見出し画像

休日とヴァカンス(と仕事)(その2)〜肩を張らずにフランス17

幼稚園、小学校から高校まで、文部省が定めるヴァカンスカレンダー « Calendrier des vacances scolaires »に従い休暇があり、秋、クリスマス、冬、春にそれぞれ2週間、夏はほぼ2ヶ月のヴァカンスが決められている。およそ18歳未満の学校に通う子供たちはこの期間学校がない。本当にない。クラブも補講もない。塾も予備校もない。ついでに言うと先生も学校に行く必要がない。

細かくなるが、このヴァカンスカレンダー、フランスの全地方を3つのゾーンに分けている。内訳を説明すると面倒なのでここでは省略。肝心なのは秋とクリスマスは全ゾーン共通で、冬と春が1週間ずつずれて始まるということ。3ゾーンあるので、最初のゾーンとバトンタッチして最後のゾーンがヴァカンスに入ることになる。

なんでそんな面倒くさいことをするのって、それは冬のヴァカンスにすることを考えればわかる。ウインタースポーツ。スキー。いや冗談抜きで。国民が同時にこぞってスキー場に行くと収容しきれないのでこんなことを考え出した経緯がある。経済効果も勿論考慮されている。春は当然同じズレを持ったままヴァカンスに入る。「皆が皆スキーに行くわけでもないのに」と考えるのは貧乏人のやっかみ。まあ行きたいとも思わないけれど(やっぱりやっかみ)。日本人が考えもしないところでフランス人は面白いことに気を遣っている。

ヴァカンスシステムの話は終わり。

さてこの期間、子供たちは家にいる。両親が働きに出ているかどうかに関係なく。この子供たちをなんとかするために近所の « centre aéré »« colonie de vacances »ホリデーキャンプ?に入れることを考える家庭もある。まあ一番簡単なのはおじいちゃんおばあちゃんだろうが。

勘のいい読者はもうお分かりだろう。5週間では短いくらいなのが現実。具体的に言うと、有給で一番多いパターンが、クリスマスから元日にかけて1週間、夏の期間に3週間、残りの1週間は何かあった時のために取っておくというもの。要するに子供のヴァカンスに合わせて有給休暇をとるのが一般的。夏の2ヶ月の間に3週間の有給、、、日本の一般労働者の夢じゃないだろうか?

休日というか祝日も当然ある。フランス共和国としての祝日とキリスト教関係の祝日があるが、数は日本ほどではない(と思う)。終戦記念日が11月と5月に2つ。クリスマスと元日。キリスト教関係で4つ、それとメーデー。現時点ではこれだけの祝日で機能している。だが今後何十年もこのままかどうかは「神のみぞ知る」。移民と宗教の問題が絡むので話題としては避けたい。

クリスマスと元日をつなぐ1週間の休みに何をするのかは大体想像つくことだろう。フランスに限らずヨーロッパの大方の庶民にとってクリスマス « Noël »は家族で祝うもの。伝統的に七面鳥などの家禽類を丸焼きにする(うちでは鴨の丸焼き)。宗教の意味合いが薄れた今日でも家族が寄り合う風習は無くなっていない。反対に元日、というか大晦日は友達関係で祝うのが一般的。実は雰囲気的に日本の大晦日に似ているのはクリスマス。カウントダウンで時間と共に上り詰める感覚はなぜかクリスマスの方がある。大晦日は割とあっさりしている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?