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ドライフラワーは飾らない、「置く」。


一人暮らしを始めてから1年が経った。
まぁ実際のところ暮らしているわではない、実家へ行ったり来たりと借りた部屋はホテルに泊まるような感覚で使うようにしている。月に15日滞在すればよくいたほうかなってぐらい。

だからということではないが、駐車場も借りていなければ家電製品すら置いていない空間だ。あるのは大量に積まれた食器やら家具やら花瓶やらドライフラワーやら。兎にも角にもインテリアで埋め尽くしてしまった。実用性とは全くもってかけ離れている。

「あまりモノは持ちたくない派」と散々言っていたのに、違う方向へどんどん進んでしまったのでこの考えや発言は今後やめた方が良さそうだな。これからもきっと取捨選択はしていくだろうが「モノを持つ」という部分においてはきっと変わらないだろう。

そんなこんなで最近ドライフラワーを買い、部屋がまた楽しくなってしまった(先に生活必需品だってことは頭で理解している)。
ドライフラワーの購入先は、前回の古着屋ひよせさんとのポップアップでお世話になったLilly's Diaryさん。僕はポップアップの際に初めてLilly's Diaryさんの存在を知り、お店に伺ったのは今回が初めてである。
岡山駅東口に降りてそのまま桃太郎通りを東へまっすぐ10分ほど歩く。黒文字のサインで「Lilly's Diary」と書かれた白い建物を見つけたら、お店はその2階に位置している。

お店の扉を開けるとおよそ13畳の空間があり、ドライフラワーが所狭しと置かれ、吊るされ、包まれ、僕は”お花屋さん”というものに行く事自体が初めてだったので、多分ドライ好きなら知ってそうな花々も僕にとっては新鮮な場所でワクワクした。店内に入り、じっくり花を見ているうちに「まさか花を自分から買いに行く人生があるなんて」と心の中で呟いた。


店主の仁科(にしな)さんに「お久しぶりです」と挨拶をして前回のポップアップの感想などで話が盛り上がった。
「実は2月でお店を畳むことになったんです、、、」と初めて伺ったタイミングで衝撃の事実を知った。特に理由は聞かなかったのだが、これからはアトリエをもってオンラインショップとイベント出店でやっていこうと考えているらしい。イベント時にまたどこかでお会いできたら嬉しいな。

最初で最後のお店に伺えてかなりラッキーだったと思う。
せっかくなので既に完成されていたドライフラワーのブーケと、ぱっと見で綺麗だなと感じたドライフラワーに合わせて花束をつくろうかなと考えた。これが意外と難しい、相性の良さそうなドライフラワーを選んだつもりでも何となくチグハグになってしまいアンバランス。

どうやら僕にはセンスが無いらしく完全に詰んでしまったので、がっつり仁科さんに選んでもうことにした(お手間取らせました)。ポップアップのときにも古道具にドライフラワーを添えてもらっていたが、やっぱりそういった相性を掴むセンスは抜群に上手いんだなーと改めて感動した。仕事だから当然と思われるかもしれないけど、ドライフラワーを当然かのようにモノと合わせられる仁科さんのセンスは美しいし、僕には真似できそうにないかも。

同じドライフラワーでもその状態や形によって、楽しみ方は180度変わる。




天井を見上げたり周りを見渡しながら僕もドライフラワーを選んでいたところ、足もとに大きな茶釜を見つけた。見つかちゃった!的な佇まいが可愛らしくつい写真を撮ってしまった。ざっくり入った枝物のドライフラワー、茶釜の錆びた色合いとマッチしていた。古道具の使い方としても120点だったし、こういう使われ方に出会うと自店で販売している古道具たちの事を考えたくなる。

販売する人と使う人の目線はいつも違ってたくさんの気づきを与えてくれる。

他にもシャーレ(ペトリ皿、微生物の培養実験で用いられるガラス製の平皿)の中に小さなドライフラワーや石のようなモノを敷きつめて一つのアートにしていたり、流木のようなものにドライフラワーをつけているものなど、
Lilly's Diaryさんの「ドライフラワーと植物にまつわるモノ」という考え方が
店内の中ではしっかりと体現されていた。

「飾る」ではなく、さりげなく「置く」というイメージ。その自然体のような飾り方、誰でも気兼ねなく楽しめる感覚が「好きだな〜」と感じる。不要不急なモノ、はちょっと言い過ぎかもしれないけれど、”花を買いに行く”と思い立つ人たちにとってドライフラワーは必要不可欠なもの。
誰かの癒しになっていたり、店内を彩るインテリアになっていたり、誰かのどこかで必要なモノ。僕もその1人。

古道具も、そう言った存在に近いのかもしれないなぁ。


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