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田中 彰治(たなか しょうじ)&天満拘置所の昭和の等価交換事件

『田中 彰治事件』とは、疑惑追及のパフォーマンスで有名になった田中 彰治 国会議員が、自身が不正を働いて有罪になった『黒い霧事件』です。

政界の爆弾男として鳴らし、時の政権でさえ無視できないほどの影響力を誇ったが、黒い霧事件で失脚した。
逮捕・失脚
1965年の吹原産業事件で、国有地払い下げをめぐる不正・恐喝が発覚し、
1966年8月5日に、田中は親族や配下の者等の関係者と共に逮捕される。
7つの事件で恐喝や詐欺や偽証や脱税などの容疑で起訴される。
1974年、田中は東京地裁で起訴された容疑について懲役4年の実刑判決を受け、控訴中の1975年に肝硬変にて死去した。

田中氏自身は、国会で数々の不正を追求をしましたが、その中で、天満拘置所の等価交換に関する国会答弁があります。

大阪拘置所の土地評価については#7から記載されています。

衆議院会議録情報 第024回国会 決算委員会国有財産に関する小委員会 第3号

#7

○吉田(賢)小委員 大阪拘置所の敷地交換問題は、国有財産と私有地の交換の適否の問題と、大阪拘置所の移転の適否の問題であろうと存じます。

 土地の交換では、国有地である大阪市北区北錦町一番地の一、ないしは二番地、その他合計11,092坪と、延原観太郎所有の都島の19,176坪の等価交換の問題でございます。

#8

○竹内政府委員 近畿財務局の評価調書を全面的に信頼しておりますが、まず財務局の態度は、価格評定の基礎で、相続税課税標準価格から見て、次に
精通者の意見として、大成商事、住友信託銀行、安田信託銀行、三菱信託銀行、日本勧業銀行の不動産方等の意見、立地条件を分析し、時価とほぼ推定される価格を算出し、適切と考えておるのであります。

#10

延原観太郎氏の所有につきましても、相続税の課税標準価格をまず考え、次に旭税務署の資産税係、住友信託銀行不動産、安田信託銀行不動産課長、勧業不動産株式会社、日本勧業銀行大阪支店の調査役の意見、立地条件を総合して、6,000円という単価を出しております。

#11

○吉田(賢)小委員 そこで伺いますが、私どもの経験では、第一相続税の課税標準の価格は、直ちに時価が出ることは困難ではないかと思われます。精通者の意見は、詳細な調査、根拠、理由がどうも明らかになっていないと考えられます。
時価よりも税関係とか、銀行ならば担保力、貸金をする側の担保価格、そういったものが主となっており、税の方は時価よりも低いと普通見るところであります。
…時価の算定につきまして、何を一体検討の対象にすべきか。時価を構成すべき要素は、何々をこの場合は把握しておけばいいのであろうかも考えられるべきです。
一万坪の固まっておる土地につきましては、かなり経済的利用価値が、別の角度からも考えるべきです。

#12

○竹内政府委員 相続税の課税標準価格がそのまま時価を表現するものでないですが、大体時価に最も近い隣地の売買実例がなく、推定資料が出るわけです。
その賃貸価格にに倍率をかけた相続税課税標準価格に近い価格で、大蔵当局は、この倍率を固定していませんで、現に29年度の課税標準は、倍率0.7で、30年も維持する考え方で、この相続税課税標準価格は、かなり信頼すべき価格です。
精通者の意見も、天満の敷地について、ここを将来住宅地として利用するか、あるいは大資本を投じて一つの歓楽街として、総合的にここへアミューズメント・センターを作るか、その目的により、かなり価格は違ってくるので、一般の取引対象となるべき現状を標準に鑑定した意見です。

#13

○吉田(賢)小委員 国有財産の交換の価格評定として、かなり不当であるという見解が請願として出ております。
大阪不動産鑑定協会に、北区北錦町並びに都島の友渕町の交換地について、価格鑑定を委嘱して、鑑定の結果が出ています。
これは裁判所などの鑑定の委嘱を受ける長い経験者12名が寄って設立している協会です。
昭和31年4月14日付で、北錦町は一坪当り22,000円なり、都島友渕町の方は一坪当り5,500円なります。
今御説明になりました価格評定の調書と、非常な開きがあり、その道の専門家が鑑定をした結果としても穏やかに感ぜられないのでございます。…

衆議院会議録情報 第038回国会 決算委員会 第41号

https://kokkai.appri.me/content/62205

大阪拘置所の等価交換については#18から記載されています。

#11

○荒舩委員長 次に、国有財産の増減及び現況に関する件、特に大阪拘置所の用地交換の問題について、調査を進めます。

○荒舩委員長 続いて細見証人。

○荒舩委員長 続いて松本証人。

#16

○荒舩委員長 
 証言は、委員の発言に答える形で行なっていただきます。
 発言の通告がありますので、順次これを許します。田中彰治君。

#17

○田中(彰)委員 
 細見証人にお尋ねしたいのですが、この大阪の拘置所の土地が天満にあり、それから延原観太郎という民間人の持っておる土地が都島にあったのですが、この交換について依頼されたいきさつについて、述べて下さい。

#18

○細見証人 大阪拘置所の移転代替用地に関しましては、昭和27年の初めごろあり、延原氏の土地と交換をしてやろうというお許しの許可指令をいただいたのが、昭和30年の10月23日で、その間4年以上もの長年月にわたっております。
松本拘置所長、福山総務部長が御着任になりましたのが、昭和30年の7月3日で、交換をしていただきたいという本申請を七月ごろ拘置所の方へ出した次第であります。
拘置所さんの希望は、大体面積が3万坪余りで、裁判所から17、8分で自動車で行き得るという距離のところではなかなかなく、七月の中ごろ延原さんの土地を申請したわけであります。
延原製作所の土地を、昭和30年の4月ごろ、約2万坪前後で、建物が約9,000坪の家屋工場付で、1億7000万円ほどで売りに出されており、当時、天満の土地は5億から6億円ほど、そして延原さんの方が1億7000万と言われるが、1億4000万円でも買い手がなかったということでありました。
それで私は、まず一もうけさせてもらおう考えから、うまく1億4000万円余りのものと交換していただければ、時価に対して、2、3億の金がもうかるのじゃないか…―と、申請書を出し、約4カ月後の昭和30年の10月23日付で許可書をいただいたわけです。
そのとき、金主としてお願いしていた天理教の田辺教一さんが、教祖の七十年祭で大きな建物を建てられた関係で、出資を断念され、
良島さんが、金は僕が出してやろうと、東京からお越しになり、拘置所の松本所長殿、それから福山総務部長殿、鈴木管区長殿にお引き合わせをして、延原製作所の土地を買う資金を出していただく御了承を得た次第です。
ところが、―当時延原氏の方は中村支配人を通じて、
「自分には土地は要らないのだ、土地よりも金がほしいのだから、しかも、その金は昭和13、4年ごろにあの代替地たるべき都島の土地を確保したのだから、それを売ったということになると、税金にほとんど6、7割取られてしまうということやから、一つ手形類とかいうようなものでなしに、現金でもって直接に払ってくれいということであり、なおそのほかに、脱税になった場合には、細見、お前がこういうことを言いかけたんだから、脱税の問題の起きた場合には、必ず君が脱税額なり、あるいは懲役であろうと何であろうと、それを一切責任を持て、そうじゃないと売るという話にはしないよ」
というようなことで、私の判を押して一切の責任を――脱税の場合におきましても、税額のことなり懲役になるというようなことがありましてもやむを得ませんというような意味のことを書いておきましたら、三日ほどたったら、それでは文句がいかぬから、延原観太郎氏が直接に書かれた文言に従ったものをもう一通入れいということで、私が書きました。脱税並びに脱税のことによって起きる損害なり罪というものは細見がかぶれということの、一そう厳格にしたものを合わせて二通延原観太郎さんへ納めて、そこで初めて、よし売ってやろうということになった次第でありまして、当時でありましたが、許可書をもらいますまでに、一応拘置所長さんなり、福山さんなり、鈴木管区長さんが、君の、延原さんが売るということは間違いないことは確信しておるけれども、なお再確認したいので、延原観太郎氏と支配人である中村氏と、そして君とが一度来いという御所定の日にちと時間とを指定を受けましたので、三人で参りましたときに、許可指令をいただく前でしたが、その席で、延原観太郎さんに対して、細見に売るか、はあ売ってやりますというようなお話が出まして、拘置所長さん側なり、管区長さん側なりは、そのことについての確実なる確信を得られたわけでありますが……。

#22

○細見証人 
 その席で、延原さんの売り手と、買い手であるべき自分とを置いて、鈴木管区長さんから話が出まして、そのときの法務省の拘置所のお持ちになっておる天満の土地は、細見、最低額どのくらいに見ておるのだ、こうおっしゃられたので、延原観太郎さんの欲だという評判は、これは大阪で、ないしあのかいわいでは通りきっておるものですから、その席で、これだけの値打があります、五億、六億の値打がありますというようなことを言うと、延原さんはまた値上げをしてくる、こういうことを心配しましたので、

私は、実のところ言うに言えず、返事をしなければならぬと、こう思いまして、その間約十分間腕組みをして、下をうつむいて時間をかけたわけですが、

そうしたら、延原観太郎氏が、鈴木管区長さんの方を向いて、お前ら――こういうような無礼な言葉をもって、お前ら商売人のことはわからぬじゃないかというようなことをおっしゃって、制止されたのですが、その瞬間に、鈴木管区長さんが、ちょうど私の方から向かって左側、右手を上げられた。一番上座におられたのですが、五本ばらっと広げて、このくらいは細見、最低するだろうという話であったのですが、それで、これとはというて聞いたら、もちろん五億だと、こうおっしゃいまして、それでどうだと、こう念を押されましたが、そこに延原さんがおられる関係で、しかし、代替地の方も土地の面積が倍ありますからねというような工合で、もうそれには的確に答えまいぞというような工合で時間を延ばして、その席を三人は――その他の話も出たようでしたが、ほかは肝心なことはありません。まあそういうことで、その席は出たわけであります。

#23

○田中(彰)委員 そこで、今あなたの話を聞いたが、その五億という話は、管区の土地の値打なんだが、一方だけ聞くということはおかしいのだから、延原さんの都島の土地の価格というものに対して、そのとき話が出なかったのですか。ちょっとこの点を証人にお尋ねします。

○細見証人 それは三億三千万円であります。

#29

○田中(彰)委員 ちょっと証人の言うことは矛盾しているのだが、天満の土地が五億ぐらいの値打があると管区長さんが言われて、今度は交換する中に延原さんも入っている。あなたも交換の中に入るのだから、延原さんの持っている都島の土地の値段は、そのとき出なかったんですか。

#31

○田中(彰)委員 みなが寄って都島の土地が五億ぐらいだという話が出たということを聞いておりますが、違うのですか。

#32

○細見証人 そこでは出しません。

#33

○田中(彰)委員 そうすると、都島の土地が五億ぐらいだということをいわれて、あなたは一体都島の土地を幾らぐらいに思っていたのですか。

#34

○細見証人 まず五億から六億に踏んでおりました。

#35

○田中(彰)委員 都島を……。

#36

○細見証人 都島は、これはほんとうの値段は一億――その年の四月ころに一億七千万で出ておりましたが、だれも買手がないので、ずっと下がって一億四千万ぐらいというようなときに、一方は五、六億の値打と私は踏んでおりました。しかし……。

#38

○田中(彰)委員 細見証人、よく冷静に考えてもらいたい。東京の本省からも経理部長の竹内さんが行っておる。それから渡辺という第一課長、それから所長もおられたし、管区長もおられた。福山総務部長もおられた。そこで土地の値段の話をしたのだから、拘置所の方の土地は、片手出して五億くらいの値打があるだろう、これは所長さんが言われた。あなたもそのくらいあると思っておった。そこで片方の、今度は取りかえるのにいったんでしょう。都島の土地を細見に売るということを承諾したということを知らせにいった。そこで値段が出たのだから、都島の土地、今刑務所が建っている土地、これは今あなたの言われる通り、一億七千万で売りに出して、売れなくて一億四千万にしたが、それでも売れなかった。これはあなたが今言われたのはけっこうですが、そのときに都島の土地はどのくらいの値打があるのか、聞かれるはずですが、聞かれておりませんか。これを答えて下さい。

#39

○細見証人 そのとき話は出ておりません。と申しますのは、拘置所さんの方は、幾らで買おうと、またただでもらおうと、値段のことにはタッチをしません。そういうことはしてくれるなというような意味をもってお話しになりましたので、それでそのことは、拘置所の関係筋の方の説明では、値段のことは一言も申し上げたことはありません。

#40

○田中(彰)委員 そこでもう一ぺんあなたにお聞きするのですが、拘置所のやつは、そうすると五億ぐらいあると所長さんが言われた。ところが、延原さんの土地は一万九千坪あって、倍もあるが、一億七千万から一億四千万で売りに出して売れなかった。あなたは、そのときどうです、この土地をこうやって交換したら、あなたは相当もうかると思ったんですか、いや交換してももうからぬと思ったんですか。もうかるとしたら、一体どのくらいもうかると思ったんですか。それを一つ話して下さい。

#41

○細見証人 私はさっきも申し上げたように、五億ないし六億の時価のものであるから、よって三億三千万出しても、少なくとも二億円、運がよければ三億円はもうかると信じておりました。

#42

○田中(彰)委員 どうも証人、あなたの言うことはちょっとぴんとこないのですが、一億七千万円でも売れない、一億四千万円まで下げても売れなかったのに、それに三億三千万というようなものをあなたはどうしてつけられたのですか。

#43

○細見証人 それは、ここが肝心なところでありますが、一億四千万円の値打のものが、現在の代替地、拘置所が持っているところは、こちらは五億ないし六億である。その場合に、とにかく一億四千万円の値打しかないものでも、五、六億のものと交換するのだから、金の提供をする人なら、この五、六億の範囲内においてなら、四億つけても、五億つけても、六億するものなら一億もうかるのではないか、こういう関係で、事実の値打は、拘置所の現在建っておる土地は、時価は安いのですが、これとの交換という、五、六億のワク内での私は意味をつけてみたわけでありますので、時価と私がつけた三億三千万円とは、大きな開きがあるわけなんです。

#44

○田中(彰)委員 そうすると、あなたは、その延原の持っている土地は一万九千坪あるけれども、一億四、五千万から一億七千万しかしないけれども、片一方の土地が五億も六億もするから、それを交換するのだから、延原の言うように高くやってもいいということで見られたわけですね。

#45

○細見証人 そうです。

#46

○田中(彰)委員 それで良島証人にお尋ねしますが、あなたも、当時延原の――五百万金を出されたのだから、都島の土地が当時どのくらいの値打があったか、そして天満の土地が当時どのくらいの値打があったか、率直に当時の考えを述べて下さい。

#47

○良島証人 都島は、都島だけ切り離したら、一億円以下ですよ。だれが見ても、一億円以上で買える土地じゃないのです。それで、ただ天満と交換するから、今言う通り、それが二億三千万だというから、二億二千万であれば、一方は少なくとも六億にはなるだろう、それで割に合う。それでも、幾らか安くしてもらおう、そういうので、もういやだから、あなたじかに交換しなさい、もうかるじゃないかということを言ったのです。

#48

○田中(彰)委員 値打は、そのくらいに考えておったのですね。

#49

○良島証人 そうです。

#50

○田中(彰)委員 そこで松本証人にお尋ねしますが、あなた、その当時、土地を交換するんだから、値段なんかどうでもいいのだが、都島の土地と天満の土地と、やはり相場の相違があるということをお認めになっておりましたか、どうですか。

#51

○松本証人 この土地の評価のことにつきましては、これはやはり非常に専門的な知識が要るのでありまして、私どもしろうとで、そういうはっきりしたことはもちろんわからない。しかし、常識的に考えて、一方は一万一千坪、それから延原の方は二万坪、約倍くらいあるので、そう大した違いはないのではなかろうか、これは常識的に私ども考えたのであります。

#52

○田中(彰)委員 あなた拘置所の所長さんでいらっしゃるから、このことについては相当明るいと思うのですが、今二人の証人が考えて、三億も四億も違うから、もうけたいからやった――もうけたいからやったのでしょうし、そのほかのことでこれをやったとは思わない。もうけたいからやった。値段がそれだけ違って、延原の土地が一億四千万で売りに出したが売れなかった。それでこっちの土地をやった、高くつけたのだということを二人の証人が言っておりますが、私どもが調べて三億ぐらい違うので、今はどれだけの違いかというと、今は六億も十億も違っておる。しかし、あなたはそれだけのことを言っておるが、この人たちがやって、一億でも二億でも損してやることはない。もうかるから金を立てかえてやっておる。だから、この土地に対しては、私は相当の差額のあるものだ、こういうはっきり――この土地の値打ということを、あなたは専門家でないからわからないとしても、多少この人たちによって、この程度はもうかるものだということを、あなたも考えたのではないですか。どうですか。

#53

○松本証人 この評価のことは、あとでまた詳しく御質問がありますれば申し上げたいと思いますが、結局、私どもは深い知識がない。それで結局権威のある機関において鑑定してもらうほかないということで、これは近畿財務局にお願いしまして、そしてこれを評価してもらった。近畿財務局は、そういうことで……。

#54

○田中(彰)委員 鑑定はいいが、しかし、あなたは、その相場がわからない。相場がわからないのに取りかえるのはおかしいじゃないですか。相場がわからぬものなら、鑑定をさせて、鑑定の上で取りかえるのがあたりまえだ。鑑定をまだ頼む前に取りかえるということを言明しておられるのは、あなたがしろうとだから、はっきり決定したとは考えられない。どっちの土地が高いとか――その人たちが動くのは、天満の土地が高くて――こっちが安いなら動きませんよ。従って、何億という金を出して取りかえてもらうのだから、利益がなければやらぬ。もうかると思ってやったと言っているから、この人たちが何億という金を立てかえて、あなたの手足となって動いて、そして国家社会のためにやると、あなたは考えられたのか、もうかるからやると考えられたのか、そういう常識的なことを、そらさぬで正直におっしゃったらいいじゃないですか。

#55

○松本証人 結局、両方の土地がどの程度の違いがあるか、私がさっき申しましたのは、大体そう大した違いはないのじゃないかということを申したのでありまして、実際どれだけ違いがあるのかということは、はっきりいたしません。さっきお話が出ました三十年の十月二十二日でしたか、に出しました例の内諾書であります。これこれの条項を必ず順守いたしますから、この申請に応じてもらいたいという細見さんからの申請に対しまして、全部の条件を完全に履行する場合は応ずる用意があるということの内諾書、その第一項目にあるわけです。双方の土地を評価してみて差が出たならば、その差が出た部分だけは、土地がもらえないようなことがあっても差しつかえない、こういうふうに、はっきり細見さんの方には当時申し上げておるわけであります。ですから、全部そのままとんとんでいくということじゃありません。

#56

○田中(彰)委員 そうすると、あなたは土地の相場がわからない、ただ、片一方が坪数がよけいあるから同格だろう、こう考えられたというのですね。

#57

○松本証人 それは正確なことはわかりませんが、そう大した差はないのじゃないかというふうに……。

#58

○田中(彰)委員 大した差といって、一体幾らです。はっきりした金額の差は、何千万、何億かわからぬけれども、都島の方が少し高いと思ったか、天満の方が高いと思ったか、あるいは安いと思ったか、そのときのほんとうの心境はどうなんですか。

