弁護士 舟橋和宏(東京弁護士会・エンタメロイヤー)

個人~中小規模レベルでのエンタテインメント・イラストレーターをはじめとしたクリエイター…

弁護士 舟橋和宏(東京弁護士会・エンタメロイヤー)

個人~中小規模レベルでのエンタテインメント・イラストレーターをはじめとしたクリエイターの法務サポートが中心|契約書などエンタメについての知識を投稿していきます|イラストはエガオーさん((https://twitter.com/egaoh?s=20))

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自己紹介note

そういえば書いていなかったなと思いましたので、つらつらと。 自己紹介2015年から弁護士として登録をはじめ、現在はレイ法律事務所というところでシニアアソシエイト弁護士という形で仕事をしています。 弁護士っていうと何やってるんだというのが多いんですが、わりとざっくり言えば アーティスト・イラストレーターなどエンタテインメント・モノづくりにかかわる人のサポート って感じですね。 法律の名前とかでいえば、著作権とか商標法、不正競争防止法とかいろいろかかわってくるんですが、

    • 【クリエイターの法務】NFTの初歩の初歩

      やはり、NFTとなるとクリエイター界隈でも話に上がるし、一方でジャックドーシーの初ツイートがあんまり高値付かなかったとか話題に事欠かない。 技術的なこともそうなんですが、やっぱりこれは法的に気になるところなので軽く初歩の初歩をまとめてみました。 1 NFTとは NFTは、Non-Fungible-Tokenの頭文字をとったもので、Non-Fungible(代替できない、唯一)のToken(トークン、証拠)という意味になります。デジタルデータは、複製が容易にできることから

      • 【芸能法務】アーティストの芸名権利の所在

        愛内里菜さんというと、名探偵コナンの主題歌含め、なじみに深いアーティストさんだったが、こういった訴訟になっていたとは。。。 芸名関係でいうと、一昨年、ヴィジュアル系バンドのグループ名について、パブリシティ権に由来して権限を有するという高裁決定を得ましたが、個人のアーティストさんについて初めて判断がなされたかと思いますので、上記のニュースソースのみの状態ですが、検討してみたいと思います。 1 パブリシティ権の検討(芸名の法的性質)パブリシティ権について検討がされたということ

        • 【クリエイターの法務】書き起こしと著作権法

          YouTubeを見ていると、切り抜き動画であるとかラジオの文字起こし動画が多くみられます。 正直、本家の動画よりも伸びていたりするものもあり、切り抜き・文字お越しをしているのも、1人だけというのでもないですから、字幕のつけ方など含め、工夫がされているなと思うところもあります。 で、そういった切り抜き・文字お越し動画、大本のYouTubeの投稿者が内容を曲解させるようなものでなければ黙認されていたりするわけですが、そうはいっても著作権的にどうなるのか。 今回は、その部分に

          【クリエイターの法務】AI技術と著作権法

          midjournyなどのAI技術をもとにイラストを作成することが少しトレンドに上がっていましたが、ここ数日でトレンドに上がっていたのが、mimic(ミミック)というAIを使用したイラストメーカーサービス。 自身のイラストをAIに学習させ、その学習したイラストの作風でイラストを作成するというもので、利用規約としても自身のイラストを使用するものとし、他人のイラストを用いることは利用規約違反となるとの案内がされていたものです。 これについて、他人の不正使用を防げないと批判が上が

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          【クリエイターの法務】テラー無断転載トラブルから、著作権教育のこと

          無断転載の話は、いつまでたっても出てくるる話であるところ。 無断転載=無断複製(著作権侵害)というところは、前に書いてみましたのでぜひご参照ください。 テラーというと、漫画アプリを見る際にたまにCM流れるなーくらいのイメージだったのですが、今回の件でそういえばこういったアプリあったなと思うところです。 さて、無断転載=無断複製(著作権侵害)ですが、やはりこれはトラブルの種になるところですし、実際、著作権侵害を理由にした発信者情報開示請求なども増加傾向にある印象です。

          【クリエイターの法務】テラー無断転載トラブルから、著作権教育のこと

          【クリエイターの法務】続・ゆっくり茶番劇(ドワンゴ声明を受けて)商標権侵害の要件とは

          ドワンゴが声明出しましたね。概ね、予想していた通りのところですが、商標権侵害ってわかりにくいので、今回はそのことについて。 ※23日に商標権放棄って報道がありましたが、こういった話は今後もあるかなと思いますので、そのまま記載してます。 1 商標権侵害の要件  商標権侵害が成立するためには、①侵害者の標章が登録商標と同一・類似であること、標章が使用されている商品・役務が登録商標の指定商品・役務と同一・類似であること、侵害者の標章使用が商標的使用であることが要件とされて

          【クリエイターの法務】続・ゆっくり茶番劇(ドワンゴ声明を受けて)商標権侵害の要件とは

          【クリエイターの法務】登録商標:ゆっくり茶番劇について

          東方Project界隈は、自分がながーくファンでいたところでもあるので遅くなった感じでもありますが、まとめておかないとと思い、記事にしました。 1 登録された商標の力は?(商標権の効力) まず、「ゆっくり茶番劇」という商標は、文字として登録されています。なので、①「ゆっくり茶番劇」又はこれに類似した商標(文字列やマーク)を、②登録区分である「インターネットを利用して行う映像の提供」等を行う、つまりニコニコ動画やYouTube上で動画として公開すると、商標権を侵害するとの判

