九州APD当事者会代表

とある九州の大学院に所属する学生が中の人です。 専門は音響工学です。 -> 働き…

九州APD当事者会代表

とある九州の大学院に所属する学生が中の人です。 専門は音響工学です。 -> 働き始めました。 #APD #聴覚情報処理障害 #聴覚心理 #聴覚生理 #音響学 #芸術学 #アートマネジメント #障害学 #特殊教育学 #当事者研究 #マイノリティ

最近の記事

中の人、働く。

まとめAPD当事者は働くのが難しい、というのが多くの当事者の方々からお聞きしてきました。 私が働いてみて感じたことは、確かに問題はあるのだろうけれどもリスクヘッジを行えば職場によっては問題を回避できるのではないだろうか、ということです。 それでも回避できない問題もありますし、将来を考えたら悲観的になるかもしれないです。 そんな時は結局のところ、気にしないというのが一番の特効薬なのかもしれないです。 略歴この記事を読んでいただきありがとうございます。 九州APD当事者会の中の

    • APD当事者が就活を行なった結果-ケーススタディとレポート-

      概要ご無沙汰しています。 九州APD当事者会の運営をやっている人です。 先日、とあるイベントにてプレゼンテーションをしました。 実は私は現在、学生をやっています。 あと一年で卒業ということで、卒論や就職活動というイベントがあります。 つい先日、おかげさまで就職活動が終了しました。 就職活動ではちょっとした実験というか、自分をケーススタディとしてとあることを試していました。 それは APD当事者として就職活動をするのは不利になるのか ということです。 その辺りのお話と私の

      • 【備忘録】大学で合理的配慮を受けるまで(前編)

        まずは僕の環境についてご報告させていただきます。  九州地方の国立大学の大学院生1年です。  聴覚とAPD(聴覚情報処理障害)について研究をしています。  性別は男、所属は理系です。 初めに思い立ったところから受けられるようになるまでを書いていきます。 これから合理的配慮を受けられる方のお役に立てればと思います。 目的として、  ①研究として、自分をモデルケースにして調査を行う  ②当事者の方の参考になればという気持ち  ③資格試験や種々のテストで合理的配慮を受けられた

        • 【備忘録】聴覚障害×工学な学会まとめ

          0.背景まず初めにこの記事の概要です。 ここで紹介するのは医学としての聴覚、音としての聴覚、障害としての聴覚、社会医学としての聴覚、工学としての聴覚について研究発表をしている学会です。 私は音響工学を勉強している修士1年(記事公開時点)の学生です。 テーマはAPD(聴覚情報処理障害)です。 この聴覚障害に対して、工学的なアプローチで評価指標、支援機器の開発を目指しています。 今私が修士ということで、学会をボチボチ探してどこに参加しようかなーって思って色々調べたので、たまた

          [聴覚心理]院試備忘録9.聴覚の様々な現象

          9-1.キーワードマスク、ラウドネス、音高、音色、ミッシングファンダメンタル、聴覚情景分析、連続聴効果、音源定位、先行音効果、カクテルパーティー効果、音声認知 9-2.マスキング静かなときには聞こえた音が、騒音の影響で聞こえなくなる時があると思います。 これがマスキングです。 JISによる定義は二通りに定義されていて、次のようになっています。 1.他の音の存在によって、ある音の聴覚閾値が上昇する現象 2.上の1の現象による聴覚閾値の上昇値。単位[dB] 聴くべき音を信号音(

          [聴覚心理]院試備忘録9.聴覚の様々な現象

          [聴覚心理]院試備忘録8.まとめ-「聞こえる」とは何か-

          8-1.音と音声聴覚において音の必要な情報はスペクトルと言えるでしょう。 スペクトルとはどの周波数がどの強さで混ざっているかを表すものです。 スペクトルを表現するときに必要なのは周波数と音圧パワーレベルです。 横軸に周波数、縦軸にdBSPLを置くことが多いですが、縦軸は様々な量をとる場合があります。 基準で割って、対数をとる表現をレベル表現と言いますが、dBと出てきたらレベル表現です。 見るべき点は基準が何か、対数の中身の物理量が何かの2点です。 次に音声を表現する上で必要

          [聴覚心理]院試備忘録8.まとめ-「聞こえる」とは何か-

          [聴覚心理]院試備忘録0.概説と参考資料

          0-1.本稿についてこの記事は私が大学院試験で聴覚心理学という科目を勉強した際にまとめた内容を共有させていただきたく作成しました。 対象としては広く聴覚について知りたいと考えている方に読んでいただけたらと思います。 学生の方、聴覚に興味のある方、どのような方が読まれても無理なく、そして細かい点について勉強する方針を共有できるようにしたいです。 そして通読される方、拾い読みされる方、様々な需要に耐えうるような記事を作成したいと考えています。 各記事の構成としては最初にキーワー

