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刀剣CoC短編シナリオ「小咄:井戸の底」

前書き

【概略】

 対応ルールブック:第6版
 PL人数:1
 所要時間:約1時間半~2時間(オンラインセッション)
 推奨技能:目星、聞き耳、戦闘技能又は回避
 準推奨技能:跳躍
 初公開年月日:2023/09/23

コメント
 PLとKPでゆっくり刀剣乱舞の話をしながら、この本丸の様子や暮らし方をRPしつつ、二人でのんびりと進めていくシナリオになります。雑談しつつ遊んでいただければと思います。

※注意事項
・本シナリオは、刀剣CoC探索者作成ルール(Larus版)を利用した探索者を想定しています。その他のルールで作られた探索者を使用する場合はKPと相談し、適宜シナリオを修正してください。
・細かい描写はKPの裁量に任せてあります。所要時間はあくまで目安でありシナリオ進行の状況次第で増減する旨、ご了承ください。
・ストーリー展開の都合上、虫が苦手な方はご注意ください。
・このシナリオのリプレイなどを公開する場合は、必ずこのページをリンクし、出典を明らかにするようにしてください。また、転載は禁止です。

【あらすじ】

 本丸裏には、いままで一度も使われたことのない塞がれた井戸がある。ある日、かくれんぼをしていた短刀の一振がその井戸に落っこちてしまった!
ああ、早く助けに行かないと!



本編

【導入】

 探索者は本丸で過ごしていると、「かくれんぼしていたらそのメンバーの一口が井戸に落ちてしまった」と短刀達から相談される。

1.井戸を降りるための道具を探す
 井戸には縄で降りていくことができる。梯子では井戸の底が深すぎて安全に降りることができない。
2.主に相談する
 井戸に降りる前に主に話を聞くと、急いで助けに行くように言われる。「この井戸が塞がれているのは、本丸建築時に井戸を掘ったら『よくない場所』と繋がってしまったからだ」とのこと。
 それに加え、繋がった先の世界の住民を怒らせてしまう可能性があるので、穴を埋めることができなかったらしい。よくない場所については主も詳しくは知らされていない。以上のことは政府の担当者から言われたらしい。
3.井戸に降りる
 縄を用いて降りると、少し長さが足りず落下ダメージを1D6受けることになる。これは[跳躍]に成功で1D3に軽減可能。降りる際、井戸の内壁に[目星]を成功させると以下のことがわかる。
「井戸の内壁は苔むしていて、足や手をついてもぬるぬると滑っていってしまうことがわかる。道具がなければ登ってくることはできないだろう。」

【井戸の底】

 井戸の底にたどり着くと、大きな洞窟のような空間になっていた。暗くてよく見えない(戦場は夜戦・室内補正になる)。灯りを持っていない場合、目星に-10の補正が入る。

1.周りを見渡す
 洞窟の先は何本もの道があり、無策で入っていけば追いかけることができないどころか、道に迷って戻って来られなくなるだろう。足下に[目星]をすれば短刀の足跡を見つけられる。足跡を辿っていくと、どんどん洞窟の奥深くへ入り込んでいくことになる。
2.足跡を辿る
 暫く歩くと[聞き耳]で歩いている先から風を感じることができるだろう。この風について[アイデア]を振れば、この先には外か、あるいは広い空間が広がっているのだろうと予想できる。

【洞窟の奥】

 一際強い風が吹くのを感じて目の前を見れば、そこには底の見えないほど深く対岸が見えないほど遠い断崖絶壁の崖と、大量の白く光る糸がそこら中に張り巡らされていることに気がつく。

1.白く光る糸
 その白く光る糸は複雑に絡み合い、最終的には全て崖の対岸へと伸びている。[アイデア]をすれば、それが大量の蜘蛛の糸であることに気がつくだろう。
 尋常ではない蜘蛛の糸の量とその不気味な光景から0/1のSANチェックが起きる。そして、蜘蛛糸の先を見ようとするならば、以下の描写とSANチェックが発生するだろう。

【描写】
 君たちがその白く光る束に視線を這わせていけば、薄黒く蠢くそれを見つけることができるだろう。
 蹲った人のようにも、糸を紡ぐ蜘蛛にも感じられるが、それは、そのどちらでもなかった。長い節くれた蜘蛛の手足が、糸を這うようにゆっくり移動してこちらへやって来る。

 その不安を掻き立てられる人のような相貌は、だらりと蜘蛛足の隙間からぶら下がり、こちらをじっと見つめている。まるで、獲物を嬲り貪ろうとする餓えた蜘蛛のような、あるいは、仕事を邪魔された炭鉱夫のような、不可解で不機嫌な、奇妙で気味の悪い表情でその身体の毛を不規則に蠢かせる。

