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クランチ文体でバイオハザードre4 その7

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chapter3-3 再び湖へ

 湖を目指し道なりに進む──道は途中から崖に沿って作られた木製の足場へ。足場を渡る途中に前方に人影──村人達の待ち伏せ。

薪割り斧/鋤/松明/素手の四名を確認──走り抜けるのは困難と判断し戦闘開始。鋤を持った村人が先頭切って突進してきた──顔面を撃ち抜く=ダウン──次。レオンが走り距離を詰める──走りながら射撃タンッ!=斧を持つ村人の足へ。被弾で反射的に頭が下がるのに合わせて顎の下からナイフを突き上げる──ビクンと体を震わせ事切れる村人。

残る二人を見て驚愕──一人が何やら瓶を取り出す──瓶の口から垂れる白に布。そしてもう一人が持つ松明で布に着火=。おいマジかよ=レオン──など想定せず。


 侵入者を燃やしてやろうと瓶を振りかぶる/頭から液体を被る=頭上で割れた瓶──全身ガソリンまみれ。遅れて火の付いた布が頭に──全身が燃え上がる。呼吸が出来ず/周りも見えず──助けを求めてなにかにすがりつく──一瞬の無重力そして凄まじい風を感じた。

 レオン=想定外にすぐさま対応──相手の頭上で瓶を撃ち抜く。松明持ちを巻き込み炎上した二人をまとめて回し蹴り=足場の外へ──燃えながら崖下へ。少し燃える足場──火を踏みつけなんとか消火=復路を確保。

 足場を渡り切ったレオンが着いたのは石切場の入り口。付近に=一体誰が使うんだよ──レオンの突っ込み。集会場の巨大な頭蓋骨が脳裏に浮かぶ/振り払う──まさか。


狭い入り口とは違い開けた地形になっている石切場──待ち伏せに最適。入り口から見渡すと不思議な切り出し方をしたようで、石切場は円柱状に──囲む石壁は約十メートルはありそう。高さや規模の割りには少ない足場──そして一切見当たらない作業道具=大きいつるはしの存在を敢えて無視する。

入り口からは作業小屋が二つ/石切場の出口/その隣に鋼鉄製のばかでかい門が見える──出口一択だな=レオンの選択。ふぅと息を整えて一気に走る──出口到着=特になにも起こらず。

「歓迎会は……無いみたいだな」

 あまりにも肩透かし──逆にがっかり=巨人でも出てくるかと身構えていた。珍しく順調だなと思いながら続く道を進んだ。


 教会はかなり高い位置にあったらしく湖を見渡せる山道に出た──ルイスが捕まっていたのと別の湖畔が見える。眼下の湖でボートらしきものが走っていた──レオンが双眼鏡を取り出す/覗く。

ボートに乗る村人×2──なにかを二人がかりで持ち上げる=首のない警察官──恐らくカスタニョ巡査。そして巡査を湖へ放り込んだ。証拠隠滅か──だが村中にあった人骨の山の説明がつかない──レオンが考え込む間にボートが走り去る。


直後、湖へ異変=大きな水飛沫が上がる/茶色い生き物が現れる──尋常じゃない大きさ。がぱっと口を開け巡査を飲み込んだ──再び水中へ。

「今のは……?」

 この湖のマスコットか村のペットか=レオンの現実逃避。気を取り直す──洞窟にさえ着ければ湖を渡る必要はないのだ──教会で見た地図を思い出しながら洞窟を探した。

取り直した気が崩れる──湖の北東/南/西の三ヶ所に洞窟──もれなく入り口は水上。南側の洞窟だけ隣に船小屋付き──やけに多い入り口の松明=地図にあった経路と一致、第一候補。さっきのボートを拝借できるだろうか。

他に手がかりはないだろうかと双眼鏡を動かすと山の向こうに見える城──かなりの規模=貴族でも住んでいそう。結局、洞窟以外にこれといって役立ちそうなものもなく観察終了。

 山道を下るとそこは小さい漁港──いくつかの漁師小屋と桟橋そしてボートが一台あった。ボートには3フィートほどの銛が数本と錨が積んである──小型のエンジン付き。

対岸の洞窟へ向かうにはこいつに乗る必要があった。レオンの視線は湖へ──さっきの化け物が気になる──しかし先程の様子ではボートは襲われていない=エサとそれ以外を判断している。ボート自体も使い込まれた状態──普段から使用している=つまりボートは狙われない──そう判断してボートに乗り込む。