          [聴覚心理]院試備忘録0.概説と参考資料

          [聴覚心理]院試備忘録7.求心性と遠心性

          7-1.キーワードトノトピー、求心性神経路、遠心性神経路、 7-2.概説音をきく能力がある器官は二つに分けられます。 1つが聴覚末梢系、2つ目が聴覚中枢系です。 聴覚末梢系が外耳、中耳、内耳です。 聴覚中枢系が脳幹(蝸牛神経核から大脳まで)です。 そして今まで見てきたのが聴覚末梢系から聴覚中枢系までの流れで、これを求心性神経路といいます。 求心性神経系や聴覚求心路など表記は色々あります。 そして遠心性神経路は聴覚中枢系から聴覚末梢系への流れです。 イメージとして、手の触覚を

          [聴覚心理]院試備忘録7.求心性と遠心性

          [聴覚心理]院試備忘録6.聴覚中枢系と神経伝導路

          5-1.キーワード求心性(上行性)伝導路,遠心性(下行性)伝導路 蝸牛神経核,オリーブ核群(上オリーブ複合体),外側毛帯,下丘,内側膝状体,聴覚皮質,機能地図(トノトピー) 5-2.全体の構造まずは図を見ていただきたいです。 [山下敏夫, et al. (1998), 聴覚系における神経伝達]より 蝸牛から(1次)聴神経を通ってきた電気信号はこのように脳まで送られます。 大脳聴覚野までの器官を神経核といい、末端から蝸牛神経核、オリーブ核群(上オリーブ複合体),外側毛帯

          [聴覚心理]院試備忘録6.聴覚中枢系と神経伝導路

          [聴覚心理]院試備忘録5.有毛細胞と聴神経

          5-1.キーワード外有毛細胞,内有毛細胞,神経インパルス,発火,同調曲線,神経興奮パターン,位相固定 5-2.有毛細胞コルチ器には基底板、内有毛細胞、外有毛細胞、支持細胞、聴神経から構成されます。 コルチ器の中の模式図を見ていただきたいです。 基底板の揺れによって内有毛細胞の毛が折れ曲がって電気が発生します。 また、外有毛細胞も聴神経に繋がっていますが、この機能ははっきりとは明らかになっていません。 逆に脳幹からの指令によって、外有毛細胞の大きさが変わります。 これによっ

          [聴覚心理]院試備忘録5.有毛細胞と聴神経

          [聴覚心理]院試備忘録4.内耳

          4-1.キーワード 蝸牛,コルチ器,内有毛細胞,外有毛細胞,基底膜,聴覚フィルタ, 4-2.全体像 この章では内耳の構造と機能に加えて次回以降で詳説する有毛細胞や聴覚中枢系、求心性/遠心性神経系などなどの全体像についても触れていきます。 まずは図をご覧になっていただきたいです。 聴覚心理の授業資料より 内耳は蝸牛(聴覚の受容器)、前庭器官(平衡感覚の受容器)、三半規管からなります。 聴覚に関する部分だけ取り出してみましょう。 振動が鐙骨から伝わり、卵円窓を通して蝸牛の

          [聴覚心理]院試備忘録4.内耳

          [聴覚心理]院試備忘録3.中耳

          3-1.キーワード鼓膜,耳小骨,卵円窓,インピーダンス,耳管,インピーダンス整合 3-2.構造鼓膜、耳小骨、卵円窓、中耳腔から成り立つ 耳小骨は鼓膜側から順に槌骨(ツチ骨)、砧骨(キヌタ骨)、鎧骨(アブミ骨)の3つからなる。 鼓膜から受けた空気振動は耳小骨を経て卵円窓から内耳に入力される。 耳小骨がある空間を中耳腔といい、耳管に接続している。 3-3.中耳の機能空気振動を中耳の中のリンパ液に伝える機能が主たる機能です。 加えて耳小骨による過大音を吸収して内耳に大きな音が伝

          [聴覚心理]院試備忘録3.中耳

          [聴覚心理]院試備忘録2.外耳

          2-1.キーワード頭部伝達関数(HRTF),耳介によるスペクトル変調,耳介,外耳道 2-2.外耳とは外耳は耳介、外耳道、鼓膜までの範囲を指します。 機能としては集音、スペクトルの変調(音源定位に役立つ)が主なものです。 音源定位とは、音が発している方向を推定する能力です。 耳介の複雑な構造によって周波数特性が複雑に変化します。 2-3.頭部伝達関数(Head Related Transfer Function, HRTF) 音源から鼓膜までの音響伝達関数 音響伝達関数とはフ

          [聴覚心理]院試備忘録2.外耳

          [聴覚心理]院試備忘録1.音の物理基礎

          1-1.キーワード音圧,音圧レベル,音の強さ,フェヒナーの法則,ERB尺度,メル,フーリエ変換,スペクトル,フィルタ,周波数特性 1-2.物理現象としての音音波とは波動現象です。 波動現象とは振動が媒質に伝わっていく現象です。 音波においては空気という媒質に、空気の粒子の振動が伝わっています。 また、音波は縦波(疎密波)であり、つまり粒子が密の部分と疎の部分がある波です。 この疎と密はすなわち大気圧より圧力が高い、低いということを意味しています。 この大気圧からのズレを音

          [聴覚心理]院試備忘録1.音の物理基礎