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風邪、早く治そ。

 「楽しい」ことと「楽」なことが、気を抜くとごちゃごちゃになって、すぐに「楽」なことに飲み込まれてしまう。やることは計画するんだけど、本当に計画するべきなのは楽しい予定な訳で、それがなんだか、いつの間にか余った時間でできることにすり替わる。それでもっと質の悪いのが、細切れになった「楽しい」だったものが、ぼんやりとした休憩のまがい物みたいな時間になっていることにも鈍感になってしまう。多分、この休憩のまがい物こそが「楽」なんだ。
 どこから始まるのかは、全くわからない。風邪みたいなもんか。風邪をひいたことがまだない人は、とても幸運だ。その調子で、こんな病弱な奴のことなんかほっといて、健康な人生を楽しんでほしい。

 でも、健康な人の中にも顕微鏡でウイルスを見ることに興味がある人がいるかもしれないから、もう少し話を続ける。「楽しい」を計画しようという話。
 本来の中心は、「楽しい」でいいはずだ。最初は、疲れていても動き続けるのは欲のためだけだった。今では、画用紙にこぼした水にも利用価値を見出そうとする。シンプルに失敗してぶちまけた、では駄目なようだ。
 だから、薄く伸びた絵の具を「優しい色」だなんて思い違いしながら、同時に足元のバケツを蹴らないようにソロリソロリと歩く癖がついた。そして、時間が足りなくなるとこう嘆く、「好きなことばかりやっていては駄目なんだ」と。もう、好きなことをはっきり目視できない日が続くのは嫌だ。
 だから、遠くから見たらそんな風に見えるはずだなんて考えで、印象派の画家にはなりたくないのだ。自分は、自然に存在する光、そのものなのに。
 

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