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中華の周縁

この記事では、「伝統文化」が大好きな私が韓国旅行に向けて読んだ『朝鮮―民族・歴史・文化―』著・金達寿から得た知識と考察のまとめを書きます。

この本全体の感想としては、世界史で途切れ途切れに学んだ朝鮮史をまとめて復習しなおせたのが良かった、という感じです。

高句麗・百済・新羅が統一されて高麗に滅ぼされて、そのあと李氏朝鮮が~みたいな大まかな流れが分かりやすくまとめられていました。

もちろん世界史の授業では触れなかった、というか踏み込む時間が無かった「その事実が起こった構造的な原因」みたいな金さんの考察も書かれていて、ふむふむ、、、と思いながら大変興味深く読ませていただきました。

そして、私がこの本を読んだ最大の目的である「韓国旅行するうえで注目すべき『伝統文化』とは何なんだい!!!」という題目について。
(個人的な趣向で、ざっくり『伝統文化』と言っても主に食と建築なのですが、、、)

残念ながら、食と建築に関する直接的な記述はあんまりなかったのですが、紀元前~最近までの朝鮮半島の国家動向やら思想の変化やらを読んで感じたのが「朝鮮って、ベトナムと似ているのでは?」ということです。

私が考察したのは、朝鮮とベトナムが何千年単位で置かれてきた『中華の周縁』という立場から生じる、地政学的な類似性。

どちらも歴代の中華王朝と地続きで、そこそこの頻度で侵略を受けたり、文化や思想が流入してきたりしていたようです。

この本では、儒学と朱子学がいかに朝鮮社会に影響を与えたか、金さんが何度も、そしてかなり気持ちの入った感じで記述していて、儒学と朱子学もう少し勉強してみようかな~と思ったのでした。

そしてふと、何年か前にハノイへ行ったときのことを思い出しました。

「孔子廟」と「玉山祠」、思い出されたのはこの2つで、日本ではあんまり見られない儒教?道教?の施設でした。

仏教系の寺院も日本のものと比べるとちょっと煌びやかな感じで、どことなくChinaな印象を持ったのを覚えています。

悔しいことに私はまだ中国に行ったことがないので、『Chinaな印象』はあくまで"イメージ"の域を超えないのですが、ベトナムの伝統文化的なものは想像していたよりもChinaな印象でした。

となると、韓国の伝統文化的なものもChinaちっくな要素を含んでいるのではないか、、、と思ったわけです。

最近読んでいた本で『近世日本ではベトナムや朝鮮からの訪問者を「中華王朝からの使節」と認識していて、当の訪問者も自分の実際の出身地に関係なく、中華風の見世物を披露して江戸の人を喜ばせていた』という記述を見たばかりだったのも、今回のこの『中華の周縁』という考察に寄与しているかもしれません。
(『近世アジア漂流』著・田中優子)

ここまで色々書いていて、思想(儒教とか仏教とか)流入が、芸術や建築のような「目に見えるもの」の流入と連動しているのが面白いなぁと思いました。

儒教の考え方が人か文書によって離れた土地に伝わることはあっても、儒教の施設自体が物理的に動いて離れた土地に伝わることはないはず。

それでも儒教の施設がどこに行っても似た感じなのは、人や文書で伝えられる「思想」の中にビジュアル的なアイデンティティも含められているからなのでしょうか、、、?

少し脱線しましたが、今回の韓国旅行の注目ポイントは『中華の周縁』になりました。
韓国の伝統的な建築ってベトナムのものに似ているのかしら?
見たらChinaみを感じるのかしら?

もちろん本場のホットックとチヂミも楽しみ、、、
あと、チャジャンミョンとカンジャンケジャンも食べたいなぁ


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