPO法人自殺対策支援センターライフリンクは、自殺総合対策・自死遺族ケアの推進、自殺予防・防止のための啓発活動に取り組む、日本を代表する団体。http://www.lifelink.or.jp/hp/top.html
※4 自殺対策基本法…自殺死亡者数が高い水準で推移している日本の状況に対処するため制定された法律。2006(平成18)年6月21日公布、同年10月28日施行。社会状況の変化を踏まえ、自殺対策の更なる推進の必要性が議論され、2016(平成28)年3月22日に改正自殺対策基本法が成立、同年4月1日より施行された。
※5 Sottoボランティア養成講座…Sottoのボランティアを養成するための全12回の連続研修。例年4月から6月にかけて開催される。実際の電話相談を模したロールプレイ(体験学習)が中心。http://www.kyoto-jsc.jp/collabo/#a3
※6 Sottoの家…死にたい思いを抱えたときにフラッと立ち寄れる居場所づくり。死にたい思いを抱える方を対象として月に合計3回の居場所を提供しているが、そのタイミングを見計らって死にたい思いが強くなるわけでは決してない。そのため、死にたいほどの苦悩を抱えたときに、随時立ち寄れるような常設型の拠点づくりを構想中(2017年10月現在)。
※7 メール相談窓口…2012年度から試験的にはじめ、2014年より本格的に開設。サイト上の専用フォームより年中受付。原則3日以内の返信。2016年度の相談件数は1382件。電話相談と比べ、相談者の年齢が若く、メールに慣れた年代からすると電話よりも相談の敷居は低いことが分かる。http://www.kyoto-jsc.jp/mail/
※8 おでんの会…死にたい思いを抱える方を対象とした居場所づくり。2013年度より開催。テーマを設定しお互いに語りあう[研究の場]と、ハンドマッサージや食事を一緒にする[食事の場]と、雰囲気の違う場を、毎月交互に開催。2016年度の参加者は延べ181名。http://www.kyoto-jsc.jp/oden.html
※9 死にたいみんなのお泊まり会「パジャマパーティー」…死にたいほどの苦悩を抱えた20~35才の方を対象に、顔合わせを兼ねた事前説明会と一泊二日のお泊り会を開催。2016年度開催。対象年齢となる参加者が集まらず中止。http://www.kyoto-jsc.jp/pajapa.html
※10 ごろごろシネマ…死にたい気持ちを抱える方を対象とした居場所づくり。映画鑑賞をツールに活用し、ごろごろくつろげてほっとできる場を、月に2回提供。2017年9月より開催。http://www.kyoto-jsc.jp/cinema.html

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