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設備資金借入の審査ポイント③:返済条件

おはようございます。現役信用金庫マン 兼 中小企業診断士事務所代表の山西です。

前回、前々回と設備資金借入の審査ポイントを説明してきました。

今回のその最終回となる3つ目のポイントを説明していきます。設備投資の判断や借入をする参考になれば幸いです。

設備資金借入の審査ポイント③:返済条件

返済条件(1):借入金額

そもそも借入金額が妥当かどうか判断します。具体的には、減価償却費≒返済額となっているかで判断します。

設備投資の借入は、その事業を行うことで発生したキャッシュで返済することになります。事業が生み出すキャッシュは、当期純利益+減価償却費で算出します。

この減価償却費というのは、投資した設備価値の目減り分のことなので、この目減り分以上の付加価値(≒当該事業が生み出すキャッシュ)を生み出す必要があります。つまり、「減価償却費>当該事業が生み出すキャッシュ」となると、投資した金額以上のものを稼げていないことになってしまうのです。

そして、この設備投資によって稼いだお金を原資として返済することになります。ここで、減価償却費≒返済額となっていれば、投資した設備価値の目減り分だけ返済していってることになるので、返済金額が妥当だと判断できます。

設備投資の計画時点で、「減価償却費>当該事業が生み出すキャッシュ」となっている場合は、そもそも設備投資自体を見直す必要があるかもしれません。

減価償却費以上に返済することになれば、キャッシュを生み出すペースが間に合わないかもしれず、減価償却費以下の返済になれば返済が後ろにズレるため、利子負担が大きくなってしまいます。

あくまで、減価償却費≒返済額となっていることが大切です。

返済条件(2):借入タイミング

借入タイミングも重要です。すぐに使うことなく現預金を借りて持っておくと、余分な利子負担がかかってしまいます。

ベストな借入タイミングは、お金が必要となる直前です。

すぐに使う用事はないけれど、心配だからお金を持っておきたい人は、当座貸越を利用すると良いでしょう。

当座貸越は、借入枠(極度枠)をあらかじめ設定することで、その枠内で比較的自由にお金の出し入れができる借入方法です。ビジネスカードローンも当座貸越の一種です。

なお、あくまで「借りる」のが直前の方が良いだけなので、借入の相談自体はお早めにするのをオススメします。

返済条件(3):返済タイミング

返済原資獲得タイミング=返済タイミングとなっているかを審査します。

返済原資獲得タイミングが返済タイミングより早くなると、返済できるにも関わらず返済していない状況が生まれるため、余分な利子負担が生じます。

一方で、返済タイミングが返済原資獲得タイミングより早くなると、返済原資が無いにも関わらず返済しなければならない状況になるため、資金繰りに悪影響を及ぼしてしまいます。

大切なのは、可能な限り、返済原資獲得タイミングと返済タイミングが一致していることです。

返済条件(4):その他

その他、保全、金利等、総合的に返済条件が適切か判断します。以前投稿した以下の記事を参考にしてください。

借入金額、実行タイミング、返済タイミング、保全、金利等、多面的に判断して適切な設備資金の借入をしていきましょう。

次回予告(設備投資借入の審査ポイントまとめ)

次回は、これまでの設備資金借入の審査ポイントをまとめた記事を投稿します。4月13日(土)投稿予定ですので、ぜひご覧ください。

当noteでは、毎週土曜日に、経営者や経営支援者に向けた経営力強化につながる投稿を行っています。仕事のご依頼、お問い合わせは画面下の「クリエイターへのお問い合わせ」よりお願いします。

投稿者(山西良明)プロフィール

「強い企業を作る」ことを理念に、中小企業の"経営力を鍛える"取組みを行っています。

【経歴】
・現役信用金庫マン
 2014年より信用金庫で勤務。営業、業務推進、融資審査、事業支援を経験。
・中小企業診断士事務所代表
 信用金庫で働きながら、2021年に中小企業診断士として個人事務所を開業。認定経営革新等支援機関としても登録済み。

【強み】
「金融支援」と「本業支援」という両輪の経験を現在進行形で持っていることから、以下の点に強みを持っています。
強み①:本業と資金繰りをリンクさせて考える力
事業先の本業(利益獲得のための諸活動)と資金繰りをリンクさせて考える経験を積んできました。本業を良くして資金繰りを改善する、バランスシートを整えて資金繰りを改善する等、本業と資金繰りを絡めて業況改善の方法を考える力に強みがあります。
強み②:結果までしつこくフォローする継続支援力
金融機関の支援は「継続的な返済」を見据えた支援となるため、入口だけの施策提案を行って終わりの支援ではなく、必要利益・必要キャッシュフローが確保できているかどうかまでしつこくフォローしていくことが習慣になっています。あくまで結果(利益・キャッシュ)を出すための経営力の修得を目的とした支援を得意としています。
強み③:業界横断的な視点
金融機関として、また個人の診断士事務所として、様々な企業の本業や財務情報を横断的に見ているため、業界内外の他社比較や相場感に長けていると思います。

【現在受け付けている業務内容】
①経営パートナー契約
 中小企業様とのパートナー契約により、経営力強化を目的として、毎月訪問(又はリモート相談)で支援をしています。
事業計画書協同策定・実行支援
 経営力強化を目的として、事業者様とともに事業内容を見直し、共同で事業計画書を策定します。ただ計画を立てるだけでなく、活用していくためのフォローをしています。
補助金採択支援
 補助金申請を代行するような支援ではなく、あくまで自ら事業計画書(補助金申請に必須の書類)を策定できるようになる力を身に付けるための支援を行っています。具体的には、事業計画書策定に必要な問いかけを重ねて一緒に考えていくことで、補助金申請に必要な計画書を完成させます。持続化補助金、ものづくり補助金、事業再構築補助金など。補助金交付決定金額の10%を基本とした「成功報酬制」で受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
④創業相談対応
 これから創業する、あるいは創業間もない方の経営を良くしていくための相談対応を致します。売上増加、収益性改善、資金繰り、資金調達等、全般的にご対応させて頂きます。初回無料。2回目以降5,000円/回(50分程度)

【主な保有資格】
・中小企業診断士
 コンサルタントとしての唯一の国家資格。2017年取得
・販売士(リテールマーケティング)1級
 BtoCのマーケティング資格。2018年取得
・応用情報技術者
 IT系国家資格。2021年取得
・認定事業再生士
 事業再生の国際資格。2022年取得

【尊敬する人】
・三枝 匡(事業再生専門家)
・森岡 毅(マーケター)

【趣味】
・マラソン
 地元大会で2時間30分切りでの優勝を目指し、年365日走っています。
・読書
 海外SF、文芸誌、ビジネス書を読みます。愛読書は『三体』『V字回復の経営』




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