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言語化することの難しさを分析してみる

自分の気持ちや伝えたい事を、言語化するのは実は結構難しいことだなと思います。

障害をもつ子ども達や、きょうだい児達の中には、自分の気持ちを言語化できず、1人で悩みを抱える子達が居ます。

そういった子達の状況を言語化し、交通整理をしていくのが、私の主な仕事です。(この職種の人が、みんなしている訳でなく、私がそうしているだけの所もあります。笑)



とある日の、A君(小学生)と私の会話です。

たわいもないゲームの話をしていました。

A君「なんかストーカーみたいだな。ふふ。」

私 「ん?ストーカー?」

A君「あっ!何でもない!(しまったという表情)


私とA君の会話の中に、ストーカーに繋がる話題が見当たらなかったので、私は聞き返しました。A君はその私の反応に対して、自分の発言が場違いであり、私が引いたと瞬時に感じた様で、発言を訂正しました。

学校ではおそらく、A君が発言を訂正したこの時点で、何ごとも無かったかの様に、また会話の続きをするか、会話が終了するかもしれません。

しかし重要なのは、ここでA君が自分の発言は間違っていた。と思ってしまったままという事です。
こういったやり取りを繰り返していくと、A君はおそらく、コミュニケーションを取ることに不安を抱く様になると思います。
(実際、お腹が痛いと言って、学校を休み始めていました)


そこで私はA君に、なぜ「ストーカー」という言葉が出てきたのか、分析していこうと提案し、2人でそれ以前の会話を、思い出しながら書き出していきました。

すると、数分前の会話の中に、「こそこそ」というワードを私が発言した事が分かりました。
するとA君が、「こそこそ」というワードから、「ストーカー」というワードが浮かんだんだ。と教えてくれました。


これはA君の特性によるもので、頭の中に残ったワードに対して、全く別の角度からのワードが、ぽん!と、シャボン玉の様に頭の中に出てきて、結びついていくのです。
特にA君は頭の回転が速く、このシャボン玉の様な事が、次から次へと起こります。


A君の発言は決して間違いではないのです。彼の頭の中では、ちゃんと結びついて、この発言が出ている訳なので。
しかし、コミュニケーションをしている相手は、A君の頭の中は見えません。

ですのでA君は、相手がん?と聞き返した時に、なぜこのワードが出たのか、どんな所が面白くて笑ったのか説明する事が出来れば、相手もなるほど!と理解する事が出来ます。


視覚優位のA君なので、紙に書き起こす(あるいは絵で示す)事によって、A君自身も自分の頭の中を理解しやすくなります。

さらに、A君の頭の中は、シャボン玉の様に、ワードとワードがぽん!ぽん!と結びついていくんだよ。と、ジェスチャーを交えながら伝えていく事で、特性の理解も促していきます。


こういった分析を本人と一緒に行う事で、だんだんと、自分の特性を理解していき、コミュニケーションを怖いものと思わずに、挑んでいける様になるのでは。と思い、私は、こういったスタイルで支援しています。(A君以外の子にも)


コミュニケーションを怖いと思わずに挑んでいける力は、困った時に誰かに相談したり、自分が楽しいと思う事を、誰かと共有したいと思った時に、とても大きな力になると思います。


私は、こういったファシリテートをしてくれる専門家が、学校の現場にも必要ではないかと考えています。適切なファシリテートをするには、心理学をベースとした訓練を受け、さらに特性に応じたアプローチをする必要があります。

学校の先生が無理に介入するのではなく、まずはファシリテートしてくれる先生が介入し、交通整理をしてもらってから、また教室に戻って、コミュニケーションにチャレンジするという支援があれば、1人で悩まず、学校生活の経験も継続しやすいのではないかと考えます。

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