#59

○松本証人 これは坪当たりの単価からいけば、天満の土地の方がはるかに高い。ただ、こっちが面積が広いということで、そう大した違いはないのじゃないか。何度も繰り返すようでありますけれども、多少の違いはあるかもしれませんが、大した違いはないのじゃないかと考えました。

#60

○田中(彰)委員 どうもおかしい。多少の違いというのは、どっちが高いと思ったか。同じと思ったか。都島が高いと思ったら都島、天満が高いと思ったら天満でけっこう。同じとはあなた言えぬでしょう。大した差がないというのは、どっちが高いのか、安いのかということを聞いている。どうです。

#61

○松本証人 同じことを繰り返すことになりますが、こういう知識といいますか、土地の評価にあたっては、その土地の状況であるとか、あるいはどれだけの資本を投入してこの土地をどういうふうに利用するかとか、あるいは登記費用をどの程度見込んでいくのかという、その見方によって、土地の見方は人によって非常に違うと思います。十人見れば十人同じに見るなら問題ないが、人によってみな違います。ですから、鑑定してみなければ、どっちが高く、どっちが安いということは、どうもはっきりしないわけですが、大体そう違いはないのじゃないか、大差はないのじゃないかという考えです。

#62

○田中(彰)委員 あなたは、土地の体験のない人とは思えない。土地というものは、見方によって違う。坪数が多くても、少なくても違う。百人に見せれば百人が違う。なぜあたなは処分するときに、正式の鑑定をやらないのか。また、あなたは鑑定料を幾ら出しましたか。

#63

○松本証人 鑑定は、先ほどお話ししましたが、近畿財務局にお願いしたのでありますが、これは国の評価機関でありまして、もちろん鑑定料は不要でございます。

#64

○田中(彰)委員 民間の人に鑑定させなかったのですか。財務局だけにまかしたのですか。

#65

○松本証人 財務局のほかに、参考のために、安田信託というところが来ておりました。金額はどのくらいであったかはっきりいたしませんが……。そのほかに、鑑定の問題が出ましたので、あとでも、住友信託、あるいは三和銀行、勧業不動産、勧業銀行等にお願いしております。

#66

○田中(彰)委員 一万一千坪もある国有地で、しかも発展するところに刑務所を建ててもらっては困ると嘆願されて、あなたは土地のことは無経験でわからぬというなら、なぜ交換される前に鑑定をちゃんとされないのですか。交換の約束をしてしまってから、あなたの方は鑑定された。それはどういうわけですか。

#67

○松本証人 お尋ねの趣旨がはっきりいたしませんが、私の方は、財務局に評価を依頼したのは、三十年の十二月であったと思います。安田信託の方も、そのころでございます。そして契約したのは、三十一年の二月二十八日だと思うのでございます。国の評価機関である財務局の評価、参考のためにとりました安田信託の評価も出ましてから、その結果に基づきまして本省に上申いたしまして、法務省の認可を得まして、契約したのが二月二十八日でございます。

#68

○田中(彰)委員 それでは、鈴木管区長が、五億というので片腕を出したことがありますか。

#69

○松本証人 さっきの細見さんのお話では、管区長というようなことをおっしゃったように記憶いたします。実はそういうふうな会合のあったことは私も記憶しておりますが、どうもはっきりいたしませんが、延原側、それから細見側と、われわれとが集まって一度会合したことは、あったことはあります。そのとき、鈴木管区長が腕を上げたというようなことは、私知りません。

#70

○田中(彰)委員 ここにありますが、あなたが天理教の細見氏と大阪拘置所の交換について、所長の松本貞男に対して敷地交換の申請書を提出したのが昭和三十年の九月三日、それから天理教此花教会会長田辺教一、この人と営繕渉外部の東山岩男、こういうような人と、やはりあなた方が対面されて、敷地交換に対する誓約書を提出させたのが昭和三十年の十月二十一日、それからあなたが拘置所長より交換申請に応ずる承諾書を与えられたのが三十年の十月二十二日、良島正浩、この人と細見育一さんとの間に権利の譲渡に関する契約書がなされた日が昭和三十年の十一月二十一日、それから良島氏が五百万円の手付金を延原観太郎に支払って、そうしてそれをあなたの方へ持っていって見せたのが昭和三十一年十一月二十一日、それから大阪拘置所より近畿財務局長の佐藤一郎氏に対して、都島と天満の土地の建物の鑑定依頼の文書を出したのが三十年の十二月十九日、それから都島の土地に対する鑑定依頼に対して、回答がきたのが三十年十二月二十六日、天満の土地に対してきたのが三十年の十二月二十八日、あとで都島の建物について二回にわたって報告されたのが三十一年一月十三日、三十一年二月六日、こうなっておるから、あなたの方は、土地の契約をみなしてしまって、それから鑑定をされておる。これだけわかっておる。取りかえるということについて、そういう書類を出されていることがわかっておる。あなたの書類がきている。あなたの判を押している。あなたの方は破いたと思っているが、良島君はみな写真をとっておいた。それがある。だから、あなたがいいかげんなことを言われると、いやしくもあなたは人を戒飭する拘置所の所長が――元鬼検事と言われた河井さんが、刑事課長になってそこに来ておられる。そこであなたがうそを言うのはおかしいじゃないですか。どうですか。

#71

○松本証人 契約をするということを私は誤解いたしまして、私が延原と契約をして土地の交換をやったことを契約と言ったのであります。今言われたような鑑定の手続を経て、契約をして、登記をした。その前の手続が契約であるという解釈なら別でありますが、私が申し上げたのは、さっき申し上げたように、延原観太郎と契約をして移転登記をした、そのことを申し上げたのであります。

#72

○田中(彰)委員 良島証人に尋ねますが、あなたが断わられてから、延原さんと拘置所の直接契約をしたのは、いつごろだと思っておりますか。

#73

○良島証人 それは十一月二十一日に五百万円やって、二十八日までに残金四千五百万円持っていくという約束の途中に、拘置所の方から断わってきたのです。白紙にしてくれろといって、松本さんと鈴木さんという人が断わりに来たわけです。それはちょっとおかしいじゃないですかと……。

#74

○田中(彰)委員 日を聞いているのですよ。

#75

○良島証人 拘置所の断わりに来たのが、十一月二十五日か六日だったと思います。

#76

○田中(彰)委員 延原さんと契約した日を知りませんか。

#77

○良島証人 それはわからないです。

#78

○田中(彰)委員 松本証人にお尋ねしますが、鑑定人の建物の鑑定が全部出たのが三十一年二月六日ですが、延原とあなたの方が協定されたのはいつですか。

#79

○松本証人 約定書が出たのが、昭和三十一年一月十七日でございます。

#80

○田中(彰)委員 鑑定書の一番最後に来たのが、三十一年二月六日ですよ。そしてあなたは、その前にやはり約定されているじゃないですか。

#81

○松本証人 その点につきまして、約定書というものでございますけれども、これは、近畿財務局に下協議書というものを出すのです。国有財産の所管が財務局でありますので、財務局に下協議書というものを出さなければならぬ。それにつける書類として、評価調書と今申しました約定書、こういうものをつけて出す。それでこの約定書というのは、所定の手続を経て法務大臣の認可を経たならば契約しようというような内容のものでございまして、これは結局評価の金額の問題でございますけれども、金額の内容につきまして財務局から内示を受けて、書類にその金額を書き込みますが、そのときには鑑定は済んでおります。ただ、書類を作る手数だけがおくれておったというわけで、評価調書については内示を受けて出したのであります。

#82

○田中(彰)委員 十一月の幾日ですか。

#83

○松本証人 十九日に出しております。

#84

○田中(彰)委員 あなたが何とおっしゃったって、ここに出ているのは、あなたの方が財務局にあれされて、向こうから来たので、一番早いのが昭和三十年十二月二十六日、その次は三十年の十二月二十八日、それから都島の建物は、二回にわたって報告されたのが三十一年一月十三日、三十一年二月六日です。あなたの言った日のあとにされている。この鑑定は、三日や四日でできないのですよ。今あなたに鑑定というものはどうやってやるのかということを私は質問しますが、一週間でこんな大きな鑑定ができますか。あなたが、佐藤一郎氏にこれを三十年十二月十九日に出しているのです。それで三十年十二月二十六日に来ている。わずか六日か七日で、この間に日曜も入れば土曜も入る。しかも、冬のことなのだ。どうしてあの土地を鑑定できますか。そればかりではないでしょう。あなたはそう言って言いのがれをなさいますけれども、あなたは良島さんとも細見さんとも会い、拘置所の土地を買うから、こういうものを出せ、ああいうものを出せ、手金五百万円打ったことをあなたが認めて、ちゃんとこういう書類を作っているじゃないですか。それはどうなんですか。それは法務省から良島と契約してはいかぬと言ったから、ああいうことになったのかもしれないが、良島が五百万円手金を打って、あなたのところに行ったり、細見氏が良島を連れて、これはおれの金主ですと言って延原のところに行ったときには、延原の土地の鑑定もできておらぬ。良島は、頼むと言われたから、五百万という当時の大金を出して手金を打ったのでしょう。それであと残金の手当もしたのでしょう。それを良島が勝手にしておる。そうすると、その前からちゃんと約束してあって、そうしてしたやつを、いろいろな都合でお断わりになったのだろうが、一応鑑定して、おれの土地は幾らの値打がある、お前の土地は幾らの値打がある、だからこういう交換をしようじゃないかとか、残金を寄付してくれとか、あるいは払うとか、坪数を減らすということをやらないで、土地の価格を知らないで、おれの土地とお前の土地と取りかえるということで取りかえた場合、あとで価格が違ったらどうやるのですか。あなただって、多少法律を知った人でしょう。おかしいじゃないですか。それからもう一つ、あなたの方の鑑定というのは、国有地を処分なされるのだから、こういう鑑定をしなければならぬということが、ここに書いてあります。国有財産で払い下げまたは交換される場合には、その評価にあたっては、通常大蔵省で行なっている厳正公平なる一定の評価方式がある。その方法とは、第一に相続税課税標準価格を基礎として標準価格を出す。第二に、固定資産税課税標準価格を基礎としてその評価価格を出す。第三には、実際の売買実例による価格を出す。そうしてこの三つの標準価格を合計して、これを三で割って平均価格を出す。その出したものに対して、利用効率その他を勘案して算定価格、評価価格というものを出す。第五には、民間の精通した人何人かにより正式に鑑定をやらせる。この平均価格を出す。第六には、この平均価格と先に出した算定価格を足して二で割ったのが、最後の評定価格、平均の価格である。これをしないでやるということは違法であると、法律の上においてもとめられておる。あなた方は、こんなことはしておらない。私は行って調べてみた。一週間やそこらでそんなことはできぬじゃないですか。この前呼んだ福山総務部長も、そこでがたがたふるえておりながらも、うそを言っていた。あなたは、評価価格を出さないのはおかしいじゃないですか。みんな一週間や十日でやっているじゃありませんか。そんな大事な、何億もする国有地を、そんなことでやれますか。あなたは、人が悪いことをしたら、それを悔悟さして、りっぱな人間にして育てる拘置所長じゃないですか。その所長が、みずからこの通りにやらぬで、もしこの価格が違ったり何かしたときには、背任ですよ。国家の財産をあなた方がこういう簡単なことをして交換したことは、背任なんだ。
 それからこの土地を交換するとき、あなたは一体どういう手続をとって交換しましたか。これは行政法において、そう簡単には交換できないはずなんです。政府の土地を交換する場合は、なかなかむずかしいわけなんだが、あなたは簡単に交換しておる。これはそんなに簡単に交換できたのですか。これは行政財産交換の国有財産法第十八条によって、そう簡単に交換できないはずです。これはどうして交換されましたか。答弁なさって下さい。この通りに評価をして交換したのか。この法律に従ってやったのか。それからあなたは、どうして行政財産交換の国有財産法第十八条というものを無視してやったのか。そういうことに対して答弁なさって下さい。私は、何もあなたをいじめるのじゃありませんよ。あなたの答弁の仕方によっては、今の刑事局長も、ここにおられる河井課長も、これに携わった人は全部背任罪です。あなた方の行為によって、手落ちによって、国家に損害をかけたら、背任罪です。これはあなたもわかっているはずだ。しかし、私はここで言いたくないけれども、あなた方はこういうことをやるときに、毎日釣をし、毎日料理屋へ居続けをしてやっている。ほとんど家におらなかったじゃないか。細見証人も言っておるが、あたはどこですかね、始終あなた方が行って釣をしたり、マージャンをしたりしたのは、どこですか。

#85

○細見証人 堺の羽衣荘だと思います。

#86

○田中(彰)委員 そういうことを二十日も居続けてやっている……。

#87

○荒舩委員長 田中君、発言を求めてやって下さい。

#88

○田中(彰)委員 どうですか、そういうことをやっていますか。それからあなたはどういう手続に従ってこれを交換したのですか。これを述べて下さい。

#89

○松本証人 交換につきましては、これは規定によりまして、国の行政機関であるところの財務局で評価をする。そして財務局の評価に基づき、その他とにかく必要な評価をいたしまして、その評価に基づいて評価調書というものを作る。これはさっきも申しましたが、それと、取引の相手方と、一応の念を押すための、約束があとで違うということになっては困りますから、約定書というものをとって、それをつけて財務局に下協議というものを出します。財務局は、その下協議に基づいて検討した結果、承認を与えべきものは承認を与える。そして財務局は、そのことを大蔵省に通知をする。一方、拘置所の方は、その財務局の方の下協議の承認を得てから、成規の関係書類を全部つけまして、法務省へ上申書を出すわけです。そして法務省では、さらに法務省と大蔵省の間で協議いたしまして、その結果これはよろしいということになれば、本省は現地に対して認可を下すのでありまして、そういう成規な手続は全部踏んでやっております。

#90

○田中(彰)委員 あなたは、拘置所長として人を悔悟させたりなさる方が、これだけの大きな土地を、一週間かそこらで今言ったような手続ができますか。それをあなたはやらぬと言うのですか。そういう法律があるのを無視するのですか。それを読んでごらんなさい。一週間でこんなことができますか。そこに刑事課長もおられるが、一週間で今あなたの言うような手続ができますか。その間に土曜日も入れば、日曜日も入る。あなたが書類を持っていって手渡ししたって、そうはいかない。そういうものをあなたが無視するということは、おかしいじゃないですか。どうしてこういうことをやらぬのです。あれは一たん大蔵省に返して、大蔵省の雑地にして売って、そうしてあなたの方がその金を大蔵省の方からまた予算としてもらって、拘置所を立てるということをしないで、どうして土地と土地との等価交換というようなことをやったんですか。御答弁願います。

#91

○松本証人 直接売った金で土地を買うということが、現在の会計法上不可能であることは、御承知の通りでございます。売った金は国庫に入る。買う方の金は、支出として予算に組んでもらわなければならない。ところが、大阪拘置所の用地としまして、昭和二十六、七年に、天満の土地というものが、予算をもらって買ってあったのでございます。そういう土地を持っておる上に、さらにまた予算を獲得するということは、非常に困難なことであろうと思うのでありまして、結局すでに拘置所を移転するための土地を持っておるわけでありますから、この土地と他の適当な土地があれば交換して建てるということは、別に間違ったことではなかったんじゃないかと思っております。

#92

○荒舩委員長 小川豊明君に関連質問を許します。

#93

○小川(豊)委員 今お聞きしていますと、成規の手続を踏んで云々ということを言われたんですが、私は、成規の手続というのは、あなたの方は予算をもらって天満の土地を持っておったとしても、それよりもこちらがいいからこっちに移ろうとする限りにおいては、成規の手続というのは、それは一たん国に返還して、またあらためて予算をもらって建築するなり、移転したりするなりなさるのが成規の手続であって、さっきから聞いておると、一億四千万ぐらいの土地と五億の土地と等価交換しているのではないかと思われる。そういうばかなことを――等価交換すべきではなくて、やはりこれは損をしようが、得をしようが、あなた方の立場としては、こっちよりこっちの方がいいとなったら、これを国に返して、大蔵省に返して、あらためてこっちで予算をもらってやるのが成規の手続じゃないかと思うのですが、あなたの言う成規の手続とは、どういうことなんですか。

#94

○松本証人 まあこの土地の予算に関することは、ちょっと現地では――これは経理部長の所管でございますので、そのことが予算上どうとかこうとかということは、はっきりした答弁は私にはできかねるのでございますが、ただ、この評価につきましての御質問だったと思うのでございますが、評価が一方が高くて、一方は非常に安い……。

#95

○小川(豊)委員 私は、評価の方は、一億四千万円と五億だ、これはそれと関連して出てくる問題で、五億と五億の等価交換ということなら、一応こういう疑惑を持たないのですよ。一億四千万と五億のものを等価交換しているところにも問題があると思うのですが、それよりも今私がお聞きしているのは、成規の手続というのは、そういうものは、役所では等価交換すべきでない。こっちが要らなくなったから、こっちをやめて、こっちに移りたいという場合には、これは大蔵省に返して、そうしてあらためて予算をもらって、こっちが何十億しようと、こっちを買うのが、成規の手続ではないのか。あなたが成規の手続といっているのは、どういうことをやるのが成規の手続だか、私には理解できないから、お聞きしているのです。

#96

○松本証人 適当な答弁じゃないと思いますが、結局成規の手続と申しましたのは、さっき申し上げましたように、財務局が評価をし、それを法務省に上申手続をとったということで、きめられた手続でやったということなのでありますが、先ほどの御質問にありますように、一方を売って、売ったものは国庫の所有とし、それから買うものは、きちんと予算で買った方がいいのではないかということ、それも方法であると思います。それからまた交換するというのは、別に法規に反する――もちろん法規はそういうことができることに規定されておるのでございまして、その交換ということはできるわけであります。その交換が許されておるその道によってやった、こういういきさつでございます。

#97

○小川(豊)委員 とにかく私は、会計法から言えば、不要になったところは返還すべきだと思いますし、必要なものは予算をもって買うべきだ、これが成規であって、等価交換というものは便法であり得るかもしれませんけれども、それが法規に許されていますか。もし許されているとするならば、法規の何条によってそれは許されているわけですか。それから、こういう評価の違う土地も、等価交換してよろしいわけですか。そういうことまで許されていますか。どうなんです。

#98

○松本証人 条文は今ちょっと私も記憶いたしませんが、何でしたら、あとでまた調べてお知らせ申し上げてよろしゅうございます。もう一つは何でしたか……。

#99

○小川(豊)委員 私は、まだはっきりわかったわけじゃないんですよ。しかし、さっきの良島さん、細見さんのお話を聞いてみますと、片一方の土地は、一億七千万でも買い手がなくて、一億四千万ぐらいじゃないかと言われているんですね。もう片一方の土地は、ほんとうかうそかまだはっきりしませんが、五億だと言っている。そうすると、五億の土地と一億四千万の土地――坪数は問題じゃないんですよ。そういう土地まで、法規で許されているからといって等価交換にしてしまったら、これは大へんなことになってしまらんじゃないか。そういうことは、どういう条文に許されているのか、これをお聞きしているんです。

