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本屋が気になる「今週の新刊」74冊 — 1/10 〜 1/16

本屋「バリューブックス」で編集者として働く飯田の、今週の気になる新刊です。


東京2020を「終わったことにさせない」ために。オリンピックとIOCが遺した負の遺産を徹底追及。


「感動ポルノ」と称される、健常者に感動を与えるために利用される障害者イメージの問題点を考える。


民族的出自の坩堝・華南。その文化モザイクから、ある「民系」の自画像・他者像が作り上げられていく。克明な考察。(12月末刊)


「恨」と「幽玄」の軌跡が交わる時。その歌と舞は、東アジア芸能史千年の系譜に連なり、民衆の来し方を写す。(12月末刊行)


ティエポロから、ロンギ、ピラネージ、カナレット、そしてカノーヴァにいたるイタリア新古典主義美術のネクタルを飲む!


新渡戸稲造愛唱から100年、詩「渡し場」をめぐる群像。 「次のような詩をご存知の方はあるまいか」。1956年、朝日新聞〈窓〉欄に載った投書から、ドイツロマン派の詩人ウーラントの「渡し場」とその歌曲をめぐる読者の交流が始まった。半世紀を超える数奇な物語をここに。 ――ドイツの詩人ルートヴィヒ・ウーラントが1823年につくった24行の詩「渡し場」をめぐって、さまざまなドラマが日本で展開しました。作者と同時代の作曲家、カール・レーヴェによって作曲されていて、日本での演奏をめぐってもドラマがありました。この記録は、次の世代の人たちがこの詩や曲を語り継ぎ、歌い継ぐときの道しるべになると私たちは期待しています。〈あとがき〉


大反響を呼んだ「女性歌人が作る短歌雑誌」に、新しく作品、座談会、評論を加えた書籍版。


批評家 藤田直哉企画編集の文芸誌。第二弾は震災後文学を語る対談集。


2022年1月刊行の「Newtonライト3.0」は,『虚数』です。 虚数は,「2乗するとマイナスになる数」です。 とても奇妙な数のように思いますが,数学において虚数はとても重要な役割を果たしています。 虚数がなければ数の世界は不完全なままですし, 最先端テクノロジーも発展しませんでした。 この本では,虚数発見の歴史やエピソード, 虚数と実数を合わせた「複素数」のあつかい方, そして,数学や物理学で虚数がどのように役立っているのかをやさしく紹介しています。 摩訶不思議な虚数の世界を,どうぞお楽しみください。


三島由紀夫に「現代の定家」と評された歌人・春日井建の真実を生涯の親友が語る。


1980年代から始まった認知言語学による比喩研究は、当初はメタファーを中心としたものの、その後メトニミー、アイロニー、シミリー、ブレンディング、文法構文、ディスコースへと研究対象を拡大するとともに、理論的枠組みを洗練しながら、コーバスや実験的手法など新しい研究方法を取り入れつつある。本書はそうした潮流を概観し、「「比喩的」とはどういうことか?」に答えることを試みた最新かつ最も包括的な概説書である。


“サウンドスケープ”とは「音の世界からとらえた風景」である。「自然の音」「都市の音」「民族の記憶の音」「幻聴の音」「夢の音」-。文明以前から現代に至るサウンドスケープの歴史から、“サウンドスケープ・デザイン”という実践まで、あらゆる境界を超え、創造的な「音の思想」として集大成した作曲家シェーファーの代表作。


生理に振り回されずに心と体をラクにする本


圧倒的な人間観察眼と超斬新なシチュエーション!「菊池寛×落語」の9作品が「落語小説」になった。


山本直樹、推薦。「シームレスな現実-幻想-回想を自由回遊する快楽。」


融通無礙なる存在・バナナ。世界の人びとの付き合い方はこんなに違っているのに、でもこれほど愛される食べ物が他にあるだろうか?コンゴ・カメルーン・ガーナ・ウガンダ・インドネシア・パプアニューギニアそして沖縄。世界中のバナナを通して農と食をみつめてきた研究者がたどり着いた、ヒトとバナナの「遊び」の関係。


相対立する多様な世界観によって分断された人びとの間に、どうすれば正義にかなった社会を築くことができるか。現代正義論の到達点!


