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その54)ベーシックインカム時代の旅行

ベーシックインカム時代になっても富裕層は旅行に困ることはなさそうだ。株や債券で資産形成ができている人々も、遊興費に当てられるほどの配当があれば問題ない。では、ベーシックインカムのみで生活する人の旅行はどんな感じだろう。

ベーシックインカムのみで生活する小林家は4世代8人家族で住んでいる。いちばん高齢は95歳の祖父母だが、足腰もあまり弱っておらず、まだ自転車に乗れる体力もあるほど元気だ。医療の進歩や環境の改善、健康づくりの複合的な要員でここまでの健康状態を維持している。100歳以上の人口も既に50万人を超えていた。その子供は70代、孫は40代、ひ孫は高校生になった。

楽しみは年に1回の家族旅行だ。ベーシックインカムは一人暮らしよりも同居生活のほうが色々と融通がきくので、旅行用の積立ができる。1年もあれば家族全員で数日間の国内旅行くらいならやりくりが可能だ。家族がなく、同じくらいの年ごろで同居していたり、趣味で集ったグループホームぐらしの人も同じような積立をしている。

旅行会社もそれをあてにして様々なパックを用意している。多くはAIが手配してくれるため、面倒は少なく安価な旅行が可能になっている。現地のガイドもスマートフォンがナビゲートしてくれるので安心だ。積立の額に応じて色々とチョイスできる。プロ野球やコンサートなどの観戦旅行や名所旧跡&温泉などが人気だ。ここは今も昔も変わらない。

ひ孫はこの夏、野球部が地方の予選で優勝して、甲子園に行くことになった。昔はマスメディアが主催していたが、今は自治体と大企業、個人の寄付で運営されている。遠征費は昔は都道府県で負担額が異なっていたが、それだと貧乏な自治体は参加できなくなってしまう。そこでスポーツ共済が発達して、全国の球児が同じ負担で参加できるようになった。これは他のスポーツも同じである。

旅行くじもある。主に一人暮らしの人がこのくじを買う。当たれば、買ったくじの100倍くらいの予算で旅行ができる。政府の補助もあり、当選確率が100分の1くらいなので、1000円買って当選し、10万円くらいの旅行をする感じらしい。

若い世代は体力があるので、ベーシックインカムを利用した一人旅が流行っていた。生体認証によるデジタルマネーは強盗や盗難に遭いにくいし、移動手段も自転車か電動バイクだ。電動バイクは充電代が必要になるが、各地で費用を寄付してもらったりして動く。寝袋さえあれば、移動していても収入があるので、長距離移動がしやすい。需要に応えて宿泊設備も整備されていく。1日100〜200kmを移動する。行った先でボランティアをすればその土地の地域通貨も手に入る。それを旅のスタンプ代わりに全国を旅するのだ。

CBDCのネットワークに加盟している国なら、同じ調子で海外も旅行できる。海外の自由度も年々上がってきている。

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