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Lapin Ange獣医師の「ネットで見たんだけど・・」 #19: ワンちゃんの寿命

先日,「番外編:「2023年 人気の犬種」として,日本および米国で2023年に新たに登録されたワンちゃんたちの,犬種別登録頭数のランキングをご紹介しました。 で,今回はそれら各犬種のワンちゃんたちの寿命に関するお話です。 
これまでにも何度か言及してきたように,ブルドッグ に代表される短頭種のワンちゃんたちには,その魅力のひとつである特徴的な形態ゆえに,高温多湿の気候の中で体温を調節するのが難しいという宿命があります。 また「#11:ワンちゃん時間とは?」の中では,動物の身体の大きさや心拍数と寿命の関係について,少し触れました。 こうした話はネットにも溢れておりますが,残念ながらその多くは「素因がある」ことと「リスクの大きさ」をないまぜに述べており,ワンちゃんオーナーさんに誤解や余計な心配を与えかねない危うさがあります。 もちろん,愛犬の有する素因や遺伝的に罹患しやすい疾患などを理解し,注意を払うことは重要ですが,短絡的に寿命に直結したり,心配しすぎるのは,賢明とは言えません。 全ての生命は,やがて必ず終わります。 さればこそ,種によらず,齢によらず,今を精一杯生きることが大事と考えます。
ただ,最近,権威ある科学ジャーナルに "Longevity of companion dog breeds: those at risk from early death コンパニオン犬の品種による寿命:早期死亡リスクのある品種" なる報告が掲載されました。  根拠を示さない怪しげなネット記事とは次元を異にする,他に類を見ないサンプル数のデータに基づく解析が行われており,無視はできないと考えましたので,まずはそのAbstract 概要を紹介します。

Longevity of Companion Dog Breeds: Those at Risk from Early Death

Scientific Reports 14, 531(2024)

Abstract
コンパニオン犬は,その表現型が最も多様な種の 1 つである。  犬種間の差異は,形態や行動だけでなく寿命にも及ぶ。  にもかかわらず,犬種間の平均余命の違いを評価したり,寿命が系統学的な特徴として成立する可能性を評価する研究はほとんど行われていない。  英国内の,284,734 頭の死亡例を含む 584,734 頭の犬のデータに基づき,次の側面からみた推定寿命の差を示す: 親の系統 (純血種,雑種),品種 (n = 155),身体の大きさ ( 大,中,小),性(雄,雌)および頭部型(短頭型,中頭型,長頭型)。  推定生存期間が系統発生群ごとに分けられ,イヌの進化の歴史(家畜化とそれに伴う人為的選択による)が各犬種の寿命と関連しているという証拠が得られた。 この情報は,血統の健康に関する議論に役立つ証拠を提供すると同時に,現在/将来の飼い主,ブリーダー,政策立案者,資金提供団体,福祉団体が犬の福祉に関する意思決定を改善するのに貢献するだろう。 

この Abstract だけでは,何をやったのかは判っても,その結果が分かりませんね。 しかし結果の項には,専門的な計算方法による集計が記されており,理解が難しいので,この報告を分かり易く紹介したNew York Timesの記事を紹介します。

The Dogs That Live Longest, by a Nose
鼻でわかる 長生きする犬

New York Times, Feb 1, 2024
(記事中,私も知らない犬種名が多く,誤訳はご容赦ください)

すべての犬は天国に行きます。 しかし,150品種以上,約60万頭の犬を対象とした英国の研究結果によると,ブルドッグはボーダー・テリアより何年も早く旅立つ可能性があるという。
今回の研究により,大型犬や平坦な顔を持つ犬種は,小型犬や長い鼻を持つ犬種よりも平均寿命が短かく,メスはオスより若干長生きすることが分かった。

