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夏におすすめ!ほんのり怖い物語2選

そろそろ夏のさかりも過ぎようとしているが、それでもこの暑さは耐え難い。だからといって冷たいものばかりでは体を悪くするし、クーラーだけでは物足りない。

ということで、りょうをとるための先人の古来より続く知恵をお借りしようと思う。そう、怖い話ですずしくなるのだ。

怖い話が苦手な人でも楽しめるような本を二つ、厳選げんせんして紹介させていただこう。

まずはひとつめ、小野不由美先生の「ゴーストハント1」。


こちらは1990年代に学生向けに発売されていたものを、リライトして角川文庫から令和2年に発売されたものである。学生向けに書かれていたものなので、主人公は女子高生だし内容も難しくはない。親子で読んでみられるのもおすすめかも。

内容としては、ひょんなことから渋谷サイキックリサーチという会社のアルバイトをすることになった女子高生、麻衣が不思議な現象の調査を手伝っていくというストーリー。

一見どこにでもありそうな怖い話から二転三転するハラハラドキドキの物語は、ホラーもミステリーも存分に味わうことができる。

特にひとくせも二癖もある霊能力者(!)達は素直で、口が悪くて、自分の仕事を大切にしていたりと驚くほど人間らしくて魅力的だ。

ちなみにわざわざ「1」と書いたのには理由がありまして。全7巻のこの作品だが、毎回その怖さの原因となる怪異は種類が異なる。それ自体は素晴らしくよみごたえのあるシリーズを生み出しているのだが、いかんせん、2巻より後はめちゃくちゃ怖い。すごく怖い。

怖いもの好きにはぜひ、2巻以降のシリーズも通して読んでほしい作品である。全部読んでしまった、という方には漫画版もあるのでそちらもおすすめ。トラウマ級の作画で夜も眠れなくなることうけあい。

補足情報としては、この本の作者である小野不由美先生は映画で話題となった「残穢」の作者でもある。あの映画が面白かった、という方はおためしあれ。


二つ目におすすめするのは、宮部みゆき先生の「おそろし」。

こちらは舞台をがらりと変えて、江戸の商人文化華やかなりしころの時代物である。

第一部の主人公はおちかという女の子。第一部、というからには第二部もある。彼女の物語はひと段落して、今はそのいとこが後を引き継いで物語が進んでいる。それほど長く続いているシリーズなので、面白さは折り紙付き。

さてこのおちか、旅籠はたご(現在の旅館のようなもの)を営む両親のもとで生活をしていたのだがとある事件に巻き込まれてしまい、その心の傷をいやすために江戸で暮らす叔父夫婦のもとにあずけられる。

ところがどういう風の吹き回しか、その叔父のはからいで彼女は江戸にあつまる様々な怪異の聞き手をつとめることになってしまった。はたして、嘘か真かこの<黒白の間>にあつまる百物語、一筋縄ひとすじなわではいかないようだ。
といったあらすじ。

生きている人間がおりなす怖い話、まったく未知の知らない怖い怪物たち。そしてそんな中でもいきいきと、あるいはほそぼそと人生をつないでいく江戸の人々のくらしの描写が、この物語をより身近に感じさせ、その風景までもが浮かび上がってくるような気がする。

切ない話もある。楽しくない話もある。それでも、自分の人生を生きていくのだ。まったく同じ人間などこの世に二人と存在しないのだから。それゆえに、百物語が成立するのかもしれない。


さて、今回はここまで。どちらも有名な作品ではあるから、元から知ってる人もいらっしゃるかもしれない。しかし、まだ読んだことがないよ、という方のために今回は記事を書かせてもらった。

ご存じの方はもう一度この機会に読んでみるのも新しい発見があるかもしれないし、私の記事で初めて知った方がいらしたら手に取ってみてほしい。

最後まで読んでくれてありがとう。

それでは、あと少しとなった夏の厳しさを皆様が健康で過ごせることを祈って。またお会いできることを楽しみにしています。









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