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電文だけ読めばいいんだよと怒られる

20歳のとき、東京・八重洲(中央区)にいた。小さな会社の5階建てビルの夜警を1年間やった。勤務は午後5時から翌日の午前8時。日曜祝日は終日で、1階事務所のソファで寝起きした。

会社はビルの所有者で、5階にはいくつかの事務所があった。毎日午後9時ごろまで残業する社員がおり、その人が帰るのを待って玄関を閉める。そのほか駐車場の開閉が主たる仕事だった。

日曜日に社長に電報が届いた。知人か仕事関係の訃報である。社長に電話で電報の件を報告すると、今忙しいから折り返し電話するという。ところが20分、30分経っても電話が鳴らなかった。

やがて社長から「電報だって」と電話がきた。どこそこのだれだれがという報告に「電文だけ読めばいいんだよ」と怒られる。いくらバイトとはいえお粗末すぎる。それはそうだと納得した。

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