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本塁打でも「あゝ今日も駄目だった」

1973年、4番サード長嶋の全盛期が終わりを告げた。69年に「長崎は今日も雨だった」が大ヒット。それに反し長嶋さんは打撃不振で「あゝ 長嶋は今日も駄目だった」と歌う人も出た。

先輩は長嶋さんがホームランを打っても「あゝ 長嶋は今日も駄目だった」である。酒場でカラオケが流行っていない時代。もう一人の先輩は「仰げば尊し」だから、どっちもどっちだ。

長嶋さんが引退した74年の忘年会。この年入社した男性が余興で「都の西北 早稲田の森に」と歌い始め、上司がストップをかけた。「今日は校歌はやめよう。ほかに何かあるだろうが」。

やり取りを聞いていた私はゲイシャ・ワルツ.を披露した。「本籍は浅川マキ」だから急きょ大変身。場を盛り上げようと必死だった。そんな積極さがいつしか消えて日陰を歩き始める。

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