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朋あり遠方より来る。亦、楽しからずや。

彼はいろんな人から、アイツときたらさ、とおかしなエピソードを話されてしまう愛されっ子だ。
何年かぶりに、いま近くにいると連絡がきた。昔、よくご飯を食べたりお酒を飲んだりしていたのだが、ある日、さらっとドイツを出た。外国に暮らす人間というのは行動範囲が広いので、どこにいくかわからないようなところがある。数年前、日本に行ったところが彼の最終アップデートだった。

 憎めない野郎の顔を拝みに行こうじゃないの、と待ち合わせに向かった。久しぶりにあったはずなのにあまり変わらない。彼は無邪気に毒っぽいことをいうのに、ひとなつっこい。ホットワインを飲んでからショッピングをして、私のアパートでウイスキーを飲んだ。

別れてもまた会える人もいれば、 また会うつもりで別れたのに、二度と会えない人もいる。そういえばこのウイスキーくれた人にはもう会わないだろうな、と感傷的な気持ちでいたら、なんだこれ、美味いな、と言いながら遠慮なく酒を煽る彼には、妙な親しみを感じた。彼にまた会えてよかった。楽しい気分になったから。

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