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3人の女性と残されたマカロンの謎

あれはどこのアフタヌーンティーだったか。
斜向はすむかいの席に居た3人女性のお話。

私と同行者が席に案内された時には、彼女たちの前には既にティースタンドが提供されていた。
私もアフタヌーンティーを予約していたので「あ、あのティースタンドが来るんだな」と確認し、その後は気にもしなかった。

その日、レストランは満席でスタッフさんは忙しくしていた。
私達が食べ終えて帰る時、ふと、まだ片付けられていない彼女たちの席が視界に入った。

空になった食器と、ティースタンド。
その中に1つだけ、提供されたままの形で残されたマカロン。

マカロンは、ティースタンドの上段にクリームで固定されて立たされていた。
1人だけ、マカロンを食べなかった。

このミステリー、私ならどうシナリオにするだろう。
私の中の杉下右京やコナンや久能整が囁き出す。

※この時点で筆者はゲーム開発モード&シナリオ執筆モードに入っている為、
「真実はどうでもよく」なっています。
整君の言葉を借りるなら事実は1つだけど真実は人の数だけあるものなので。
事実はマカロンが1つ残ったということ。真実は彼女ら3名の中に各々あるということ。

《妄想開始》

おそらく1人は、マカロンが嫌いかあるいはアーモンドアレルギーと考えられる。
マカロン以外の食事に、ナッツは入っていただろうか?

このお店のメニューを具体的に書いちゃうと何処のヌンティだったかバレちゃうのでフェイク入れていきますよ。
ここまでは実話だったけど、この先の特にお料理は創作です。

下段のセイボリーは、
・胡瓜が入ったツナサンド
・ピクルスサラダ
・鮭とほうれん草のキッシュ
・生ハムにオリーブオイル
この中にアーモンドやナッツの含まれていそうなものはない。
正直なところ、スコーンがなかったことにガッカリしていた。

上段のスイーツは、
・いちごのミルフィーユ(一口サイズ)
・ガトーショコラ(一口サイズ)
・カスタードのプティシュー
・そしてマカロン
ガトーショコラはどっしり系で喉に詰まるタイプだった。生クリームを乗せて欲しい。アーモンドが使われている気配はない。

全8品はどれも一口サイズで、ランチとしては物足りない。間食ならば丁度良い位か。満腹で残したというのは考えにくい。

やはりマカロン1つだけを残した理由はアーモンドアレルギーではないだろうか。矛盾は無いように思える。

ならば、次の謎だ。

モチロン残ったマカロンである。


なぜ、同席者の2人は残ったマカロンを食べなかったのか?

ということだ。

もし、料理の中に私が食べられないもの─例えば蕎麦粉を使ったガレット─があったならば、同行者が食べただろう。
ヌンティで提供される一口サイズならペロリと食べてくれる。

実際、いつかのヌンティで満腹の母が食べられなかったスコーンは私が食べた。
スコーンはお腹で膨らむが無事に食べることができた。マカロンならば2つ3つ余裕である。ヌンティのマカロンってミニサイズな事多いし.ここのも小さかったし。

考えられることは、4つだ。

①ギリギリまで本人が食べる可能性があった
②牽制し合った
③それほど仲の良い関係でない
④虫が止まったなどの衛生面の問題


①ギリギリまで本人が食べる可能性があった

本人の口から「マカロンが嫌い」あるいは「アレルギーで食べられない」という情報がなく、最後まで「残すとは思わなかった」という仮説。
同席者たちも「食べないんだ…」と思っていたパターン。

同席者との関係性(後に考察)にもよるが、人の好みやアレルギーなどを知らなければ代わりに食べてあげるという発想にはならない。
むしろ、「好きだから最後に取っておいてるのかな?」と思っていたかもしれない。

ただ、これは少し難しい。
後出しの情報になるが、彼女たちはティースタンドがほぼ空になってから30分はおしゃべりをしていた。

なにせマカロンはティースタンドの上段で目線とほぼ同じ高さにある。
その30分間に「食べないの?」と話題が出ないというのは考えにくいだろう。


②牽制し合った

マカロン1つに対して同席者は2人。
どちらが食べるか、どちらに薦めるか、非常に難しい問題である。

本人からも代わりに食べて欲しいと言い出せず、同席者2人も「食べようか?」と言い出せなかったという仮説。
結果、誰も食べないという公平性をとったというパターン。

…なくはない。が、SDGs的にもお食事のマナー的にも誰か食べちゃいなよ。とは思う。外野の勝手な感想だけども。

③それほど仲の良い関係でない

食べられない物があったとしても、代わりに食べてあげる程の関係性ではないというパターン。

そんな間柄が一緒にヌンティ楽しむことがあんのか?とは思うが、
「今日が初めてのOFF会」と仮定したらどうだろうか。

同じ趣味の仲間でネット上では知り合い。だが、顔を見るのは初めて。各々が遠方からオシャレして集まる。その場にヌンティを選ぶのは有りだろう。

これならば、趣味の話で盛り上がることはあっても、人の分まで食べてあげる関係性でないのも頷ける。

ただ、私がこれまでお会いしたネット上の親愛なる友らは、私が避けたトマトを何も言わずサラッと食べてくれたけれども。

あるいは勤め先の同僚だが、まだそれほど親しくない関係。
これから先長い付き合いになるので、親睦を深めたい。「だから余計なことは言わないでおこう。坂波を立てないでおこう」といった具合の。

結果、食べられないことも言い出せず、食べないならちょうだいとも言い出せず、ぬるっとしたまま食事を終了したパターンはどうだろうか。かなりありそうなシチュエーションではないだろうか?

しかし、休日の昼間、予約必須のヌンティである。わざわざ会社の人と予定を合わせて会うだろうか?
出社日だったとしても、昼休憩の1時間でヌンティは無理があるし。


④虫が止まったなどの衛生面の問題

…スタッフさんに「虫止まってました」って言うよね。普通にね。

でも、だ。
先述のとおりこの日は満席で混んでいた。ドリンクも中々提供されない程だった。

そんな中、1人がアレルギーだとしたら。
わざわざ料理を交換せずとも「食べない」という方法で処理した可能性もあるだろう。

ただ、これもやはり不自然だ。先述の通り、マカロンは提供されたままの姿だった。
ティースタンドの上段のマカロンである。常に視界に入ってくるのだ。
虫が止まった、あるいは落としたなどの"不衛生な状態"ならば、わざわざ目の高さに置かず他の皿に避けたり下げたりするだろう。
そう言うことを全く気にしない豪胆な3人ならば別だが。

*****

マカロンひとつでこんなにも妄想は膨らむ。
彼女らの真実はもう知り得ないが、私なりのマルチエンドを楽しむことはできる。
今回思い至らなかった新しいシナリオがまだあるかもしれない。

世界は物語に溢れている。


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