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ふたつの気象


”私の脳髄に一つの像が浮かぶように、空には一つの雲があらわれる。私が息をするように風が吹き、私の心が人生と和解するのに必要な時間だけ、二つの地平線をまたいで虹がかかっている。休暇が過ぎ去っていくように夏が流れていく”

ーある〈此性〉の思い出。

”空にできる雲はぼくの脳の形で、風のそよぎは
ぼくの息だ。水平線にかかった虹は、ぼくが人生と和解するのに必要なだけじっとしていてくれるし、夏は長い休暇のように悠然と過ぎていく”

ー広げられた心

トゥルニエ『メテオール』の一節。
断然、一つ目がかっこいい。と思うけど、「ぼく」が日記を書いている風も悪くない気がしてくる。

前者は、『ミルプラトー』の「一七三〇年ー強度になること、動物になること、知覚しえぬものになること……」(第10プラトー)での言及箇所。
久しぶりに開いた時に小さな紙切れに書き取っていて、今日それがまた偶々出てきた。

後者が、『メテオール』のなかの訳。

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