各犬種の平均寿命
太字前回「2023年 人気の犬種」で紹介した日本の1〜20位の犬種)
◯ ランカシャー・ヒーラー:15.4年
◯ チベタン・スパニエル:15.2年
◯ ボロネーゼ:14.9年
柴犬:14.6年
パピヨン,ハバニーズ:14.5年
◯ レイクランドテリア,コトン・ドゥ・トゥレアール,ボーダーテリア,シッパーキ:14.2年
◯ 大型ミュンスターランダー:14.1年
◯ ラサ・アプソ,スウェーデンヴァルフント,ジャーマン・スピッツ・ミッテル,ノリッジ・テリア,オーストラリアン・キャトル・ドッグ,プードル,ケアンテリア,イタリアン・グレーハウンドミニチュア・ダックスフント,ウェルシュ・スプリンガー・スパニエル:14年
◯ ローチェン,ビアデッド・コリー:13.9年
◯ ベルジアン・テルビュレン,パーソン・ラッセル・テリア,フィンランド・ラップフンド,ブラッコ イタリアーノ,ウェルシュ・テリア,チベタンテリア:13.8年
◯ オーストラリアン シェパード,ミニチュアピンシャー,ソフトコーテッドウィーンテリア,ベドリントン・テリア,スパニッシュ ウォーター ドッグ,プチバセットグリフォン ヴァンデーン:13.7年
◯ ワイヤーフォックステリア,イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル,アイリッシュ テリア,ノーフォークテリア,サセックス・スパニエル,ヴィズラ:13.5年
◯ チャイニーズクレステッド,ウィペット,シェットランド・シープドッグ,ウエストハイランドホワイトテリア,ジャーマンショートヘアードポインター:13.4年
◯ ブリュッセル・グリフォン,ミニチュアシュナウザー,アメリカン・コッカースパニエル,コリー,ジャック・ラッセル・テリア,シルキー・テリア,プーリー,ヨークシャー・テリア,イングリッシュ・コッカースパニエル,チベタン・マスティフ,サルーキ,ペキニーズ:13.3年
◯ ダルメシアン,ダックスフント,ノバスコシア ダック トーリング レトリバー,ポリッシュ ローランド シープドッグ,ウェルシュ・コーギー・ペンブロークゴールデン・レトリバー:13.2年
◯ ウェルシュ・コーギー・カーディガン,イングリッシュセッター,ボーダーコリー,フィールドスパニエル,シーリハムテリア,ラブラドール・レトリバー,サモエド,マルチーズ:13.1年
◯ トイ・マンチェスター・テリア,フォックス・ハウンド,ジャーマン・ワイヤーヘアード・ポインター,スタンダード・シュナウザー,日本スピッツ,ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグ,ノルウェーエルクハウンド:13年
◯ トイ・フォックス・テリア,アイリッシュセッター:12.9年
◯ ワイマラナー,ダンディ・ディンモント・テリア,シーズー:12.8年
◯ スコティッシュテリア:12.7年
◯ ブリアード:12.6年
◯ ビーグル,バセット・ハウンド,アメリカン・スタッフォードシャー・テリア,ビション・フリーゼ,チン:12.5年
◯ ケリーブルーテリア,ゴードン・セッター,スカイテリア:12.4年
◯ キースホンド,クランバー・スパニエル:12.3年
◯ ミニチュア・ブル・テリア,ポメラニアン,カーリーコーテッド・レトリバー:12.2年
◯ オールド・イングリッシュ・シープドッグ,チャウチャウ,バセンジー,ジャイアント・シュナウザー,グレン・オブ・イマール・テリア:12.1年
◯ 雑種,エアデール テリア,ブルテリア,カナン・ドッグ,スタッフォードシャー・ブル・テリア,ベルギー・マリノア,ボルゾイ,ケルピー,ローデシアン・リッジバック:12年
◯ スピノーネ・イタリアーノ,シベリアン・ハスキー:11.9年
チワワ,キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル,ボストン・テリア:11.8年
◯ フラットコーテッド・レトリバー:11.7年
パグ,チェサピークベイ・レトリバー:11.6年
◯ グレイハウンド:11.5年
◯ 秋田:11.4年
◯ ジャーマン・シェパード・ドッグ,ボクサー,アメリカン・エスキモードッグ,アラスカン・マラミュート,ブービエ デ フランドル:11.3年
◯ ドーベルマンピンシャー:11.2年
◯ アフガン・ハウンド,ブルターニュ,ドーグ ド ボルドー:11.1年
◯ ニューファンドランド:11年
◯ グレート・ピレネー,ブラック・ロシアン・テリア:10.9年
◯ アイリッシュ・ウォーター スパニエル:10.8年
◯ チャイニーズ・シャーペイ,ロットワイラー,グレートデーン:10.6年
◯ スコティッシュ・ディアハウンド:10.5年
◯ ブルマスティフ:10.2年
◯ アナトリアン・シェパード,バーニーズ・マウンテン・ドッグ:10.1年
◯ レオンベルガー,ファラオ・ハウンド:10年
◯ アイリッシュ・ウルフハウンド:9.9年
◯ ブルドッグ,フレンチ・ブルドッグ:9.8年
◯ アーフェン・ピンシャー,ブラッド・ハウンド,ナポリタン・マスティフ,セント・バーナード:9.3年
◯ マスティフ:9年
◯ カネコルソ:8.1年
◯ プレサ カナリオ:7.7年
◯ コーカサス・シェパード:5.4年

