名前について

【日下一行】と書いて【くさか・かずゆき】と申します。

高校一年生の終わりにガラケーを手にし、そこから本格的にずぶずぶとネットの海をただようようになりました。中学生の頃から共用パソコンで個人サイトを運営したりしていたので、移転したり出入りする場所が増えるたびに名前が増えていったのですが、今ではすっかりこれで落ち着きました。


初めましてのご挨拶をすると、ほとんどの方に「何とお読みするんですか、なんて呼んだらいいですか?」と聞かれます。ヒシタさん、イチギョウさん、めっちゃ多いです。くさかと申します、くさか・かずゆきって言いますーって返信するまでがワンセットです。このやり取りを面倒だと思う方もいるのでしょうが、私にとっては日常茶飯事なのですっかり慣れてしまいました。読めないですよね、すみません。でも変える予定は全くないです。

実は本名も半数近い方に同じ質問をされます。質問されなくとも8割方読み間違えられるので、訂正させていただくのが日常です。子どもの頃はそれが物凄く苦痛でした。学生の頃は四月がとにかく憂鬱でたまりませんでした。先生の点呼にみんなが「はい」と返すなか、手を挙げて「すいません、違います」というのはすごく恥ずかしかったです。毎度毎度そういうことを言わなければならず、しかも声が小さい人間だったので正しい読み方も何度も聞き直されたりしました。そのたびに自分だけ何をしているんだろう、間違っているのは相手なのに、大人のくせになんでみんな読めないんだよ!と、羞恥心となんだかよくわからない怒りのようなくやしさのような感情でいっぱいになったのを覚えています。

大人になってからは名乗ることのほうが増えたので、読めないより「珍しい名前ですね」「男女どちらでもいけそうな名前ですね」と言われるようになりました。それから「名前と名字逆じゃないんですか?」と聞かれるようにもなりました。初めて言われたのは新社会人の頃で、正直なにを言ってるのかさっぱりわかりませんでした。その方は自分の知り合いに、あなたのその名前と読みで名字というひとがいるんだよと教えてくれました。多分子どもの頃に出会った大人にもそう思った人はいたのでしょうが、意味が通じないだろうから聞かれなかったのかな、と今になって思います。

いちいち訂正することは本当に苦痛でしたが、自分の名前は子どもの頃からとても好きです。当時たまたま見つけた、名前の由来が書かれた文章をいまでもよくおぼえています。それを読んだとき、だからこんな名前なんだな、漢字なんだなとすとんと胸におちてきたので。この名前で嫌だったことより、楽しかった出来事のほうが多いこともあるのかもしれません。大人になった今では本名トークは初対面の人との会話の鉄板ネタです。ちょっと読みにくいし、なんでその名前でそれ?その漢字?とか、いくらでも引き出しが開けられます。あなたの場合はどうですか?って会話が続けば初めましてから友達…とまではいかなくとも、せめて知り合いくらいにはなれる気がします。


そんな本名なもので、ネットではこんな名前です。日下一行です、くさか・かずゆき。リアルの名前は本名が正しいけど、ネットや創作したりするときは日下が正しい名前です。正しいというかどちらも本当の私の名前ですよ、と使い分けているイメージ。本名で生活しているときに楽しいな面白いなと思ったことや、べんりだなと思ったことは活かせるように考えた結果がこの名前です。

もともとは、小説投稿サイトのために考えた【一行/かずゆき】というペンネームに、あとから【日下/くさか】という名字をくっつけたのが今の名前です。歴代のハンドルネームでは長いほうだと思う、もしかしたらそろっと一番ながい名前になるかもしれない。

【一行】は、物書きっぽい名前がいいなあというのから考え始めた。だってお話書くんだものそれっぽいほうがなんか楽しそうでしょう?と。それと普段家族や親戚から色んな名前で呼ばれるので、そこからなんかもらってきたら自分自身おぼえやすいかな、と思って。カズユキは、兄弟が一時私を呼ぶときにつかっていた名前。本名になんてかすりもしない、むしろどっから出てきた?ってその頃は思ってた。でも、使われなくなってもなんとなくすきで覚えてて、あーこれにしよう、って。即決。最初はカズユキとかkzykって使うつもりだった。…んだけど、そうだよ物書きっぽさ!漢字とか!ってなったのでじゃあ漢字を当てようと。思いついた漢字の意味や成り立ちを見ながら色々な字を組み合わせてみたけど、どうにもしっくりこなくて色々考えてたらだんだんこんがらがっていった。もう漢字なしでいんじゃないめんどくせえってなったところで、仕方ない最後の手段だとガラケーで【かずゆき】の変換候補を見ることに。和幸とか和之とか、名前で見るなーあーこれもかずゆきさんなのかって漢字のなかに【一行】があった。見つけた時、ちょっと笑った。いちぎょうじゃん、って。こんなぴったりすぎるものがあったのかとちょっとびっくりした。しかもちゃんとばらしても読める、全然関係ない字の当て字じゃないところもいいなと。それで、【一行】で【かずゆき】って名乗るようになった。その投稿サイトでは、一行いちぎょうに思いをこめてお話を書く、という意味を込めてます。なんて書いてたけど、それはまあ漢字決まってからつけた後付けの意味。そういう思いがあったのは本当だけど、ぴったりな漢字はたまたまだったということで。

それからしばーーーらく色んなところで一行でやってたけど、徐々にネット上の動きがおとなしくなっていった。今まで通ってたところにはいかなくなるわ、新しくそういう場所をつくることも減ってきたってころ。そろっと一行だけじゃ宙ぶらりんだから名字でもつけようかなって思って、【日下/くさか】がついた。これはいくつかぱっと候補が浮かんで、つなげて読んだとき一番しっくりきたのがこれだった。候補に挙げてたのは物語の登場人物だったり地名とかで、素敵な名前だなと思って覚えていたものをいくつか。日下は、市川春子さんの『虫と歌』という短編集に収録されていた『日下兄妹』という作品からいただきました。めちゃくちゃたまらない作品だからぜひぜひ!『25時のバカンス』とセットで買って一気に読んで世界観にのまれてほしい。他の候補は惣領、小椋冬美さんのさよならなんて言えないの主人公から。倉木、高里椎奈さんの銀の檻を溶かしての座木の漢字を変えて。あと月夜野とか色々。どれもいまいちもたつくというか、上にのせたとき不格好に感じたりして却下!却下!とけずって、残ったのが日下だった。最初はちょっとくさかって読みにくいかと思ったけど、印鑑さがしてるときあっさり見つかったから、じゃあいいやって。本名はね、今は見つかりやすいけど昔は名字のスペースがないことも多かったので。日下は世間ではポピュラーな名字なんだな、じゃあ平気だなと。

【日下一行】に変えたときも【一行】のときみたいな名前に込められた意味(めっっっちゃ後付け)みたいなのをつけました。名は体を表すなんて言うし、また新しく意味を込めて努力なりなんなり頑張ろうと思って。日下一行は、太陽の下を一人行くって意味。誰かに否定されたからといって好きなことをやめないとか、みんなが右を選んでも自分が左のほうが楽しそうだなって思ったらためらわず左に行こうとか。あとは、当たり前だけどおてんとうさまに顔向けできないことはしないとか。匿名だけど匿名じゃないのだから、画面の向こうの相手を常に意識して言葉選びや発言に気を付けるとかね。


そんな感じでこんな漢字、【日下一行】と書いて【くさか・かずゆき】と申します。よろしくどうぞー。

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