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側弯症の手術を終えました

2024/02/14
世の中が 親愛とチョコレートに溢れていた日
私は病室でゆっくりと落ちる点滴を眺めていた。

1ヶ月前に遡る。
私は手術や術後に対する不安に駆られて
家族宛ての手紙を書いた方がいいのか
部屋を片付けておいた方がいいのか
まるで死に向かうような気持ちでいっぱいだった。
しかし手術を目前とした入院前日
コロナを発症してしまい、
私の不安と覚悟を他所に 手術は延期になった。

それから1ヶ月。
再び手術の日を迎えた私は
自分でも驚く程に落ち着いていた。

この1ヶ月間に考えていたことは
次は絶対に体調を崩さないことだけだった。
手術への不安はいつの間にか通り過ぎていた。
起きてもいないことに不安になって考え込んでも
何も変わらないことを知った。

点滴を眺めながら、術後に行きたい場所、
食べたいもの、将来やってみたいこと、
思いつく限りたくさんメモにとり 準備万端だった。
私の心はすでに未来へ向かっていた。

14:20
手術室へ向かう時間になった。
ドラマでよく見かけるような手術台で運ばれる、
ではなく、徒歩で手術室に案内された。
案内されている間、看護師さんに
「やっぱり緊張しますか?」
なんて聞かれたが、正直よく分からなかった。
めちゃくちゃどきどきする…みたいな感覚はなく、
「いや、意外と落ち着いてます。」と答えておいた。

手術室の裏はよく分からない機械が沢山置いてあり
思ったよりごちゃごちゃしていて面白かった。

手術室に入り、手術台に横になったところで
担当医に声をかけられた。いつも通り軽い挨拶。
じゃあ、頑張ろっか。そんな感じだった。

全身麻酔のために腕に針が刺されて、
ここにきてやっと、少しだけ緊張してきた。
血液よりも重い液体がどんよりと入ってきたあと、
すぐに麻酔を入れられ、数える間もなく落ちた。

……

次に目が覚めたときは、暗いICUの中だった。
痛みはあったと思う。
しかしそれ以上に体が火照り、熱くて辛かった。
術前から続く絶飲で口の中が乾き、
何度も湿らせた綿で濡らしてもらった。

別の患者さんが点滴の針を抜こうとして
看護師さんに注意されている声を聞きながら、
時間が経つことを祈り続けた。

乾きと痛みで寝たり起きたりを繰り返して、
寝ているのか起きているのか分からなくなった頃
毎日の朝のアラームの音で意識がはっきりした。

やっと朝を迎えたことに安堵した。

看護師さんにアラームを止めてもらったあと
コップ一杯の水をいただけた。
大切に、少しずつ、
ストローで吸い上げては 喉を潤わせる。

まさに、生き返るという気持ちだった。
朝ごはんは無くとも水だけ、
たった一杯のその水がとても有難く
嬉しかったことをよく覚えている。

お昼ごろ 病棟へ移れることになり、
ここから術後の入院生活が始まった。

続く

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