『ポエティカル行路』 2023.11.17

2023.11.17 (SIDE STREETS 探訪)

1.

雨が降っている。
感覚的に、ジグザグに露路を掘り起こすように歩く。家からそう遠くない場所でも知らない道はあるもので、半分道に迷いながら発掘するような感じ。

雨が街の雰囲気を変えるので、変化があっていい。

ラーメンにおける味変のトッピングのようだ、などと思うのはお腹が減っているせいかもしれない。

小さな露路が行き止まりにぶつかるか、別の道へと抜けられるかはちょっとしたギャンブルでもあって面白かったり、気持ち良かったりする。

運まかせな歩行ののらりくらりな美学も学んでみると奥深いのだろう。

亀の甲羅の上を歩くように階段を降りたり、のぼったり。

小石川、白山界隈のアップダウンを楽しみながら、時々ぽんとメインストリートに出て自分の位置を確かめる。

迷った時、メインストリートは正気に戻してくれる。

本駒込あたりで体が冷え始めたので、どこか店に入って食事をとって暖にあずかろうと思い、白山のPIPELINEというCafeに入ったのだが、店主がそうとうな変わりものなのか英語でオーダーを尋ねてくる。

こっちも喋れない口ではないので、何故か英語で注文し、会話することになる。

どうやらこの店は常にバイリンガルでやっているらしく、日本人の客しかいないというのにEnglishと日本語を交互にChangeして話す。

Thank you for comming、いらっしゃいませ。What can I bring for you? 何に致しましょう。
といった具合。

初めは少しイラッとくるが、しばらくするとだんだん妙な味わいが勝り、クスッに変わる。

そういうユニークでユーモアのある店主さんの切盛りする店は、ニューヨークスタイルで雰囲気も良く、食べものはおいしい。

チキンのトマト煮とコーヒーを注文。

店でのんびりしていると外が土砂降りとなる。

一瞬窓の外はまっ白くなり、バケツをひっくり返したような降りっぷり。

2.

雨がゆるんで外が少し明るくなったので歩き続ける。

今まであまり歩いていない西片あたりを歩いている。

西片から本郷にかけて味のある小道が増えていく印象。DeepでFreakyなものたちがちらほら。

勝手にしやがれな雰囲気の本郷5丁目。
金魚坂喫茶店は創業350年の金魚屋が何故か喫茶店をオープンするという不思議。

仕事の前に昼寝をしなくてはならないので、今日はこのくらいにして、本郷三丁目で丸の内線に乗り込む。

露路は「安堵感と好奇心」を与えてくれると詩人で哲学者の吉本隆明さんは語っていたらしい。

これからも時折、露路を掘っていこうと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?