見出し画像

【クリエイターの法務】無断転載とは、その対策

無断転載禁止というのを同人誌でもなんにでも見るようになりました。

とはいっても、無断転載という言葉って法律用語でも何でもないんですよね。今日はその辺のお話と対策面について。

1 無断複製とは

著作権はコピーライト(copy right)とも言われますが、もともとはコピーすることを禁止する(裏返しとして許諾する)権利ということからスタートしています。

無断で転載するというのは、著作権からすれば、許可なく複製すること(複製権:著作権法21条)やインターネット上に送信する(公衆送信権:法23条)という著作者が専有している権利を侵害することになるので、著作権侵害になるという建付けになります。

正確に言えば、無断複製といったり無断公衆送信とでもいうのでしょうか・・・(別に言い方は自由なんですけどね。)

2 転載への対策①(法的な話)

まず、転載自体を完全に禁止するというのは技術的にも難しいというところがあります。それこそ、コピーコントロールCDが2000年代から取り上げられてきましたが、そのあたりを乗り越えるように新技術が出てきたりもしましたという技術の鼬ごっこの様相。

ましてや、イラストなどになってしまうとスクリーンショットをとったりだとかして、複製することはかなり簡単にできてしまうようになってきましたし、スキャナーにかけたうえでイラストの一部を加工するなんていうことも実際行われていたりもします。

じゃあ、実際に無断転載がされてしまった場合、削除請求であるとかをするか考えるわけですが、ここで一つハードルがあります。

それが著作権侵害を相手がしているかという立証になります。

著作権侵害については、ざっくり言ってしまえば①自分が著作権者であること(多くの場合は自分が創作者:当該作品を作った人間であること)、②著作権が侵害されていること(無断転載でいえば、インターネット上に掲載されているなど)になります。

この2つのうちの①にかかわるという話なわけです。

3 転載への対策②(実際の対応策)電子透かし

では、自分が著作者(創作者)と赤の他人から見ても言えるようにするには、ということですが対策の一つはこれ。

電子透かしをイラストに入れておく
※透かしには、©マーク+自身のアカウント名(ペンネーム)+制作日を記載

skebでのイラスト制作を受けるかたも増えていますが、そういった方ですと軒並みTwitter上にアップするのは、skebで受けたイラストを納品したとイラストの一部を切り取ったり、電子透かしを入れたりするというのが多くなされています。

電子透かしはサービスとして入れられるようにしているものもありますから、イラストレーターとして活動始めたばかりという方でもやれる対応策の一つになります。

そのうえで、電子透かしもイラストの中心部分に置くだとか透かしの色を飛ばされないように色を選ぶだとか技術的なところもありますが、どうしてもイラスト自体にかぶせてしまうものなので、イラストレーターとしてはやりにくいな・・・と思うところもあるかなと思います。

そういう中で、視覚的に見えない形で電子透かしを入れる「インビジブルウォーターマーク」も登場してきています。

他者が自身が作ったなどと強弁する際に、自身が制作した際に電子透かしを入れ込んでいる、しかも視覚的に見ることができず、専用のアプリケーションで読み込まない限り読み取れない電子透かしということであれば、なおのこと強いものとなると考えられます。

この電子透かしは重要な対策になります。

4 転載への対策②(実際の対応策)作成日・制作中データのバックアップ

電子透かしを入れておくことと併せ、いつ作ったのか、これも記録しておくことをお勧めします。

電子透かしに自分の名前だとか作成日を入れておくのと併せ、いつ投稿したのかもスクリーンショットなどで残しておくというのがあるとよいです。

なぜならば、透かしなどが消されてしまった場合、自身のものだと言って強弁してくるようなケースもあるからです。

このときですが、Twitterなど投稿日時がわかる場合には、その日時やURLがわかるようにしておくのが重要です。

スクリーンショット 2021-09-27 015203

上のスクショでは、アカウント名・投稿日時・投稿したツイートのURLまで残してあります。ここまでやっておいてほしいところです。

ちなみにここまできちんと残しておくことは、発信者情報開示においても大事です。

マジでここは大事。強調してもしきれない。

5 デジタルとアナログに違いはあるか

そして、デジタルイラストであってもアナログイラスト・写真であっても透かしなどを残しておくことの重要性に違いはありません。

日本画の偽版画問題がありましたが、真贋を判断するのはプロでも簡単ではなくなっている時代。自身の作品を守るための対策もぜひしていただきたいところです。

6 最後に

デジタルアートについては、NFT(Non-Fungible Token)非代替性トークンという技術から、一点物のデジタルデータという概念も生まれてきているところですから、一点物の価値というものは今後より高まっていくと思いますし、それを悪用しようとする人間も出てくると思います。

そういう中で自身の作品を守ってもらうためにも、電子透かしをはじめとした技術を使ってもらいながら、まさかというときにはしかるべき措置を講じるようにしていただきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?