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その33)バーターになりそうな制度など

ベーシックインカムになると多くの制度が代わりに廃止になる可能性が示唆されています。ただ、いきなり廃止すると不具合も発生するので、段階的に廃止になると思われます。いくつか考えられることをあげていきます。

医療制度は医療水準は上がりますが、医療従事者が減っていくので延命治療から緩和ケアや尊厳死の方法に向かうと予想されています。延命治療は人生最後の1ヶ月でその9割以上を支払っていると言われほど最も医療費が高い分野です。しかし、未来では介護を受けながら寿命を全うしようとか、尊厳死も認めようという方向に動きます。すでにヨーロッパではその流れにあるようです。そうなれば、医療費は大幅に削減することができます。医療負担は不要な受診を防ぐための負担率が設定されると思います。日本は医師会の力が強いそうなので、どうなるかは不明ですが・・・。

ベーシックインカムはタイムリッチを誘引しますのでコモンズ(共有地・共有機会)が発達し、介護、保育、冠婚葬祭などは所属するコミュニテイに頼ることになり、コモンズで十分とされた社会サービスやサービス業は規模が縮小していくでしょう。

出産や教育などはもともとお金がかかる分野ですが、こちらはベーシックインカムとは別に無償で受けられるようになる可能性が高いです。

失業保険は、賃金労働をしなくても生きていけるようになったらなくなるのではないでしょうか。

生活保護はベーシックインカムに移行する前は失業者が急増するため、導入直前まで活性化すると思います。職員が大幅に増やされますが、審査や受給者の管理にかかる費用が批判の的となり、ベーシックインカムに移行して制度廃止になる可能性が高いです。

年金はいろいろな種類がありますが、国民年金部分が差し替わる可能性が高いと考えられます。すべての雇用はすぐに無くなることはありませんし、自営業も収益がある限りは何らかの共済や年金制度に加入していると思われます。

法人税は上げると景気が悪くなると信じられているので、ベーシックインカムの財源になるのは考えにくいです。バーターにかけられるのは所得税と考えられます。源泉徴収、年末調整、確定申告で調整されて、雇用継続していれば家計は変わらないけれども、失業してもなんとか食べては行けるというふうにはなるでしょう。ただ、社会背景を考えても解雇しやすくなるということになるので、雇用の職場で働き続けるのは大変かもしれません。

家のローンがある人は解雇になれば、再雇用の見込みもなく払えなくなる可能性が高いので政府による何らかの救済措置は考えられる可能性はあります。手放さざるを得なくなる状況はきついですね。

ベーシックインカムの財源になりそうなものに株式があります。どのようになるかは不明ですが、資本主義経済によって投資されたお金が生み出す利益は、全世界の労働者が働いて稼ぐ金額を超えているそうです。それは全ての人類が生きていくためのお金は十分にあるということでもあります。AIやロボットが人の代わりに働くなら、その分を財源として提供するのは可能でしょう。

こうして予想してみると、ベーシックインカムに移行すると、さらに多くの人が失職することが予想されます。どんなにソフト・ランディングしようとしても、かなりの混乱が起きるのではないでしょうか。移行期はいろいろな我慢を強いられると思います。

次回は、ベーシックインカム社会での宗教やセミナーについて考えていこうと思います。

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