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          【コスプレイヤーの法務】コスプレ盗撮の代償

          GW中にニコニコ超会議が2年ぶりに開催されていたらしいのだが、そこでの盗撮の記事を見かけてしまった。 仕事柄、刑事事件、特に盗撮事件なんかもよく扱うので、今回はそのことについて。 1 盗撮の代償 ローアングルでの撮影だとかなんだとか言われるが、結局のところ、盗撮を規制するのは各都道府県の定める条例が基本的なものといえます。 撮影する、はもちろんのこと、差し向ける、設置するもアウトなわけです。 これに対する刑罰というのもあるわけで。 罰金が定められているからといって、

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          【誹謗中傷の法務】侮辱罪改正にあたって

          年度末に差し掛かる前にバタバタと・・・ 1カ月もお休みしてしまいました。反省。 少し前になってしまいましたが、侮辱罪改正のニュースを引用。 公然と人を侮辱という要件ですが、一言バカとか言ったから即座に罪になるというものでもありませんが、インターネット上では罵詈雑言が飛び交っているのも目にしてしまいます。 ひとつ、改正理由には、厳罰化による抑止力というのが上げられていますが、ニュースにあるように人をたたくこと自体に意味というか、正しいという認識を持ってしまっていると抑止に

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          【HPの法務】ウェブリンクの法規制(著作権法のリーチサイト規制)

          著作権法は次々と改製が重ねられているところですが、令和2年改正で追加されたリーチサイト規制について、書類送検がなされたというニュースから、リーチサイトのお話をば。 ちなみに、これ自体が著作権侵害ではなく、著作権侵害を誘発するので「著作権侵害とみなす」という構造になっています。 1 リーチサイトとは リーチサイトというのは、海賊版などが掲載されたURLなどを表示するウェブサイト・アプリなどを言い、リーチサイト規制はこのウェブサイト等について著作権侵害を誘発するとして、直接

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          【クリエイターの法務】トレースパクリは著作権違反なのか?

          この手の話題、Twitterなりで事欠かない話ですよね。トレースパクリと言われる件。 著作権侵害だなんだという話が定期的に出ますので、今回はその話。 1 著作権侵害の要件(特に「複製」について)著作権侵害と言えるためには、①(侵害されたと考えられる物に著作権が認められ)侵害を主張する者に著作権が帰属している、②侵害を主張された者が著作権侵害行為をしているということになります。 なので、まず著作権が帰属しているのかということから考える必要があり、大前提として著作物であるこ

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          【誹謗中傷の法務】発信者情報開示のスピード感

          昨年に引き続き、今年も発信者情報開示のご相談は多くいただきます。 その中で、よくある話が書き込みなどが時間がたってからのご相談というものです。過去に発信者情報開示の概要については書きましたが、今回はなぜ早くやらないといけないのかというところに絞ってみましょう。 https://note.com/lawyer_funabashi/n/n683ea2e67f8e 1 時間制限の理由(経由プロバイダのログ保存期間の短さ)発信者情報開示の場合、経由プロバイダ(例えば、NTTドコ

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          Coinhive(コインハイブ)事件 最高裁破棄自判(無罪)

          年明け早々から、なかなかまとまって記事が書けないなかで、飛び込んできたニュース。 仮想通貨など新しいシステムについては、後追いで法規制がなされたり取り締まりがあったりということがありますが、こちら、当初の取り調べについても疑問視されていたところですが、弁護人の先生方の尽力には頭が下がるばかりです。 https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1902/28/news005.html?fbclid=IwAR228yRIu7khl656ORc

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          【クリエイターの法務】利用許諾の終期(貴船神社写真事件判決)

          カメラマンにとって、自身の撮影した写真についてコントロールをしたいと希望がありますが、無限定に即座に利用を停止するということができないケースもあります。そういった一つの参考になるのが、昨年12月の貴船神社写真事件です。※同期が代理人にいたので特に目についたというのもあります・・・ 1 事案(京都地方裁判所令和3年12月21日判決)カメラマンである原告が、被告広報担当者を通じて被告に提供された写真について、無償で提供されていたところ、広報担当者の退職に伴い、写真利用について解

          【クリエイターの法務】利用許諾の終期(貴船神社写真事件判決)

          【SNS法務】スクリーンショットに関する著作物性判断(東京地裁令和3年12発20日判決)

          仕事始めです。本年もどうぞよろしくお願いいたします。 昨年の判決になりますが、年末年始がバタついてしまったので、今になってのこの判決を取り上げます。 ニュースにもなっていましたが、自身の投稿をスクリーンショットとして画像化し、それを投稿したことについて「著作権侵害」を主張したというものになります。 結論としては、権利侵害を認めた判決になりますが、①著作物性の有無、②引用(著作権法32条1項)として違法性阻却がされるか、が大きくポイントとなりました。 1 ツイートの著作

          【SNS法務】スクリーンショットに関する著作物性判断(東京地裁令和3年12発20日判決)