最高のマーケティングについて考えてみる【前半】
おはようございます。現役信用金庫マン 兼 中小企業診断士事務所代表の山西です。当noteでは、経営力強化につながる情報を経営者や支援機関に向けて発信しています。
最近では日本の中小企業にもマーケティングの概念が浸透し始めているように感じます。少なくとも「マーケティングなんて聞いたことがない」という中小企業経営者は激減した印象です。
しかし、曖昧なゆえに理解するのが難しいのが、このマーケティングという概念、私自身もいつも「どんなマーケティングが最高のマーケティングと言えるのか?」と考えています。
今回の記事では、この疑問を起点に、最高のマーケティングについて考えたことをつらつら書いていきます。3回に分けて投稿しますが、今回(前編)ではマーケティングの正体について、中編では最高のマーケティングを実現した状態について、後編では最高のマーケティングの条件について書いていきます。
最高のマーケティングの条件を知ることで、試行錯誤を繰り返して、経営を強化していきましょう。
マーケティングの正体
最高のマーケティングを考えるうえで、まずマーケティングの正体を知る必要があります。
マーケットとは
マーケティング(Marketing)という言葉は、言うまでもなく「Market」という言葉から来ています。「Market」は日本語で言えば市場で、市場とは人々が売買する場のことです。
「売買される場」ということは、何かを必要とする意思(需要)と提供する意思(供給)があり、それが合致する場ということです。
となれば、市場の要素はたった2つしかないことが分かります。
下の図は、経済学でよく見る折れ線グラフの基本です。
これは最もシンプルに市場構造を表したものと言えます。
市場の構造は非常にシンプルで、需要と共有がちょうど一致した場合のみ売買取引が行われます。つまり、市場(Market)とは、買い手と売り手が需要と供給を一致させる場だと言えます。
上記のグラフを基に言えば、例えば、需要が無いものに対して高い価格で供給しても売買は成立せず、市場は成り立ちません。逆に需要が多いものに対し安く供給するのもビジネスとして成立しません。
あくまで「ちょうど」需要を満たすことが重要なポイントです。
また、需要と供給をがちょうど一致した時のみに売買取引が生まれるので、売り手の供給は買い手の需要に依存します。その結果、最終的な需要の持ち主=最終消費者の需要に市場構造が依存することが分かります。
例えば、A社がB社に商品を卸し、B社がCさんに売る事業がある場合、A社の供給はB社の需要に依存しますが、B社はCさんの需要に依存することになります。つまり、A社もCさんの需要に依存することになる訳です。A社はあくまでCさんの需要を理解する必要があります。
マーケティングの正体
以上の市場(Market)の定義を踏まえて、マーケティングについて考えてみます。
マーケティング(Marketing)は、マーケット(Market)の動詞的な形です。
市場(Market)は、売買の場=需要と供給を一致させる場なので、その動詞であるマーケティングとは「需要と供給を一致させること」と言えるでしょう。これは、市場創出活動そのものとも言えるかもしれません。
マーケット、マーケティングともに需要と供給という2つの要素で成り立っている訳です。
しかし、これだけだと非常に抽象的な定義なので、もう少し掘り下げてマーケティングを成立させるものを考えてみます。
需要と供給を一致させるためには、何が必要でしょうか?
先ほどまでの内容を踏まえると、
①消費者の需要を知ること
②消費者の需要にちょうど合うものを供給できること
という2点だと思います。
この①②というマーケティングの要件を成立させるには、需要を知る仕組みを作ったうえで、その需要にちょうど合うプロダクトを供給できる仕組みが必要です。
ここで言う需要とは、消費者が抱える課題を解決する必要性のことであり、プロダクトとは顧客が抱える課題の解決策のことです。
これを踏まえて、マーケティングを定義し直してみます。
この定義であれば、「課題を発見する仕組みはあるか?」「課題を解決するプロダクトをどういう仕組みで作れば良いか?」という問いを立てることができるため、実務に活かしやすいと考えます。
この定義は「消費者の」というのがミソだと思います。
市場の構造の項目で話した通り、市場構造は最終消費者に依存します。となると、マーケティングは1社だけで取り組めるものではなく、サプライチェーンの川上~川下全体で取り組む必要がある訳です。
今回のまとめ
次回予告
次回は、今回の定義をもとに、最高のマーケティングを実現した状態について考えてみます。11月25日(土)投稿予定ですので、ぜひご覧下さい。
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