2022年9月
華氏100度水よりあがれば秋の風
ぬばたまの夜わたる月をながむれば月しづむ夜に語りしを思ふ
初めての二人暮らしのアパートの窓から見えた月を見ている
今日もまたなにもなしとげなかったと囁く声がカフェインとなり
一日のパンさえあれば十分と家なきわが主の祈りはうたう
好きな歌ばかりをノートに書きつけて明日を生きる餌にしている
初めての二人暮らしのアパートの窓から見えた月が見えない
剣も盾も捨てたあなたはただひとり平和をつくった彼と似ている
水難を逃れた一匹の蟻が便器の蓋を横切つてゐた
「不正義とたたかうための怒りを」と主にもとめるを祝祷という
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?