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需要あり?リストラが始まった時の労組の闘い

Googleはじめ多くのテック企業のレイオフは世界中を震撼させています。多国籍な従業員が多く働くテック企業はまさにマルクスすら見通せなかった労働者の楽園でした。美味しい社食に、ジム完備やインスピレーションを働かせるための娯楽用品まで。そう数年前までは喧伝されていました。あの時の人にタイムマシンでGoogleはメール一つで従業員を解雇すると言われたら信じる人がいるのでしょうか?

なぜテック企業で大規模レイオフが始まったのか?

GAFAMという単語があります。今や最強産業の一つとなったIT業界でその中でも筆頭なのがGoogle、Apple、Facebook(現在Meta)Amazon、Microsoftです。これら5社はこのレイオフが始まる2、3年前はむしろ雇用を大幅に増加させていました。NTTデータの経営陣が自らを自嘲してGoogleの予備校という皮肉を言った報道もされていました。特にGoogleは今回レイオフした12000人に匹敵する人材をここ数年で雇用しています。あるIT業界専門家は今後戦略的な分野にリソースを割き、技術的な分野は外注する方針なのかもしれないと予測を立てていました。レイオフされた人はエンジニアが多いとも報道を見ていると思いましたが果たして新しい技術を次々生み出してテック産業大手となったGoogleがその根っこである技術の分野を会社から切り離すという決断をするのでしょうか?

いいとは思えないGoogle労働組合のスタート

Google日本法人で労働組合が立ち上がった事はテレビでも大きく報道されています。新聞でも扱いが大きくその報道を知る人が増えていますが序盤は完全に会社側が主導権を握っています。忘れてはいけないのですが労働者はどれだけ実績があり、その企業が大手あろうとも基本的に会社の看板を背負って仕事をしており、当然力関係は会社経営陣の方が圧倒的に大きく個人の尊厳を踏み潰すことは造作もないです。生殺与奪の権利は常に経営陣が持っていると言えるでしょう。この発信はどうしてもレイオフを恐れて労働組合を結成したという風に見られてしまい、つまり足元を常に見られながらの交渉となってしまいます。これも大きく報道されたTwitter社の大規模レイオフでどれだけCEOに媚びても、またひどく調子に乗りやすく耳障りのいいことしか聞かないCEOでも一度クビにすると決めたのなら粛々とできてしまいます。そもそもレイオフが始まる前にアメリカを中心とした各国ではGoogle労働組合が結成されていました。少数派でしたがレイオフが始まる前からあったところと始まってから作ったところ会社として交渉しやすいのはどちらでしょうか?

離脱、分裂ありが労働組合というものです

今回Google労働組合は東京管理職ユニオン系列と全労連系列で2つ立ち上がったそうです。様々な事情がおありだと思いますが私はこれが従業員主導というより既存産別主導だと思いました。最初に相談に来た人が管理職ユニオンだったり全労連だったりというわけなのでしょうが従業員の半数の支持を得ていないどころか個別で動いてしまっていることが明らかです。レイオフの危機前にせめて従業員の半数とは言わず3割から4割に迫る賛同を得ていなかったのかという思いもあります。国鉄民営化闘争も結果として労働組合が賛成反対が分かれてしまったからなし崩しに分割民営化となってしまいました。双方の労働組合が緊密に連携していれば救いですが一方はマスコミに大々的な報道で、一方は赤旗で比較的小規模な報道。特にあまり勘繰ってはいけませんが赤旗で最初に報道されたという事は何か政党の関与があったような側面も拭えません。このようなデリケートな問題は疑われたらやりにくくなります。またもし経営陣が退職金を積んだ場合でも一丸となれる体制を整えていますでしょうか?労働組合はあくまで従業員主体であり少数派だと結局支援した既存労組に主導権を握られ続けます。私達が思う危惧が外れていればそれでいいのですが、疑念もあります。

巻き返しには何が必要?

私はICTにはICTということでなるべく支援が手厚く実績もある情報労連に頼って組合づくりが解法に近いと思います。JMITUが本格的に多数派結成に動けばそれでもいいのですが彼らもどこまで本腰を入れた方がいいのか迷っていると思います。数人で労働組合を結成するのはリスクである事は連合であれ全労連であれ共通事項です。本来ならもっと早く動いておけばレイオフが始まった時にありとあらゆる産別が支援できたとは思いますが今からでも多数派獲得を諦めないでほしいです。アメリカでは有無を言わさずシステムから弾かれてそのまま荷物をまとめないといけないという解雇のやり方としては前近代的なものでした。もし本格的に闘争になっても近年情報労連はベルコ争議で勝利した実績もあります。


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