#100

○松本証人 等価交換でなければ決して交換してはならない、等価交換を原則としてやるんだということは、法規には別にあるわけではないんです。両方の評価をした結果が、等価交換をしたということになった、こういうことでございまして、実際の土地だけの評価を比較しますと、財務局の評価にいたしまして、天満の方が一億四千万円になる。それから都島の方は一億一千五百万円で、約二千五百万円の差があるわけであります。土地だけで交換すればそれだけ足らないわけなんですが、しかし、延原の工場敷地には、たくさんの建物があったのでございます。その建物の中には、これから拘置所を建てるのでございますが、そのまま利用できるれんが建の建物も何戸かありますので、これを新しく建てるよりも、それを利用する方が安いことは当然であります。それからなお、受刑者を出して工事をやらせるのでございますが、その工事をやる上に、あるいは工事を切りくずすための小屋が必要であるとか、あるいは工事事務所が必要であるとか、倉庫が必要であるとか、そういう建物は、何もなければ、どうせ新しい材料を買って建てなければならぬわけですし、そういうものは、もう工事をすればすぐ要るのでありますが、そういう建物は、たくさんの建物の中からよっていけば、あるわけであります。そういうものが、約三千坪以上だと思うのですけれども、建物を選びまして、そうして評価にかけた。その評価の結果が二千五百万円以上になりまして、結局土地評価ということよりも、その建物を入れたために、結果的には八十万円くらい延原の方の評価が上回るということになりまして、その分は切り捨てた、こういうことであります。

#101

○小川(豊)委員 そうすると、実は今までこの委員会でこの問題は二、三回やって、そうしてわれわれは今までいろんな参考人に聞いてみると、十億だと言う人もある。きょう初めて五億と言われたのですが、その当時、十億と聞いておる。それがあなたの答弁でいくと、今度延原という人の持っている土地よりも下がってしまった。そうしていろいろくっついているものを評価すると、どうやらとんとんになるからということで、全くこれは交換するために評価したとしかわれわれには考えられないのですがね。今までのどの参考人も、十億くらいの価値だ、こう言っておるのです。今あなたに初めて、それは一億四千万円を下回っておるのだということを聞いたのです。役人が鑑定しようとも、民間の人が鑑定しようとも、土地の評価というものが、そう大した面積の土地でないのに、三億も五億も六億も上がったり下がったりするという評価は、ないはずなのです。このところにわれわれは疑惑を持たざるを得ないのですが、この点もう一回答弁して下さい。

#102

○松本証人 評価のことにつきましては、私先ほど天満の方は一億四千万円と申し上げたのですが、この評価につきましては、先ほど申し上げましたように、国の評定機関である近畿財務局に、私どもの方が評価をお願いしたわけです。しかし、予算が若干ありましたので、参考のために安田信託の評価をとった。それで先ほど申し上げましたように、いろいろ手続をいたしまして、本省の認可を経てやったわけでございます。その後に至りまして、昭和三十一年四月でしたか、参議院の法務委員会でこの交換の問題が取り上げられまして、地元に都島区民の反対期成同盟というのがあったのですが、その反対期成同盟が、やはり同じような問題を参議院の法務委員会に持ち出された。それで、そのときに反対期成同盟が、大阪の鑑定協会――鑑定する人ばかりの集まりがありますが、その鑑定協会という名前で、天満の土地が二億三千六百万円する、それを安く評価をしているじゃないかという、地元の鑑定協会の評価をつけまして、参議院に持ち込んで、非常に論議されたことがあるのであります。私どもの方は、これを一億四千万円ということに評価をしておる。ところが、鑑定協会は、これを二億三千六百万円と言う。これは、実はびっくりしたわけであります。そんな高い評価を実は初めて見たわけなので、それで、もしこういうことになっておるとすれば、私どもとしてもこれは考えなくちゃならぬということで、当時、特に本省から予算をもらいまして、さっきもちょっと出ましたが、関係ある銀行、信託会社に、一つどういうふうに見るべきであるかということで、いろいろ参考のために、各銀行、信託会社の鑑定をとってみたのでございます。それが勧業銀行、勧業不動産、三菱信託、三和銀行、住友信託というのでございますけれども、多少みな見方が違いますから、差はございますけれども、大体財務局の評価がはなはだしく不当であるという線は、出なかったように考えておるわけであります。

#103

○小川(豊)委員 そこに書類があるようですけれども、三菱信託だとかなんとか、評価した金額を順次読んで下さい。
 それからもう一点は、あなたの方で評価を頼むについて、この事情というものは、依頼する方に話しませんでしたか。この土地は、天満の土地は幾らあるんだという評価だけでしたか。それとも、これは今度交換するんだ。こっちの方は一億幾らだけれどもというような事情は、その方へてんで話しませんでしたか。評価を依頼する方へ、こちらと延原さんの方の土地と交換の問題があるんで、これは率直にいえば、これとこっちはくっつけなければ困るというような、そこまで言ったか言わないかは別として、そういうことまで事情を話して評価を依頼したのであるか、ただまっとうに評価を依頼したのか、それはどうですか。

#104

○松本証人 それはもう安田信託のが一番早かったわけであります。これは三十年十二月でしたか、これはもう全然別個に、一つこの土地とこの土地とをやってみてくれということで、交換とかなんとかいうことは何にもございません。ただ、その翌年の三十一年にいきまして、国会の論議になりましたのが、これは新聞に載りましたから、都島の土地と天満の土地とが問題になったということは、関係者の人たちも知っておったと思いますので、これはやはり天満と都島の土地との問題で依頼があったということを承知の上であったのではないかと思います。

#105

○田中(彰)委員 あなたが何とおっしゃっても、ここにこれだけむずかしい問題を、今あなたはあの手続、この手続と言われるが、その手続から見ましても、とにかくあなたは、一週間しかないんだ。この一週間でこれだけのものができますか。わずか一週間でもって、その中に日曜も土曜も入るんだが、天満の一万一千坪からの鑑定と、あの一万九千坪の土地の鑑定と、今あなたの言われた手続が、一週間でできますか。これは押しつけたということは、わかるじゃないですか。しかも、今国有財産を評価するのに、そういうちゃんとりっぱな基準があるんです。大蔵省も、それによってやっておるんです。あなたの方だけ、同じ政府の国有地をするのに、そういう簡便な方法でやって、おかしいじゃないですか。
 それから今あなたがその土地を一億何千万に評価したとかなんとか言われますけれども、それが一番値打があるということは、上野君が、その当時何千万という金を出して、その金を投げて、それでこの土地を二億三千万で売ってくれるなら、自分がその金を投げてももうかるからといって、二億三千万円で売ってくれという契約をしているんじゃないですか。何千万という仮処分の金を使っても、二億三千万で売ってくれ、けっこうでございます、まだ一億円つけてもいいと言っているじゃないか。だから、それだけの値打があるはずです。しかも、延原さんの方では、あなた方が努力しても売らないで抱いておる。だから、ちゃんと鑑定させれば、その土地というものが相当の土地であるということがわかれば、あなた方背任罪になるんですよ。刑事局長からみんな、刑務所行きですよ。おかしいじゃないですか。上野が、二億三千万で――五千万も金を使っても、二億三千万で売ってもらえばけっこうでございますと書いているわけです。その土地が一億五千万か七千万でないということが一つ。それと、今のあなたの方の正式な手続によって鑑定するのは、日曜、土曜入れて一週間でそんな大きなことができないということが一つ。それから鑑定の標準があるのを、利用していないということが一つ。そうして国有財産を安く売っている。背任じゃないですか。人を処分して、悔悟させる刑務所長のそのあなたが、そういう刑務所へ行くようなことをしている。
 それからもう一つ、この二人は、当時あなたの言うように、一億四千万と一億円の両方の交換ならば、だれがその土地を二億も三億も出して買って、そうしてあなた方の手足のごとくに動いて、頭を下げて努力しますか。何千万円という金を出して努力するのには、この土地を交換して、天満の土地を売ってもらえば、これを売れば相当の利益が上がるから、何億という金を出して努力するんじゃないですか。あなたの言うように、交換して同じくらいだったら、だれが努力しますか。
 それからもう一つ、あなたに最後に、あなたがそうやって逃げられるならお尋ねするが、何も土地を交換しないで、天満に刑務所をお建てになったらいいじゃないですか。どうして天満に建てなかったのですか。それをお尋ねします。

#106

○松本証人 天満に拘置所を建てられなかった理由につきましては、この土地は、私ども着任する前に、昭和二十七年度の予算でたしか買ったと思うのですが、最初は拘置所をそこに移転したいということであったのでございますが、地元の非常な反対に会いまして、そして市会でもこれを取り上げまして、二回まで反対している。さらに、衆参両法務委員会からも現地に調査がございまして、その結果、天満の土地は妥当じゃないんじゃないかというような結論が出ました。そういう関係から拘置所の建設が行き悩んでおるという、一応そういう事情でございます。

#107

○田中(彰)委員 そんなに刑務所を建ててもらっては困るといって運動する、町が発展して地価が上がって、そういうものを持ってこられたのでは困るということは、その土地がいいということじゃないですか。片方は、刑務所を建ててもらってもいいということは、土地が悪いということじゃないですか。おかしいじゃないですか。一万一千坪に建てていいじゃないか。そこへ建ててくれては困るといって、市も騒ぎ、府も騒ぎ、近所も騒ぐ、あの大きな騒ぎを起こすというのは、土地の値打がよくて、繁華な土地だから、刑務所を建ててもらっては因る。通例としては、やはり不便な、あまり発展しないところへ建てるのです。だから、都島なんか、一億六千万円でも買手のないところへ持っていったじゃないですか。そのかわり、今あなたが、あそこに建物があったとか、れんがのなにがあったとかいいますけれども、あそこにいろいろな工場の基礎があったために、そのコンクリートのあれをこわしたりするために、刑務所の人間を一日百円かそこらで使っている。その金額をごらんなさい。ちゃんと出ている。そんなものは何の金になったのですか。国家に損害をかけただけじゃないですか。あれを普通の人間を働かせて刑務所を建てていったら、もうつぶれている。囚人を一日百円くらいでどんどん強制的に使ったから――それでもこれだけの金がかかっているじゃないですか。
 もう一つ、その土地が絶対に安くないということは、銀行なんてものは、そんなに金を貸すものじゃないのです。しかも、土地は取りかえた。取りかえた土地に、片方の土地についた同じ担保をつけている。それから銀行では、やはりこれに対しては一億円以上の金を貸しているじゃないですか。銀行が一億円以上の金を貸すということは、今支払ったものもございますけれども、当時一億円以上の金を貸している銀行が、一億円以上の担保を抜くということは、少なくとも三億からの土地がなければ抜きません。こういう証拠が全部出ている。あなた、拘置所長ですよ。しかも、良島君が五百万の手金を入れて、そうしてあなたと会って、その土地を買ってくれ、頼むぞ、貸してくれということになっておったのを、その問題については、本省から、良島というのはやみ取引か何かで六カ月の刑を受けたことがあるから、そんな者とは取引してはいかぬといって電話がきたから、あなたは良島に断わった。人の過去をそれだけ責める人が、これなんか、刑事課長もおられるが、おかしいと思う。人間は悪いことをしても、刑を終えてくれば、それを悔悟させ、りっぱな者に仕込むために、多くの国民がみんな働いて、つめの上で火をたくような金をちゃんと税金で納めて、そうして人間を悔悟させるだけの施設をして、そうして悔悟させておる。しかも、拘置所長は、それに対して協力しておる。それが、君は、その当時、もう終えてりっぱな仕事をしている人だ。しかも、あなたに頼まれて五百万の金を立てかえられている人だ。五百万円の金を出して、そうしてあとの金を出すために努力してやっておるのに、それをただ一言のもとに断わった。それはそういう事件があったからだ。そうしたら、あなたが直接取引した延原観太郎という人は、どういう人か。隠退蔵、脱税、その他あらゆるものを――これは今出すが、これは運んだ運転手までわかっておる。そういうような脱税をしろ  −たとえば細見さんに物を売るときに、税金がきたら脱税するから、お前責任を負えと言うような、これは犯罪行為じゃないですか。しかも、国の財産を何十億とごまかしている。この隠退蔵物資をごまかしている人間です。その人間とあなたは取引をして、国に大きな損害をかける。今裁判所が、この土地は良島から引き継いだ上野に権利があるものである、刑務所の土地を取っておるその権利のあるものを、いきなり黙って交換したが、その交換された土地はやはり上野のものであるということを認めて、仮処分を許した。あの当時は、あなたも、今うそを言われるように、ほんとうの法律を知っておらない。ここに刑事課長がおられるけれども、よくお帰りになって、民法の大家と相談されればわかる。それはなぜかというと、契約はしたのですよ。手金は五百万入れた。あとの金は持っていったけれども、向こうが会わない。ところが、あとの金ができなくても、手金というものは、その日に残金を持っていかぬから没収するということはない。民法において、その権利は許されている。しかし、売買契約を破棄するのは、少なくとも昭和三十年の金で五百万くらいかけたからには、破棄するには、お前はいつ幾日までに残金を持ってこないから、その手金は没収する、いつ幾日まで期間を置くから、その期間のうちに残金を持ってこなければ契約を無効にするぞという、予告のものがあるはずです。われわれの生きている社会に、死刑の執行でも、三日、四日なら延ばせる。あなたは、刑務所長だから、刑の執行も延ばせる。裁判所の呼び出しだろうが何だろうが、その理由があれば、全部五日や六日延ばせる。しかるに良島が、前にそういう事件があって、出てからまじめにやっているその者に、因縁をつけて五百万円を――そういう人たちを戒護してりっぱな人にするために、国家が税金でいろいろな機関を作っておるにかかわらず、それをたたきこわして五百万の損害を与えて、そうして権利の無効になっておらないものを、延原のごとき脱税をし、隠退蔵物資をごまかし、人に暴行を加え、あらゆる犯罪行為を行なっておる人と組んで、その権利のある土地を交換して、国に迷惑をかけている。上野がもし訴訟に勝って、交換した土地は要りません、刑務所のある土地を返して、下さいと言ったら、あなた方は、刑務所をたたきこわして、もと通りにして返すのですか。もと通りに返されますか。大阪の土地を取ってくれれば幸いだが、要らない、もとの土地を下さいと言われたら、どうする。つながりがあって、権利があるから許している。私がこの仮処分を入れたときに、私は裁判所で人を通じて聞いている。どうして許した。それはつながりがあることは事実だ。上野が、法務省の役人と拘置所長と管区長、福山総務部長にだまされたということは事実なんです。上野なんか、別に大きな資産家じゃない。高利の金まで借りてやると言ったことは事実だ。もう一つは、刑務所とか法務省の幹部は、五百万の手金というものが、あと残金を持っていかないから、それで契約が無効になっておると思っておるが、売買契約は、そんなことじゃ無効になりません。手金をそこで取ってしまうことが許される。売買契約は、そんなものじゃありませんよ。しかも、どこからかちゃんと金を持っていったが、相手が会わない。相手が承諾しない。承諾しないのは、その前にあなた方と約束して、もうあんな良島はだめだから、お前の方を買おうじゃないかという約束があったからだ。それはあそこに勤めている人が言っている。そうしてそういう悪人と拘置所長、刑事課長、日本の法務省の幹部と組んで、五百万の手金を取って、そうして民法に保障されている権利を無視さして、自分たちは勝手なことをする、こういう結果になる。あなたは、この延原がりっぱなものだと言うのだが、刑事課長もおられるが、ここで、延原はこれだけ悪いことをしている。これは時効になっておるものもあるし、時効になっておらぬものもある。時効になっておらぬものは、もちろん逮捕だ。逮捕にならぬでも、国家がこの間知った。これは民事の公式によって、延原の財産は押えられる。延原はこういうことをやっている。毛布が十五枚入りで八包み、これは寝屋川倉庫、ここから海軍用毛布と思われるが、これを森田運転手が運搬してやみで売っておる。それから毛布十五枚入り十包み、洋服生地が二十着分二包み、これも売っておる。白米が二十俵、これも売っておる。電線、鉄板、銅板、くぎ、ベルト、トラックに約十台、これは海軍から委託された物資、これを森田運転手がやはり運び出して売っておる。みな日が書いてある。それからくぎ二十たる、大豆四俵半、背のう十二個、ゴムぐつ二十八足、毛布十六枚、夜具二十一枚、これも売っておる。木箱入り工具四十四箱、かます入れ六十八俵、アワかます二十二俵、大豆アンペラ九俵、炭六十六俵、シャベル二百三十五本、鉄八番線四巻、電線九十七束、アワ九俵、シャツ三十着入り二十個、木材、セメント、大豆、その他米、木綿衣類、シャツ、服生地、これはトラック七、八台売っている。こういうものを全部売って運んでおる。そのほかに、まだ三万坪の土地を今借りて、そこに大きな倉庫を建てている。その中に海軍が使った旋盤の長いもの、一ぱい機械を積んであるのを押えた。けさ私の方でなにして、今晩の夜行で行って調べてやる。そういう悪党ぶりをやっている。そのほかに脱税した書類を――これは私は委員長に頼むが、この犯罪、これを調べたら、この人をさっそく呼び出してもらいたい。今の財務局の調べた何とかいう人がありましたね。これをさっそく呼び出して調べてもらいたい。それから今言う通り、隠退蔵物資については、総務課長に私の方から明細に出して、証人をつけて交換します。これは時効になっているものと、なっておらぬものとありますから、さっそく取り調べてもらいたい。あなたの方が、そういう者と組んでそういうことをやったとしたら、一体どうする。所長、管区長を呼びつけ――管区長はやめているそうだが、この事件が起きたからといってやめぬでもいいじゃないか。延原の罪状は、この通りだ。委員長、ぜひ一つ大阪の管財局の調べた、土地を評価したという人を呼んで調べてもらいたい。一週間でこれだけの調査ができるかできないか。それから鑑定人を頼んだ人を全部証人に呼んでもらいたい。それからもう一つ、新たにこれを鑑定する鑑定人を、これをつけて委員会で調査してもらいたい。その当時の土地が、どこが幾らだったか、これがどれだけあったのか、現在幾らか。あなたが今、建物が建っていたとか、れんがのものがあるとか言われたが、それをこわすために、非常に莫大な金がかかっている。それだのに、きょう良島証人から、先ほど廊下で聞いたのだ。これも取り調べてくれないかと言った。それはできないからといって断わったけれども、この事件を通じて、竹内刑事局長の友だちが良島君の土地の権利書を持っていて、京都の警察が引っぱろうとしても、刑事局長が、おれの友人だからと言って引っぱっていけないということを言っている。上野だって、仮処分を取り消すときには、りっぱな検事正が証明書をつけている。りっぱな人が、そういうことをやっている。国有地をめちゃくちゃにして、大事な国有地にこういう因縁のつくようなことをして、あなたがそういうことを言うのはおかしい。あの土地が、少なくとも都島の土地よりよかったということは、上野が、その当時、五千万円かかったものを投げても、二億三千万円でけっこうでございますと言って、片一方を二人が買おうと言ったのも、もうかると思ったから飛んで歩く。もうけのないものにだれがやりますか。あなたの考えでは、両方とも五分々々で違わぬという。違わぬものに一億何ぼの金を貸すか。銀行が一億何ぼ貸しておる。しかも、交換してから貸した。もとから貸しておったのではない。一億何ぼの金を貸すには、三億や四億の値打がなければ、貸しません。もう一つ重大なことは、仮処分を許すようなつながりのある国有地を、あなた方が勝手に、評価も規定通りやらず、いろいろな手続もしないで、そうして料理屋あたりで、飲んで食って、泊まって、居続けでマージャンして、釣をする。法務省の役人が、刑務所長や管区長が、そんなところに三日も四日も居続けをして飲んだりすることが、一体できるのか、そういうようなことをやって、こういう事件を起こして、国家に対して一体どう考えているのですか。あなた、それで何ともないと思っているのか。おれは正しいことをした、りっぱなことをしたと思っていられるのか。もしそれなら、仮処分をしたところのあの裁判官は、民事を知らない人じゃないか。人の土地を、幾ら保証金を積もうとも、関係のない、権利のない土地を処分したということになれば、これは重大な問題だ。関係がある、つながりがある。それでもわれわれは、おかしいから、弁護士を通じて、あなたがあの前の刑務所の建っている土地を処分されるならいいが、この土地を処分されるのはおかしいじゃないか、交換した土地じゃないか。とんでもないことだ、それはりっぱなつながりを持っている。五百万の手金をとったといえども、手金は民事で没収できるかもしれないけれども、売買契約というものは、ちゃんと予告期間を置いて、そうしてしなければならない。それなのに、上野を仮処分する前に調べたら、これは人にだまされたということがわかった。しかも、良島の方では、期日にちゃんと金を持ってきている。それを、支配人に会っただけで、もうあなた方は、契約ができたから会わないと帰している。法務省の刑務所長、刑事局長、検事正、そういう人たちが入ってこういう事件を起こして、社会にそういうものをやるということは、私は重大な問題だと思う。刑事課長がここにおられるが、いかなる政治家でも、いかなる者でも、ほとんどあなたが遠慮なくお取り調べになったはずだ。延原観太郎に法務省が関係しているから、この事件がこれだけ放任されたということはおかしい。刑事課長がこれを正式に全部して、もしここに脱税があったり、そういう隠退蔵物資の窃盗罪があったり、法務省が高く売れる土地を故意に安く売ったという背任が起きたとしたら、これに対してどうされますか。一つ刑事課長の責任ある御答弁を私はお聞きしたい。