この全体としての傾向には例外があり,繁殖慣行や遺伝子プールが異なる可能性がある英国外の犬には当てはまらないかもしれない,と研究者らは指摘した。
何故ある犬種の寿命が他の品種よりも短いのかを解明するには,さらなる研究が必要である。 一部の犬種は遺伝的に深刻な健康上の問題を起こしやすいが,行動,ライフスタイル,食事,環境,その他の要因における犬種に関連した違いも,一部の犬の寿命を縮める原因となる可能性があると専門家は述べている。
「早期死亡のリスクがある集団を特定したので,その理由を調べることができる」と,この報告の著者であり,英国の犬福祉慈善団体ドッグス・トラストのデータマネージャーであるカーステン・マクミラン氏は述べた。「これは私たちにとって犬の生活を改善する機会となるだろう。」
この研究は,研究者らが品種登録簿,ペット保険会社,獣医学関連企業などの情報源から集めた英国の584,734頭の犬のデータベースに基づいている。 こうしたデータはさまざまな偏見を招きやすく,必ずしも英国の一般的な個々の犬を代表しているわけではないことを科学者らは認めた。
しかし,今回の研究には関与していないバージニア工科大学の獣医疫学者オードリー・ルール博士は,研究者らが非常に多くの異なるデータソースを利用したことがこの研究の強みの一つだと述べた。「これは素晴らしいアプローチだと思います」と彼女は言った。
ほとんどの犬は純血種で,犬種の数は155 品種にのぼった。 残りは「交雑種」という一つのカテゴリーにまとめられた。 研究者らは,各犬種の身体の大きさを小,中,大に分類し,頭部の形状を平らな顔(短頭),中程度のプロポーション,および長頭に分けた。
全体の平均寿命は12.5年であったが,犬種ごとの寿命は「非常に驚くほど」異なっていたとマクミラン博士は述べた。 小型の牧畜犬であるランカシャー・ヒーラーの平均寿命は 15.4 年で,最長寿の犬種となった。 しかし,はるかに大きなコーカサスシェパードの平均寿命はわずか5.4年だった。
小型の犬種の平均寿命は12.7年であったのに対し,大型犬種の平均寿命は11.9年だった。 このことは,犬や他の哺乳類に関する従前の研究と一致しており,一般に,特定の種内では小さな個体の方が大きな個体よりも長生きする傾向があることが知られている。
短頭種の平均寿命は11.2年だったのに対して,中および長頭種の平均寿命は12.8年および12.1年だった。 フレンチ ブルドッグのような短頭種は非常に人気がある。 しかし専門家らは,彼らの極端に短い鼻が呼吸器疾患,熱中症その他の健康上の問題を引き起こす可能性があると警告している。
研究者らは,寿命の短縮に関連する特性のいくつかは,相互に複合化しているらしいことも発見した。ミニチュアダックスフントやウィペットなど,長頭の小型犬の平均寿命は13.3年で,ボクサーやブルマスティフなどの大型の短頭種の平均寿命10.7年よりも約2年半長かった。
進化の歴史も影響を及ぼしており,近縁種の平均余命は類似していた。
研究者らはまた,純血種全体の平均寿命が12.7年であるのに対し,雑種犬の平均寿命は12.0年であることも見出した。 純血種の寿命が長いという結果は,一部の先行研究と矛盾しており,サイズや品種の組み合わせに関係なく,すべての雑種犬が単一のカテゴリーにまとめられたことが原因かもしれないと科学者らは述べた。
しかしラップル博士は,雑種の犬は常に純血種の犬よりも健康であるという従来の通念に疑問を呈する結果は喜ばしいと述べた。 「もっと複雑な問題なのだと思います。 とても健康な純血種の犬はいるのです。」

