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家事とアニメの「ながら見」


最近、家事をしながらアニメを観ている。

もともと私はゲームが好きで、アニメや漫画といったエンタメも特に苦手とかではなかったのだが、なんとなく、モニターの前に座って30分ただ集中するのに抵抗があるな、とか、いまはアニメを観るコンディションじゃないな、とか、なにかと理由をつけて視聴することを避けていた。
(ニチアサだけは例外で、リアタイという強制力のおかげでなんとか観られている。深夜アニメだと諸々の理由で私にはリアタイは難しいのだ)

通販部分などに特典のあるAmazon Primeはともかく、dアニメストアに関しては完全に持て余していたので、思い切って8月に解約したものの。
どうせならPrime Videoで見放題のものを少しずつ消化していければいいのではないか。
一生観れない観れないと言っているくらいなら、多少内容が抜けようとも、家事の合間に観賞するのもアリなのではないか。

そう思い、趣味で料理をしている合間や、食事の時間にタブレットをキッチンに持ってきてアニメを観始めた。

8月から続くこの習慣の結果、3ヶ月で8クールぶんものアニメを観た。
これは私の中ではけっこうな快挙だ。
なにせ、今年に入ってから8月までに1クール完走したアニメは1作品あるかどうかなのだから。

さて、10月もそろそろ終わりというアニメ放送時期としては半端なタイミングだが、今回私が観たアニメを少し振り返ってみようと思う。
本稿は振り返り記事でもあるのだ。

(以下、観賞順に記載)

こみっくがーるず

「きらら枠」という単語に聞き覚えはあるだろうか。
本作『こみっくがーるず』は芳文社の『まんがタイムきらら』系列誌で連載されているコミックスが原作の作品だ。

漫画家(ひとりは駆け出し)の少女たちが寮というひとつ屋根の下で生活する、というストーリーなのだが、原作者のはんざわかおり先生は実際に女子高生の頃に漫画家として連載を持っていたという経歴の持ち主(!)。

しかしながら、漫画家という職業のリアリティやシビアさというよりかは、漫画家として奮闘する少女たちを情感豊かに、コミカルに描いている。
もちろんただ楽しいだけの部分だけでなく、ネームを持ち込んではボツをくらってしまう主人公のかおす先生を始めとして、全体を通して漫画に対して真摯な印象を受ける、手堅くまとまった良作だと感じた。


スーパーカブ

天涯孤独で、お金も趣味もなければ、友達もいない”ないないの女の子”子熊は、原付バイクである「スーパーカブ」とカブを愛する女子高生、礼子と出会う。
ただ漫然と単調な毎日を過ごしていた子熊の生活は、カブと、礼子と出会ったことで少しずつ変わり始める。

全体を通して淡めの色彩で描かれる本作だが、スーパーカブと出会って子熊の心情や生活の変化が鮮やかに描かれているのが印象的だった(子熊がカブに乗ると景色が色づくのがすごく特徴的)。

気に入ったシーンとして、冬を越えるため、アブラッシヴウールという素材を使った服を手に入れるチャンスが来たときの「面倒なのは信頼できます」という子熊の言葉がすごく良かった。
私事で恐縮だし主旨とも異なる話かもしれないが、私は料理などの特定の趣味においては案外面倒というのが嫌いではない。手間暇かける瞬間まで含めて楽しいからだ。
そういった心意気を子熊のフレーズからも感じ取れて、なんとなく頷きたくなってしまった。


NEW GAME!

(1期、2期続けて視聴)

きらら枠ふたたび。ゲーム会社の新入社員、涼風青葉の仕事風景を絡めた日常を描いた作品。
原作の1シーンである「今日も一日がんばるぞい!」というコマをTwitterなどで見かけたことがある、という方もいるのではないだろうか。

女の子が集まってわちゃわちゃしているように見えても、彼女たちは会社の社員としての仕事や、大人としての責任がある。
先ほどの『こみっくがーるず』の項でも軽く触れたが、”楽しいだけじゃない”、”かわいいだけじゃない”、というのは個人的には昨今の作品のトレンドであるように思う。

そして、本作『NEW GAME!』(特に2期)はそのロールモデルだと感じた。
主人公である青葉が自身の実力と理想の間で苦悩する姿や、それに端を発する上司との衝突、やや癖のある後輩の登場といった、ともすれば生々しさすら感じられる仕事の情景がそこにある。

