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ミラグロス・マルティネス・ドミンゲス氏(鈴鹿ポイントゲッターズ 監督)インタビュー

日本のJ1〜3とJFLを含む日本のトップリーグで、女性として初めて監督になったミラグロス・マルティネス・ドミンゲス(以下ミラさん)に、日本での経験や思い出のお話を聞く機会をいただきました。

聞き手は@kaneko_lafresa です。

インタビューはZoomで行われました。

ラフレサクラブのメンバーとミラさんのZoom交流会を以下の日時で開催します。

2022年2月14日(月)22:00〜23:00(日本時間)

是非ラフレサ公式ラインからお申し込みください。

スペインでプロライセンスを持つ彼女ですが、スペインで長く在籍したフンダシオン・アルバセテを2018年に離れ、アトレティコ・トメロッソで監督と1シーズン目を戦っていた2019年1月に、鈴鹿ポイントゲッターズからのオファーを受け来日しました。

言葉も文化も違う国での挑戦。社会だけでなく違うサッカーへの対応も大変だったと思います。彼女の第一言語はスペイン語ですが、日本に多くいるミラさんファンに彼女の言葉や想いを直接聞いていただくために、当日は英語でのインタビューを行いました。


未知の国、日本での挑戦

ー 今日は英語で話しましょう。日本はスペイン語を理解する人も多いですが、英語の方がより多くの人がミラさんの生の声を直接理解できるからです。日本語では出来ないですけど、英語で話す方が沢山の人に直接届くと思います。
みんな理解してくれると嬉しいです。

ー ミラさんの英語はすごいお上手ですよ!さっそく最初の質問ですが、
日本でのオンとオフ・ザ・ピッチでカルチャーショックはありましたか?
日本に着いた後のフィールド上でのショックは選手のクオリティーでした。欧州の選手と遜色なかったのです。ネガティブな点はプレー中の意思決定がよくなかった点です。例えばフォワードが1vs1になった時に間違ったプレーの選択をしていました。カウンターアタックで数的優位の3vs2、4vs3などの時にこの状況を有効にものにする方法を知りませんでした。

オフ・ザ・ピッチでは女性専用車両が一番のショックでした。東京で初めてこの電車を見ました。車両はピンクでしたが、通訳に「このピンクの車両はなんですか?」と聞いたら、彼が説明してくれました。私はとても驚きました。でも、それが日本の文化ですね。

日本人のリスペクト精神、日本にあるお寺はとても素晴らしかったです。

ー ミラさんがその電車に乗っていたら女性専用車両に乗りますか?

普通車両に乗ると思います。

社会だけでなく、サッカーも違う?

ー 日本に行く前に日本について知っていたことはなんですか?サッカーに関して、それ以外でありますか?
サッカー以外では日本の食べ物です。スペインで日本人選手を指導したことがあったのです。彼女らがカレーやトンテキ丼も作ってくれました。なので日本の食事は知っていました。

日本では英語が通じると思っていました。でも鈴鹿ではそれが不可能でした。東京や大阪は英語は通じましたが、鈴鹿ではとても難しかったです。

ー 日本に来る前に日本人で知っている選手はいましたか?
何人かは選手を知っていました。女子サッカーでは熊谷選手。
堂園彩乃選手。彼女はテネリフェ、バダホス、マラガでプレーしていました。最初の2クラブは1部で、マラガは2部でした。
そしてアーセナルの岩渕選手です。

男子ではエイバルにいた乾選手。ヘタフェにいた柴崎選手。サラゴザにいた香川選手です。あと、本田選手はヨーロッパで有名です。たぶんロシアでプレーしましたね。これらの選手は日本に行く前に知っていました。

ー 日本国内でプレーしている選手は知っていましたか?
来日前ではないですが、去年テレビで観た。。。
(名前なんだったけかな。。。)
川崎フロンターレの若い選手です。去年とても有名だった選手です。

ー 三笘選手?
はい!そうです!私が去年見たなかで彼はベストの選手です。その前はリバプールの南野選手がよかったです。私が一番好きな日本人選手でした。

女子サッカーでは長谷川 唯選手です。当時は日テレ・ベレーザに在籍していたと思います。彼女はACミランでプレーした後にウエスト・ハムに移籍していますね。

男女でのコーチングの違いは?

ー 日本人選手のことはよく知っていたんですね!スペインでは主に女性のチームを指導されましたが、日本では男性のチームの監督でした。男女でコーチングに違いはありましたか?
男女で一番違うのはコンディション作りの準備だと思います。その他は大きな違いはないと思います。戦術レベルは一緒ですし、チームコンセプトも男女で一緒でした。男女でそれほど違いはないと思います。

ー 日本では言葉の壁がありましたが、男女のチームで、選手とのコミュニケーションの取り方の違いはありましたか?
もしかしたら女性の方が戦術的理解が早いかもしれないと思っていましたが、日本では言葉の壁があり、男性の選手には全て伝えたいことが届いていなかったかもしれません。