後部のエンジンのプルスターターを数回引っ張る──燃料は残っていたらしくエンジン始動/緩やかに桟橋から離れる。小型の癖にやかましいエンジンの音を聞きながら湖を渡る──目指すは洞窟=遠回りはなれたもんさとため息のレオン。

chapter3- END 湖の主

 食べていい──自分と違う匂いのするもの。仲間以外。
 食べてはだめ──自分と同じ匂いのもの。うるさいもの。仲間。
 体に刺さる痛い──食べてはだめを食べたとき。

 それが湖に主の思考だった。
 今まで何度か間違ってボートや村人を食べようとしたが、その度に銛でしつけをされていた。今日もいつも通り食事を終えた──再びボートの存在を察知したが違和感を覚える=ボートには中途半端な匂いが一つだけ。今までは自分と同じ匂いを持つものが、違う匂いのするものを投げて行った──だが今回は?

 わからない──もっと近くで匂いを感じなければ

 湖の主は湖面のボートへ向かった。


 予想通り襲われること無く悠々と湖を進むレオン。ところが後方からの異音に気付く=エンジン停止──湖の真ん中。プルスターターを引くもうんともすんとも言わず。

泳いで行くという選択肢が脳裏をよぎった──と同時に衝撃=ボートが揺れる──何かかが当たった。揺れるボートから周囲を見回す──不気味なほどに静か。

だが静寂を破るように船の前方の水面が割れる/盛大な水柱=大口を開けた化け物が大ジャンプ──ボートの倍以上のサイズ。案褐色の斑模様の体表/図体に合わない小さい手足/潰れたバケットのような頭部/上下にヒレの有る発達した尻尾=オオサンショウウオ。

再び水柱=ボートから数十センチ外れた場所に着水/盛大に揺れるボート。なにが狙われないだ=数分前の自分への怒り。

突如ボートが疾走する──前方に水面を掻き分ける化け物の背中──銛が何本か刺さっている。そしてボートと背中の間に一本のロープが見えた=揺れた衝撃で錨が落ちる/奴に引っ掛かる。湖を水上スキーよろしく化け物がボートを引き回す/ボートが軋む。



 水に引き込まれるのが早いか、振り落とされるのが早いか。レオンの第三の選択=ナイフを抜きロープを切る──少し遅れて化け物が水中へ。間一髪と胸を撫で下ろす。

だがまだ終わっていなかった──遠くで水飛沫の音──徐々に近づいてくる/恐る恐る音のほうを見る=奴が口を開いてこちらに突進中。反射的にボートにあった銛を投げつける──上顎に当たるも刺さらず/弾かれ水中へ=止まらぬ突進。

ついにボートに到達/側面に噛みつく──化け物の噛む力が弱いせいかなんとか耐えるボート。レオンを飲み込もうと再度口を大きく開く化け物。

 食われまいとするレオンの反撃──銛を振り上げて化け物の舌に突き立てる──引き抜く/突き立てる/引き抜く/突き立てる=めった刺し──銛に付いた大きなも相まって化け物の舌がズタズタに。


化け物が呻きをあげてボートから離脱──舌には銛が刺さったまま。上半身を湖面から出し、レオンに向けて空気を震わせる程の咆哮──口から溢れる大量の血液/放たれる戦闘意欲。


 興味本位だった──今までにない混じった匂い。うるさくない。
 でもやはり自分と同じ匂いではない──食べることにした。
 だがしかし突き立てられた銛──食べてはだめだった?
 混乱と痛みで下した判断──怒り=こいつは敵だ。

 ボートの上でこちらを睨む相手を威嚇した──ところが嗅覚が捉えた変化=──自分が間違っていた。こいつは食べてはいけないものだったのだ/たまたま違う匂いが着いていただけなのかもしれない──湖の主はそう考えた。自分の怒りが消えていく──そして反省しながら水中へ戻ることにした。

 レオンはホルスターから銃を抜き構えた──刹那、爪先から頭の先まで走る電流のような衝撃=耐えきれず膝を付く/銃を落とす。

そして肺から絞り出された湿り気の有る咳──思わず手で口を塞ごうとした/間に合わず=手のひらに感じる水分──血が付いていた。

「お揃いだな」

 レオンが目の前の化け物を睨みボソリ──ここからが本番だと言いたげ。しかし戦意に反して急激に意識が持っていかれる/意識を失う=ボートに倒れ込んだ。


薄れ行く意識の中で赤く染まる湖面と化け物が水柱を立てながら水中に消えて行くのが見えた。


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※準備中



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