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選挙ボランティアをしてみて考えたこと

友人が統一地方選挙に出馬している。仲間うちのLINEにボランティアの依頼の連絡が来たので、微力ながら手伝いに行った。年末に彼女の志と選挙準備の大変さを聞き、心から応援したいと思ったからである。彼女のいままでの経験を知っているからこそ、志を語るその言葉に魂が宿っていると感じるのできっと何かを変えてくれるはず、そんな期待があるのだ。

また、百聞は一見にしかず、初めてのことには必ず学びや気づきがあるから、こういう機会は積極的に参加するようにしている。「選挙の現場」を経験してみて感じたことや問題意識を書き残しておこうと思う。

若者(50歳くらいまで含む)、興味なさすぎ問題

駅前でのビラ配りを始めて1時間して気づいたことがある。それはもらってくれる人の9割5分は老人であるということだ。その後、積極的に子連れや会社員、学生、若者に声をかけてみたがことごとく断られる。しかも、多くの場合イヤホンをしているからこちらの声もほとんど聞こえていないかもしれない。聞こえていたとしても、おそらく意識はイヤホンを通じたスマホの中だろう。

彼女のテーマは教育である。子育て世代、若者にこそ届けたい内容なのに、その対象者こそ興味を示さない。シルバー民主主義は人口ピラミッドだけに依存しない。世代別の関心の度合いにも依存しているように思えた。実際、若者ほど忙しく地域や国全体のことを考えてる余裕がない。(忙しさの理由はスマホを通じて浴びせられるエンタメの嵐によるものかも知れないが。)彼女が政治家になれば必ず若者や子育て世代のために動いてくれるだろう。だからこそもどかしかった。

翻って、自分はビラをもらったことはあるだろうか?一度もない。選挙はどうしてる?行っている。じゃあどうやって投票者を決めている?ネットで調べて。と、思うと若者へのリーチはネットになるのだろう。実際、彼女もTwitter等で発信をしているようであった。かと言って、快楽を満たすコンテンツに溢れた世の中である。若者の可処分時間の一部を政治に向け、国の未来に目を向けさせるには一手間も二手間もかかりそうである。こんなにみんな興味ないのかと驚いたが、同時に自分を振り返ればそんなものだとも思う。ただ、自分が住む地域の意思決定をする人間を決める選挙であるから、一人ひとりがもう少しでいいから関心を向けた方が良いとは感じた。アメリカの選挙では莫大な広告費が投入されているのも無理はないと思った。

出発点はいつも地味

今日のボランティアでは、配布するチラシの準備と駅前でのチラシ配布であった。自身の開業当初を思い出した。毎日学校の前でチラシ配りをしては、帰宅前にマンションにポスティング。そしてブログを書く。最初はお金も土台もない。できるのは手と足を動かすことのみ。企業に入れば、少なからず1人はお客さんがいる。でもそれは驚くべきことである。多くの場合、ビジネスにしたって政治にしたって、その一歩目はとてつもなく地味な仕事から始まってるのだ。自分の開業時を思い出し、ますます応援の気持ちは高まった。

人はよく考えて選んでいるわけではない。

どんなに良いものを作っても、買ってくれる人がいなければ自己満足である。どんなに良い政策を考えても、選んでもらえなければ絵に描いた餅である。

政治家を選ぶにしたって、商品を選ぶにしたって、人間は必ずしも合理的な判断をしない。それどころか情報過多のこの時代にきちんと情報を整理して自分の考えをまとめ上げて、短期的にも中長期的にも合理的な判断をする方が難しい。多くの場合、短期的な「快」に依存して判断をしているように思う。

良いものを作るということと、短期的な「快」を満たして選ばれること。分けて考え、うまく両方を満たすように考える必要があるように思う。私の今最も関心の高いテーマである。本当に物事をよくするために使う時間よりも、選ばれるために使う時間の方が多くなるということは皮肉なことだけど、資本主義の構造・人間の特性上、どんな仕事も同じなのかもしれない。

ボランティアに来る人たちについて

よく考えれば当然だが、ボランティアに来ている人たちは年配の人たちか学生が多かった。現役世代は当然仕事や子育てで手伝う暇はない。年配の方々が一生懸命活動されているのを目にして、人手不足が叫ばれる一方で、世の中には多大なるリソースが残っているようにも感じた。そのような人のエネルギーや可能性を開花させる機会をつくりエンパワメントするリーダーが必要だと思う。引退した世代の元気なリソースを世のため人のために、そしてその人の豊かな人生のために使えるような仕掛けが今後ますます必要になるだろう。

そんなことを考えた。ボランティアの内容自体は地味なことであったが、はじめてのことは常に新鮮で学びがある。良い経験をさせてもらって感謝です。なんとか彼女が当選して、社会を変えてくれることを願っている。

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