しかし、彼女たちはそれでも、それぞれの想いを胸にゲームを創り続けるのだ。

個人的にはゆんがお気に入り。一見してちょっぴりパワフルなように見えて繊細な一面も覗かせるギャップが関西弁に乗って出てくるのがたまらない。
ねねっちも好き。少し子供っぽく、ともすればトラブルメーカーのような印象すら受ける彼女だが、社会人となった青葉やうみこさんとの交流を経て成長した姿は少し感慨深い。


小林さんちのメイドラゴン

(1期、2期続けて視聴)

ドラゴンの少女トールとひょんなことからトールを助け好意を寄せられる会社員の女性、小林、そして愉快なドラゴンの仲間たちの日常を描いた作品。

ドラゴンという人類を超越した存在を踏まえた「異種族との共存」というテーマの日常への落とし込みが抜群にうまく、小道具や細かい演出なども相まってとにかくアニメとしての満足度が高い。
今回の記事の中では一番好きだったアニメ。

人間どころかドラゴンとしても相当なハイスペックながらも、というかそれゆえに小林を振り回すトールを始めとして個性豊かなドラゴンが人間たちを巻き込んでドッタンバッタン。

しかし、先述した「異種族との共存」を始めに真面目なトーンで考えさせられるようなエピソードもちょくちょくあり、かと思えばハチャメチャに楽しい回もあったりとさながらジェットコースター(!)のようで観ている人を飽きさせない工夫が垣間見える。

明確に対話が可能な異種族との共存は現行の人類にとっては確かに遠い未来の話かもしれないが、たとえば同じ人間同士の共存だって一筋縄ではいかないものだ。
私は必ずしも教訓を得るためにアニメを観るわけではないが、本作を観ていて考えさせられることは多い。

だが、いまは小難しい話をしたいのではなく、結論はシンプルだ。
トールが全身を使って小林への愛情を表現するように、「大好きな人の隣にいられれば幸せなのだ」

ちなみに本作のお気に入りはイルル。作者曰く「見た目も心もアンバランスなキャラ造形を目指したら結果的にいちばんバランスの取れたキャラになってしまった(意訳)」とのことだが、まさにそんな感じがする。いろいろと末永く爆発してほしい。


ゆるキャン△

(1期、2期続けて視聴)

キャンプを通した少女たちのSNS時代の交流や日常を描いた作品。
(本作ももともときらら発の連載だったが、厳密には今はきららコミックスではない……が、そんなことは今は置いておこう)

1期は放送当時にも観た覚えはあるのだが、内容のほとんどの記憶が散逸していたので2期の放映を追う形で1期から観直した。

本作を観ていて興味深いのは台詞回しだろうか。
うまく言語化しにくいのだが、なでしこやリンを始めとした登場人物のネットスラングを交えたセリフになんとなく親近感のようなものを感じてしまう。
さらに下の名前やあだ名を用い始めるまでのコミュニケーションの自然な質感もなんというか、ほかではなかなか見られない味がある……気がする。

本作ではLINEのようなSNSでのやり取りが頻繁に挟まるのが印象的で、SNSを軸としたコミュニケーションはなくてはならないものとなりつつある現代の生活観からも共感を得やすいのではないだろうか。

合間に挿入されるキャンプ知識やなでしこたちの作るキャンプごはんなど、何かとアウトドアの意欲をそそられるアニメ。
個人的には料理の部分がすごく気になる。おいしそうにご飯を頬張るなでしこを見ていると、外で食べなくともできる範囲でレシピを再現してみようかなどと考えてしまった。


おわりに


以上5作品、8クールぶんのアニメを3ヶ月で視聴したことになる。
私は基本的に家事や料理の合間、ご飯を食べている時間に視聴していたが、楽しいアニメを観ていると家事をするのもなんとなく楽しみになって良い傾向であるように思った。

ひとつ注意していたのは、なるべく頭の使わない作品……といったら語弊があるかもしれないが、最悪音声だけ聞いていても特に問題にならなさそうな作品をチョイスしている(どうしても火を使った料理をつくる上でずっと画面を凝視しているわけにもいかないのだ)。
『スーパーカブ』のように視覚的な演出が印象的なアニメで製作者の意図を少しばかり取りこぼしてしまっているのかもしれない、と思うことももちろんあるにはあるのだが、なんとなく眺めていても楽しかったり、だいたいの話の流れを把握できそうなものを選んで視聴した。

ミステリもののような作品は今現在の私の視聴スタイルには適さないと思っているが、今後観たい作品リストにSFやミステリーといったジャンルのものもあるので、そういった作品もある程度積極的に視聴しやすくなるような環境が構築できればと思う。

なんにせよ、久しぶりにアニメを観るのは楽しかった!
サブスクで視聴のハードルが下がったのは良いことだ。


それでは今回はこのあたりで。

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