お花の隙間

僕はもともと3年間はずっとあの子の為に待っているつもりだった。
誰とも付き合わずに、自分を成長させてあの子を待つつもりだった。
それがひょんなことから違う子と付き合って、真剣な気持ちにもなった。
その子とは別れたわけだが、どこか自分の中で喪失感が漂っている。

しかし、もともと空白のはずだったこの2年半がとてつもない量の想い出で埋め尽くされたのだ。これは嬉しい誤算なのだ。
所有することはリスクであるのは当然のはずだったが、いつしか僕はそれを忘れており、知らぬ間負ったリスクをいま返済しているところである。

そして、この2年間の付き合いを通じて、僕は他人のことをより想像できる、受け入れられる度量を得たと感じる。
また自分自身がとても孤独を恐れていることも直視できた。
結婚というものに対しても、厳しい眼差しを向けなくなった。
自分も結婚したいと、そう思えるようになった。

結婚したいと思えるようになったこと、これは2年間誰とも付き合わずに、ただ一人で過ごしていたならば、きっと味わえなかった感情であり、到達地点だと思う。

まさか自分が、理屈とか抜きに結婚したいと思える日が来るとは思ってもみなかった。
この変化だけでもこの2年間のお付き合いはとても意味のあったものだったと言える。
あのまま何も考えずに、何となく結婚していても、それはそれでどこか自分の心の中に蟠りを抱えたまま、結婚生活という長い長い旅を歩むことになっていたと思うから。
全ては結果オーライなんだ。

これで、このステップを得たことで、僕はちゃんと前に進める。
想定していた3年間の内でベストな成果を得ているのではないか。

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