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動作改善アプローチver.2

1.動作改善アプローチとは

❶動作とは

環境や課題に対して構造・機能が適応し、体性感覚にて認知・知覚することで、フィードバック・フィードフォワードしながら創出・行動が起こり、動作となります。

つまり動作改善には構造・機能改善だけでなく、認知・知覚が含まれるため、運動を学習する過程が必要になります。



❷motionとmovement

Motion|関節や部位の動きであり、筋力や可動域が必要となる
Movement|バランス、認知、知覚、コーディネーションを含めた運動制御が必要となる

Motionは主に関節の動きであり、筋力や可動域の改善とともに改善するが、身体全体の中での動作を獲得するにはMovementが必要になります。

例えば、腕を上げるには肩甲骨の可動性や肩のインナーマッスルを機能させる必要があります。

しかしそれらの機能が十分であっても、投球動作にて肘が下がることがあります。
そのため、Motionの改善だけでは動作として表出されません。

Movementには適切なタイミングで、適切な方向に適切に出力することが必要となり、動きを制御し微調整することが求められます。

そのため単関節の動きだけでなく、多関節運動を抗重量位でのトレーニングを行い、感覚器を働かせながら行うことが望ましいと考えます。

感覚統合
5感|視覚・味覚・聴覚・嗅覚・触覚
+平衡感覚・固有感覚

また意識的制御から運動を自動制御するには、環境やタスク、身体状況を変化させ、それに動作を適応させるトレーニングを行い、身体能力の限界で行うことで過度な意識付けを避けたトレーニングへと進めていきます。


Movement training
例えば、重い物を高い所に持ち上げるという課題に対して、動作の効率化を図るための方法を考えます。

重たいものを高いところに上げるには、遠くに上げるための可動域、持ち上げるための筋力が十分である必要があります。

そして重さ・大きさ・距離を認知・知覚し、調整しながらそれらをコントロールして持ち上げてい来ます。

持ち上げる方法(股関節を屈曲伸展させるなど)を改善することで、身体効率が良い持ち上げ方をできるようになり、重いものや回数をこなすことができるようになります。



❸運動学習プロセス

運動を学習するには正しい動作を知る必要があります。

股関節を使うことで楽に動ける、胸郭を使うことで力強く投げることができるなどを認知・知覚し、動きを意識しながらトレーニングします。

認知できる適切な課題を繰り返すことで、修正を繰り返し、課題の難易度を高めながらトレーニングを繰り返します。

適切な課題のトレーニングを繰り返すことで、脳の可塑性により新しい刺激に対して適応し、運動が学習され、自動化されてパフォーマンスとして表現されます。



❹関節機能の改善

パフォーマンスの土台となる、関節機能の改善を図ります。
関節の構造的な安定は障害発生のリスクを軽減し、力の伝達を効率化を図ることができます。

1.関節安定化|徒手療法
関節が構造的に安定するポジションとなるように、可動性の評価や筋の滑走性の評価から、周囲組織の滑走性を改善します。


2.モビリティエクササイズによる筋の抑制と活性
主動作筋および共同筋の賦活と拮抗筋の抑制により、関節の可動性と安定性向上を目的としてエクササイズを行います。


3.モーターコントロールエクササイズ
動作パターンの改善となります。

インナーマッスルとアウターマッスルの発火速度のタイミングや、フォースカップルの筋バランス、ankle strategyとhip strategyのバランスなどを整えるエクササイズを行います。

トレーニングでは意識できる範囲での課題として行うことで、動作パターンの修正を図ります。



❺適切な力発揮

力を発揮するには、地面からの反力を得る必要があります。

地面を押すことで地面から反力を得て力を発揮できることから、パフォーマンスの改善には、地面を適切方向(ベクトル)に適切な出力を発揮する必要があります。

発揮する方向(ベクトル)が不適切となると、加速したいのに減速方向に反力を得たり、減速したいのに加速方向に反力を得るなど、非効率的な動作になってしまします。



❻身体機能改善トレーニング

関節機能を改善した上で、身体機能を高めるトレーニングを行います。

1.脊柱柔軟性
脊柱の主な機能の1つに緩衝機能があります。

脊柱は3つの弯曲(頸椎前弯・胸椎後弯・腰椎前弯)を有しており、その弯曲によって緩衝しているとされています。

脊柱の分節的な運動の低下は、脊柱全体の可動性低下を招き、脊柱の役割である緩衝能力の低下を招くことになります。

脊柱弯曲が減少することで、力を発揮(作用)させようとした際に受ける力(反作用)を脊柱の弯曲によって緩衝することができなくなるため、筋出力が制限させることになります。

ニュートンの第3法則|作用・反作用の法則
物体に対して力を加えるとそれと同等の力が返ってくるとされており、地面を押せばその力の分だけ地面から反作用として力が返ってくる。
その反作用の力を吸収できることでその動作は成り立つことになる。

そのため脊柱の柔軟性が低下すること、鉛直方向からの力に対して姿勢を保持するために筋による制御が高まり、筋緊張を高めることで脊柱を安定させるため、動作の効率性が低下してしまいます。



2.足関節の固定・バネ
体幹・股関節から発揮された力を地面に伝えることで、地面から反力を得て重心を移動させていきます。

足関節の役割は発揮された力を最大限地面に伝えることであり、足関節の固定性が低下することで、地面に伝わる力が減少してしまいます。

足部は安定性と可動性の両方を担う部位であり、地面の形状や足圧を感知し、足部を柔軟に変化させ、また推進する際には足部の剛性を高め安定性の土台としての役割を果たします。

足部にはアーチ構造があり、足部にかかる負荷を緩衝し(トラス機構)、推進する際には力を伝達する役割(ウインドラス機構)を担うため、動作における力の吸収と発揮を行う上で重要な機能となります。



3.股関節の捉え
股関節には力の伝達・可動性・重心制御、など多くの役割が求められる関節なります。

股関節は力の吸収と発揮を行う関節であり、屈曲局面(力の吸収)において関節に加わるモーメントが大きくなることで筋による制御が必要となることから、静的支持機構および股関節で動作を安定させるためにもスクワット動作の改善が基本となり、重要な動作となります。

また構えの姿勢から動き出すには筋肉を収縮させる必要があります。

収縮させるには弛緩させておく必要があり、姿勢を保つために無理をしている状態では身体にブレーキがかかっている状態であり、身体を動かすには大きな力が必要になります。

そのため構えの姿勢の状態では可能な限り、最小限の力で構える必要があります。


以上のコンセプトを基に関節機能改善方法から、身体機能改善のトレーニング
をご紹介していきます。


以下がパフォーマンスの構成となります。





2.脊柱柔軟性の改善

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