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よもぎ図書だより12

<はじめに>
今回は言葉の奥深さ、可笑しさ、不思議さ、面白さを辞書の編集という物語から知ることのできる物語です。

<注目本>
舟を編む 著者:三浦 しをん
※画像は私が所有しているものを撮影したものです。

<出会い>
珍しく鮮明に何故この書籍を手にしたのか覚えてないです…おそらく自発的に出会ったのではなく、当時話題になっていて気になったので書店で探して購入したのだと思います。
こちらの小説は辞書の編集の話という一点で、全く知らない世界に興味が湧いて手にした記憶があります。
作者の方は他にも多くの作品を生み出しており、耳にしたことのある人も多いとは思いますが、私自身は縁があまりなくこの作品が初めてでした。
辞書の編集という観点から言葉の面白さに触れるのがとても新鮮でした。当時この本に出合うまで、辞書にこれほどまでの編集が必要とも知らず作品を通して辞書の迷宮にのめり込む旅のような感覚にもなり、嗚呼なんて面白いんだろうとしみじみしたのが印象深いです。

<紹介>
先に触れた通り、辞書の刊行に当たってそれに関わる編集者たちの熱く静かな言葉への想いを綴った作品になります。

言葉って簡単に使っているけど、こんなにも難しいんだなと思うと同時に面白いと前のめりになります。
また登場人物たちも魅力ある人たちがいて、その人間模様だったり仕事模様もまたとても心地よいです。読んでいると、頑張る人には必ず手が差し伸べられるようなすごく前向きな気持ちになります。

一生懸命に仕事するって楽しいんだな

なぁんて…

ささくれた心に、もう一度希望をくれるような力がある作品です。
なんだかちょっと疲れたなというときに、そっと手にしてみてほしいです。きっと読み終わったとき、心が少しずつホカホカしてきます。

<小話>
実はこの作品実写映画化されているんです。
映画で作品を知っている方もいるかもしれませんね。
こんな風に記事にするほど…ずっと手元に置いておくほどの作品なのに、映画は観ていないんです…好きな作品ほど映像化は怖くてなかなか一歩が踏み出せないんです…でも機会があれば必ず観てみたいなと思わなくもなかったり…二の足をどうしても踏んでしまうのは、この作品が扱うのは言葉です。
もちろん、登場人物たちの編集作業のやりとりのなかで言葉についての議論がなされているので実写化もそんなに難しくはないのかなとも思えるのですが、文章だからこその粋な表現と言いますか、繊細な表現がこの作品の好きなところでもあるので、映像化となるとどうしても躊躇してしまっています。いつか勇気をだして映画を観れたらいいなぁなんて思います。

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