変幻✨꒰꒱✨音声配信アプリ⑬
🦉 360度カメラのふくろう🦉
ふくろうさんは30代の男性だ。
結婚していて、奥さんとふたりで暮らしている。
物腰の柔らかな男性だ。
自然科学が好きで博識な人だ。
アウトドアが好きで、とりわけがダイビングが好きだ。
写真も撮っていて、よく見せてくれた。
家庭内のことだが、家事も全てふくろうさんがしているようだ。
買い出しから、洗濯、掃除、料理何もかもだ。
夜ご飯に至っては、奥さんが帰ってきてから、何が食べたいか聞いた上で作るそう。
共働きで、奥様が年下なのもあるようだ。
奥様とは知り合って10年ほど経過しているそうだ。
ふくろうさんは印象がとても良いので配信していると、素敵な声ですね、と女性のリスナーさんに囲まれるときがある。
でもなんだかそんな時は、ふくろうさんはよく分かってないような態度をとる。
苦手なのだろう。
騒いだりするのは好きではない雰囲気で、気心知れた人や1人でふらっと行動するのが好きだ。
お酒や煙草をしないのもあるのかもしれない。
自分の身の回りの事は自分でしたいとのことで、パートナーに対して家のことをしてほしいと思うこともないそうだ。
話していても、男性というか同性と話している感覚になる。
ふくろうさんは好き嫌いがはっきりしている。恋愛でもそうで、尽くしたいと思う相手がパートナーになるそうだ。
尽くすことが愛情表現なのだ。
ただ、それを当たり前とされることはやはり不服なようだ。
ふくろうさんのすごいなと思うところは、ふと口にしたことをよく覚えている事だ。
そして好奇心旺盛なので、見聞きしたことをすぐに調べて挑戦する。
ふくろうさん自身は心配性であると言っていたが、その性質のおかげで周りを見渡して記憶していっているんだろうなと、うさみみは感じていた。
うさみみちゃん、あのね。
夜中配信してると、ふくろうさんがコメントしだした。
付き合ってる時からセックスレスなんだよね。
そういうの抜きにして好きだから、結婚したのだけれども。
他の人ってどんな感じなのかな。
リアルではなかなか聞けなくて。
「ほかの人たちの意見を聞いても解消される訳でもないから、自分たちがどうしたいかじゃないのかな」
とうさみみは答えた。
きっとレスなことを悩んでいるのだから、ふくろうさんとしては増やしたいのだろうなと考え、そううさみみは発言した。
最近さ、なんのためにこんなに頑張ってるか分からないんだよね。
ご褒美では無いけど、そういう事がないと頑張れなくてと、ふくろうさんはコメントする。
「1度きちんと二人で話し合ってごらん」
と、うさみみは促した。
そんなことでって思うけど、真剣に悩んでる悩み事である。
しかも1人では解決しない。
その後、真剣に話し合いの場を設けて伝えたそうだ。
「無理だよ」
と奥様に言われたそう。
話し合いにもならなかった模様。
きちんと向き合ってもくれず、簡単に却下されたのが踏みにじられたように、ふくろうさんは感じたようだ。
誰だって、真剣に悩んでいる悩みに向き合ってもらえないことは、相手にされていないと感じて嫌だろう。
特別なひとであれば、尚更だ。
思わずふくろうさんは、家を飛び出てしまったそうだ。
その後、ふくろうさんはご飯も作りたくなくなって、別々に食べるようになったとのこと。
うさみみは思わず、責任を感じてしまった。
奥さんがその後家事を積極的に手伝ったり、行為も前よりも積極的に行うようになったけれど、その姿がなんだか可哀想に見えはじめて辛いと、ふくろうさんは言う。
もう一緒に暮らせないとまで伝えたら、奥さんに泣かれたそうだ。
今まで気にならなかったことが見えてしまうと、人は耐えれなくなる。
視野が広いこと、気が配れることはいい事だけれども。
恋愛ごとにおいては、視野が狭いままが熱中出来るのだなとうさみみは思った。
でも喧嘩をすることやぶつかることは、悪いことなんかじゃない。
お互い違う人間で、違う欲望を持っていて、愛情の確認の仕方も違うのだ。
そのすり合わせが今回初めてできたんだ。
合わなくて当たり前。
その事もふくろうさんには伝えた。
自分たちは10年間ロールプレイングゲームをしてたのかと表現していたのが、心に残った。
別の人間だからこそ、一緒にいて楽しんだとうさみみは思う。
お幸せにね。
きっと2人なら大丈夫だよ。
向き合い続けられない時もあるし、向き合える時は向き合ってみよう。
避けてたことから。
今はすべてを見渡さなくていい。
見るべきところを見るんだ。
*20話完結です!オムニバス形式ですが、順に読んでいくのがオススメです!*
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