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日本語を50年以上使ってきたけど、実はよくわかってないことを生徒さんから指摘された件


こんにちは。
私は長らく交換レッスンなどでインドネシアやマレーシアの人に日本語を教えてます。
最近、生徒さんからこんな指摘を受けたのです。

先生の『す』の発音は2種類あります。どっちが正しいのですか.
「好きです」の最初の「す」と最後の「す」が違います.

確かに、最初の「好き」の「す」は(Su)ですが、最後の「す」は「S」と発音してました。
50年生きてきて、自分の発音のクセに気づかなかった!

こう書いたら、いろんな指摘がありました。面白いので紹介します。

これを「Allophone」っていうんですよ、と教えてくださった方が。

調べてみました。異音(allophone)、日本語についてはここに全部纏まってました。

日本語にたくさんある異音

例えば、英語の「ん」には、MとNとNgと3種類があるのですが、実はこれ日本語にも(意識してないだけで)あるんですね。

新聞は「m」ですし、ハンガーは「ng」って言ってます。朝日新聞社にいたとき、社名の英語表記が「shimbum」で「なんでだろう」って不思議だったのですが、外国人からみた発音に合わせてたんですね。

異音はいろんな言語にあり、特に「音素の少ない言語」に多いようです。では「音素」を比べてみようかなっとこのサイトを見ると、日本語の音素は22で、

中国語 35
ドイツ語 45
フランス語 39
英語 36

より少ないとされています。
ただ、サイトによって数え方が違うので参考までに。

つまり、音素は少ないけど、話者はそれぞれ無意識に音を変化させているので、実際には使われている音素が多い。そこに学習者は混乱するのです。

ローマ字って生徒さんを混乱させます

さて、最初の話に戻ります。

日本語の「らりるれろ」ってRになったりLになったりしますが、私は「L」で発音してることの方が多いような。
「らっきょう」「ラッパ」「楽」みんなLです。
しかし、私が「いりません」って早く言うときは「R」でした。

なのに、ローマ字表記だと全部「r」なのです。ここに、やっぱり生徒さんは混乱します。マレーシアは「Mareisia」ですが、実際に私は「Maleisia」と発音してるんですね。「なんでなんですか?」と聞かれましたが、「それがローマ字のルールなので」としか、答えられないのです。
いやー難しいです……。

私は英語の発音を初めて、多くの単語の「L」と「R」を覚え直す羽目に陥ったのですが、これは日本語の「LとRをファジーに行き来する」文化から来てるのかも。

でも、ローマ字の「らりるれろ」は「L」にした方が混乱が少ないのでは? って思います。
まあローマ字で学ばなければいいんだけど。

ネイティブに習わない方が実はいい?

こんなこと書いてたら「実は初心者のうちは、非ネイティブに教わった方がいいのかも」って意見をもらいました。

私はマレー語をネイティブに習ってますが、そういえばネイティブは発音も文法も体系的に説明するのが苦手だったりします。

知ってるつもりでしたが、実はよく知らなかったこと。
他の言語を学んでみて初めて気づく視点というのがあるの、面白いなぁ、と思います。

それではまた。

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