差し伸べられるたくさんの手、掴む手。

国内線国際線問わず、飛行機で中国系の人と乗り合わせる機会が多い。年末年始にミュンヘンとローマに行ったが、いずれも欧州への往復はエアチャイナ(中国国際航空)だった。なにせ安いのだ。そして、就航都市が多い。また、今回乗ってみてわかったが、機体も機内も最新型ですこぶる快適だった。機内食が大抵、よくわからない味の肉と野菜の餡かけみたいなものがかかったごはんなのにうんざりするが、短距離ならベジミールやフルーツミールにしてしまえばいいことも最近学んだ。

中華系航空会社のイメージとして、CAが高圧的とか搭乗客のマナーに不安を覚える向きもあるだろうが、この2年ほどで印象は大きく変わったように思う。CAのサービスは各段によくなったし、乗り合わせる他の客も日本人とさして変わらない。

 ここ2年ほど、中国人たちと乗り合わせて大きく印象が変わったというか初めて知ったのが、彼らの助け合いの習慣だ。

去年、北京から日本へのフライトが大幅に遅延して空港から市内に出る終電に間に合わないとなった時、彼らは即座に知らない人同士で声を掛け合い情報交換して助け合っていた。私も出発前の北京で声をかけられた女の子にさらに遅い深夜運行バスの情報を伝えると、瞬く間に展開していった。同胞というだけで、大した連携だ。日本人ではなかなかこうはならないだろうと思う。
また、この冬休みのローマからの帰国便で、赤ちゃんを抱いた中国人の若いお母さんと隣り合わせになったが、前の席にいる中国人男性が荷物を取ったり世話をしていたので旦那さんなのかと思い席を変わろうかと申し出たが、彼はまったくの他人だった。たまたま席が近い同胞だったので、介助していただけだったのだ。驚きの親切さだ。
そのお母さんに、せっかく隣になったよしみなので、何か手伝えることがあったらいつでも言ってくれとつたえると、赤ちゃんの離乳食に使う食器を洗ってきてくれないかとか、お母さんがお手洗いに立つときに赤ちゃんを抱っこしたりと、警戒せずに頼ってきてくれた。時々ぐずったりすると、一緒になってあやしたり仲良くさせてもらった。その様子から、普段からいろんな人に助けられ慣れていんだろうなと感じられた。
不思議なもので、隣が赤ちゃん連れとわかった時はちょっと運が悪かったかな、なんて思ったりもしたけれど、こうやって一緒に手伝わせてもらうとこちらにも「この母娘に快適に過ごしてもらわねばならん!」となにやら使命感が生まれて、赤ちゃんが泣き出せばなんとか笑ってもらおうとしたし、機嫌よくご飯を食べていると安心した。私は子供がいないし、甥や姪など小さな子供も身近にいない。子供に対しての距離が遠い人間だったので、これはいい経験をさせてもらったように思う。

この週末、北海道にふらっと一人旅に出たが、春節で来日したと思しき2人の小さな子供連れの中国人家族がパパママがそれぞれ子供1人ずつを受け持つようにして前後して座っていたが、隣り合わせになったまったく別の中国人の男性が、その家族の子供のシートベルトを締めてあげたり、靴を履かせてあげたりしていた。

華僑と呼ばれる中国人たちが海外でそれぞれ成功し大きなコミュニティを築いていけたのは、こういう助け合いの習慣というか精神によるんだろうなと、目の当たりにしたのだ。

同僚の中国人も、ものすごく面倒見がいい。
いろいろあるんだろうけれど、彼らのそういう姿勢には学ぶところが多い。

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