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人と地球にやさしい新しい建築で、マチの人たちの暮らしをより良いものにしたい

ローソングループは、青く豊かな地球環境を未来につなげるために、長期目標として環境ビジョン「Lawson Blue Challenge 2050!」を策定。その中で、2050年に脱炭素社会を実現すべくCO2排出量の削減に取り組んでいます。今回、店舗建設部の山野さんに、現在チャレンジしているCO2削減の取り組みについてうかがいました

ローソン開発本部店舗建設部/山野やまの こう
1989年、埼玉県生まれ。4年間の建設会社での施工管理を経て、2017年にローソンに転職。店舗建設部(北関東担当)で、千葉、栃木、山梨、長野、松本、埼玉の新店建設、既存店改装、修繕案件に関わる工程管理やプランニング・コスト管理等を5年間経験。2022年9月から本社店舗建設部へ異動となり、建設企画チームの一員として、建築仕様の変更、新規採用や開発、取引先との価格の取り決め、コストダウン等を担当。特に環境配慮施策の検討、新しいプロジェクトの設備面でのサポート、脱炭素社会へ向けた取り組みに注力している。

店舗リユースにチャレンジ

──今回取り組んだチャレンジについて教えてください。

ローソン店舗の建物リユースの本格展開に挑戦しました。
閉店した店舗を解体し、工場で柱や外壁、屋根材等の部材に整備を施して、別の拠点で新しい店舗として再建する取り組みです。

ローソンでは、東日本大震災の被災地で建築した仮設店舗に着想を得た、軽量鉄骨造のプレハブ工法を2013年に開発し、以降標準店舗として採用しています。
組立易く解体し易い工法の性質から、開発当初も建材リユースを視野に入れていましたが、課題も多く本格展開までは至っていませんでした。

今回展開に踏み切ったきっかけは、2023年3月、中四国エリアの店舗建設部の責任者より、岡山県で閉店する店舗と新たに出店する計画があるから、閉店した店舗の部材を新店にリユースできないかという相談を受けたことです。

鋼材を始めとした建築資材の価格高騰の影響で、新築にかかるコストは年々上昇しているので、建材のリユースを行う事でコストを抑制したいという狙いがありました。
そして何より、地球環境問題への取り組みとして、この建材リユースには大きな効果が期待できると考えたため、使える部材はすべて再利用するという高い目標を掲げてプロジェクトがスタートしました。

ただ、この取り組みは建設業界において前例のないチャレンジだったので、当然ながら部材の再利用基準や整備基準、耐用年数の考え方など、国のガイドラインがありませんでした。

そこで、まずは建物の製造と施工をご担当いただいているお取引先様と、中四国エリア、本社の店舗建設部のプロジェクトメンバーが集まって、リユース可能な部材の選定や課題の洗い出しから始めました。
そうして毎週、何度も協議を重ね、既存店舗解体、部材整備、新店舗建築における全体のフローと各種基準を作り上げていきました。

高い再利用率を実現しつつ建物の機能を損なわないような整備を施し、かつコスト抑制も意識しながら新しくガイドラインを構築しなければならなかったのが、このチャレンジで最も苦労した点です。

工期通りにオープン

──ガイドラインができてからはどのようなことをしたのですか?

まずは、実際に机上で必要な整備を想定した後、解体予定の店舗に足を運んで自分の目でチェックしました。
その後、閉店する店舗の解体に移行しました。
その時、部材が予定通りのパーセンテージできちんと引き上げられているかを確認しなければならないのですが、建築物は実際に解体してみないとわからない部分も多いのです。
実際に解体後に引き上げた部材を確認した時、そのまま使えるだろうと思っていた部材が実は使えなかったという、想定と異なる部分もあったので、実物を確認しつつ修繕・補修を加えるなどの軌道修正をしていきました。

その後は建築のフェーズへ。
この段階は部材を組み立てるだけなので、ほぼ問題なく作業を進めることができました。
しいて言えば解体した部材の運搬時と組み立て時に若干計算と違う点がありましたが、スムーズに対処できました。
そして当初のスケジュール通りに、11月に完成できたのです。

前例のないチャレンジでCO2を大きく削減

──今回のチャレンジで特にこだわった点は?