#108

○荒舩委員長 先ほど田中君から、証人及び参考人の発言がありました。これは手続が要りますから、当委員会といたしましては、理事会及び委員会を開きまして、適当な処置をとることにいたします。そしてあなたに正当な御返事を申し上げます。

#109

○河井説明員 きょうは、竹内刑事局長が他の委員会にどうしても出席を求められておりますので、私がかわって参った次第でございます。
 先ほど来の田中委員のお尋ね、それから私の方の松本大阪拘置所長の答弁等で、私の承知いたしております点を多少補足して御説明申し上げますと、まず第一に、本件の土地の売買というものは、一体いつ、だれと、どのようにして行なわれたかという点が、必ずしも明確になっていないのでございます。先ほど来のお尋ねの中には、良島という人がこの土地の交換の当事者であるような趣旨のお尋ねがしばしばあったのでございますが、これは昭和三十年十月二十二日、大阪拘置所長松本貞男から出しております、細見育一に対する「右各項の条件の履行を前提として申請に応ずる用意あり」という書面を見ていただきますとわかるのでございますが、本件については、細見と松本との間におけるいわゆる契約である。その契約の内容が何であるか、これは当事者の意思によって解釈されるのでございますが、ここに書かれておる文言は、細見がこの都島の土地を手に入れましたならば、今度は法務省が天満の土地と交換するということについて、大阪拘置所長である松本が、これに対して協力しよう、申請に応ずる用意ありというのは、法務省が交換の契約をするということについて私は協力して上げよう、こういう趣旨の契約であると、私はさように解釈いたしております。先ほど来お話が出ましたように、国が契約いたしますのに、話があったからというので、すぐ拘置所長が相手方と契約するというようなことはもちろんできない。いわんや鑑定とかその他の手続が必要なのでございまして、この契約の内容を見ますと、どこまでもさように理解すべきものであろう、私はさように考えます。
 そこでその後において、それでは一体良島という人が松本拘置所長と契約の当事者になったことがあるのかどうか、この点については、私の承知いたしておる範囲では、さような事実はございません。ただ良島という人が、細見ではできないから、私がかわってこの土地を取得して、手に入れて交換したいと思うから、一つそのことを承認してくれということを、松本所長のところへ申し出たことがある。しかし、松本所長は、それに対して断わっておるという事実が明らかになっておるのでございます。従いまして、良島氏が手付を打ったとか、延原観太郎という人とどういう約束をしたとかいうことは、法務省の一切関知しないところである。さようなことは、また交換に応ずる契約の当事者である一方が、方がどのような工作をし、どのような金策をして来たかというようなことは、普通の取引におきましては、全く関係ないことである、私どもはさように考えておるのであります。
 第三に、田中委員先ほど御指摘のような、いろいろな不正がもしありといたしますならば、もちろんさような点については、徹底的な捜査をすること、延原観太郎の事実につきましても、その他につきましても、もしありますれば、事案の真相を究明することは、検察庁の責任でございますから、これは徹底的にその職責を尽くすことは当然でございます。はっきりと申し上げておきます。

#110

○田中(彰)委員 刑事課長、あなたそういうことをおっしゃいますが、良島なるものとそれから管区長、それから今ここにおられる所長、それからその他に数人の相当な関係者が入って、そうして良島に、お前頼む、こうしろ、ああしろ、良島がいやだと言うやつをわざわざ追いかけて行って、自動車でもって迎えに行ったりして、そうして拘置所へ連れて行って、そうして良島に依頼した。しかも、断わるといっても、わざわざ所長及び管区長が行って断わっているところを見ると、あなたがおっしゃるように、関係のない民間人、しかも、何かあったから、そういうものからお前取引してはいけないといって拒否される民間人に対して、私はそういうことはおかしいと思う。あなたは、こういうことについて、ここへ初めておいでになったんだから、下の者の言うことだけを聞いておられるから、委員長、一つ私からお願いしますが、良島君に、そういう関係があったのか、書類の取引があったかないか。ここで良島証人から言わしてもらいたい。

#111

○良島証人 大体この問題については、私はいやでいやでしょうがなかったのです。それをしきりに頼むし、法務省としては予算を組んでおるから、これが天理教から出ないとなれば、自分たちの身分にも関係するのだし、大へんなことだからぜひ頼む、こうしきりに言うてくるものですから、私は、両方の土地を見たこともなければ、大体においてアウト・ラインの程度しかわからないにもかかわらず、十四日に大阪へ来まして、それから堺の刑務所に来てくれというので、堺の刑務所までわざわざ連れていかれました。なるほど、お歴々のりっぱな人がそろっておりました。それで私は商人だから、もうかるからやるんだ。だけれども、両方調べた上でそうしてあげたいと思う。年末に二億三千万の金を作るのは容易じゃないから、何とか両方調べて考えてみようというて、新大阪ホテルへ来ましたら、もうその口のうちから、契約してくれましたか、契約はいつしてくれますか、拘置所からまるっきり一日に……。

#112

○田中(彰)委員 それはだれが言っているの。

#113

○良島証人 福山氏から新大阪ホテルへ電話がかかってくるのです。うるさいほど電話がかかってしようがないから、一応両方調べた上でどうにかしよう、延原という人にも会うたことがないのだから、一応会うてみよう。それで別に手金五百万円持っていくというつもりもなく、ちょうど五百万持っておりました。宝塚の土地が四百五十万円で売りものがあるというから、そんならそれを買おうと思って用意していたんだが、そうとう延原のところへ行って、勢いの行きづくでその五百万円を払わざるを得なくなっちまった。ところが、細見氏と拘置所との今の契約に対して、中にちょっとふにおちない点があるものですから――(ハ)というところです。それは私ではだめだから、大阪の武田という弁護士――関大の教授ですよ。その人にわざわざ行ってもらいまして、この(ハ)に対してはどうなんだ。これは両方の値段が違ったときにはどうなるんだ。それでもしこちらがもうかったときには、その金をはき出すのだったら、僕はごめんこうむるよ。そうしたら、それは交換でよろしい。それではその証書をもらって下さいというので、その証書は、武田さんが私に証明書を出してくれました。と同時に、それは拘置所からも、その証明書をもらってあるわけです。ですから、今さら関係がなかったとかあったとか、そういうことはちょっと――それだから検事局というのは信用できないというのは、そこなんです。そういうわけです。

#114

○田中(彰)委員 そこであなたが関大の教授を連れていったときに、だれと会いましたか。

#115

○良島証人 所長さん……。

#116

○田中(彰)委員 拘置所長ですか。

#117

○良島証人 武田さんは、所長にも、福山氏にも、それから管区長にも会うておられるわけです。

#118

○田中(彰)委員 そのとき、この売買の話その他をしましたか、あなたが細見さんから引き継いで。そのときにあなたが中に入って、拘置所の人と売買のことについていろいろ話をしましたか、関大の教授の前で。

#119

○良島証人 ええ。

#120

○田中(彰)委員 どういう話をしましたか。

#121

○良島証人 良島の言うておることは、こういうことを良島は懸念しているんだ。東京から来て、大阪の土地問題はわからないし、唐突のことだからわからぬから、こういう契約のときには、(ハ)の部分があって、それはそのときによって相談するとか何とかいうようになっているが、これはどうなるんだと言うたら、幾らもうけてもかまわないんだ。決して自分たちの方が、もうけたからといって、その金の返還を請求しないんだ、こういう意味のことを所長さんが話をしました。それでは、その通り自分は証明書を出しますというので、武田さんは証明書を私のところに書いて出してあります。それからあくまで一対一の交換であって、その間に金銭のやりとりはない、こういうのが書いてあるはずです。

#122

○田中(彰)委員 今河井刑事課長の言われたことは、重大なことがあるのだ。武田さんからの証明書もここに出ていますが、その武田という人を、一つこの次に証人に呼んでもらいたい。刑事課長もここにおられる。刑事課長にそういう売買の話をしたということは、あなたの部下がみんなあなた方をだましてこれをやっているということで、これは重大な問題です。そのときに刑事課長も来てもらって、それで一つ証人に呼んでもらいたい。

#123

○荒舩委員長 何という人ですか。

#124

○良島証人 武田という弁護士です。関大の教授で弁護士。

#125

○河井説明員 武田蔵之助です。

#126

○田中(彰)委員 その武田氏を一つ呼んで下さい。

#127

○河井説明員 今良島証人の言われた中で、もし良島証人が言われたような趣旨でありますならば、それでは一体この昭和三十年十一月二十一日――田中委員重大な証言とおっしゃった、たしかこれだと思うのですが、取換書というのを何のために作ってあるか。法務省が良島証人に対して、お前土地の交換の相手方になって早く契約してくれというふうなことをもし申すならば、ここで取換書というのを作る必要は、私は毛頭なかろうと思う。それはなぜかと申しますと、この取換書というのは、法務省と細見証人との間に、従来この問題の土地の交換について約束が行なわれておった。その細見証人の地位を良島証人が引き継ぐという取換書なのです。要するに細見証人が権利者であるものを、わざわざ良島証人がとってかわって、今度は自分が身がわりになって法務省とこの土地の取りかえについて交渉をするという取換書というのが、ここにあるわけなのです。その立会人になっておるのが、武田蔵之助教授である。こういうことなのですから、もし良島証人が言うように、法務省が頭を下げて、あなたはこの土地を買って、法務省の方の天満の土地とかえて下さいということを頼んでおるくらいなら、こんな取換書をわざわざ細見証人と良島証人との間で取りかわして、自分が細見証人の地位になりかわって法務省側に交渉してくるということは、何も必要ないわけなのです。これは、もう少し補足して御説明いたしますと、法務省におきましては、個人の土地のブローカー等から地所を買うということは、問題が起きるから工合が悪い。そこで細見証人から、個人から買うのは工合が悪い。この方がたまたま天理教の信者であり、天理教でこの土地を取得するということであるから、そういう宗教団体から申し入れがあって交換するということなら、これはいいじゃないかということで始まった話であるというふうに私は聞いております。従いまして、もし細見証人がこの取引ができないというならば、土地のブローカーである良島証人が、幾らそんなものを持ち出してきたって、法務省としては応じない。こういうことであって、その点が非常に話の行き違いがあると同時に、この物的証拠の書面の記載によりましても、良島証人の証言というのは、私は信用しがたい。さように考えるのであります。

#128

○田中(彰)委員 それは刑事課長としてはちょっとおもしろいことをおっしゃるんだが、細見は土地持ちじゃありませんよ。今あなたはブローカーとか、そういう中に入った人からは買わないのだと言う。それでは細見とこの話をしたときには、細見は土地も持っておらない。この土地は延原観太郎のものだ。私がそれを買い取って、そうしてこれを交換しましょうと――それだから、今あなたのおっしゃったように、この方もブローカーかもしれない。良島さんもブローカーかもしれない。直接の地主でないということは、ちゃんとあなたの方と取りかわした書類がここにある。それからまた、武田氏が、今言ったように交換書に、その書類にだけ判を押したなら――少なくとも関大の教授をしている弁護士が、良島さんとあなた方のところで会って、それじゃ良島君頼む、こうしてくれという話をしているということを、彼がこの証人台で発表すれば、あなたの言うことが違っているわけだ。そこで、私がこの前の小委員会で細見さんから聞いたことと、だいぶ違うんです。細見証人から、この土地の成り行きを一つ委員長、話させていただきたい。

#129

○細見証人 先ほどうしろの課長さんがおっしゃって、私が相手で会うならば納得でき得るが、良島さんなるがゆえに納得できないというような趣旨のように、私には聞き取れましたが、しからば、私が非常にちゃんちゃらおかしく感じたことは、良島さんが五百万円を打ってこられたときに、この通りに五百万円支払ってきましたというお話のときは、ほとんど夕景でありましたが、松本拘置所長さん、福山総務部長さんなりは、お世話さんでした、しからば、残額の方も良島さん、よく頼みますよと言われたわけです。なお、実は京都の方から、あとの四千五百万円は現金で延原が要求してあるから、この年末危険時に際して輸送するので、実は心配しておるんだと申しましたら、しからば、大阪拘置所の方で柔道の有段者を十数人選抜して、現金を輸送される日には護衛してあげましょうというて約束して、約束の日は違わないか、違わないかということを、総務部長さんからも非常に督促を受けたわけであります。うしろの課長さんはおっしゃるけれども、かくのごとく協力者ばかりで、事実良島の肩がわりを認めておる、私はかく信じております。

#130

○田中(彰)委員 今のその話をしたときに、所長さんとだれがおったですか。

#131

○細見証人 夕刻でありましたので、延原に五百万円入れてきて自動車で一同が帰りますときには夕景で、良島さんは新大阪ホテルにお泊まりになっておったが、時間がおそくなっては悪いというので、何かの書類関係か、財布か知らぬけれども、とりに一人自動車の中から使いをホテルの中に入れられて、私と良島さん、前田養一、室川――室川と申しますのはここでは初めてでありますが、この問題にからまって家も売り、九州落ちもしておりますが、室川君、前田養一と一緒に、良島さんはホテルに入らずに、その足で拘置所に参られた。夕景でしたが、松本拘置所長さんと福山総務部長さんが、まだ拘置所にいらっしゃいました。それで、鈴木管区長は晩のために庁舎に不在だから、きょうのところは私からよく伝えようと、松木拘置所長さん、福山部長さんが話されて、その翌日、そのまた翌日というような工合に、一対一の交換書をもらうということで約束せられた関係で、五百万円を納められた翌日なりその翌日、私が拘置所の方に行きますし、前田養一も行きますというような工合で、五百万円納められたときには、松本拘置所長さんと福山総務部長さんとでありました。

#132

○田中(彰)委員 私は、細見証人にちょっと尋ねますが、この前、福山総務部長にここに来ていただいて、いろいろお聞きした。この所長さんも非常にうそは上手だが、とんでもないうそがうまいように聞こえたのです。われわれが聞いておる福山という総務部長と、ここへ来た人は違う。実際に大阪へ行って調べてみても、不思議なんです。あの人の人物というものは知っておりますか。一体どういう人なんですか。あなたはだいぶ長く四、五回お会いになったでしょう。りっぱな、うそを言わない人なのか、ちょっとここであなた、話せないですか。

#133

○細見証人 私は、三回出会った、五回出会ったではありません。九月ころからほとんど毎日というくらいにお出会いしておりますので、検察庁とか、そういうお取り締まりになるような、人を見る目ということの商売でございませんですが、この前参考人として、福山総務部長さんの左側に私がすわっておったわけでありますが、田中小委員長さんから、かなり追及を受けられて、しどろもどろのような工合であった態度というのは、当時田中さんからも、水ばかり飲んで、君だけじゃないかとおっしゃったことを思い出すと、その左側の足のズボンがこまかに微動しておりましたのは、うそを言おうとすると苦しかろうなど、私はそれをながめたようなわけだったのですが、はだざわりは商売人でも及ばぬくらいな物腰で、利益のあるとき、自分の何か目的をやろうというときにはいたしますが――ということは、これは失礼に当たるかもわかりませんが、余談のようになりますが、大阪府立の羽曳野病院の三千五、六百人分の米以外の食料品の御用達を私は一年余りやったこともありますので、食料品の値段のことは、中央市場へ出入りしました関係で、かなりその当時は敏感であり、よく相場がわかったわけでありまして、拘置所前の差し入れ屋さんのところに行ってみましたら、市価が五円する程度のもので、まずこれは中央市場あたりでスルメ一枚が五円ほどの時価で出るものが、小売店でまず八円から高いところで十円という値段になって出ておりますが、私が三軒なり四軒あります差し入れ屋のある一軒で、このスルメは幾らですかと聞いたら、十五円、結局五円のものが三倍に折れて曲がった。それで私は、気の非常に弱いところもありますので、こういう拘置所とか刑務所に入ってくる人は、性質上のことはもちろんだが、生活上の非常に困窮者が多いことじゃが、これは一般人間でさえも十円以内で買うておるものを、ここへ入ったら帰ってこられぬ者に、十五円で売りつけるということはかわいそうじゃ、私はかくのごとく思いましたので、ある機会に福山総務部長さんに、べらぼうに折れて曲がって三倍ほどになっておるのですが、あれをもっと安くできませんか、こう申し上げたら、ここへ来るやつは取ってやったらいいんだ、こうおっしゃったことを一つ記憶して、何と激しい気性をなさっておるなということを思いました。それから、ある日の午後から松本拘置所長が、自家用車にマージャン台や釣ざおを積まれて羽衣荘へ行かれるとき、細見が同乗して、堺刑務所へ相談や打ち合わせに、松木所長、福山総務部長、細見の三人で二台の自動車で行き、その日の三、四日後に福山さんと堺刑務所から同乗して帰るとき、福山部長はまだ酒気を帯びておられて、堺からの帰りがけに、本問題において人の五人や七人血を見てもしようがないじゃないか、かくのごとくおっしゃったところから言うと、どういう性質じゃということは、もう申し上げるまでもなく、御推測を願ったらよかろうと思います。

