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助産師って知っていますか?

ご興味を持ってくださり
ありがとうございます。
お母さんを笑顔にするお仕事の人、
子育て専門助産師なとりです。

出産を経験された方なら
一度は聞いたことや
会ったことがあるかもしれない
「助産師」。

どういった資格で
何をする人なのか
意外と知らないという方が
多いのです。

今回は「助産師」って
どんなことをする人なのか
知っていただけたらと思います。


〈私は助産婦でした〉

助産師は、法律では
次のように定義されています。

「助産師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦
若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう。

保健師助産師看護師法 第三条

要するに
妊娠、出産、産後や新生児のケアを
専門とする職業です。

みなさんは看護婦が看護師へと
名称が変わったことを
ご存知でしょうか。

2002年に職業における男女差別をなくすため
法律が改正され
女性は看護婦、男性は看護士とされていたものが
看護師に統一されました。

保健師も同様です。

しかし助産婦は
名称こそ助産師に変わりましたが
法律では以前と変わることなく
「女子」と明記されています。

つまり日本においては
男性が助産師の資格を
得ることはできないのですね。

私が免許を取得した頃は
まだ「助産婦」の名称でした。
助産師に男性はいないのに
名称だけが変わり
違和感があったのを覚えています。

〈「産婆」って知っていますか?〉

助産婦を志した時
特に調べたわけではないのですが、
昔は「お産婆さん」と呼ばれていたことは
知っていました。

「さんば」と読みます。
余談になりますがChatGPTでは
〔さんぼう〕とか〔さんぽ〕と読み、
『出産のスーパーヒーローのような存在』
という回答でした。

「ばあ」「ばば」「ばばあ」
ある業界では「婆」という文字は
差別用語とされているそうですが
私には愛着のある名称です。

〈助産婦は見えない〉

※この章では旧名称を用います。

私は助産婦として
とある総合病院の産婦人科に
就職しました。

その病院では27年前になりますが、
分娩台を畳ベッドに変えて
ビーズクッションなどを使用し
産婦さん主体のアクティブバースを
実践していました。

婦人科もあったため
就職した頃は看護婦もいたのですが、
徐々にスタッフは
助産婦でかためられていきました。

その当時の助産婦の専門誌に
産婦さんからは助産婦は見えていない
という内容の記事がありました。

病院では看護婦も助産婦も
同じ白衣を着ていますので
見た目ではわかりません。
注)助産婦は看護婦の免許も保有しています。

助産婦は正常分娩とされる
いわゆる下からの普通のお産は
医師の指示がなくても
自身の判断でお産の介助ができます。

陣痛まっただ中の産婦さんから
「看護婦さーーん」と呼ばれて
心は反応しても笑顔で応答し、

お産は順調なのに
「先生を呼んでください」と
産婦さんに言われてしまう。

私、助産婦です。
助産婦はここにいます。
歯がゆさを感じずには
いられませんでした。

また昨年には
都内の大学の女子学生が
*「産婆」が読めない
*助産師という職業を知らない
という記事を目にしました。

とどのつまり、助産婦は
産婦さんだけでなく
世の中に認知されてこなかったという
現実が見えてきます。

〈あらためて助産師とは〉

産婆から助産婦、そして助産師へ。
この歴史は
単純な名称の変更だけではありません。

助産師は
生命の誕生から最期の時まで
女性の生涯にかかわる専門職です。

助産師の「師」という漢字は
性別を特定しない敬称であり、
その道のプロであるということを
表しています。

妊娠や出産はもちろん
産前産後や授乳のこと、育児のこと
妊娠前のライフプランの相談
思春期の保健教育や命の授業
更年期、家族計画、不妊・不育
性感染症、月経障害、DV等。

すべての女性に助産師のケアを。
あなたのそばに助産師はいます。
と助産師会は声を上げています。

一人でも多くの女性に
届くことを願います。

〈産婆という特別な名称〉

かつて日本では
自宅出産が行われていました。

江戸時代には産婆が一刻も早く
産婦さんの元へ駆け付けられるよう
大名行列を横切ることさえも
許されていたといいます。

この産婆の名称が第二次世界大戦後
助産婦へと変わります。

自宅出産から病院での出産へ
時代が変わっていきます。

これは
助産婦の手にすべて任されていたお産から、
病院のシステムに管理されたお産へと
移り変わったということでもあるわけです。

お母さんと赤ちゃんの二つの命を預かって
奮闘した産婆の魂に
助産師としての本来の姿を見ているからこそ
「産婆」という名称に
特別な響きを感じるのです。

最期までお読みいただき、ありがとうございました。

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