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【ローカルでの生き方への提言を込めて】個が所属を超えて、立場を越境した「場」から生まれる未来についての話をします。

空き家を個人で借金して購入し、色んな人に手伝ってもらいながら私費でリノベして、それを無償で地元クリエイターにシェアします。もちろんお金が潤沢にあるわけでは無いから、できる範囲でちょっとずつしかやれません。スタートまでには3年もかかってしまいました。

それをX(Twitter)に書いたところ、「なぜそんなことするの?」という疑問も含めて結構反響があったので、もう少し掘り下げてお話しします。

この場所が何なのか、僕がどんな背景で空き家を買うことになったのか、3年前に書いたNoteがこちらです。

https://note.com/kyushuisland/n/n9266f31e3e05

ここは、昔から実家の近所にあった、子供達が集まる駄菓子屋さん兼タバコ屋さん(今やほぼ死滅した業種ですね)ですが、住んでいた家主が私的事情で引っ越しをすることになったので、ご縁があって僕が譲り受けることとなりました。

急なことですし、当然ながら、使い道も決まっていない空き家を会社の経費で買うというわけにも行きませんから、銀行へ個人で500万円の借金をして購入し、簡易ながら様々な方に手伝ってもらいつつ、私費でリノベしました。もちろん借金は毎月返済を続けています。

2020年9月 リノベ作業の様子

コロナ禍だったということもあり、あれから公私共に闇堕ちする数年間を過ごしました。お金もすっかり底をついたし、逆にすっきりと自分自身に向き合って数年間を過ごしつつ、これからの社会が向かう方向性と、それに重ねた自分の生き方みたいなものを思考する時間だったと思います。

時間は待ったなしで過ぎていく中で、僕も53歳になりました。SNSなど、一切の情報に誕生日を消したし、そもそも祝ってもらうことは苦手なので、ただ淡々と誕生日を迎え、歳を重ねていく日々なのですが、どうやらコロナ前(40代の自分)と今の自分は別れ道を進むが如く別の人生を歩み始めたよう
です。

コミュニティベースドな経済形成
マイクロビジネスの可能性
ローカルにおけるシェアリング経済の未来
ソーシャルコンセプトに従う事業構築の在り方
CSV(Creating Shared Value:共通価値創造)の解釈
そして、デジタルとローカル(アナログ混在)

このようなことを、ぐるぐると常に考えているときに、いくつかの事業構想にまで辿り着き、ワッフル事業をはじめとするユニークな取り組みもスタートしました。(これについては後日書きます)

そして、この場所の使われ方についても方向が定まりました。
以下が、僕がこの場所の使われ方に対して書いたメモです。

ローカルにおけるブランディング&デザインの研究所(室)にすること。
そして、参加者は繋がりで広がっていって、取り仕切る者(管理者)の存在しない、自由で心理的安全性の担保された、濃密なコミュニティでありながら同時にオープンであること。

なぜやるのかは、動機はシンプルです。地域のクリエイティブを民主化したい。その一点。既得権益で循環しない田舎の受注システム、そして都市の大企業に吸い上げられる仕組みをぶっ壊したい。若い才能あるクリエイターが失望しない未来にしたい。

1960年代からの、人類(というか若者たち)の悲願は、コンピューターの民主化でした。50年の歳月を重ねながらインターネット/デジタルの発展によって誰もが機会均等に繋がれる社会の到来が実現し、パーソナルコンピューティングはスマホという形で全人類に実装され、通信とデジタル環境によって誰もがクリエイターになれる時代が到来しました。

それでもなお、田舎のクリエイター達は地元の名士に気を遣い、金銭的にもやり甲斐のある大きな仕事はヒエラルキーの中に埋没し、行政は個人事業の名も無いデザイナーには見向きもしません。

個性を埋没して歳を重ねていく恐ろしさは、そうした数年間を過ごしてきた僕自身が一番良くわかっています。「自分」の存在を表現する、やりたいことができない人生など、生きながらにして死んでいることと同じ。”変わるべきタイミング”などとっくに過ぎている。田舎ならではの社会通念はぶっ壊して、自己表現とスキルで稼げる世の中を作りたい。

誰も、田舎だからといって諦めなくていい世の中にしたい。

まあ、こんな場ができたから何ができるかは正直わからないのですが、とにかく、肩書きや背景や年齢、国籍、何も関係なく集まれる場を作ることと、この場を繋がった仲間達のクリエイティブが重なってセレンディピティ的な進化が生まれることを願って、この場をシェアすることにした次第です。

昨日は、さっそく、グラフィックデザイナー、空間デザイナー、イベントコーディネーター、動画編集者、カメラマン、フードコーディネイターなど若い才能が集いました。建築家、法律家、そして僕のようなプロデューサーもいます。自然と生まれたチーム感は、まるでコミュニティベースドカンパニー(CBC)の様相。

地域にある資源や人材を生かして共感を広げながら自由に活動する集団を創造したい。個人が好きな場所で自分でやりたい事業を始めて生きていけるように、従来の企業や組織が規模の拡大を目指していたのに対し、CBC(的な集団)は地域に根ざしつつ個のネットワークを活かして等身大で「生き方」重視で発展していく。

一人ひとりは小さく弱い存在でも、その生き方の理想は誇り高く在りたいし、時に大きな事業に対峙するときにはスイミーの寓話のように集団知を発揮できるように。気付いたらいちばん歳上の世代になった僕は、残りの時間で、そんな地元のクリエイターが育つ拠点づくりに貢献したいと思うのです。

「場」から生まれる未来を、みんなと一緒に楽しんでみたいと思います。
そう考えれば、僕の借金返済は負債(debt)ではなくて、未来への投資(invest)なのです。


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