この研究報告のインパクトは大きく,世界の複数のメディアが取り上げて記事にしていますので,上記のNew York Times の記述を補足するため,CNNの記事からも一部紹介します。

How long will your dog live? Measure its nose
あなたの愛犬はどれくらい生きるか? 鼻を測ってみてください

CNN, Feb 3, 2024

英国の584,000頭以上の犬のデータを対象とした大規模な研究が行われ,その結果が先ごろ発表された。 それによると,体の大きさや性別に加え,鼻の長さも寿命に影響を与える可能性があるという。
「ブルドッグのような平らな顔の中型犬の雄は,ミニチュアダックスフントやイタリアングレーハウンドのような顔の長い小型犬の雌に比べ,短命の可能性が3倍高い」と語るのは,英国最大の犬の保護団体、ドッグズ・トラストのデータサイエンティストで,サイエンティフィック・リポーツ誌に掲載されたこの研究論文の主執筆者でもあるカーステン・マクミラン氏だ。

同論文の執筆者たちは,155の犬種とミックス犬のデータを分析した。 その結果,ラブラドールレトリバーやボーダーコリーの平均寿命が 13 歳強だったのに対し,平らな顔の短頭種は,ほぼ例外なく他の犬種に比べ寿命が短かった。 短頭種の例としては,マスチフ(9年)イングリッシュブルドッグ(9.3年),フレンチブルドッグ(9.8年)などが挙げられる。
短頭種の中で例外的に長寿なのがラサ・アプソだった。 平均寿命は14年で,柴犬(14.6年),パピヨン(14.5年),ミニチュアダックスフント(14年),イタリアングレーハウンド(14年)らと並び,最も平均寿命が長い犬種の一つだ。
とは言うものの,調査結果の大半は予想されたパターン内に収まった。 雌は雄よりも長生きし,小型犬は大型犬よりも長寿だった。 鼻の長い中・小型犬の平均寿命は12年以上だったのに対し,平たい顔の犬は,身体の大きさに関わらず 12年未満だった。

デザイナードッグについて
この研究の驚くべき結果の一つは,純血種はミックス犬よりも約 8か月長生きすると分かったことだ。
この結果は,ミックス犬は近親交配犬に比べ,丈夫で健康であるという一般に抱かれているイメージと合致しない。 しかし,今回の研究で全体像を示すことはできないとマクミラン氏は言う。
今回の研究で使用された犬のデータは獣医師,犬種登録所,犬の救済機関,ペット保険会社から集められた。 まず純血種と交雑種に分けられたが,交雑種に関しては,遺伝的に多様ないわゆる「雑種」と,コッカプー,ラブラドゥードル,キャバションなどの意図的に交配して作られた「デザイナーブリード」は区別されなかった。
「デザイナーブリード」は,ランダムに異なる犬種を組み合わせた「ミックス犬」や自然淘汰の結果ではなく,純血種どうしを人為的に交配させた「ミックス犬」のことである。 
現在,ドッグズ・トラストは,この人気の高いデザイナーブリードが,その親である純血種に比べて寿命が長いのか短いのかを見極めるための新たな研究に取り組んでいる。
しかし,ワシントン大学の犬の寿命に関する専門家で獣医師でもあるシルバン・ウルファー博士は,「デザイナードッグは比較的新しい概念で,まだ若い犬が多い」ため,これらの犬が成長し,高齢化する過程を調査することにより,その健康や寿命に関する理解がさらに深まるだろうと指摘した。
マクミラン氏も,この研究結果は数百万ものデータポイントを含んでいるが,ペットとして飼われている犬の生活の全体像を必ずしも表しているわけではないと言う。 例えば,ペット保険に加入していない犬もいれば,定期的に獣医に通っていない犬もいる。
また同研究では犬の死因も考慮されておらず,(寿命によらず)安楽死の処置が取られることも少なくない。
マクミラン氏は「この論文が政策立案者,政府,獣医師,飼い主,そして誰もが『これらの犬はなぜ死んだのか?』と考え始めるきっかけになることを祈っている」とし,さらに次のように続けた。
「その疑問に答えるのは非常に難しいだろうが,ほんの少しずつでも答えを見つけていけば,犬の健康の大幅な改善に一歩ずつ近づく」

