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今の自分を承認できているか

京屋染物店では、普段から工場見学を受け入れています。
ご来店頂いたお客様を工場に案内すると、職人たちが自分達の仕事について、誇らしげに語ってくれます。お客様もそんな職人たちの姿を見て感動してくれます。
私はその光景を見ると、とても幸せな気持ちになります。
今回は、ある日の弊社の朝礼の出来事を紹介します。

オープンファクトリー五感市

"オープンファクトリー五感市"とは、3日間の工場の祭典です。この日だけは、岩手県南の伝統工芸、食品などのモノづくりに携わる様々な工場の裏側を見学できます。いつも中々入れない工場の裏側まで自由に入ることができ、普段中々話せない職人たちとも交流できます。
京屋染物店では、開催期間中、いつでも染物体験、縫製体験、工場見学ができるように準備をしています。

このイベントを開催する目的は、、、
・多くの方々と職人の交流の場を増やしたい。
・普段見ることのできない、モノづくりの現場、作業風景を体感してもらうことで、その魅力と職人たちの努力と価値を知ってもらいたい。
・岩手の魅力を全国に発信したい。

などなど。
私たち若手職人が中心になり立ち上げた「いわて県南エリア伝統工芸協議会」が主体となり、お客様と職人が一緒に楽しみながら、モノづくり、岩手の魅力を発信する活動です。

そんなわけで、この期間中は、たくさんのお客様が、京屋染物店の工場に訪れ、職人と交流しています。

そのままの自分を好きになれる

イベント期間中もいつものように朝礼をしていました。企業理念唱和から始まり、挨拶練習、スケジュール確認、業務の確認、引き継ぎ事項の確認などを終え、最後に日直から一言メッセージがあります。
この日の日直は縫製部の職人でした。

縫製の職人は以下のようなエピソードを伝えてくれました。

「おはようございます。昨日は嬉しいことがありました。
お客様から『何年くらい縫製の現場で働いているのですか?』と聞かれたので、『40年以上ですね』と答えたら、お客様から『そうでしょうね。あなたの手を見ていたらわかります。素敵な手ですね。これからも素敵なモノづくりをしてくださいね。本当にありがとう』と言ってもらえたんです。
私は、指が曲がっています。若い時からハサミを使ったり、針やミシンを使って縫ったり、、、。ずーっと手仕事をしているから、指が変形しているんです。私はそれが恥ずかしくて、誰かと会うときは必ず手を隠していたんです。
だから、お客様から『手を見たらわかります』と言われたとき、今までの私の人生全てを認めてもらえた気がして、本当に嬉しくて。。。。すごく感動しました。それと同時に、気を引き締めなくては!と思いいました。
お客様は凄い細かいところ、些細なところまで、見ているんだなぁって。
すごく見られているんだと思うと、色々なことが気になって、、、。
職場の整理整頓ができているだろうか?身だしなみは大丈夫だろうか?言葉遣いは?表情は?普段の仕事ぶり、仕事に向かう心構えは?お客様のことをどれだけの想ってモノづくりできているの?
お客様が見ていない、見ることがないだろうなぁって思うところにも心を込めなくては!って思いました。
今日も一日よろしくお願いします!」

メンバー全員が感動しました。私は涙が出ました。
どんなに「良い職場環境」だったとしても、本人に感じ取る力や感性、考え方、捉え方がなかったり、マイナス(否定的な)解釈をすれば、その人にとってみれば「最悪の職場環境」になってしまいます。

京屋のメンバーは全てのことに感謝の気持ちがあるから、お客様からの言葉を素直に受け取り、自分を認めることができたのだと思いました。
これからもみんなで「世界を彩るモノづくり」をしていきます!


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