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高齢者に寄り添う ~京都府高齢者情報相談センター

ちょっと前の話になりましたが、7月に開催された苦情処理研究会の模様についてご紹介します。

苦情処理研究会の会場(京都テルサSUZAKUホール)

この日のテーマは、高齢者との相談対応でした。消費生活相談においても、相談者のうち高齢者が占める割合は常に3割程度と高止まりが続いています。高齢となることで、認知能力が衰えたり、耳が遠くなったり、頑固になってしまうなど、相談対応がより困難となる要素が高まります。

こうした中、京都府内には高齢者を対象とした相談を受けることを専門とする「京都府高齢者情報相談センター」が存在しており、ここで相談対応をされるなかで、高齢者との相談対応に関する知見やスキルを高めるヒントを得たいと、今回、同センターからご出講をいただきました。

京都府高齢者情報相談センターのリーフレット①

京都府高齢者情報相談センターは、昭和62年から設置されています。当時の厚生省通知に基づき、来るべき高齢社会に向けての体制を整えるべく、「高齢者総合相談センター運営事業」として、京都府を含む各都道府県に一箇所ずつ置かれたのだそうです。

その後、各地の相談センターは、社会福祉協議会に統合されたり 、地域包括支援センターにその任務を譲る等により消滅するところが相次ぎ、令和2年時点では15道府県に残るのみとなっているそうです。

同センターでは、平日の9時から16時半に、京都府内の高齢者に関する相談を、電話、来所、メールにて受け付けています。場所は烏丸丸太町のハートピア京都にあります。月3回は、弁護士との法律相談も無料で受けられます(要予約)。

京都府高齢者情報相談センターのリーフレット②

まず第一の基本として、ゆっくりはっきりとしゃべること、声のトーンは低くすることを伺いました。人間の聴力は加齢に伴い徐々低下し、特に高音部から聞き取りにくくなるそうです。消費生活相談員には女性が多く、特に声が高い場合は気をつけないといけないと思いました。

また、回答が必要なのか、傾聴だけでいいのかを見極めること、そして、まずは相談者の言っていることに耳を傾けること、というポイントも、大変重要だと思いました。消費生活相談は次々と大量に押し寄せてくるので、ついつい早く処理するために、論点を引き出そうとしたり結論を急いだりしがちになりますが、高齢者にとってはそれが仇となる可能性があることに気をつけなければいけないと感じました。

高齢者からの相談は内容が複雑で、時間的な整理も苦手な傾向があるので、話があちこち飛んでしまい、困りごとが何か分からなくなったり、複数の困りごとが絡み合うようなケースもあります。いっぺんに解決することは困難なので、今一番困っていることは何かの「主訴」を聞き出し、話がズレていった場合は元に戻す、そのことについて相談者に気づきを与える、そのためにはやはりじっくりゆっくりと耳を傾ける、というお話も大変参考になりました。

なお、同センターでは、高齢者に関する困りごとであればおよそ何でも相談を受けておられるとのことです。消費生活センターの場合、消費者契約とは全く関係の無い相談だと対応のしようが無いのですが、高齢者からのそうした相談であれば、同センターに相談してみるのもありかなと思いました。

一方、同センターに寄せられた相談で、まさに消費生活センターが携わるべき困りごとであれば、消費生活センターに是非お寄せいただければと思いました。高齢化は今後もますます進むので、同センターとの連携をさらに密にさせていただきたい、そう感じた講義でした。


NITEプレスリリースより

研究会後半は、製品評価技術基盤機構(NITE)様からの製品事故等に関する情報提供でした。いくつかお話を伺いましたが、一点ピックアップして紹介しますと、カセットボンベに取り付けて使うガストーチについて、粗雑な製品は事故につながるので注意、という話題です。

ガストーチにカセットボンベを接続する際、ガス漏れを防ぐためのOリングという部品が、国内メーカーの多くの製品の場合は二箇所あって二重の防御をしているのですが、海外等の安価で粗悪な製品だと、これが一箇所しかなく、そこから漏れたガスに引火して大きな炎が上がってしまう事故が起こり得るそうです。安いからといって粗雑な作りの製品を入手してしまうと、大きな事故につながりかねない、ということに留意が必要です。詳しくはNITEのページをご覧ください。