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【クリエイターの法務】キャラ弁・キャラケーキと著作権

いやはや・・・お次はケーキですかという感じ。

著作権侵害で書類送検ということですが、おそらくは複製権侵害(著作権法21条)にあたるということでという判断なのだと思います。

今回はそこについて。

1 複製とは

複製とは、過去の判例においては「既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製すること」と定義が出されています(「ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー」事件・最高裁昭和53年9月7日判決)。

この点については、おおよそ①依拠性、②類似性という要件で整理されていると考えられています。

2 どうやって判断しているのか

では、上記2点については、どのように考えていくのか。

⑴ 依拠性
 依拠性に関しては、①その対象となる作品を知っていただけでよいとするのか、②利用しようという意思だけ必要とするか、③双方ともに必要とするかという、「依拠」という言葉の意味について学説が掲げられています。

 先に上げたワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー事件では、「既存の著作物に接する機会がなく、従つて、その存在、内容を知らなかつた」場合において、依拠性を認めていないので、①の学説に乗っていますが、その後の裁判例においては、③に立ったものもあるところです。 

⑵ 類似性
 そして、次に、どういった場合に、「類似」と判断するのか。この辺はまた抽象的な話になりますが、侵害された作品の「表現上の本質的特徴を直接感得できる程度に」侵害作品が類似している。という考え方になります。
 ※最高裁平成13年6月28日(江差追分事件)

単に、あの作品と似ていますというだけで類似性があると判断できるならば、弁護士としても楽ではあるのですが、そうも簡単な話ではありません。

それこそ、単に表現が似ているということで類似と言えるのであれば、マネして書いた作品=著作権侵害という形になりかねませんが、そこまでやるのは侵害の認められる幅が大きすぎることになってきます。

考え方としては、そもそも表現それ自体が類似しているのか(背後にある思想・アイデアが類似しているだけではないか)ということや類似しているとしても、表現上の創作性がないところが類似しているに過ぎないのではないかということから検討されているところです。

それぞれの作品をただ単に並べて比較するというと正確ではなく、何が類似しているのか、その類似している点は創作性があるのかということを細かく検討していくことになります。

※とはいっても感性が入るところですので、カチッと誰でも明確に判断ができますとなかなか言い切れないところが文化的な側面も多分に入る著作権法の難しいところだと思います。

3 家庭内で作ること自体は?

 とはいえ、キャラ弁とかを自作する難ということはネット上も多いですよね。

家庭内で作るようであれば、「私的利用」ということで著作権侵害ではないということができます。

第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

複製しているという判断の次に、上で上げたような制限規定に該当するかを考えることになるのですが、ニュースのような依頼を受けて作っているようなものになると、家庭内での私的利用という判断は難しいですね。

4 刑事罰など

著作権侵害で刑事罰となると、「十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」とされています(法119条1項)。なお、親告罪ですから、告訴がなされているのも必要となります。

ちなみに、刑事罰での罰金は、別にそれが権利者のもとに行くわけではありませんが、得ている利益が大きければ大きいほど、罰金額なども上がっていくことになります。

実際、海賊版問題における漫画村運営者の判決では、被告人を懲役3年及び罰金1000万円に処する。という判断が下されています。

鬼滅の刃がやたら取り上げられますが、その他アニメ・マンガに限らず、作品の人気にフリーライドして不適当に利益を上げるとなると、これだけのリスクがあるというところは今一度考えてもらいたいところです。

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