#134

○田中(彰)委員 その五人や七人この問題で死んでもいいなんということは、延原の土地の交換問題ですか。

#135

○細見証人 はい、そうであります。

#136

○田中(彰)委員 あなたは、今良島君とのいろいろな関係のことをおっしゃったが、良島君には、拘置所長、管区長、福山総務部長、これらは、良島君を自動車でときどき送ったり迎えたりしたことがあるそうだが、そういうようなことをやって、手金を打ってきたときに、頼むといって、ほんとに良島君をあなたの代理の、かわった人と認めて話し合いがあったんですか。

#137

○細見証人 ありました。確かにありました。そんなことは、絶対にうそは言わせませんよ。もっとほかに証人をあげるんなら、三人が五人でもあげます。

#138

○田中(彰)委員 良島君、あなたは、この問題について今そういうことを言われているのだが、これに何か反駁するものがあったら、反駁したら……。君は関係ない、君に頼んだあれはないということだから。

#139

○良島証人 刑事局長は、どういうものですか、その後も私はある程度あきらめていたんですが、そういうことをやっていいのかなと、つくづく考えることがある。というのは、この問題について竹内さんの無二の親友と称する三浦正一というのが、窓口に、三百代言がいるのです。そして机を並べて常にやってきたんです。(田中(彰)委員「だれと」と呼ぶ)竹内さんと。法務省で全国検事援護会の会長とも言っておりますし、それから全法政振興会の会長とも言っております。そして、みんな、子分と称するごろつきが幾人もついております。それを知らないものですから、大阪に来て、全部まかさぬかと、こう言うから……。

#140

○田中(彰)委員 まかせるって、何をまかせるんですか。

#141

○良島証人 拘置所の問題をまかせないかと言うから、まかすとかまかさぬとかいうのじゃないが、しかし僕の金を、なま身の金を取って、あいさつもしないで、御苦労さん一つも言わずにしゃあしゃあとしているんだが、しかし、法務省というところはえらいところだよ、あれで一応法律の番人だというているんだから。だからおかしいんだという話をしたわけですよ。そうか、じゃ自分が行って話をするから、もらったら幾らかくれるかと言うから、もらったらやろうと、こう言うたら、費用出せと言うから、費用出すわけにいかぬと言うたら、とにかく二、三十万でいいからと言う。二、三十万だったら、僕は京都に土地家屋があるから、それを抵当にして、金を借りてみよう。それができたらあげようと言うたら、神戸の方で五百万円できたから、権利書と印鑑証明を貸してくれと言うたから、貸してやったら、それでぽっと逃げてしもうた。逃げてしもうてから調べたら、福江何がしという男に売ってしもうた。不都合なやつだということで調べようと思うたら、竹内さんが京都の検事局の検事正に懇切丁寧な添書をつけてやって、そして三浦という者が福江を告訴しているわけです、土地を横領したというので。福江を調べてみたところが、実に奇怪な話で、福江が一ぱいあべこべに食っているわけです。それを私が告訴するであろうことを予測して、自分が先に福江を告訴しているわけです。それはもちろん長い間、半年も七、八カ月もたってから不起訴になっているわけですが、とにかく不起訴になっているわけです。それから僕は、とても検事局ではだめだ。そうしたら何に頼もう。警察部に頼もうと言うて、現在警察部に頼んであるのです。全部調査して、そうしてからに、とても悪いやつだと言うたら、今度は三浦からの警察部に対する手紙には、竹内刑事局長は自分の無二の親友なんだ、良島というやつは悪いやつなんだ、自分はその件に対して五百万や千万使ったってかまやしないんだ、うそだと思うなら、竹内刑事局長に問い合わしてみろ、こういうことが公然と陳述書になって出ている。最初は、神経痛だから出られぬ、こういうなにが、今警察部に来ておるわけであります。京都府警の二課に……。

#142

○荒舩委員長 ちょっと待って下さい。良島証人に申し上げますが、先ほど河井説明員からの発言で、この土地の問題に対して、いわゆる大阪の拘置所から、良島証人は頼まれたことはないんだというような意味の発言があったように思う。あなたのいろいろのお話は、ずいぶん回りくどい話で、われわれ聞いてもちっともわからない話をされているのですが、その土地の問題について、依頼を受けたのか、受けないのかということを、ここで発表願うことがよろしいと思います。

#143

○良島証人 そのために、この土地もまるまる被害を受けております。

#144

○荒舩委員長 被害を受けている、いないじゃない。大阪の拘置所から、その地所の売買というのですか、それの取引について依頼を受けておるか、いないかという、そのことをここで発言を願いたい。

#145

○田中(彰)委員 委員長、今良島君が横へ話が飛んだのは、うしろにおる検事さんが――自分が依頼を受けたどころじゃない、いろいろの人を通じてこういうことを頼まれているのに、頼まぬようなことを言うから、検事局は信じられない。信じられない例としては、現在の刑事局長の――自分が土地を横領され、権利書を横領されておるのに、検事局に願ってもやってくれない。警察に頼んだら、竹内さんが添書をつけて、それを検挙してもらったら因る――土地その他が横領されて、一銭の金ももらえない。起訴もされておらぬ、検挙もしておらぬ、検事局とはこういういいかげんなものだということを、君、言ったわけでしょう。それはそれでいいよ。これは調べるからいい。

#146

○良島証人 書類はここに持ってきております。

#147

○田中(彰)委員 それよりも、君のうしろで、拘置所で君に頼んだこともない、君はただ一ブローカーであって、そういう者を相手にして国家は話はできなかったのだ、それで断わったということを言うんだが、君がそれを裏づけるには、自分が五百万円手金を打ったときはどうだったとか、どれだけ頼まれたとか、君が、よく自動車で迎えに来たとか、送られていったとか言うんだが、そういう話をしてごらんなさい。

#148

○良島証人 それは幾人でも証人がおりますことですし……。

#149

○田中(彰)委員 証人がおったら、証人の名前を言いなさい。その事情を言いなさいよ、事情を。

#150

○良島証人 最初私のところに持ってきたのは、細川というのと前田というのと、それからここにいる細見氏が来たのです。法務省なんぞにこんなことをやったって、なかなか容易なことじゃないし、官庁相手の仕事というものは、僕もさんざんやっているんだから、だめだ、いやだよと言った。ところが、今言う通り、予算が通過しているんだし、自分たちの首にもかかわるというので騒ぎしている最中だから――実際あなた以外に作ってくれる人はない。ここにきて二億三千万もの金を作るには、あなたに頼むよりしようがない。そうかもしれない。僕みたいなおっちょこちょいでなければ、こんなになってそういうことに首を突っ込むやつはないだろう。けれども、僕はいやだよと言うたら、ぜひ、一ぺん会ってくれればいいんだから、こう言うて、あまりにしつこく言うものだから、飛行機で、一切私がなにして、そうして拘置所に行ったら、きょうは堺の刑務所に武道大会があるから、そっちの方へ行ってもらいたいと言うから、拘置所の車で堺の刑務所に行ったわけです。行ったら、特別室に管区長、それから福山さん、所長さん、その他法務省のえらい人が三、四人もいるようでした。行ったら、実は天理教会ができないんだそうだ、私に作れと言うんだが、自分はまだ両方調べてみないんだし、はたしてその土地がもうかるものか、もうからぬものか、自分は商人だから、もうからなければやらないのだ。もうかるという見込みが立てばやってもいいのだ。だから、まだ調べもしていないのだ、こう言った。一刻も早く調べてもらいたい。ぜひお願いします。それだったら、私が肩がわりします。つまり細見氏の代行じゃない。肩がわりですよ。肩がわりします。私がかりに二億三千万円の金を作るにしても、人に出してやるのだったら、その金を出してくれと言っても、出してくれる人はいませんよ。自分が仕事をやるのだから金を出してくれというから金ができるのであって、細見氏に出してやるのだから金を都合してくれといっても、年末でもあり、出す人はいない。だから、自分が肩がわりするより仕方がない。肩がわりするについては、細見氏から全部譲り受けて、そして細見氏に適当なことをして――そうするよりほかにない。そうするには、拘置所が全部それを承認してくれなければ困るのだ。それが前提条件なんだ。ごそごそ裏で隠れた仕事をしたってだめなんだから、そうしなければ二億三千万円という金はできないんだから、友人関係にみんな電報を打って、うんと費用がかかる。それには十人で二億三千万の金を作るには、四、五千万かかる。金利も要る。費用も要る。そうして新大阪ホテルを八カ月、四部屋借りっぱなしでおった。そうして金利は、わずか十一月二十一日から十二月の三十日までに、あの当時の二億三千万の金ですから、大へんなものです。あらかたそれを作ったんですから、これは言わないでも、常識があったら、そんな、人のために作る人があるわけはないのじゃないですか。当然自分が――相手が承認しなければ、その金を作ろうとか、やりましょうという人間は、いないじゃありませんか。

#151

○田中(彰)委員 堺の刑務所で剣道大会をやっているときに、あなたが飛行機で東京から来た。そこへ行った。初め拘置所に行ったんだね。堺に行ったのは一人で行ったのか。だれと行ったのか。

#152

○良島証人 福山さんと、細川喜与見という大阪の竹中工務店の仕事をやっている人が一人と、それの部下が一人と、それから室川という人、これは天満の市場の人、それから細見さん、それだけだったと思います。

#153

○田中(彰)委員 細見証人に聞きますが、今良島さんの言った通りですか。そこに刑事課長がおるのだから、よく納得しなければならぬ。良島さんの言った通りなのか、違うのか、はっきり言ってもらいたい。

#154

○細見証人 事実であります。それの具体的な例としてなまなましく記憶して、おりますことは、私と室川と前田養一、細川喜与見、そして良島さんと参りまして、刑務所の応接間で――階段を上がっていったら、何か受刑者がこしらえたという焼きものなどがありましたが、それを左に曲がって突き当たりに応接間兼管区長さんの部屋のようなものがありまして、そこでカステラの上にフルーツのようなものが乗った菓子が各自一皿ずつ、レモンを入れたコーヒーが一ぱいずつ出ました。かくのごとく具体的に申しますと、頼まれもせぬ、何もへっちゃくれもないという人には、私らは礼儀として茶一ぱいもくまぬのが普通ですが、歓待の意味がそこに具体的にこもっておるわけであります。何も言葉をかざる必要もなければ、歓待して、頼みますよ、――そこで酒を出すわけにはいきません。だから、礼遇のでき得る最高のものをせられておるわけなんですから、間違いありません。頼まれておる証拠になっておる。

#155

○荒舩委員長 ちょっと待って下さい。私から良島証人にお尋ねしますが、何か大阪拘置所から土地の問題で頼まれたという証拠書類等のものか、あるいは証拠になるようなものがござ、いますか。

#156

○良島証人 ありません。

#157

○荒舩委員長 そうすると、今の、そのとき立ち会ったという人がいるということですな。

#158

○良島証人 大体においての書類は、もう拘置所に返還してあるはずです。上野氏に返しましたから……。

#159

○田中(彰)委員 いろいろな書類が取りかわしてあったやつを、全部仮処分を取り消して、良島君たちをけっちゃって、今度は法務省が、仮処分を取り消さないと拘置所を建てられないから、上野を抱き込んで、上野から仮処分を取り消してやったときに、拘置所が全部書類をとってしまったから、そういう書類はないんだ。つながっているやつは、話に行ったそういう人たちによってつながってくるわけです。そういう書類を取り上げてしまった。私も調べたときに、ないというんだ。何かもらったことがあるのか。

#160

○良島証人 武田さんからの書類と、それから一対の一の交換で、何らその間に金銭のやり取りがないという、一対一の交換でやり取りがないというのが一通と、あとは細見氏の契約書だったと思います。

#161

○田中(彰)委員 一対一の交換だということは、刑務所からもらったのですね、所長からあなたあてに……。もらったということは、だれか知っていますか。

#162

○良島証人 それは写真を現実に出しております。

#163

○田中(彰)委員 写真は出ておらぬが、それはだれか知っていますか。細見証人知っていますか。

#164

○細見証人 良島さんが五百万円を延原に支払われたときに、先ほど申し上げたように夕刻参りました。夕刻に良島、細見、室川、前田、こういう方々と一緒に拘置所に参りまして、良島さんが言われておる一対一での、いわゆる私がいただいたこれに応ずる用意あり、こういう、私は許可指令と呼んでおるのですが、その許可指令なるものの意味の解釈上、良島さんが、金を出してやるにしては納得いきにくいから、さらに追加したこれの解釈書という説明の一札をくれということで頼まれて、五百万円かけられた翌日の午後、前田養一が、その書類を松本拘置所長さんから福山を通じて取りに来てくれという電話がかかってきて、その書類を良島さんが交付を受けられた。こういうことになっております。

#165

○田中(彰)委員 刑事課長、あなたも相当公平な人だと私は信じておるんだが、こうしてみんな人がおる前で、あなたがそういうことを拒否されるが、もしそういうものが――たとえば一対一の契約書をやったり、みんな行って、刑務所なんて、普通の者だと普段入れないでしょう。入れないのに、刑務所の中に堂々と入って、刑務所の応接室でコーヒーを飲んだり話したりするのは、刑事課長さん、あなたのお考えは、常識上ちょっと違っているのじゃないですか。

#166

○河井説明員 田中委員のお話、ごもっともな点もあると思うんです。第三者が聞かれた場合に、そういうふうに入ってきて、いろいろ接待されたりするところを見れば……。問題は、その場合に、一体良島証人との間に、松本所長なり、あるいは法務省の係が約束したかどうか、この一点にかかると思うのです。良島証人のことを言うのではありませんが、ブローカーというのは早のみ込みで、ああもうこれでやってくれるのだ、やってくれるのだということは、私どもの経験から申しますと、しばしばあることです。その点は、良島証人がやったと私は断言するわけではございませんが、こういう事案を判断いたします場合に、いろいろな事情から慎重に検討しなければならぬ、私はさように考えるわけであります。その点につきましては、まず第一に、九月三日に細見証人が、松本所長あてに天満敷地交換申請というので、田中委員もお持ちだと思います。その書面を出しております。その書面には、ちゃんと大阪市生野区南生野町二丁目三十四番地、天理教此花教会営繕渉外部信徒総代細見育一と書いてある。単なる細見育一じゃないのです。私どもが判断いたします場合に、やはり判断の客観的な証拠として考えますのは、なぜ信徒総代ということをわざわざ入れておるのかということです。単に細見個人であるならば、何も信徒総代ということは要らない。これは法務省で説明しておりますように、天理教という宗教団体が天満の土地を取得されるならば、これは法務省として国が取引の相手方になってもよろしい。単なる個人では工合が悪いという建前をとってこられたという、一つの動かすべからざる証拠になる。私はさように判断したのであります。そこで今度は、先ほど来二人の証人は、証人としてお答えになる中に、これは肩がわりしたのだ。細見が契約しておったものを良島が肩がわりしたのだというふうに言われますが、信徒総代となれば、細見証人が勝手に自分一人の判断で肩がわりはできないのじゃないか。やはりちゃんと教会の許可を得て、信徒の許可を得なければ、できないのではなかろうか。それからかりにそれができるといたしましても、法務省として、たとえば私が係であれば、ちゃんと信徒の承認なり、承諾書を持っていらっしゃい、あなた、信徒総代としてこの申請を出しているのだから。当然私は、そういう問題が起こるのではなかろうか、こういうことを考えるのであります。
 田中委員のお尋ね、ごもっともな点もあるのでございますが、私どもが判断いたしましたのは、そういう点を根拠にいたしまして、さらに細見、良島両証人の証言を聞きましても、それじゃ一体いつ、だれが、どこへ、どういう承認を与えたのだ、肩がわりしてよろしいという承認をだれがやったのだということは、一向に出てこない。この点がはっきりしなければ、今申し上げたような物的証拠があるのに、おれたちは法務省から頼まれたんだ、頼まれたんだ、こう言われるが、それはたやすく信じがたいのではないか。私はさように考えるのであります。
 第二に、良島証人は、宣誓しておられるから十分御承知だと思いますけれども、あたかも検察の幹部が、何か事件のもみ消しとか、そういうことに暗躍して便宜をはかっておるという、聞き捨てがたい証言があったのです。特にその中で京都の警察の取った陳述書というようなものも見られたとするならば、だれが、いつ、どうして見せたか、これは非常に重要な問題であり、検察の威信にもかかわる問題でありますから、一つ明確な御説明を願いたいと考えるのであります。

#167

○良島証人 それは委員会でその書類を全部取り寄せたら、調べられた人の聞取書、それから東京からいっているその書類もついていますから、自然わかることだと考えます。

#168

○田中(彰)委員 委員長、それを一回調べてみましょう。

#169

○良島証人 ぜひその書類を取り寄せて、調べていただきたい。よくブローカーが、ブローカーがと河井さんが言われますが、私は、土地ブローカーなんということは、いまだかつてやったことはありません。戦前には、松方幸次郎さんとずっと朝鮮、支那に渡ってやってきましたが、帰ってきてからは、二十一年にいろいろなやみの問題にひっかかって六カ月行きましたけれども、そのほかは、天地神明に恥じないと思っております。ですから、それに対して言いたいことは幾らでもあります。土地ブローカーの看板をかけてもかけないでも、土地ブローカーなんというのはやったことはありません。自分で買うたものを売ったということはあります。
 それから法務省側としては、ほんとうはシカを追う猟師山を見ずで、何でもかでもできさえすればいいのだということでやらしたのでしょうけれども、こちらは頼まれたからやればいいというので、実にごくきれいな、淡白な気持でやってあげたので、あとでこんなことになり、証拠物件を持ち出して縛るの、縛らないのということが起こるというなら、初めからかかり合いはしません。その誠意をくんでいただきたいと思うのです。