やはりコストですね。安全である事と法的な問題がない事は大前提として、コストを妥協してしまうと、本格展開に繋がらないという思いがあったので。
リユースする部材も整備のレベルを上げれば上げるほど新品に近くなって、より通常の新店に近い状態でオープンできると思うのですが、その分コストもかさんでしまいます。
ただ一方で、コストを優先しすぎて新店舗なのにユーズド感が漂ってしまうと、新しい店舗を経営いただくオーナーさんのモチベーションの低下にも繋がりかねません。
このバランスの見極めにこだわりました。

そのため、中四国エリア建設部のプロジェクトメンバーに協力を仰ぎ、ローソンのCO2削減やSDGsへの取り組みなど、リユースプロジェクトの意義をオーナーさんに対して丁寧に説明してもらいました。

──チャレンジの結果は?

とても満足の行く結果を出すことができました。
具体的な数字としては、躯体と呼ばれる建物本体の部材のうち86%をリユースでき、CO2排出量は通常の躯体新築比で56%削減、そして躯体建築に関わるコストの大幅削減も実現できたのです。
プロジェクトメンバーや様々なお取引先様と力を合わせて取り組んだからこそ得られた結果です。

──このプロジェクトにチャレンジしてよかったと思うことは?

このリユースプロジェクトはメディアにも取り上げていただき、仕事でお会いした各方面、関係各社、お取引先様からも
「非常に良い取り組みですね」
というお言葉を多くいただきました。
今回のリユースの取り組みを社内外でアピールできたことが非常にうれしいですし、同時に、環境問題への取り組みに世間の注目がどんどん集まっているのだと実感しました。
店舗建設部として進むべき方向性を再認識できたのはとても良かったです。

「DL-e工法」によって建設された店舗外側の壁面に貼付される専用ステッカー

私たちにしかできないから懸命にやる

──前例がないことに取り組むのはリスクもあると思うのですが、それにチャレンジする時の心境は?

まずは地球のためにということは言うまでもないのですが、ローソンの環境ビジョンで掲げている
「CO2排出量の削減」
は、特に私たち店舗建設部が率先して進めていかなければならないという強い使命感をもっています。
これまで積極的に取り組んで来た電気使用量の削減等のオペレーショナルカーボン(建物使用におけるCO2排出量)の削減だけでなく、今回エンボディドカーボン(建設に使用される建材の製造、輸送、設置に起因する、建物のライフサイクルのCO2排出量)の削減という領域に踏み出せたのは非常に大きな意味があったと感じています。

でも正直、以前使っていた建物を新しい場所で組み直して再び使うというのは、解体や整備が考えている程上手くできるか、や安全面の懸念はどうしてもありました。
しかし、そこも私たちにしかできないという使命感があったからこそ前向きにチャレンジし、成果を出すことができたのです。

私たち店舗建設部のメンバーはローソンの店舗施設管理のプロフェッショナルでなければいけないと考えています。
様々な部署から店舗建設に関する相談を受けることもあるのですが、可能な限り社員の意向を汲んで、よりお客様に満足して頂けるローソンを作りたいという思いで仕事に取り組んでいます。

Lawson Blue Challenge 2050!

人と地球に優しい新しい建物をつくりたい

──仕事のやりがいや喜びはどのような時に感じますか?

私の原点は「人々の暮らしによい影響を与えたい」という思いです。そのため、街づくりに興味をもち、大学では都市環境デザイン工学を専攻。卒業後は建物の長寿命化を理念とする建設会社に入社しました。

そこからローソンに転職したのは、発注元として自分自身が理想とするものを作りたいという思いと、今は社会のインフラとなっているコンビニを運営する会社ならより多くの人々の暮らしをよりよくすることに貢献できると思ったから。
それと、「みんなと暮らすマチを幸せに」という企業理念に共感したことも大きな理由の一つです。

その意味では、現在の店舗建設部ではまさに私の原点の思いを叶えることができています。
具体的には、人と地球に優しい新しい建築の仕様を作り、リリースすることで、それぞれの現場で仕様に沿った店舗が建設され、その店舗で大勢のお客様が日常的に買い物をしてくれる。
そのことで、多くの人々の暮らしに多少なりともよい影響を与えられていると実感を得られます。
これが大きなやりがいであり、ローソンに転職してよかったと思う最大の理由でもあります。

──今後の目標を教えてください。

リユースや木造建築の取り組みが自動的に回っていくように、パッケージ化することです。
具体的には、価格の固定化や既存店舗の劣化状況に応じた対応方法などを含めマニュアル化し、店舗建設部員が誰でも迷わずリユースや木造を選択をできるようにしたいですね。

SDGsの観点からも、日本社会が既存の建物をどんどん壊して新しいものを建てるという従来のやり方だけではなく、建物を長くもたせようとか使えるものはできるだけ使おうという意識になればいいと思っています。
我々の取り組みがその意識改革の一助になればうれしいですね。

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