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「なぜ僕らは、こんな働き方を止められないのか」

こんにちは! クアラルンプールは朝の5時。今日は本の紹介です。

松井博さんの「なぜ僕らは、こんな働き方を止められないのか」
献本いただきました。

この本は、有料マガジンの記事をまとめたものです。私は読者なのですが、まとめて読むとなかなか壮観。対象読者はズバリ、日本企業でしんどい思いをしている人。のっけから「なぜ日本企業は人の時間を大事にしないのか?」 と挑発的な見出しが並びます。

「スティーブ・ジョブズの近くで働いてた人」と聞いて

松井博さんとは不思議な縁です。

多分、記憶が正しければ(私の記憶はいつもあんまり正しくないですが……)、3回くらいしかお会いしたことがないのです。

初接触は、2011年の秋、雑誌AERAが行ったスティーブ・ジョブズの追悼特集でした。「ジョブズの近くで働いていた日本人がいるらしい」と言うことで、編集部から依頼を受け、ライターとして彼に電話インタビューすることになったのです。

電話してみたら、「なんであのアップルがあんなに変わったのか。それは環境を変えたから」などと言っていて、むちゃくちゃ話が魅力的。記事で終わらせるにはもったいない。ブログも面白い。そこで、最初の2冊の書籍を一緒に作ることになりました。

知り合った時は、彼はまだ保育園の経営者でした。その後作家になり、講演などをされてるなーと思っていたら、あっと言う間にフィリピンでも英語学校を立ち上げてしまいました。行動力が半端ないのです。

そして松井さんが面白いのは、どんな立場になっても、ダメだった学生時代のこと、平凡なサラリーマンだった時代のことを決して忘れていないことです。

なぜ日本人だけがこんなにしんどいの?

さて書籍に話を戻します。マレーシアに来てつくづく不思議なのは、なぜ日本人だけが、こんなに頑張っているにも関わらず、余裕がなくて大変そうなんだろう? ってコトです。

そしてどうやらそれは、アメリカから見ても同じことらしい。
アメリカ人も相当ワーカホリック多そうですが、それでも日本人とは違う働き方をしてると。

まずは、一体どこにその無駄があるのか、外資系の高収益企業で働いていた経験から、その原因を解き明かしつつ、そこから逃れるにはどうするかを解説しています。

なるほど、じゃあ会社員はやめておくか、と思った人に、今度は隣の芝生の現状を伝えます。

あなたはどの生き方を選ぶのか?

この本が良いのは、転職を検討している人に対し、「フリーランス最高」でも「サラリーマン最高」「起業しろ」でもなく、「隣の芝生の現状」を冷静に伝えていること。

日本ではとかく議論が極端になりがちです。フリーランスVS会社員とか、外資系VS日本企業とか言われますが、現実は結局、一長一短。ここではどちらも経験している立場から描かれています。

また、この本、外資系企業への憧憬を木っ端微塵にしてくれます。「職場でのアメリカ人は基本的にイエスマンです」とか典型ですが、割と身も蓋もなくて痛快です。

読者は現実を突きつけられ「で、あなたはどうするのか」と考えさせられることになるでしょう。

さらに特筆すべきことは、松井さん自身の属する「ゴールドカラー」という「世界を股にかける生活」についても、率直にそのメリット・デメリットを書いていること。ちょっと引用しましょう。

どこかのネットの記事を読んでわかったような気になっているのではなく、全て自分の体験なので、それがまた新しいアイデアにもつながります。ただ、空港のバーで一人ぼっちで飲みながらツイッターをやるような、かなり寂しいライフスタイルであることは否めません。

どうですか。リアルすぎます。ここまでぶっちゃけられる人、なかなかいないのです。

未来を読める本

そして私が個人的に興味を持ったのは、「おわりに」に書き下ろしされた、短いけれど、未来の予測部分です。

2冊目の本、「企業が『帝国化』する」を出版して数年経つと、松井さんが書いたことが恐ろしいほど現実になっていることに気づきました。彼の視座から見えている世界は広い。シリコンバレーに住んで、フィリピンと日本とアメリカでビジネスをやっており、元アップルにいただけあるのです。

彼の2019年の未来予測はズバリ、「世の中の総エンタメ化」です。

そんな世界で僕らは、エンタメ系の個人事業主になっていくか、企業から仕事を請け負う専門家になるしかないのです。ところが、学校の教育システムが完全に置いてけぼりなのです。昭和の教育システムは大量生産時代には極めて優れた方法でしたが、総エンタメ化する社会を生き抜く人材を育成するにはあまりにも時代遅れなのです。

もうエンタメくらいしか、人間にやる仕事は残っていかないと言うわけです。かなり大胆な予想ですが、なんだかんだ言って、また当たってしまうような気もします。

興味のある方はぜひ読んでみてください。

それではまた。

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松井さんの本はこちらです。

ついでに私の本もよろしくお願いします。

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