#170

○田中(彰)委員 どうも刑事課長、あなた、刑事の方はなかなか御専門ですが、民事からいくと、ちょっとピントがはずれている。私は、この頼んだとか、頼まぬということは、あなたの方の印象はどうであっても、別に信徒総代であろうと、橋の下のこじきであろうと、土地を契約して、自分のものにして、損害をかけないでやるという契約のものに対しては、そんな肩書きは何にもならないと思う。
 それからもう一つ、この細見が信徒総代で契約したその権利を、こじきに売ろうと、刑務所に入った受刑者に売ろうと、これはやはりつながっておる。五百万なら五百万で売った売買契約の権利というものは、民事として当然私はできてくると思う。私が衆議院の決算委員会の理事として買った品物を、今度何も肩書きのない人に売ろうと譲ろうと、手金を打ったものをどこにやろうと、私は少しも関係ないので、細見さんを信徒総代としてあなた方お頼みになって、そうして今の天理教のここまで行かれたときに、細見さんが保証しても、これは信徒総代の保証じゃございません。ただ細見という保証でしかありません。これは信徒総代の保証じゃございません。またそうでしょう。信徒総代というと、あなたがえらく御信用になっているが、あしたやめたって、肩書きはなくなる。そうすると、信徒総代と民事の契約をたくさんして、お前信徒総代だからしたけれども、信徒総代でなくなったらみんなやめになる、こういうことは、刑事課長、あなたは人を縛って入れることだけは上手だが、これは民事の方からいったら、ちょっとおかしいと思う。
 それからまた、良島君が今言ったように、たとい一つの書いたもので一対一の交換でもしようといったら、あなたにお願いするといったら――あなたは信徒総代というものをずいぶん御信頼になるようですが、その御信頼される細見氏が、所長はうそつきであり、うしろの刑事課長の言ったことはちゃんちゃらおかしい、われわれの言うことにうそはないといって、宣誓して証言し、うそを言えば監獄にも行き、引っぱられるということを承知で言っておるところを見ると、あなたが信徒総代を御信頼になるような細見君が、良島君と契約したというなら、これはお調べになったらいいじゃないですか。あなたは信徒総代、信徒総代とえらい言うけれども、きょうにでもやめれば、肩書きはなくなる。あなたが検事で契約したものだから、検事をやめたら契約は無効だといったら、民事はなくなる。契約というものは、そんなものじゃありません。常識的にだれが考えたって、これだけの書類があり、良島が逆に検事であなたをお調べになるなら、ばかなことを言うな――良島だって、そんなに財産家ではない。五百万の手金を打って、あと残金を入れます。入れないかわりに――それを刑務所から頼まれないのに――今あなたの言われるブローカーという言葉は、一銭もなくて、自動車賃も人に出させているような、間借りの世話でもしているようなブローカーなら別ですけれども、少なくとも当時納めた五百万は、刑事課長の十年分くらいの月給じゃないかと思う。十年分の月給を、だれに頼まれもしないのに、人に手金を打ってやりますか。あなた方よく疑獄事件だとか、汚職なんかでお引っぱりになるのは、お産見舞に金を持っていきました、幾ら持っていったか、今の金で二十万、なに、お産見舞に二十万持っていった、それはおれの一年分の月給じゃないか、そんなものを持っていくことはないじゃないかということで引っぱられて、それでぶち込まれて、無罪になってうやむやになる。五百万の金をだれがやりますか。しかも、四千五百万の金を作っていっている。それから今の刑事課長の言葉だって、私は言いたくないけれども、長島君はこれを宣伝して歩いている。むしろあなたの方の耳に入れて、是か非か、良島がうそを言うならば、良島を検挙して下さい。そうでしょう。現刑事局長にそんな被害をかけた。そんな犯罪人だということがわかっていたら、検挙して下さい。しかし、反対にこういうことが事実であれば、あなた方が全部国民に手をついておやめになる、これがりっぱな、公平なところだ。これは重大な問題だと思うのです。これはあなた方の方でやって下さい。良島君も、この事件で立ち小便をしたら、おれは承知しない。しかし、この問題でうそを言っておるなら、引っぱられても仕方がない。
 それからもう一つ、私は国会議員ですよ。決算だから、あなた方の経理を監理するあれがあって、私と委員長が刑務所に行ったって、ちょっと待ちなさい。理由書きを聞いて、それからまず応接間に通すか、通さないか。所長室なんかに通しませんよ。ブローカーだからといって、あなたがばかにされるこの人を、刑務所の自動車で送って、お茶を出したり、何を出したり、頭を下げたり、ごちそうして、断わられたら一書を書いた。しかし、うそを言っておるのでなければ、今あなたの言われた通りだ。良島は関係ないと言わせない。これは大問題です。あなたは所長だ。あなたもこういうものに関係されて、そしてこんな問題を起こしているのだから、刑務所の所長というものは、悪いことをした人間を悔悟させてやる人だから、もう少しあなたも反省されて――どんどんこれから証人も呼びますから、あなたが何と逃げられても、ほんとうにやる気になればやれるのですよ。私ら、今までこうやってほうっておいたのですが、ほうっておいたのではない。隠退蔵物資がどうなるのか、写真をとって全部調べていた。戦争中に延原が大阪のデパートの店員を連れてきて、チケットを出して、これでもってこれだけのものをよこせ。店員はそれをやられては困る。監禁して、なぐって、けがさせた事実までわれわれは調べている。これは時効になっていますけれども、そういう事実まで調べてきた。全部洗ってあります。私は、今度の委員会で、あなた方が今言った通り、始終遊興し、居続けをする、そうしていろいろなことをしてお遊びになったといわれることは、大へんな恥になると思う。きょうは時間もありませんから、またこの次に証人に全部出てきてもらって――これは法務大臣、検事総長、刑事局長を出してもらいたい。全部盗んだものを出してもらいたい。そして延原が来たときに、ほんとうに刑務所が公平であれば、すでにそれを取り調べて、何もなかったらお帰しする。あったらこれを押えられる。また国家として、大蔵大臣を呼んでもらいたい。どこの管轄か、私は調べましたから。これだけの隠退蔵物資が延原のところにある。これを売られておるならば、これは民事の弁償はできます。延原の財産は全部押えて、これを取ることができる。そういう問題ですから、国会もじきに終えますから、終えても、休会中に継続審議ができるように、委員長にその手続を願う。それからあとの理事会で、証人を全部呼び出すことを私の方でお願いしますから、これは呼び出してもらいたい。人を取り調べて、人を刑務所に入れて、人を自由にできる権力を持っている法務省が、みずからこういうことをして、刑務所から出ている人間を操作して、その土地の権利を取りかえて、国有地に傷のつくようなことをした。そして堂々とおられるのは、おかしいじゃないか。これは重大な問題だと思うから、ぜひとも社会党の方々からも御協力していただいて、これは明白にしなければならぬと思う。どうか一つ委員長、そういうふうにお取り計らいを願います。

#171

○荒舩委員長 田中君の意見でございますが、証人も、参考人も、それぞれ手続を経まして、これを呼びたいと思います。
 なお、今会期が終わりましても、この結末をつけるまでは、継続審議にいたしたいと思います。ただし、これは会議できめる問題ですから、会議に諮ることをお約束いたしますが、いずれにいたしましても、先ほど河井刑事課長の御発言、及び証人としてきょうおいでになりました松本貞男さんの御発言、これらはまことに重大だと私は思います。
 なおまた、延原というのですかの隠退蔵物資とか、脱税だとか、しかもそういう人と、どこから金が出たか知りませんが、刑務所長さんというのですか、あるいは経理部長さんというのですか、そういう人が同席をして、しかも居続けて遊興をするというようなことがあったといたしますれば、これまた重大な問題だと思う。これらの点につきましては、慎重にやらなくちゃなりませんが、しかし、この事件はきわめて重大な問題で、しかも、これが拘置所の問題であるというようなこと、また拘置所の役人がこれに関連があるというようなことは、これはもちろん犯罪が起こらなければけっこうでございますが、それに関係があるようなことになりますれば、大へんな問題だと私は思う。こういう点を一つ、すみやかに究明すべきだと考えております。従いまして、法務大臣はもちろん、検事総長、全部を、私といたしましては、証人あるいは参考人として来ていただきまして、十分決算委員会で審査をしたい。こういうふうに考えております。

#172

○田中(彰)委員 それから脱税の、そういう書いたものも行っているし、それから今延原が、いろいろなところに金を返したり、物を売ったりしているけれども、税金が一つも納まっていない。それから大阪の裁判所の所長と、こちらの国税局長を呼んでもらって、一つ調べてもらいたい。

#173

○小川(豊)委員 おしまいになりましたが、一つお聞きしておきたいのは、さっき松本さんが、細見さんや良島さんと泊まって、飲んでマージャンをやっていたということを言われたのですが、これは、そういうところにお勤めになるあなたたちの行動として慎まなければならないと思うのですが、そういう事実があなたはおありになるかどうかということが一点。
 それからもう一つは、課長さんの方にお尋ねしますが、良島さんとの契約がないから無効にしたのか、それとも、ずっと今までのあれでは、良島さんが前にやみ物資か何かの事件で刑を受けている、受刑者であるから、そういう人とは契約しないのか、こういう点が疑問になっているのです。そこで、もし後者だとすると、これは私はゆゆしい問題だと思うのです。一たんその刑を果たした以上は、やはり善良な国民なんで、それを追及することはでき得ない。またすべからざることだと思うのです。その点で、どういうことなんですか。細見さんとはなにしたが、良島さんとは飲んだ。ところが、良島さんの場合には、さっき田中さんも触れられたが、細見さんは此花教会の信徒総代だから、信徒の了解がなければというけれども、それは全くつけ焼刃的な御答弁であって、良島さんでいけないとするならば、そんな理由ではない。いけないという理由は、ほかになければならないと思うのです。それだけの理由でいけないとするということでは、ずっと今の経過をお聞きしていると、ずいぶん折衝をし、ごちそうしたりしている。それが即断だとあなたはおっしゃったけれども、即断であろうとなかろうと、そういうふうに取り持っておるのだから、そこにはそういう考え方が出てくる。此花教会の信徒代表だから、信徒の了解を得なければということは、これは法律の専門家らしい答弁で、常識的な答弁にならない。何か良島さんにいけない理由があったのかどうか。

#174

○松本証人 先ほど来田中委員から同じようなことを二、三回話されて、私は、発言の機会がありましたら、一度触れたいと思っておりました。今あらためてそちらの委員から質問がありましたので、お答えいたします。
 とにかく羽衣荘のお話が、さっき細見さんからあったわけです。そこへ居続けでマージャンをやったという話がありましたが、羽衣荘は知っております。行ったこともございますが、私は居続けでマージャンをやったということはございません。そういうことは、どうかお調べ願いたいと思います。

#175

○小川(豊)委員 居続けでマージャンをやらなくても、これらの関係の方々と、あなたは飲み食いしたことはおありですか。

#176

○松本証人 実は細見さんと、さっきお話が出ましたが、何か管区長が片手を上げたとか、そういう話がありましたが、その会合はあったわけです。一番初期の三十年の九月ごろだと思うのですが、一番初期のころ、延原側の人たちと細見さんの人たちと一緒に、私の方のクラブで会談したわけです。そこにわれわれも出て行きまして、私の方でたしか夕飯くらい出したと思うのです。あるいは間違っておるかもしれません。私の方こそ夕飯を出したと記憶しておりますが、出さないかもしれませんけれども、ごちそうになったことは、絶対に一度もございませんから、徹底的にお調べ願いたいと思います。

#177

○河井説明員 小川委員のお尋ねの第一点の信徒総代の問題でございますが、これは昭和三十年九月三日、先ほど申し上げました細見育一から松本貞男あての「天満敷地交換方申請」という文書がございます。その文書の申請者が、先ほど申しましたような天理教此花教会営繕渉外部信徒総代細見育一、大阪拘置所長松本貞男、こういうふうになっておりまして、その中に「大阪拘置所の移転用地として国有の北区北錦町の土地は当教会の施設をなすに恰好の地所でありますので若し御許しを得られますなれば左記により代替地を買収の上提供しそれについての諸条件につきましても必ず遵奉致しますのでこれと交換方御詮議賜りたく別紙図面及誓約書相添え申請致します」ということで、要するに天理教の教会を作るのだから、施設を信るのだから、これを交換することについて許してくれ、こういう願い書が出ているのです。そういう点から私どもが申し上げるのは、天理教の施設を作るのだから、それならば天満の土地を細見に交換することを与えてもいいじゃないか、こういうことが起こって参った。個人では工合が悪いという趣旨は、そういうところなんです。もう一点は、その前に、天満の土地の周辺の人が払い下げの組合を作りまして、零細な金を集めて、これは自分たちが住んでおる近隣の土地だから、一つ払い下げてくれないか。もしほかへ拘置所を作るならば、ぜひ自分らで獲得したいという陳情があったのにかかわらず、それにも応じなかったといういきさつがありますので、たまたまその後において良島証人が出てきたといって、それにすぐ応ずるというようなことはないというのが、私どもの今まで御説明申し上げた趣旨であります。
 それから、その次もう一点でございますが、良島証人が細見証人にかわって、自分がこの土地を取得して、そして天満の土地と交換したいということを申し出たときに、なぜそれを断わったか、この点は、良島証人に前科があるから断わったのじゃないか、こういうお尋ねだと思うのでございますが、それはそうではございません。それは今まで申し上げましたように、自分が細見証人にかわってこの資格を得て、当事者となりたいという申し出が、昭和三十年の十一月二十一日にございまして、松本所長はこれを法務省に取り次いで、上司の判断を仰いだわけですが、それは従来申し上げましたような、個人には渡さない、個人を当事者としない、こういう方針から、それは当事者として不適格であるということで、二十二日の日にこれが断わられておるというのがいきさつでございます。別に前科者だからどうかとかいうことではない、さように聞いております。

#178

○田中(彰)委員 私は、刑事課長に、あなたは人を調べたりいろいろなことをやっておいでになるから、あなたに申し上げるのだが、こういう交換の申請書というものは、これは細見さんが書いて持っていったものじゃなく、刑務所がこういう工合に書け、こういうものを出さなければいけないと言ったから、これは書いたものだと思うが、細見証人、どうなんです。

#179

○細見証人 もっと違った簡単なものを出したのであります。その原稿は全部拘置所の方で作っていただいて出したものでありまして、原本の出しましたものは、別の書類でございまして……。

#180

○田中(彰)委員 どんな書類ですか。

#181

○細見証人 そういう詳しいことまで書いておりません。それは課長さんがああいうことをおっしゃるけれども、拘置所長さんが本省の方と相談なさって書きなさって、これに印を押せということになったのでありまして、その辺のことと、それから今も――何も課長さんに食らいついていくわけじゃないのですが、非常に想像でもっていろいろなことをおっしゃるので、良島さんじゃないけれども、こういう頭でもって支配せられるのだと思うと、私は非常に不安になった。と申しますのは、何も知らずにやられておりますが、この良島さんを、前科者じゃから断わったという意味ではないはずだがというようなお話ですが、これを断わられたときに、長くなりますが、私のところへ朝早く福山総務部長さんから電話があって、至急出頭せよ。私が参りましたら、福山総務部長がいらしって、自分の席の左側のドアになって事務の方になっているわけですが、そこを締めて、ふだんだったらばんと締められるのが、その日に限っては、何かがちゃがちゃやりおりました。ちょっとお待ち下さいというので福山さんが出られて、おそらくは松本拘置所長さんの二階の部屋へ打ち合わせか、お呼びに行かれた時間くらいに推測されます。それで福山さんが帰ってきて、そしてまた出られたときに、鈴木管区長さんと松本拘置所長さんが――私は、福山総務部長さんがすわられる席の、向かって右側のいす、四角いいすが三脚あって、その前につい立があって、総部部長さんの席に一番近いところの席にすわって待っておりましたが、火ばちは、確かに青磁焼きのようなもので、非常にこまい赤や何かのきれいな火ばちでしたが、それを前にして、私から向かって左側に鈴木管区長さん、右手に松本さんがおすわりになって、実は君に渡してある許可指令は取り消したいのだ。これは本省からの命令だ。へえと言って私はびっくりした。おそらく私は、この額が急に冷たくなるように思いました。それはほんとうの話か、どういう理由ですかと私が言うたら、まず第一に、良島が前科者なんだ、仮保釈中か、釈放中なんだ。これがいかぬというのが第一の原因。次に、細見、君は天理教が金を出してやろうと言うたにかかわらず、良島から、そんな者から調金を得ることはけしからぬ。これが取り消しの理由だ。ここまで厳格に私は言われた。これは所長さんも確かに御記憶があるはずです。この事実があるのに、この課長さんのおっしゃるのは、そんなことは言うたことない。あっちでべちゃべちゃ、こっちでべちゃべちゃほっつき回る――良島さんじゃないけれども、失礼に当たらぬ程度の穏当な言葉で申し上げても、検察陣に対して不信を感じます。それと同時に、こういうことまで申し上げることは、また被害が何か裏から加えられるのじゃなかろうかという危惧もしています。

#182

○田中(彰)委員 そこで刑事課長、こういう書類は――それはもっと簡単なのを出して、それでは払い下げにならないからこういうものを作ってくれといって、拘置所が作ってくれた書類なんで、いわば公文書偽造ということにもなる。こういうものにするなら、教会でやるべきなんだ。あの話をずっと調べて、あの土地が幾らの値打ちがあるとか、これを売ってもいいとか、あなたに売るようにしましょうとか、努力しましょうということも言っておられる。そしてこれをあなたが作って判を押させられたものだ。
 それから、これは天理教の教会を御信心になる総代の人がこれまで言われるのだから、あなたが自分のところの所長だから、自分のところの法務省に関係があると言わずに、これはよく調べて、こっちが悪かったよと言えば、私どもは、あなた方を問題にしてどうこうという考えは持っておりません。これはあなたも、私の心はわかると思う。ただ、私が同情するのは、五百万という手金を打っているのに、前科者だからといって――あなたは前科者だからではないと言っているが、それは私もわかっている。これは死んだけれども、ちゃんと小林かなえ君も、それからもう一人国会で口をきいた人がおります。その人にも、法務省で言われた。あれは前科があるので工合が悪いからということを言われた。そういうことがあるのだから、刑事課長さん、もう少しこれをお調べになって、五百万手金を打っているのでしょう。それをどこへ売ったっていいじゃないか。これを銀行に担保に入れようが、それからまた誤認で売ろうが、権利はついていくものですから、そういうものをやられたということは間違いないのですから、そういうことを聞いておられるならば、賢明な方なんだから、これは少しやり過ぎたわいということは、あなたもおわかりになっているだろう。そこを一つ言われてもいいと僕は思うのです。
 ほんとうのことを申しますと、私は竹内刑事局長とは非常に親しいので、人格を信じています。だから、そんなことはない。大阪で、お前の陳述はうそだろうと、良島をおどかした。そうしたら、おれの言うことを信じないのか、うそだと思ったら、京都の警察へ一緒に行ってくれ、京都の警察に言ってあるからと言うから、それではその書類を出してみろと言ったら、きょう持ってきた。刑事局長も、刑事課長も、そんなに深い考えはなく、そういう法務省の仕事をしているから、あなたが信徒総代みたいなもので、その肩書きにおいて何か手紙をお書きになったのだと私は思うけれども、良島は、けっこうです、刑事局長にそういう言いがかりはとんでもない。しかし、ほんとうだったら重大ですから、すぐ土地を取りかえてやっていただきたい。これは別として、この問題は、いろいろこれから問題を出していきますと、確かにそれは仮処分を許したり、これは非常に不利になりますから、あなたの方も一つお考えいただいて、そしてこの次に、もう少し、だれが聞いておってもいいような答弁をして下さい。なるほど、あなたの刑事専門家の考えでいくと、この人に権利はない。しかし、それはそうはいきません、五百万円の手金を打っているのだから。本部から断わったとか、いろいろなものが出てきた。ここに一つのつながりがあって、そして頼んだから五百万手金を打った。これは五十万とか三十万なら何ですが、五百万という金は、代議士のその当時の金にすると、給料の五年分ですから、そんなに簡単にはいきませんよ。そういう点をお考えになると、私よりあなたの方が、それによってぴんときているものがあると思う。きょうは時間がありませんから、委員長、この次に一つこれは厳重にやっていただかぬと、法務省が中に入ってこういうことをした、民法の権利を失わしたというようなことになると、大へんな問題ですよ。しかも、国有財産、決算委員会ですから、金で高く売れる国有財産を、しかも人の権利のついたものと取りかえてしまって、これがもし民事で訴訟で勝って、今の拘置所の建っている土地はお前の権利だということになると、おれのものだといって法務省をおどかすという問題も出てくる。これは重大ですよ。そこを一つ委員長お考えになって、これを善処して、厳重に白黒をつけてもらわなければならぬ。お願いいたしておきます。

#183

○荒舩委員長 私は、先ほどの細見証人の発言と河井刑事課長の御発言の食い違いは、非常に重大だと考えております。
 そこで細見証人に承りますが、天理教の信徒総代ということの書類が出ておるが、その場合に、そういう書類を拘置所で出せといって、出した書類を書きかえたというのは事実ですか。