 その小さな二つの瞳は、ぎょろりと君たちを見回すだろう。まるで、蜘蛛の巣に絡まり捕食されるのを待つ蝶のような本能的な恐怖が、君たちの全身にぞわりと沸き立つ。

 その、この世ならざる冒涜的な蜘蛛の姿を目撃した探索者は1/1D10のSANチェックを行う。

2.短刀を探す
 蜘蛛の糸に[目星]をすれば、自分たちのいる場所の少し先で蜘蛛の糸に足を絡め取られた短刀が必死に逃れようとしていることに気がつくだろう。
3.短刀を見つける
 短刀は探索者に気がつくと感謝の言葉を述べ蜘蛛糸を取ってほしいとお願いする。そして、急いでここから離れなければならないと警告する。そして、蜘蛛糸の先を指さすだろう。探索者達がまだ蜘蛛糸の先を見ていなければ、このタイミングで先ほどの描写とSANチェックが起きる。

【短刀を連れ帰る】※ラウンド進行

 これ以降はラウンド進行になる。1ラウンド以内に蜘蛛糸から逃れることができなければ、この蜘蛛糸の先にいる蜘蛛神:アトラック・ナチャ(ルールブックP.204-205)が探索者を捕食しようとするだろう。
 探索者が行う必要のある行動は「蜘蛛糸に捕まった短刀を助ける」「蜘蛛から逃げ、洞窟から脱出する」の二つである。

1.蜘蛛糸に捕まった短刀を助ける
 蜘蛛糸から逃れるには蜘蛛糸の30STRと短刀のSTR対抗をする必要がある。これは、協力することで対抗する短刀のSTRに加算することができる(この短刀のSTR対抗は探索者に振らせてもよい)。
2.蜘蛛から逃げ、洞窟から脱出する
1)逃走する場合
 STR対抗に成功したのが1ラウンド目であった場合は、すぐに逃げることができる。2ラウンド目以降である場合はアトラック・ナチャとのDEX対抗に成功しなければならない。
2)戦闘する場合
 アトラック・ナチャのHPを0にした場合、アトラック・ナチャは探索者を残して崖の向こうへと退散する。ただしアトラック・ナチャは難敵のため、戦闘は極以上の刀剣男士で行うことを推奨している。
3.ラウンド進行中の注意事項
1ラウンド目
 アトラック・ナチャと探索者は距離があるため、お互いに干渉することはできない。
・2ラウンド目以降
 アトラック・ナチャは攻撃行動を取るようになる。対象はランダム。

【井戸を抜けて】

 異形の蜘蛛から距離を取ることができた探索者は、蜘蛛に追いつかれる前に本丸へ戻るため走って帰ることになる。

【描写】
 君たちは、延々と来た道を戻っていく。ただひたすらに、走る、走る。息が切れようと、怪我があろうと、必死になってあの名状しがたき異形の蜘蛛から逃れるために。
 ただひたすらに、深淵の淵から、自分たちの常世へ……

 ああ、自分たちの降りてきた縄が見える。出口だ。そう思って立ち止まれば、後ろにはもう、何も追いかけては来ていなかった……

 必死に逃げ出した探索者は、井戸の底でやっと一息つくことができる。
 縄を登っていけば帰ることができるが、上から垂らした縄の端は少し距離のあるため、そのままでは登れない。[跳躍]に成功するとジャンプして掴むことができる。
 また、肩車をしたり、近くの土を盛るなど、なにか工夫して高さを稼げば判定がなくても掴んで登ることができるだろう。

 縄を伝って登っていけば、長らく見ていなかった自然の光りが自分たちを照らすようになる。薄暗く湿った地下の世界から、自分たちの暮らす日常へ。暖かな日差しが、君たちを歓迎している。

 井戸の外では、探索者を心配した主や仲間たちが待っている。主と仲間は探索者と短刀の帰還を喜んでくれるだろう。ひとしきり喜んだあと、主は以下の言葉を伝える。

「大事なことを言い忘れていたね。―――ふたりとも、お帰りなさい!」

 以上で、刀剣CoC短編シナリオ「小咄:井戸の底」改め「小咄:蜘蛛糸」はシナリオクリアとなる。

【クリア報酬】

 SAN回復:短刀救出に成功する1d3

解説

 この井戸はアトラック・ナチャの巣穴に繋がっていた。
 短刀は井戸に落ちた後、外に出ようと試みるも井戸から戻ることはできなかった。仕方なく他の出口を探すと、洞窟のおくから風が吹いていることに気がついた。そこで、風の吹く先に出口があるのではないかと考え、洞窟の奥へ進み蜘蛛糸の橋へと辿り着く。
 そして、短刀が元の道へと引き換えそうとした際に、足下の蜘蛛糸に絡め取られてしまい身動きが取れなくなってしまっていたのだった。