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[ZENITH]――『私が愛したヴィジュアル系』

〈2494文字〉

大阪のヴィジュアル系バンド[ZENITH]を紹介します。

1997.09.09 Sg『FALL RAIN』
1997.12.16 VA『SUPER InD's vol.Ⅰ』
1998.07.25 Al 『AFTER THE RAIN』

音源リリース時のメンバーは、vo.KIYOTO, gt.Nachi, gt.MARIKI, ba.KO~ZI, dr.Yae(敬称略)です。

短命ながら、V系インディーズバンドとして、私の中でもっとも思い入れの強いバンドです。

自分でもなぜかはわかりませんが、その昔、大手のヴィジュアル系音源専門店が、V系専門雑誌に丸一ページか半ページの広告を出して、そこにたくさんリリース情報がある中で、『[ZENITH]というバンドが999枚限定でCDs『FALL RAIN』を発売します。先着数名にはVHS(『SEPIA』)が付きます』というのを小さなアー写付きで見てから、彼らにゾッコンのめり込んだのです。

そこから、電話をかけたかけた(当時は固定電話で)。
どの専門店にもVHS付きは売り切れていたのです。
ステッカー付きはありましたが、そんなものじゃ満足できませんでした。

そしてついに、彼らのホームである大阪のDEAD ONEさんに『ありますよ』と平然と言われ、通販したのでした。

デモテープ『DEEP ROMANCE』は、Brand Xさんに取り置きしてもらって、店頭では完売していたはずなのに、ぎりぎりで購入できた思い出があります。なぜ取り置きしてもらったかは覚えていませんが、同時購入の商品の入荷が遅れたか何かしたのでしょうね、おそらく。
昔はそんなことがよくありました。

今はなき思い出の店々――。
Brand X……送料が安く、手際もよかったから、よく利用したな~。
ブロンズエイジ……ほとんど利用しなかったな~。
円盤屋……広告のいい場所を占めていたのに、さほど利用しなかったな~。
Third Stage……ほかとは一線を画す存在感だったな~。
ROCK LOVE……あったな~。
オールディーズ……V系音源を集め出した最初期、利用したな~。
CDアンダマン……とりあえず、先に、在庫表をもらわなければならなかった     
        な~。でたらめに並べられた在庫表の中から、欲しいもの   
        を必死に探したな~。
自主盤倶楽部……つい先日、閉店されたことを知りました。思い出される
        のは、Kreis関連の配布品を店頭でしか販売せず、通信販売
        を断られたことですね。『赤い花』買いたかったな~。
響く人には響くと思います(笑)。

でも、もう我慢できない。
私が一番に紹介したいのは、『SUPER InD's vol.Ⅰ』に収録された
『Under The Moonlight』です。

私はこれを葬式でかけてほしいとは思いませんが(車でもなんでも自分の好きな音楽をガンガンにかけて、みなに聞かせようとする人の神経が私には理解できません)、『死ぬ前に一曲だけ聴かせてあげよう』と言われたら、この『Under The Moonlight』を選びます。
それくらい、この曲を愛しています(物にしろ人にしろ『愛している』なんて言うのはとても恐ろしいことですが――なぜならそれは絶対に裏切れない対象になり変わるからですが――、それでも!)。

私は小説家志望です。
実はこんなことを書いているのも、自分の小説に少しでも興味を持っていただきたいからです。

仮に、仮にですよ。
もし自分の小説が映画化されたとしましょう。
そのとき、私には思い描いている、どこにも載せていない長編小説があるのですが、その長編が実写映画として流れ、エンドロールに入ったとき、ちょっと映像を止めて、いきなりこの曲のイントロを流して、役をしてくれた俳優五人に口パクと演奏するフリをしてもらいながら(もちろんメイクもしていただき)、丸々一曲プロモーションビデオさながらに流す、というエキセントリックなサプライズを常々夢見ています(当然ながら事前に様々な人や企業の許諾を得た上での話です)。
え~今、私はトマトのように赤面していますよ(笑)。
本当に長年夢見ているのです、今この瞬間も。

※これはあくまで個人的な好みの話ですが、ボーカル以外のメンバーさんが作詞作曲された楽曲には、感銘を受けるものが多い印象を受けます。曲への思い入れが強いからでしょうか。楽曲としてのコンセプトが固まっているからでしょうか。歌詞のメロディの乗り方が絶妙な気がします(私は専門用語を知らないので申し訳ないですが)。私の中では[ElDorado]の瞬介さんがその代表格ですね。このブログの中では触れませんでしたが、[DuelJewel]のgt.Shunさんが作詞作曲された楽曲も好きです(言うまでもなくvo.隼人さんが作詞された楽曲も好きですが)。ManaさんやKISAKIさんやHIZAKIさんもたくさん作詞作曲をなされていますね。才能の塊です。あと、曲数は全体として少ないながら、作詞作曲されるプレイヤーがおられる中で、強く感銘を受けたのが、この[ZENITH](のちのバンド[Mystic Moon]を含む)のNachiさんでした。楽曲の少なさからして、Nachiさんにはもっとバンド活動を続けてほしかったですね。

そして、『AFTER THE RAIN』――彼らの音楽の幅の広さを見せてくれました。インスト曲『PRELUDE』を含め、全部好きです。

おすすめの一曲は……もう言いません。
そろそろ、みなさんから探してみてはいかがでしょうか。



六月六日から九月九日(奇しくも『FALL RAIN』の発売日)までの約三ヶ月間の連載、お付き合いいただきありがとうございました。
せっかくいただいたコメントに返信もせず、申し訳ありません。
一人の時間が長いぶん、ガラスのハートなもので(笑)。
読まれた方の中には、きっと腹が立つこともおありだったでしょう。
炎上せず(笑)、ご清覧いただきましたことに、心より感謝申し上げます。

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