#184

○細見証人 書きかえてもらったわけです。

#185

○荒舩委員長 どっちが書きかえたんです。

#186

○細見証人 拘置所さんが、私がこれを出したのを、これになぞらえて、そこに持っておられる写しの方を拘置所さんが書いてこられた。

#187

○荒舩委員長 わかりました。そこでもう一つお尋ねしますが、そのときにこういうふうに書きかえろと言った人は、どなたが言ったんですか。細見証人に伺います。

#188

○細見証人 ここにいらっしゃる松本拘置所長さんであります。

#189

○荒舩委員長 ありがとうごさいました。そこで松本証人に承りますが、そういうことが事実でございますか。

#190

○松本証人 大体私ども内諾書と言っているのですが、どういういきさつでこういうものが書かれたかということでございますが、これは私の方から実は希望したわけではないのでございまして、細見さんが方々に金を集めに行って、口だけで言ったんでは人が信用してくれない。自分は土地を買って拘置所と交換するのだから金を出してくれといっても、口だけでは信用してくれないから、何か一筆くれ、こういう話がたびたびあった。そしてそのときに書いたものを持ってきた。その書いたものでは、それは将来に残るものですから、あっちこっち持って回って、これが及ぼす影響は大きい。ですから、私の方では、細見さんが今まで話したことをこの書面にまとめて、これでいいですか、これでよろしゅうございますというところで細見さんが判を押して、それであったらわれわれの方でも裏書きしようということで、法務省の本省の了解を得まして裏書きをしたようなわけであります。

#191

○荒舩委員長 そこでなお松本証人にお尋ねします。
 そのときに細見さんが出した最初のひな形というのですか、最初書いて出したのとは違うように言われる。天理教の教会の代表、信徒総代というふうに入れなければまずいじゃないかと言ったのは、あなたの方でそうしたのですか。

#192

○松本証人 私が八月に着任して間もなく、細見さんが九月三日に私あてに書面を出してこられた。これは細見さん直筆のものが来たわけです。それにやはり大阪市生野区南生野町二ノ三四天理教此花教会営繕渉外部信徒総代細見育一と、一番最初から載っておった。

#193

○田中(彰)委員 書きかえる前に、大阪の天満の土地に教会の施設をやるというようなことが、初めて出した書類にも書いてあった。所長、どうですか。簡単な書類じゃなかったんでしょう。

#194

○松本証人 私、はっきり記憶いたしませんが、おそらく書いてなかったと思います。ただ、話し合いの上で細見さんがそういうふうに言うので、私の方も、それでよかろう、非常にすっきりするから、それで一応けっこうだということで、向こうさんの話の内容のおもなものをここに書きつけたわけです。

#195

○田中(彰)委員 そういうふうに正直に言ってもらえば、あなたをいじめやしないのですよ。

#196

○荒舩委員長 そこで良島証人に私からお聞きいたしますが、あなたが大阪の何とかというホテルへ泊まっておるところへ、拘置所のどなたか来たというが、どういう目的でそのときにあなたのところに来たんですか。しかも、それは何年の何月何日ですか。わかったらお聞かせ願いたい。

#197

○良島証人 今河井さんのおっしゃるには、二十一日に私が申し込んで、即座にそのときに……。

#198

○荒舩委員長 二十一日というと、いつの。

#199

○良島証人 契約した日ですね。

#200

○荒舩委員長 幾年の。

#201

○良島証人 三十年の十一月二十一日です。その日に申し込んでいって、その日に拒否をされたというようなお話を今なさったように思いますが、二十二日でもいいです。ところが、それはすべてを承諾しているから、僕は五百万円納めたのであって、納めてから、そんなものはやらして下さいと頼みに行くはずはないわけです。承諾したから納めたのです。

#202

○荒舩委員長 五百万円納める前に承諾をしたから納めた……。

#203

○良島証人 そうなんです。承諮をして、向こうがそうして下さいというから、納めたのです。納めてから、頼みますというていくはずがない。それは納めてから書類を私がとってきて、管区に行ったときに、大阪の拘置所の状態などを話したのです。僕も長い間未決にほうり込まれて……。

#204

○荒舩委員長 余分な話より私の……。

#205

○良島証人 その話をいたさなければわからないのです。ですから、その話をしたのですよ。したら、その日のうちに本省と打ち合わせをして、そのあくる日に断わってきた。こういうわけなんですよ。それですから、申し込んだときに断わられたのではなくて、そのときに、拘置所の問題は、僕も行っていたんだ。それだから気の毒だという話をしたのです。その晩、おそらく管区長が本省に電話したんでしょう、そのあくる日か、そのあくる日に断わってきたのですよ。それは二十六日の日だと思います。所長と管区長でございましたか、新大阪ホテル……。

#206

○荒舩委員長 所長はどなたですか。

#207

○良島証人 この松本さんです。そのときに、白紙に返してもらいたいと、きまり悪そうな顔をして言うておりましたよ。それはちょっとおかしいじゃないですか、どういうわけですか、本省からいうてきたから、それでは本省に僕が行きましょうというので東京に行ってきた、こういうわけですから、二十六日です。

#208

○荒舩委員長 そこで松本証人にお尋ねしますが、あなたはそういう事実があって、断わりに行ったわけですか。

#209

○松本証人 これは私の記憶違いじゃないと思いますが、いろいろ当時の記録を調べてみたら、わかると思います。失礼でございますが、今長島さんのおっしゃったのは、ちょっと両方がこんがらがっているのではないかと思います。一つは肩がわりを断わった。

#210

○荒舩委員長 ちょっと待って下さい。肩がわりというと土地を交換すること……。

#211

○松本証人 いや、細見さんの持っておった権利を今度は良島さんが受け継ぐという、この肩がわりですね。この断わるのが一回、もう一つは、今までの細見さんに渡した内諾書、さっきから問題になっておる内諾書を渡してあったのを全部回収して、話を全部打ち切りにする、この二つのあれがあるわけです。二十一日の方は……。

#212

○荒舩委員長 いつの二十一日ですか。

#213

○松本証人 三十年の十一月二十一日です。この日は、五百万円の金の入った日です。五百万円の内金の前渡し――保証金の前渡しというのですか、五百万円延原に入れた日が、三十年十一月二十一日なんです。その金を入れたあとで、帰りしなに私の方へ寄って下さったわけです。それが夜のたしか九時ごろだったと思います。ずいぶんおそかった。私どもの方は、やはりその結果を本省に報告しなければならぬので、上級官庁に報告するために待っておったのですが、そこへ来られて、そのときに初めて見たわけです。両氏が肩がわりする、いわゆる交換をする取換書というものを初めて見たわけです。内容は、両氏が取りかえする、権利をこっちへ譲渡するという内容のものです。これは、私どもは、今まで良島さんが細見さんの資金面の協力者、いわゆる金主という意味で考えておったのでございますが、その書類を見まして、ちょっと意外の感に打たれたわけでございます。これは重大なことだ。この肩がわりの問題は、さっき河井さんがお話しになったように、細見さんを立てるときに、本省の了解を得て、細見さんを取引の対象にしておる。それが肩がわりになるのは、所長の一存では絶対いけないので、管区長に相談し、本省の了解を得なければできないことだ。もう一つの、さっきもあれがありました武田弁護士さんの関係のある書類でございますが、これは私が与えた内諾書の補足書の字句がはっきりしない。字句がはっきりしないのを銀行へ持っていって見せても、銀行が疑義を持つから、字句をはっきりしてもらいたいということで、その書類を持ってこられた。しかも、その字句の方を見ますと、どうもいろいろ疑問があります。両方ともあす管区へ行って協議するということで、その日はもう夜九時になっていましたから、そのまま分かれたわけであります。翌日になりまして、良島さん、細見さん一行が私の方へ来ましたので、一緒に管区へ行ったわけです。管区へ行ったところが、あいにく管区長が都合があって出ておられないので、大事な話には入らずに、結局先ほど申し上げました私の差し上げた内諾書の字句に疑問があるので、それを補足する書面の、またその字句の検討をやった程度で、お待ちになったが、管区長が来ませんので、お帰りになりました。そのあとに管区長が来まして、いろいろ打ち合わせたところが、これは権利の肩がわりというのは大へんなことだ、名義の肩がわりということは大へんなことだ、さっそく本省に問い合わせてみようということで、私すぐ本省の、現在の刑事局長、当時の竹内経理部長に電話しましたところ、それはいけない、やはりどこまでも、細見さんの言われた通り、当面の契約の相手でなければいけないということで断わられましたので、そのことを管区長と一緒に、こういうようなことをはっきりさせておくことが大事だということで、とにかく良島さんに会いに行こうというので、管区長と連れ立ちまして、十一月二十二日の午後良島さんのところにお伺いいたしまして、そのことを申し上げたわけです。良島さんも、とやかく異議を申さずに、承知しましたということで、しばらく雑談をして帰った。これが二十二日のことです。
 二十六日という――実のところは二十七日になりますが、十一月二十七日になりまして、さっき河井さんのおっしゃった、今までの関係を全部断ち切るということが本省の方針としてきまりましたので、それは細見さんには電話でもっておいで願って、直接お話をするし、それから良島さんには、役所においで願いたいということで、役所においで願って、金主である良島さんにもそのことをお伝えしようということでお呼びしたのですけれども、お差しつかえがあって、細川さんとかいう方がお見えになりまして、そのことをお伝えした。これが、先ほどから申し上げます関係でございます。

#214

○田中(彰)委員 今お二人がそうだったと言うのに、あなたが一人で言うんだが、しかし、ここであなたの言うことをうのみするとしても、今の財産の評価をするということの手続を踏まなかったことが、一つあなたの方に落度があるのです。そういうことをしなければ、できないですよ、公文書は。もう一つは、あなたが何と言われても、この五百万円の手金なんだね。この五百万円のところには、あとの残金を払わなければ没収するとか――何にもしてないですからね。これで売買契約が成立したのです。あなたの今の取りかえられた拘置所の土地というものは、良島君のものなんだ。それだから、わずかのあれをもって仮処分を許しておる。ちゃんと良島のものとして仮処分を許しておる。それを今度は、手金の残金がいかないからといって、そんなことでもって、向こうは予告も何もしないでおいて、こんな書類があるから、あんな書類があるからといって、これをはっきりきめないでおいて、また、あなたが良島さんを拘置所に連れていって、お茶を飲ましたり断わったりするなりしておる。なぜこの土地を交渉されるときに、あなたは良島さんが五百万円手金を打っているのを知っているのだから、良島さん、あなたは交換するのに異議ございませんかと一言言わないのです。これを言うのが、一番あたりまえじゃないですか。これをあなたは知っていてからに、お茶を飲ましたり、断わりにいったりしているのでしょう。そんなものを断わるとか、断わらぬとかは勝手にしても、良島の土地になって、手金を打っている。だから、これをどこへ売ろうが、だれに売ろうが、権利ですよ。裁判にいって、お前が手金を打ったけれども、あと金をやらなかったぞ、こういう理由だから無効になるぞという判決を受けるまでわね。それが商取引ですよ。それをあなたが知っておられて、良島さんこれを取りかえるがどうだと、どうしておっしゃらない。
 それからもう一つ、これでしょう。(松本証人に書類を示す)初め刑事課長は、そんなものを書いてきたと言われたが、そんなもの何もないのに、ここへ拘置所を建てるとかなんとかいうような契約書を作ってやって、これを下げて、もしこれでもって金を集めてきたら、あの土地を移してしまう。ところが、これにはりっぱな天理教の教会のこういう建物を建てて施設をするのだということをあなたの方で書いて、判を押させておる。この人がもし悪くて、良島に譲ったら、良島さんは、これでもって人に被害をかけたり、これで詐欺とか事件を起こせば、あなたも共犯じゃないか。あなた、こんなものを作ったら、不実記載だ。建物がないのに、建てると書いて判を押さしたら、あなたの管区長も、公文書の不実記載だ。これをどうして言わない。あなたが注意深ければ、ここでこれを買うんだと言わなければいかぬ。それをあなた良島のものと知っていて、黙って交換して国家に迷惑をかけるというのは、どういうわけだ。あなた、答弁してごらんなさい。これは不実記載じゃないというのなら、刑事課長に聞いてみなさい。

#215

○荒舩委員長 わかりました。松本証人、今の点につきまして、御答弁を願いたいと思います。

#216

○松本証人 この書面の問題でございますが、これは決して本人が言わないことを私どもが勝手に作って……。
  〔田中(彰)委員「本人がそれを言えば何でも作るのか。天理教の施設なんか……。」と呼ぶ〕

#217

○荒舩委員長 田中君、私語を禁じます。

#218

○松本証人 結局私の方に話を持ってきたときのその話の内容が、細見さんがおっしゃったように、天理教七十周年の記念のために、記念事業として天満の土地に天理教の教会を建てたい。あるいは保育園とか、とにかくそういった福祉施設を建てたい。それがために天満の土地が必要であるのだからして、延原さんの土地を買うから交換してもらいたいということを、それは最初から細見さんが申しておったことをただ書面の上に表わしたというだけなのでありまして、私の方に上申してきた文句を書類に表わしたということなのです。

#219

○田中(彰)委員 細見証人、あなたは、さっきこんなことを言った。こういう工合にした方がいいと言われたから、この施設を建てるということを書かぬで簡単に出した。それから土地を売って金もうけをしたいと。初めはそうでなくて、あそこへ何か大きな施設でも建てて、天理教の何かをやるつもりでやったのか、金もうけをするつもりでやったのか、どうなんです。

#220

○細見証人 天理教の会堂を建てるという意味じゃなくて、此花大教会が養老院のような厚生施設をどこかでやりたい、こういう念願がありました。それでちょうどあの天満の土地の東南部にあたって、四百坪が一続きの土地がございますので、それと、なお、昭和二十六、七年ごろからずっと交換というのか、払い下げというのか、かかりました関係が、国民の税金で買うた法務省の拘置所の土地なんだから、幾らかは公共性の認め得られる方が便利だろう。この代替地はどうでしょうか、あの代替地はどうでしょうかというてきた時分に、そういう意味合いから、交換を受けるにつき、または払い下げを受けるには、名目が立ち、よかろうという空気を察知しておったことも事実であります。

#221

○田中(彰)委員 これはあなたが初め簡単なのを出したときに、あそこに天理教の施設をするのだというのを出した。そうじゃないでしょう。

#222

○細見証人 そうじゃありません。

#223

○田中(彰)委員 それでこういうふうにした方がいい。あなたもそういう考えを持ったし、拘置所もこういう方がいいからというので、これを書いてくるというから判を押した。

#224

○細見証人 そうです。

#225

○田中(彰)委員 これはあなた、どうおっしゃるのですか。五百万の手金のあることは、あなた御存じだったのでしょう。

#226

○松本証人 ええ。

#227

○田中(彰)委員 このあるものを、あなた一言も言わないで、どうして取りかえた。これは良島君が手金を打って、良島君の土地になっておるのでしょう。たとえば延原とどういうけんかがあっても、あなたが取りかえられるときは、良島君に、あなたの手金はどうなりましたかとか、あれは取りかえたいと思うが、あなたの方は解決ついたかと、一言おっしゃるのがあたりまえでしょう、何億というものを取りかえるのですから。良島君が、手金を打って買ってきましたと、あなたに見せて鼻高々としたことは、あなたは御存じなんだから、これがあるのに、あなたは、土地を取りかえるのに良島君に一言もなく、どうしてお取りかえになった。こんなもの無効だと思ったのですか。

#228

○松本証人 金を納めた同じ日に取換書を持ってこられましたので……。

#229

○田中(彰)委員 そんなこといいですよ。あなたが土地を取りかえるのに、これがあったら、良島君の関係のある土地じゃないか。それをあなたは延原と直接取りかえたら、おかしいじゃないですか。良島は五百万円という大金を、あなたの十年分の月給にひとしいようなものを入れて、それを買っているんですよ。あなたは、これを知っているんでしょう。その土地を延原と取りかえるのなら、仮処分までした土地ですから、今まであなたがそれだけ用意周到な答弁をなさるなら、一言、良島の方に、取りかえるがどうでしょうとお聞きになるのがあたりまえじゃないか。よくごらんなさい。だめですよ。うそばかり言っちゃ。正直に言いなさい。

#230

○松本証人 結局これは契約の存続があったかどうかという、むずかしい問題だと思います。

#231

○田中(彰)委員 むずかしいとか、簡単とは何だ。一言長島のところに、あなたは手を引いてくれと断わりにいったり、お茶を飲んだり、頼むとか、接待した仲なんだから、あれを延原と取りかえることになったが、君の方はどうなんだ、解決したかと、良島に聞いておくのがあたりまえじゃないですか。聞いておけば、こんな問題は起きないじゃないですか。しかも、国家が、良島の権利のあるものだ、入質もしてはならない、売ってもならない、抵当に入れてもならない、一切そういうことをすることは許さぬという仮処分をしている。裁判が――これは法務省の関係したものだから、裁判所はよほど自信がないと、やはり刑事課長みたいに、あなたにひいきして、なかなかほんとうのことをやらないのだ。それをちゃんとこうして仮処分を決定しているのだ。それをすまして取ったのだが、取ったとしても、この五百万というものは、取ったことにおいて消えたわけじゃないのだ。これが二つあるのに、黙ってその土地を取りかえてしまったから、こういう問題が起きて、また仮処分をした。取りかえた土地を仮処分したのだから、よほど重大ですよ。その当時、仮処分したならいいですよ。おかしいじゃないか。答弁して下さい。あなた、今までずいぶんいろいろりっぱなことをおっしゃって、用意周到な方で、うしろに刑事課長がおって応援しているのだから、答弁したらどうです。

#232

○松本証人 結局契約が存続しておるかおらぬかということでありますが、私どもの方が延原と契約を調印して、それから移転登記をやった昭和三十年二月二十八日が契約の日でございますが、そのときには、こういった契約の関係はなくなっておるというふうに実は解釈して、契約いたしております。

#233

○田中(彰)委員 それだけあなたがりっぱな方なら、延原との契約の中に、五百万の手金は無効である。これから問題が起きても、あなたに迷惑はかけないで、延原が解決するという一項が入っておるはずじゃないか。何も入ってない。あなたは何を見ておる。裁判所が仮処分を許すようなものを、五百万の手金を打ったのを知っておって、あなたは何の相談もなく取りかえたというのは、おかしいじゃないか。あなたが延原と組んで、この五百万は全部返すからいい。これをけっとばして取りかえてしまえば、土地さえうまくいけばいいのだと、急いでおられたという証拠は、こういう建てもしないのに、こんなものを書いている。これは公文書不実記載ですよ。そういうものをあなたはやっておるじゃないか。まあそんなものはいいとして、かりにあなたのことを認めて、この人のことは全部認めないとしよう。私も河井刑事課長になろう。あなたにひいきしようじゃないか。ひいきしようが、裁判所が、質に入れていけない、担保に入れていけない、ものを建ててもいけない、こういう厳重な仮処分をしたことは、新聞にだって出ている。それも、いつでも取り下げられるからいいとしても、五百万の手金を入れた、これがあるのを知っていて、黙って契約するのはおかしいですよ。一言言えば、何もこんなことは起きない。もしそれをやるなら、延原観太郎君にやった契約書に、延原に、五百万円でいつ幾日に売っておるが、それはおれが払う、国家に迷惑をかけないということを書かせなければならない。国がここで幾らか損害すれば、あなたの手落ちによって国に損害かけたら、これはりっぱな背任ですよ。あなたは、家に帰って六法全書をごらんなさい。背任罪でひっくくられることは間違いない。ひっくくらなければ、河井刑事課長はいいかげんにしたということだ。どうなんです。答弁してごらんなさい。手落ちなら手落ちでいいです。人間にはあやまちもあるから、手落ちなら手落ちでいい。あなたはそれを言いわけするから、責めているのです。刑事課長、あなたは取り調べておいてよく知っておるくせに、証人に知恵を貸してはいけない。