人間は鵜とどのようにかかわっているのか――。ひとつの問いを出発点に、日本、中国、そして東欧に位置する北マケドニアの鵜飼い漁を取りあげ、その技術や知識、ウミウやカワウの生態や行動、食文化の調査を通して、より普遍的な視点から、「飼い慣らしすぎない」という動物利用の論理やドメスティケーションの生起をめぐる新たな解釈枠組みを導きだす。人類学や民俗学、鳥類学を横断し、鳥と人とのインタラクションを新たに読み解く。


徹底した実証から、いま鮮明になる日本統治下の台湾。膨大な活字媒体(書籍・雑誌・新聞・ラジオ・映画・美術・食文化・ファッション等)を博捜。文学研究、歴史学、政治学や経済学など、特定の学問ジャンルを跨いでのアプローチ。詳細な「関連年表」を附載。当時の写真多数掲載。


ほんとうに「随筆」かしら? 思い込みをリセットして読み直し! 記録者という役目を背負い、中宮定子のみやびな宮廷世界を綴らんと必死だった清少納言。 自慢話でも、ひけらかしでもない『枕草子』の真実の姿を探る。 「「随筆」とは一般的に、個人が自分の感じたことを自由な形式で書きつづった散文のことを言うが、『枕草子』を「随筆」だと言った瞬間に、それを書いた清少納言の個人としての発信、つまり「自分アピール」なのだという偏見に結びついてしまう危険性が生じる。」


沢村栄治、輪島功一、高橋尚子、大谷翔平——戦前の日本スポーツの黎明期から現代まで、トップランナーの大躍進の裏側!


誰にでもある「なまけ」の奥深い心理学的探求 現在大学生である,あるいは過去に大学生であった人には少なからず,「なまけ」の経験があるのではないだろうか。「まじめ化」している現代の大学生にも「なまけ」は存在する。「なまけ」という新しい視点から大学生をとらえたことで,これまで光のあたりにくかった中間層大学生の特徴が発見された。 この世界でのらりくらりやっていくときの心構えとして, 「なまけ」は私を助けてくれているような感じもしている。(「あとがき」より)


読売文学賞受賞作『アイルランドモノ語り』から八年、紀行文の名手が起きているものごとに耳を澄ました、好奇心と探究心のたまもの。


秘すれば花のごとく。静かな火花散る駆け引き。あうんの呼吸。極道のレジェンドがリアルに明かす色欲の世界は奥が深い!


1972年の「連合赤軍事件」から半世紀。証言と資料で振り返る年表型ドキュメンタリー。関係者の著作・記録を整理、証言を集成。


「なんとかなるろう!」――ひたすら植物を愛し、研究に心血を注いだ日本植物学の父・牧野富太郎。愛すべき天才の情熱と波乱の生涯!


読売文学賞受賞作の傑作長編。


網羅的に調査した結果を、時代背景も含めながら叙述し、近代化遺産を含む明治期熊本における洋風建築導入の歴史を明らかにする。


ダイヤモンド産業の闇から芸術や宗教、哲学におけるダイヤまで、美術史家が100点超の図版で明らかにするダイヤモンド史のすべて。


この新訳でなければ、カントが構想した「永遠の平和」に至る道は見えてこない。練達の訳者による問答無用の決定版新訳、ついに登場!


この新訳を待っていた! 最良の訳者による最良の訳書がついに降臨。本書を読もうとするとき、この訳書を無視することはできない。


サルの社会に分け入り、文化を見出し、人間性の起源に迫る――。世界に冠たる日本の霊長類学が一番元気だった時代の生きられた記録。


厳冬の雪の下にも緑を保つ清浄さ、荒れ地にも根をはる、強靱な生命力――。日本人が愛した神木の、魔力の秘密を解き明かす!


日本企業はなぜ値上げができなくなったか。デフレの何が怖いのか。物価とは何の値段なのか。初歩の初歩から理論の本質まで明快に説く


各国の政治体制を主導してきた自由民主主義も、金融資本主義によって動揺し始めた。気候危機に直面する中で思索を深めた渾身作!