結論

この研究結果をどう捉えるかは,人によって異なると思います。 著者も述べているように,この結果が常にみなさんのワンちゃんに当てはまるわけでもありません。 実際,コーカサスシェパードの 5.4年という平均寿命はあまりにも短く,違和感を覚えたので,少しネットで調べてみると「大型種にしては長寿で,10〜12年」との記載が複数ありました。 一般のwebサイトの信憑性には不安があるため,(ジャパンケンネルクラブのサイトには寿命の記載がなかったので)American Kennel Clubのサイトを見ると,"Life Expectancy: 10-12 years" とされていました。 今回の,英国の犬に基づく研究のデータの中で,この犬種についてはサンプル数が十分でなかったのかもしれないし,あるいはこの犬種について,何らかの英国特有の飼育環境が寿命に影響した可能性もあると思います。

New York Times およびCNNの,どちらの記事もタイトルに「鼻」が入っています。 おそらくは「鼻の長さで寿命が決まる」かのような表現がキャッチーなためだと想像しますが,事実,短頭種は健康上の危うさがあるという近年の常識(噂話? )を裏付ける研究結果となりました。 ただ,短頭種が危ういという話は,その形態的特徴による呼吸器系の不利に基づくものですが,「#12:短頭種の話」で紹介したように,呼吸器系の不利による影響として,鎮静や全身麻酔による死亡リスクについて調べた研究では,逆に長頭の犬種における死亡が多く,短頭種では死亡リスクの増加は見られませんでした。 今回のデータはデータとして受容するべきですが,短頭種の寿命が短い傾向には,この犬種に付随する副次的な要因が関与している可能性もあると考えます。 
ミックス犬が純血種よりも短命だったという結果については,CNNの記事の中で解説されており,「雑種」の中に,純血種同士を意図的に組み合わせたデザイナーブリードが含まれていたことが原因した可能性が指摘されています。 これは,デザイナーブリードの寿命が短いと言っているのではなく(もちろん,その可能性も否定はできませんが),まだ十分なデータがないために,更なる研究が必要であるとの指摘です。
短頭種以外の犬種についても,血統による,疾患や健康上のトラブルの傾向,素因は確かにありますが,個々のワンちゃんが実際にどれくらい生きるかは,多くの要因が複雑に相互作用することによって大きく影響されるものです。
先日放送されたNHK和歌山の番組「紀の国スペシャル:野犬出没 〜和歌山市で何が〜」で,最近,和歌山市内の住宅街や繁華街など人が生活する場で野犬が頻繁に目撃されていることを紹介していました。 野犬が増えた原因や行政の対応,捕獲した犬の行き場(引き取り手)等々,多くの問題がある現状を伝える番組内容でした。 その中で,広島大学の谷田名誉教授は,最近,飼い犬であれば15年程度もしくはそれ以上生きることが多いけれども,多大なストレスの中で生きている野犬は,特に重大な疾患がなくても5〜6年程度しか生きられない,という胸が痛む事実を解説されていました。 
CNNの記事中に述べられているように,今回の研究は単に生存した年数をパラメータとしたものですが,次のステップとして「何故死亡したか」というデータについても解析されることで,種々の素因がどのように寿命に影響したかが分かってくるかと考えます。 

ともあれ,大型犬や短頭種が短命であるという統計上の差を気にするよりも,愛するワンちゃんたちと「日々をいかに生きるか」こそが重要で,ワンちゃんを含めた家族の強い信頼関係の中で幸福に過ごすことが,結果的に寿命の延長につながるのだと思います。

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