#234

○荒舩委員長 松本証人、答弁ありませんか。答弁しなければしないで……。細見証人。

#235

○細見証人 ただいま田中先生から、これをごらんなさいといろいろ言われますが、金を五百万入れてきた、その翌日に、拘置所長さんは、福山さんかに命じて、この控えをとりなすって、この控えはあるはずです。拘置所長さんの部屋で控えをおとりになりました。

#236

○松本証人 何度も同じことを申し上げるようで恐縮ですが、延原に対して良島さんが金を入れた。しかし、これは私どもの立場を申し上げますれば、どこまでも細見さんがわれわれの取引の対象ですが、細見さんが入れたのではなくして、細見さんの金主であるところの良島さんが延原に入れた。これはもう良島対延原さんの関係で、私どもの方としては、直接の関係は実はないわけでございます。しかし、これは見ておりますから、全然知らぬというわけではございません。それで、できますれば、契約したあとでも、何とかこの金が延原の方から良島さんの方に返って、事が円満に済めば非常に都合がいいというふうに考えておったのは事実です。

#237

○荒舩委員長 これは非常に重大な発言です。その土地については、申し上げるまでもない、あなたの方は非常な関心があった。これが細見氏がやったことであろうと、あるいは良島氏が手金を打ったことであろうと、あなたの方には非常に関係が深いことになるわけです。今の御答弁ですと、まるで全然関係のない、知らぬ顔しているというような御発言で、これは大へんなことだと私は思います。一体国民の代表――であるかどうかわかりませんが、いずれにしてもお役人である人、国家の月給を取っておる人が、そういう態度でよろしいかどうかということを、私は非常に疑義を持つものなんですが、そういうお考えなんですか。御答弁願います。これはまことに重大です。

#238

○松本証人 この問題につきましては、結局打ち切りの問題の関係が出てくると思いますが、当時といたしましても、所属の大阪の総務部長、本省ともよく相談いたしまして、慎重に考えて、そういういろいろな関係等もあることは承知しないわけではございませんが、当時としましては、大阪拘置所は非常に過剰拘禁で、人権の保障にも支障があるという、非常な過剰拘禁の状況でありましたし、事を急ぐということで、万事この問題が解決するまで、そういうふうな時間的な余裕を持つことも困難でございまして、とにかくなるべく早く――その当時はちょうど予算も入っておりましたし、なるべく早く移転登記を終わって工事にかかりたいということから、当時といたしまして、十二月二十八日でございますが、急いでそういう契約をいたしたわけでございます。

#239

○田中(彰)委員 それはちょっとおかしいと思う。良島さんが手金を打ったから、おれは関係ない。細見さんに頼んだ。私は、そんな良島さんとか、細見さんとか、そういうものじゃないのです。あなたが国有地と取りかえられたものは、良島という人の権利の土地であったということ――これは田中彰治でも、橋の下のこじきでもいい。五百万の手金打ったことはあなた知っている。しかも、裁判所はこれは仮処分までして、上野から解いてもらった。あなた、これを知ってながら怠慢だ。私だっていいじゃないか。そこの人だっていいじゃないか。五百万手金を打って、問題の起きた土地だから、これをあなたが取り上げるなら、法務大臣に、こういう土地になっているがどうか、大臣、責任をとってくれぬか。あるいは延原に、この問題について五百万出している。あなたがこういうことを知りながら、因縁のある土地と国有地のあれだけりっぱなものと取りかえて、国家に損害をかけたというなら、りっぱな背任じゃないか。これは刑事局長が、怠慢だということになる。日本の法律は、そういう工合に、金持ちとか権力者のためにできておるのか。どうですか、あなたの今言ったことは矛盾しているじゃないか。契約したのは細見じゃないか。私は、契約したことを言っているのじゃない。あなたが証人に出て、でたらめを言っている。しかし、そのでたらめを、われわれが偽証罪とかなんとかにやりたくない。やりたくないけれども、この土地というものは、この五百万というものは、あなたは写しまでとっている、良島さんから聞いて。五百万手金を打ったものであり、国家がこれに対して取りかえちゃいけないといって仮処分した。そうしてこんなわずかな金でしている。しかも、法務省が争いがあるということを知っている。契約があるということを知っている。それだから、あなたが国のりっぱな財産と取りかえるときは、良島さんのところに行って、いろいろ破約したけれども、この五百万はどういうふうに解決がついているか、あるいは仮処分したが、とうなったか調べて――それを調べる余裕はないとしても、当時としては、延原なら延原が、これに対して御迷惑をかけません、ちゃんとしますということを言って、それをしてないということになれば――二億三千万で上野さんにやるということを今あなたおっしゃった。そうしてこの五百万円を何とか良島さんに返そうと思っているところだ。長島さんの五百万円の権利を認めたということだが、それは弁償した。裁判で確定をして回収をしたと言えば、りっぱだ。こんな事件は起きない。五百万損害をかけぬようにやるからと、良島さんの方に言ってから契約した、こういう工合にあなたがおっしゃるということは、良島の権利を認めた。たとい認めなくても、仮処分を許した土地の取りかえなんか認めませんよ。かりに裁判所でも、取りかえてしまった土地を、三年も四年もたってから許すということは、やはりつながりがあり、権利があり、やはり民法として手金を取っているから、つながりがある。そういうものをあなたが国有地とお取りかえになるのは、これを無視されたということは、あなたが全部自分の承知のもとで、あなたが国家に対して損害をおかけになった。これはりっぱな役人の背任ですよ。あなた一人でも、係長でも、これに関係した人は全部背任だ。これだけはあんたは答弁できないと思う。良島君はそこにおるが、この契約書に、もし期日までにあとの残金を納めぬときは、この手金を無効にしますと書いてあったのをとっても、一応手金は没収できても、売買契約というものは、それによって無効にはならぬ。これは刑事課長に聞きたいが、法務省でもって刑事問題ばかりで人間を考えているから、民法の研究が足りない。民法というものは、そんなものではない。どうです。

#240

○荒舩委員長 河井刑事課長、どうお考えですか。

#241

○河井説明員 今の田中委員の御指摘の点につきましては、法務省といたしましては、どのようないきさつで延原と良島証人との間に売買契約ができて、そして五百万円の手付が授与されたかということは、つまびらかに承知いたしておりません。御承知のように、民法では、手付と申しますのは、証約手付とか違約手付とか、いろいろ手付にも性質がございまして、ただその文言に書かれた領収書の記載だけで判断するわけではないのでございます。そのほかにいろいろと、少なくとも一万何千坪、二万坪もあるような売買でございますから、金額にいたしまして何億という金額であれば、必ずほかに、そういう契約が書面にできておるかいなかにかかわらず、あったと存ずるのであります。従いまして、それを明らかにいたしませんとその違約の手付があるいは証約手付かわかりませんが、その手付の性質ははっきりしない。それは法務省が契約の当事者ではないので、今のところ、その点は私はつまびらかにいたしておりません。その当事者の延原と良島と、この契約の当事者のそれぞれの言い分と契約の内容を十分聞きまして検討いたしませんと、その内容はわからない。こういうふうに申し上げる以外にないと思います。

#242

○田中(彰)委員 あんたはそういうことをおっしゃるけれども、契約はどうだ。五百万円の手金を打って、そのコピーをとって、これを買いました。これが法律的に有効であるか、無効であるか、言えない。しかし、有効だということで前に仮処分を許して、今度取りかえた土地を仮処分を許した。これがつながりがなければ、仮処分も許しません。幾らかでも権利があることを認めたから、これは裁判はどうなるかわかりませんが、ただ、所長が今まで言われた用意周到な、ブローカーとか、天理教の信徒総代とか、肩書きのこととか何とか、でたらめなことを言っておられるが、そんなことはいい。全部水に流しましょう。しかし、こんなコピーをとって、何であったとか、買った、売った――五百万円ですよ、十万や二十万ではありませんよ。五百万円を取って、仮処分を許しているものを、取りかえられるならば、問題が起こるのは間違いない。問題が起きた場合は、延原が責任をとって払うとか、国家に御迷惑をかけないとか、そういうものが一緒に入るべきでしょう。だから、この問題が今起きているのですよ。これから大きな問題が起きるのですよ。もし、この訴訟が勝てば、拘置所だって、どいていけと言われれば仕方がない。こういう問題を起こしているということは――あんたが今までここで言われたことは、全部ほんとうでしょう。刑事課長もほんとうでしょう。しかし、こういうものがあって、こういうものがあるのだ。これを取りかえるのに、何の一言のあれも入れないでやられたということは、国家に損害をかけたということです。国家に損害をかけたら、背任罪である。もし刑事課長がこれに賛成されるならば、おもしろい。一つ国会議員田中彰治……。あんたは契約の内容を知らないので、わからぬと言われるけれども、五百万円の手金を打って、権利者が条件を書いたかもしれませんよ。しかし、一応上野にもだれにも売らぬ、お前から五百万取って一応この土地を売ったけれども、あと金もそろえぬし――あと金はそろえたけれども、いろんな手違いがあったから、もうお前に売らない、これは無効であるということを宣言してあれば――たとえばこっちが承諾していなくても、宣言してあればとにかく、宣言はないのです。あなたの方は何もないのです。内容証明も行っておりません。五百万円の金です。断わりの葉書一本行っておりません。だから、売買契約というものが――出る証人が、みな延原に会っているのです。それで全部これが無効であるということを言ったから、仮処分を許した。これは小委員会で調べた。これは委員長も報告してわかっているはずです。人の権利のある財産と知りつつ、人が手金を打ってあるということを知りつつ、国有財産とだまって取りかえてしまって、そうして片一方に対しては、前科者だとか何とかいうことで、五百万の金を棒に振らなければならないということになれば、これは問題じゃないか。

#243

○荒舩委員長 ただいまの田中君の発言に対して、証人のどなたでも、御発言がございますか。

#244

○細見証人 補足するようでございますが、私が午前八時にこの許可指令を取り消されるというときに、その前に付加しませんでしたので、付加さしていただきますが、良島氏がそういう前科者であり、仮釈放とか何とかいう身分だから、これは絶対にいけない。なおそのほかに、細見は天理教から資金を仰ぐと言っておいて、その資金を仰がぬから、この効力は断ち切る、こう鈴木管区長と松本拘置所長がおっしゃったわけなんですが、その際に、私は冷汗をかいたぐらいにびっくりしたわけであります。それでそのときに、松本さんも今なお覚えていらっしゃるでしょうが、良島氏が仮釈放の身分であるか、前科者の身分であるかわからぬけれども、五百万円の金を入れたことは承認しておられるのであります。この事柄を断ち切るならば、五百万円のその金は、拘置所長さんなり鈴木さんが取り返して下さいよということは、私は条件にかまえてあります。お覚えがあるはずです。

#245

○田中(彰)委員 それからどう言ったのです。

#246

○細見証人 よろしい、必ず断ち切るときには、延原をして私の方から取り返してきて、全部返してあげましょう。これは言明されました。私はそれだけは、私の権利が最悪の場合、至上命令というならやむを得ぬが、よしあしは別にしても、とにかくこれを切るということであるならば、この五百万円は、延原から取って良島さんに返してやってくれ。この条件は、ほかの条件とともにつけたはずです。そうしたら、拘置所長が、延原から断ち切る場合には、取ってきて返してやろう。これは確かに言明されたことと、この裏の課長さんがおっしゃるのですが、細見ならば相手にしたのだが、良島ならば知らないのじゃと、軽く見たというお話でありますが、私が、この許可書を取り消すと呼ばれた、午前八時であったのですが、これは私はすぐそこを辞退して、困ったこっちゃ、えらいこっちゃということで良島氏に伝令飛ばした。ところが、私を大事に、主にせられるならば――私に取り消しをやる前の晩に、良島さんのところへ拘置所長さんと管区長さんと二人行ったわけです。良島さんに前の晩にその取り消しの話をしておいて、私は翌日聞いております。時間の違いで一日違い。私を主たるもんじゃと、ようここではぬけぬけとおっしゃるが、心の底には良島氏を重要視しておるから、私に宣告する前の晩に、良島さんのところにわざわざ自動車で行って、ホテルへ来ていやはるわけです。この辺も一つ御判定を願いたい。

#247

○小川(豊)委員 今の細見さんの言ってることに対して、あなた、その言ってることを認められますか、松本さん。

#248

○松本証人 おそらく三十年十一月二十七日の取り消しのときのことだと思うのですけれども、私、そういうことを確約した実は記憶はないのでございます。

#249

○小川(豊)委員 この人たちは五百万出しておるのだが、それはあなた承知しておるのだ。そうしてこの契約を解除するということになるわけだ。従って、五百万損をする。それはあなたよくわかっているでしょう。従って、細見さんも大へんなことだから、この五百万はどうしてくれる、こう言ったことは、これは想像にかたくないのです。それに対してあなたも、それは取り返してやるということも、私は、常識上当然言っただろうと、想像しては悪いのだが、思われるのだ。あなた・それは記憶にないと言うのだが、それは重要なポイントだ。だから、あなたはそういうことは知らないと言われたのか、取り返してやると言われたのか、ここのところだけははっきりしておいて下さい。

#250

○松本証人 まあこれはさっき申し上げましたように、五百万円の金が良島さんの方に返るということは、私どもの方としてもこれは望ましいことなのでありますので、私は記憶はありませんが、しかし、そんな約束は――人の持っておる金ですから、それをとって返してやるというようなことは、言うはずはないと思います。ただあるいは、できるだけそういうふうに努力はしてみようというようなことは、言ったことがあるかもしれません。

#251

○小川(豊)委員 これは私は、この事件の一つの――非常に高い土地との等価交換というのも問題だと思いますが、この事件がこういうように紛糾してくることも、その五百万が実は空になったから、こうなってきてしまっておるのですよ。だから、この五百万を返してやりさえすれば、こんな問題は起こらなくて私は済んだだろうと思う。非常に重要なポイントになっておるときに、細見さんとして、これをどうしてくれるのだと言うことは、これはもうあたりまえのことであって、これについて、あなた知っているのだから、それをどう――あなたの答弁、その辺あやふやなんですね。記憶にない、しかし言ったかもしれないと言うが、これは書いたものないから、そういうことで通るかもしらぬけれども、この点は、あなたはっきり言って下さい。それを覚えがないとか、言ったかもしらぬけれども、記憶にないとかと言って……。これはこの問題のポイントなんですからね。ほかのことはあなたよく記憶に残っているのですが、その点だけが記憶にないということは、ちょっと納得いかない。

#252

○松本証人 いろいろな当時の記録を、なるべく残すようにしております。今出てくるときもいろいろ調べたのでございますけれども、六年前のことでありまして、もう一ぺんあらためて記憶を呼び起こして参ったのでございますけれども、私の調べた記録の中には、当時そういうことを言ったということはございませんし、記憶しておりません。

#253

○荒舩委員長 ちょっと松本証人、私の口からこういうことを申し上げたいことじゃないが、あなたのお役目というのは、間違って犯罪を犯した人を一日も早く善人に引き戻してやるというお立場の人であり、なお、その犯罪人が一人でも出ないように、愛情を持ってこれを導いてやる御職責だと私は思う。この五百万の手金を打ったことを知りながら――本問題の解決の焦点とは多少違いますが、そういうことを知っておったら、あらゆる努力をしても、その五百万は返してやるような御尽力をすべきであり、なお、これは責任を持つというわけにもいかないが、これは取り返してやる御努力及びそういう発言も、私は、あなたのお立場なら、あってしかるべきだと考えております。この事件の問題に触れておることじゃございませんが、そういう愛情があってこそ、拘置所の所長さんとして、私は満点だろうと思うのですが、話を聞いていて、あなたにそういう気持があるかもしれませんが、どうも私としては、まことにふに落ちないと、こう思うのです。これは私見でございますから、答弁の限りでございません。
    ―――――――――――――

#254

○荒舩委員長 本件は、きわめて重大な問題を含んでいるように、私は証言等によって考えられました。よって、今後も引き続き調査を行なうことといたしたいと存じますが、これについて、小川委員のお考えをお述べ願います。小川君。

#255

○小川(豊)委員 これは今まで数回やりました。きょうまた証人としておいでを願ってやったわけですけれども、この問題の解決はできません。さらに問題を含んできていることが予想されるわけです。従って、私は、今委員長の提案の通り、この問題については、会期はほどなく終わるでしょうが、休会中といえども、この問題に対する審議は継続することがしかるべきじゃないかと思います。

#256

○荒舩委員長 続いて田中君。

#257

○田中(彰)委員 委員長もお聞きになったでしょうが、非常に奇々怪々なる事件であって、そして一民間人がちょっとした判断の誤りを犯したために、大金五百万円を棒に振られた、自分の財産を持って逃げられた、あるいはまた民事の裁判をして、そして権力者と戦わなければならない。負けたら一族が経済的に滅亡してしまう。これも同情しますが、これは別といたしましても、因縁のついた土地にあれだけの広大な建物を建ててしまって、それから今度は交換した土地を、やはりつながりがあるからといって、同じ法務省が、裁判所が、これを仮処分にして、そしてこれを自由にさせない、こういうような結果になりますと、この裁判の結果は、われわれが調べたこの速記録等を調べてみても、必ず法務省が負ける。延原が負ける。負けるということになりますと、あの土地が上野なり良島らに返っていくと、あの拘置所が建った土地が、立ちのきを命ぜられても仕方がない。従って、こういうものを取りかえたから、これだけの損害が起きた、こういうことで、国が損害賠償を訴えられても仕方がない、こういうようなことを考えてみますと、非常に重大であります。しかも、法律家であり、法律を知っている法務省が、そういう因縁のつくことを知っており、人が売買したことを知っておって、未解決であることを承認しながら、こういうことで国家に損害を与えたということは、これは刑事上の問題から見ても、役人としてはりっぱな背任罪であります。こういうような重大な問題を含んでおりますから、ぜひとも委員長におかれては、あらゆる証人を喚問していただいて、そして最も厳正な、公正な結論が下るようにしていただきたい。これを国家のために私はお願いいたしたいのであります。

#258

○荒舩委員長 それでは、小川君の御意見もございますから、いずれ閉会になりますが、閉会中といえども、継続してこの問題を究明することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#259

○荒舩委員長 御異議なしと認ます。よって、さよう取り計らいます。
 なお、田中君の発言中で、証人及び参考人の出頭要求がございましたが、これは後刻理事会を開きまして、協議決定をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

#260

○荒舩委員長 御異議なしと認めます。さよう決定をいたします。
 証人及び参考人の各位には、きわめて長時間にわたりまして、まことに御苦労様でございました。委員会を代表いたしまして、厚く私からお礼を申し上げます。
 これにて散会いたします。
   午後五時四十六分散会

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