曼殊沙華3__1_-_1_

胸の真紅

誰かを思い胸がつぶれそうな夜、曼殊沙華の写真をよく眺める。
自分の心の色を見ているようで落ち着く。

秋が来た。

曼殊沙華は不思議な花で、まっすぐな茎の先に咲く花が終わった後、遅れて葉を伸ばす。
転じて韓国では想思華と呼ばれ、すれ違う思いの象徴とされるらしい。
花は葉を思い、葉は花を思う。

長い夜にひとり呼びかける。そういう悲しみや苦しみのようなものも、かけがえなく大切なもので、心に住まうそれらに存在を支えられている。

「煙」といううたをあたためている。
ひとり呼び続けることで生きる男の話だ。
制作に体力を使いそうで、何日かこもって書くのがいいと思う。
寒い日がいいだろう。

相変わらずギターが下手でひとに聴かせられるようになるまでどれくらいかかるかはわからないけれど、作ることそのものが息をつないでくれる。
できあがったうたはすべて私の子守歌になっていく。

今は忙しいけれど、来年の秋以降になるだろうか、少し余裕ができたらギターを誰かに教わりに行こう(あるいは会社で先生を紹介してもらえるかもしれないという話も、少しずつ進んでいる)。

花の写真を撮ることも、働くことも、うたうことも、長い夜も、すべてつながっている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?