日本に伝わった鉄器文化はたたら吹き製鉄という独自の進化を遂げた。技術と自然が織りなす二千年の発展過程を古代から近代まで繙く。


「鉄のカーテン」に閉ざされたソ連・国営放送局「モスクワ放送」で運命的な10年間を過ごした青年の冒険と発見の記録。


なぜ人種差別(レイシズム)は存在するの? それをなくすにはどうしたらいい? レイシズム(人種差別主…


豊田市美術館「ホー・ツーニェン 百鬼夜行」展公式図録、100の妖怪を個別に紹介する決定版ガイドブック


第166回芥川龍之介賞候補作。群像新人文学賞を受賞したデビュー作『鳥がぼくらは祈り、』に続く、注目の新星による飛躍作。


顔と声を記録する「健康検査」、DNA採取、移動・購入履歴ハッキング、密告アプリ――米中テック企業による最悪の実験場を告発。


南極の氷山の下、ユカタン半島の陥没孔、ケイマン諸島の小さな泥沼――酸素も光も届かず人間の侵入を拒む「暗闇の絶景」への冒険記。


食卓にいつもハーブを。美しい色と香りに癒され、体のなかから元気になれる素晴らしきグリーン。ミント/パクチー/バジル/パセリ・イタリアンパセリ/ディル・フェンネル/ローズマリー/レモングラス/クレソン/ルッコラ/セージ/タイムほか全25種以上。


絶滅、ジェノサイド、ホロコースト、フルブン、ショア、最終解決、ヨーロッパ・ユダヤ人の絶滅。いずれも同時期にヨーロッパのユダヤ人に対して行なわれた出来事を表わすが、その言葉の使用の適切さに関しては、決まって議論となる。本書はこれら用語を整理し、それにかかわる出来事、人物、場所等を解説する。


五十年におよぶ採訪調査と文献研究により、南島の島々の文化の奥底に通底する「日本」を再発見。南島(琉球)を「日本学」の一環として論じた、説話・伝承学の泰斗による、南島説話研究の集大成。


儒仏道・目録学・注釈学・国家権力・地域性に着目して、中古時期に展開した複雑多様な知のダイナミズムを多角的に分析する。


言葉の世界を探訪しながら、人の生き方、老いと死の迎え方を考える名エッセイ。


迷いと悟りの世界を生きる菩薩の存在は、大乗仏教の真髄である。空の思想とともに、それぞれの時代や社会のなかで独特の変化を遂げてきた菩薩像を、「求道の菩薩」「奉仕の菩薩」「天上の菩薩」「誰でもの菩薩」の四種の菩薩像として仏教史の中に位置づける。大乗仏教がめざした人間像とは何なのかを探究しつづけた著者による菩薩像の到達点であると同時に、「私たちがいかに生きるべきか」という指針をも示唆する名著。


なぜ人生には本が必要なのか。人生の岐路にちょうど、ぴったりの本と出会えるのは、本当に偶然なのか。千年前から、人が本を読む喜びは変わらない。本に人生を何度も助けられてきた書店員が綴る読書エッセイ。


「あるものがいかなる種類の対象であるかは、文法が語る。(文法としての神学)」。『哲学探究』のなかで、ウィトゲンシュタインがかく述べた「文法」概念を宗教研究に応用し、宗教言語の本質を、神などの超越的なものを「指示する」ことではなく、人間の内なるものを「表出する」こととして捉え、自然主義・相対主義・還元主義をのりこえる視点を提供。そして「本物の宗教」に迫らんとする、宗教哲学の好著。


「サヨナラ、友ヨ、イツカ、向コウデ会オウ」(「イツカ、向コウデ」)「束の間に人生は過ぎ去るが、ことばはとどまる、ひとの心のいちばん奥の本棚に」(「草稿のままの人生」)-親しかった人、場所、猫、書物、樹、旋律…などの記憶に捧げられた詩篇。わたしたちが、現在をよりよく、より深く生きるための、静かで美しくつよい珠玉の言葉が、ここにある。長田弘のロングセラー詩集『深呼吸の必要』『食卓一期一会』などに続き、ついに文庫化。


毎日の食事に欠かせない調味料。「さしすせそ」の基本調味料を中心に、調味料の基本と味わい、おいしい組み合わせなどを知る1冊。


ナチスの足音が近づくなかで刊行された、19世紀ドイツの経済学者フリードリッヒ・リストの『全集』。その出版の経緯と困難に迫る。


チベットで1200年間、弱者として生き抜いてきたボン教。困難な状況下でも無用な争いを避け、相手に学びつつ独自性にこだわる姿勢を貫いてきたボン教の初めての一般向け概説書。誰でもできる瞑想法も紹介。


シリーズ本編第三巻に登場したケケが、おとなになって本を書きました。題名は、『半分魔女ーもうひとつのものがたり』。「魔女の宅急便」スピンオフ・シリーズ第三弾は、ケケが書いた物語をまるごと一冊にしてお届けします!小学校中級以上。