ー 日本とスペインのサッカーに違いはありましたか?
私が気付いた1番の違いは、若い頃からの選手の育成です。例えばスベインでは7、8歳で戦術の練習を開始します。ポジショニングだったり、ボール有り無しでのグループで連携した動き、スペインではバスクラシオン(守備のスライド)と言います。プレス、カウンターアタック、スペースの見つけ方、ゲームのコントロールの仕方なと、スペインでは指導者が選手に考えさせ、自分でプレーの決断をすることを求めます。選手に全ての答えを与えてはいけません。日本とスペインでは、選手のプレー中での意思決定の能力に違いがあると思いました。

その他の違いは、日本では選手とコーチの間にリスペクトがあると感じました。これは大変素晴らしい日本の特徴で、スペインで行うことは非常に難しいです。

ー プレー中の意思決定の能力については、「大人の鈴鹿の選手が若いころに指導者から教えてもらわなかった」という現象が見えましたか?
そうですね。私の鈴鹿での練習は全ての「プレー中の意思決定の能力」を高める要素が入っていました。ビデオを撮って説明したり、ホワイトボードも活用しました。私の2シーズン目は、選手に私のコンセプトがより浸透して素晴らしいシーズンになったと思います。

ー 日本のある記事で、ミラさんが1シーズン目は戦術の浸透に時間がかかって大変だったが、2シーズン目は良くなったという内容を見ました。
そうですね。実は2、3シーズン目は約35名の選手が在籍していたんです。それはクレイジーでした(笑)。ヨーロッパではないことです。このような大勢の選手をマネージメントするのは、私にとって問題でした。

イニエスタ選手と日本

ー 天皇杯でイニエスタ選手が在籍するヴィッセル神戸との対戦がありました。彼は以前ミラさんが在籍していたスベインのクラブの出身のようですが、その後オンラインでも話をされてましたね。どのような気持ちでしたか?
想像できますか(笑)。おそらく日本で一番の思い出の一つです。アメージングです。神戸のスタジアムでアンドレス(イニエスタ)やセルジ(サンペル)と話したり、試合も公式戦で特別でしたし。スペインからもインタビュー、電話、新聞、デジタルメディア、インスタグラムなどで反響がありました。クレイジーでした(笑)。

ー すごく興味があるのですが、イニエスタ選手がバルセロナから神戸に移籍して、日本のサッカーに多大な貢献しています。スペインの方々はこの彼の行動やプレーに関して、どのように思っているのでしょうか?
イニエスタ選手が日本へ行った後に、スペインの多くの人が日本のサッカーに興味を持つようになりました。タケ(久保)やアベ(バルサB)のことも知ることになります。確かではないですが、今スペインで5名ほどトップレベルでプレーしています。彼らのこともあり、スペインで日本の文化やサッカーに興味がでていると思います。

ー イニエスタ選手と共に、ミラさんの貢献も同じくらいあると思います。日本のメディアでもミラさんのことが好意的に紹介されています。イニエスタ選手とミラさんの貢献度は同じくらいだと思います。
私はサッカーを愛していますし、日本で仕事ができたことは掛け替えのない時間です。

日本食が大好き

ー 先ほど日本食の話がありましたが、ミラさんの日本食トップ3は何でしょうか?
選ぶのが難しいですね。。(笑)日本で食事に困ることはありませんでした。天ぷら、ラーメン、寿司、カレー、トンテキ丼でしょうか?

ー 1位は天ぷらですか?
んー、天ぷら。。またはラーメンですね。

ー どのラーメンが好きですか?醤油、塩、味噌、豚骨などありますが。
味噌はノーでした(笑)。
実は日本で寿司を作るのを学びましたので、今スペインで友人などとのパーティーで寿司を作ることがあります。

ー 今はスペインで寿司シェフなんですね。
ハハ、そうですね(笑)

心は鈴鹿ポイントゲッターズに?

ー 今シーズンから三浦知良選手が鈴鹿に移籍しましたが、もしまだ鈴鹿の監督だったら凄いことですね。
カズさんのお兄さんが鈴鹿の監督ですので、鈴鹿に加入したということもあると思います。カズ選手には健闘を祈りたいですし、鈴鹿にはJ3に昇格してほしいと思っています。可能であればスペインからも試合を観たいです。


インタビューを終えて

ミラさんは日本のメディアで紹介されているように非常に人間味があり、尚且つメール返信の速さやZoom開始5分前に入るなど、日本の皆さんに愛された理由がすぐに分かりました。

日本での思い出や苦労、スペインとの比較、その他色々聞いてみましたが、どんな質問にも躊躇なく答えていただき、初対面にも関わらず、いちファンとなりました。

終始笑顔のミラさん

ラフレサが出来ること

2022年に開始したラフレサクラブを通じて、世界のスポーツ業界の方々と接する機会を設けております。ぜひ公式ラインからご参加ください。

近日ミラさんとのZoomセッションも企画予定です。

お陰様で、創業から海外渡航団体様が80を超えました。
チームの海外遠征ではJリーグアカデミー、選抜チーム、アマチュアクラブなどがご参加いただき、年代は小学生から大学生までご利用いただいております。海外研修では世界の有名チームなどと協力して、研修内容をご提案させていただいております。

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