見出し画像

美味しすぎない「ざる中華」

本当は豚のリエットをパンに挟んだような、洒落たランチをする予定だった。でも、いつもと趣向を変えて市バスになんて乗ってしまったのが悪かった。仙台の街は路上駐車が多い。このままでは、予定より20分ほど遅れた到着になる。

そもそも、今日のメインはノルウェーの映画を観ることなのだ。だから13:15には映画館に辿り着きたい。気取ったランチなんてものは、大抵配膳が遅いだろう。調理の後に、洒落を生み出す作業が待ち受けているからだ。

うん、もう諦めることにする。ただし、映画の途中で腹が鳴るのも宜しくないので、そこの店で蕎麦でも食べることにしよう。そうしよう。

赤ペンで記すということはそういうことだ

どうにも暑いので、蕎麦屋で冷やし中華でも頼もうか。映画の途中で腹が空かなければいいのだ。

と、メニューに見つけた、とある品に目が止まる。

「冷麺類」という見出しが心憎い

ざる蕎麦のように中華麺を食べる。

特段変わり映えのする食べ物ではないのだが、この「ざる中華」という食べ物は東北のローカルフードなのだそうだ。折角だ。特に美味い食べ物でもないのだが、腹を満たすためだけのランチなのだから丁度いい。

つまりは黄色いざる蕎麦だ

当然、洒落たランチではないので提供も早い。盛られた中華麺を蕎麦つゆに漬けて食べる。わさびが添えられている辺りは、知らない人には驚いてもらえるのかもしれない。

ただ、味に関しては驚きはない。不味くなりようが無いかわりに、驚くほど美味しいなんて事態にもなり得ない。安定の味。どこで食べてもそれなりだから、時間と土地を飛び越えて、ノスタルジーに浸ることもできるのだ。

飛び交う「お土産」というワード

そうそう、この店は「揚次(あげじ)」と言う。その名の通り、揚げものが美味いのだろうか。周りを気にして見ると、コロッケをお土産に購入する客が散見される。

ざる蕎麦のこの量では、映画の途中で腹が鳴りそうだ。コロッケを購入して帰ることにしよう。

揚げもののテイクアウトもできる
思ったよりも大きなコロッケ

映画館に向かう道中でコロッケを食べ歩く。ソースなんて掛かっていない。厚みのあるコロッケをかじると、さつまいもと混乱するほどに甘い。衣はすでに萎びており、揚げたてとは程遠い冷たさだ。

それなのに食べる手が止まらないのは、一体どう言うことなのだろうか。そう言えばメニューに「コロッケ丼」なるものを見かけた。この甘いコロッケが玉子とじにでもされているのだろうか。それともソースカツ丼よろしく、ビダビダとウスターソースでも掛けられているのだろうか。

この甘いコロッケにご飯は合わなそうだな。とニヤニヤ笑って映画館に向かう。今日はヨアキム・トリアー監督作品の「私は最悪。」を観る。なんてタイトルだとニヤニヤする。


この記事が参加している募集

夏の思い出

サポートいただいたお金で絶妙なお店にランチにいきます。