ライオンはたてがみ、カピバラはにおい、ダチョウはダンスが決め手。答えは、みんなそれぞれ違いました。


人生の達人・幸田文の生きかたから、芯の通った老いかたを学ぶ随筆選。


未来の都市、未来の食、未来の衣服、未来の人。数十年後の世界を“妄想”してみよう。イノベーションは“妄想”から生まれる。科学的知見に基づいた“妄想”=アート思考はいつだって新しい。ものづくりの伝統が息づく京都で産声を上げたKYOTO Design Labから“妄想”の社会実装に挑む。


東洋文化の貴重な精神遺産である中國の古硯に魅せられた著者が、蒐集と中國各地の硯石産出地の現地調査に携わり60年余。その結果、永い間雲霧の彼方に隔てられていた中國硯の素材の全貌が眼前に現われ、かつて実証を欠いた文献を拠りどころとして、ある種の独善的権威をつくってきた鑑定家の机上の論の多くが、現実とは著しく乖離していたことを解明。第2巻「中國硯採石地を訪ねて」では、中國四大名硯の産地の状況、採石した原石等を紹介し、中國硯の本質に迫る。


本書は,ケアのプロフェッショナルのコーディネーションを中心として,フランスと日本の社会的コンテクストにおいて国際比較を行なった結果である。


アメリカ原爆障害調査委員会(ABCC)遺伝学部長として戦後来日し、被曝児童の研究に携わった著者がみた戦後初期の日本と庶民生活。日本の変貌と時代を超越した特性を鋭い観察眼で捉えた回想録。


歴史学が政治に従属した悪しきエピソードとされる、敗戦直後の「国民的歴史学運動」だが、本書では、地域に生きる人びとが主体的な歴史意識を形成していくうえで、その経験はどのような意味を持ったのかを明らかにする。


豊富な写真で雲を眺める楽しさと同時に、雲には、気象災害をもたらすものがあることを伝え、その仕組みをわかりやすく解説。空や雲を見て、天気の急変を知り、災害を避けられるようになる、「防災/減災のための子ども雲図鑑」


日本で近代建築が始まって約100年。現存するモダニズム建築の傑作50を選び、プロが徹底解説。


農業の「価値」を取り戻せ! 民俗学者兼現役農家の二刀流論客が描く、日本農業の成長戦略。


私たちは共感し、分配し、秩序をつくるーー。実験という技術で、人間行動と社会はどこまでわかったかを一望する。


純粋で絶対的な慈悲が成り立つ世界とは。モーツァルトの赦しを題材とする後期オペラから追求する。


経済の起原とは何か。贈与と商品交換、所有と負債といった論点から考察する。(解説=市野川容孝)


「教師である」ことは学校組織のなかでいかにして成し遂げられているのか? 組織を生きる教師の方法の論理を実践に即して解明する。


AIと共存する未来とは。「発達する知能」はいかに実現されるのか。小説と解説の合わせ技で迫る!


糸を弾く、線を刻むーー 活動初期のインスタレーションや彫刻作品から、近年の、糸を弾く行為の膨大な反復により生まれる絵画作品まで、手法や表現の進化/深化をシリーズ毎に辿る45作を収録。 作品細部に迫るレイアウトと、表紙に刺繍を施した特別な造本。物質、空間への直接的なアプローチにより作品を制作する横溝の活動を通覧する初作品集。 横溝美由紀の絵画は、垂直と水平の線の集積からなる。 絵筆は使わず、カンヴァスのうえに張った糸に絵具をほどこし、それを指で弾きながら、グリッド状にその軌跡を生み出していく。 絵具の飛沫やたまり、すれやぶれ、色の重なり、作家の制御を超えた偶然性を孕みながら、画面に行為の軌跡を刻み込む。 横溝はこれら作品を彫刻と断言する。「彫刻を彫る、刻む、削るように糸を弾く」「身体性のある行為は重要で、絵を描くと言うよりも彫刻としての絵画をつくる」   ——前田希世子(DIC川村記念美術館 ) 本書論考より


本書は、仏教美術はじめとする作品を製作された「場」までを考察の対象として(1)仏身観と表象、(2)死後世界における祈願と造形の機能、(3)古代日本における現世観と造形の役割、という三点の関心に応じて論を三部で構成し、人間の宗教的営為の中で果たす造形の役割を明らかにすること、造形という具体的な素材を通し、その背後にある人間精神を問い直そうとしている。


かわいい毒を持つ十三編の物語


長年に亘りガラス建材業界で活躍してきた、㈱タナチョーの田中廣社長が愛情をこめて書き綴ってきた魅力あるガラスの世界を本にした。

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