ソロ旅オタクが行く、2泊3日熊本・黒川温泉|人生に自分を感じる、ソロ旅という選択肢を—
近年、勝手に第二の故郷のように感じている、熊本県。
関西から1時間ちょっとのフライトで行ける距離にあるその場所には、私の大好きが詰まっている。
「なんでもっと早く行かなかったんだろう…」
そんな後悔とも言えぬ気持ちに苛まれるほど、休みができるたびに顔を見せに行きたい、いや見に行きたい魅力が詰まった場所なんです。
今回は、そんな熊本県への旅を通して、私が普段どんな風にソロ旅を楽しんでいるか、ソロ旅を楽しむためのヒントやエッセンスを伝えていけたらと思います。
私の偏愛とこだわりが詰まったプランですが、読者のあなたにも実際に旅しているような気持ちになって読み進めてもらえたらとっても嬉しいです。
自分らしいソロ旅のレシピ【支度編】
ソロ旅オタクのわたしは、年がら年中暇さえあれば旅のことを考えていまして、noteでも読者の皆さんのお役に立てるような旅のヒントを小出しにしていこうと思います。記事の中にソロ旅を楽しむためのヒントやソロ旅に行きたい気持ちを感化させるTipsを散りばめておくので、へぇ〜そういう楽しみ方もあるんだ、とピンときたものだけ取り入れてもらえたら嬉しいです。
📌想像以上に、読んでもらえているnote
◎まずは旅のテーマを決める。
【今回の私のソロ旅のテーマ・目的はこちら】
・熊本の美食を味わい尽くしたい。
・阿蘇の大自然で自分を解放し、癒されたい。
・黒川温泉にゆっくり浸かって「ふじ屋」のひとり旅プランを満喫したい。
✅日程を決める
ソロ旅のいいところは、日程調整のハードルが低いこと。
カレンダーと睨めっこしながら、いくつか候補日に目星☆をつけておいて、最終的には航空券の価格などのバランスを見て決めることにしています。
✅宿泊手配をする
今回のメインテーマは、黒川温泉の「ふじ屋」さんというお宿に宿泊すること。以前、黒川温泉郷を訪れたときに通りがかりに見つけて、その趣ある佇まいに惹かれていつか泊まってみたいとウィッシュリストに入っていた。
✅移動手段を決めて、予約する
今回は、関西から熊本まで飛行機で移動するプランに。出発の約2ヶ月前に関西(伊丹空港)から熊本の航空券をJALで手配したら片道5,000〜9,000円台と格安で予約できた。国内路線であれば、2〜3ヶ月ほど前に手配ができると、LCCに限らずレガシーキャリアであってもお手頃に手配できることが多い。現地の移動手段のレンタカーもこのタイミングで手配しておくとスムーズ。
ソロ旅オタクが行く、2泊3日熊本・黒川温泉
旅のはじまり・1日目
相変わらず、当日の朝に慌てて荷造りをする癖は治らず、出かける時間が決まっている締切効果で短期集中して終わらせていそいそと出かけてきた。
旅好きの間でも、前もって用意周到に準備する派と当日の朝に短期集中で準備を終わらせる派とで分かれる。あなたはどっち?
圧倒的に後者の私は、いざとなったら今時なんでもどこでも手に入るから…!と豪語して、早速下着を入れ忘れたことに気づき、空港バスを待つ寸暇を惜しんでユニクロでヒートテックを調達している自分には呆れた。
人間痛い目を見ないとなかなか悪い癖は治らない。
(歯ブラシは何故か2本も持ってきていた)
さて私が住んでいる京都から伊丹空港までは、高速バスで50分/片道:1,340円(大人)行ける距離。
西にも東にも行きやすい手軽さが、関西に住むメリットのひとつだと感じている。関西に生まれて良かった…!
飛行時間は1時間ちょっとと、あっという間で関西と九州とを繋いでくれる。
熊本空港に着いたら、まずは事前に予約しておいたレンタカーをピックアップして、まず市内へ向けて車を走らせる…
市内までは約45分で着ける距離だから…etc.
着陸時間が近づいてくると私の脳内でイメトレが始まる。
熊本に初めて来たのは新緑の時期で、空港を出てすぐのところに舗装された道に木々がアーチのように生い茂っていたのがとても印象的。以来、この道をくぐり抜けて市内へ向かうのが私のひとつの楽しみになった。
旅の思い出として思い出す景色は、こういった名もない景色であることも少なくない。
まずは市内のホテルへチェックイン、カンデオホテルズ・熊本新市街
2022年7月にオープンした比較的新しいホテルで、熊本新市街からのアクセスも抜群。
最上階にあるスカイスパには展望露天風呂とサウナがあるのもポイント。
夜は星空を眺めながら、朝は朝日に照らされる熊本城を眺めながらゆったりと疲れを癒すことができる。
荷物をおいて身軽に、復興再建された「熊本城」へ
ホテルにチェックインを済ませて、まず向かったのは「熊本城」。ホテルから徒歩12分ほどの距離だ。
平成28年の熊本地震の影響を受けて再建されていた熊本城は、天守閣全体の復旧が完了し、令和3年4月26日から全面リニューアル。
最上階からは、熊本市内や遠く阿蘇の雄大な山並みを見渡すことができる。
閉館ギリギリに入ってしまったことを後悔するほど、敷地内はかなりの広さだった。時々今自分がどこにいるのか分からなくなってしまうほどで、迷いながらも何とか駆け足で見学することができた。
城内の各スポットに立って丁寧に挨拶してくれる案内役の方に、会釈しながらも、内心閉館時間との闘いで息切れしていた。
スペインのアルハンブラ宮殿でも制限時間ギリギリを攻めて結局不完全燃焼という失敗をしたのに、おっちょこちょいなサザエさんみたいな性格は当分治りそうもない…
とにかく熊本城は、時間に余裕を持って見学することがおすすめ…!
初日のディナーは、大人の隠れ家イタリアン・Amoshi (アモシ)へ
熊本出身の友人に紹介してもらった路地裏のビルの2階にひっそりと佇む知る人ぞ知る名店と噂の隠れ家イタリアン。
店内は、ダークで大人の雰囲気が漂う雰囲気だが、気さくなシェフとお話し上手なソムリエさんのおかげで自然と緊張もほぐれた。
コース料理は熊本の旬の食材をふんだんに使用した創作イタリアン。
カウンター席の目の前の鉄板で慣れた手つきで次々とお料理を披露してくれる。
ありそうでない食材の組み合わせにひと工夫加えた唯一無二のコース料理に合わせて、おまかせしたワインも抜群に美味しい…!
これが熊本の本気か…と何度唸ったことか。
途中、シェフのサービス精神?からくる下ネタをどう交わすべきかわからなくなってしまったが、調理法やこだわりについて逆に質問攻めにすることでその場は乗り切れた、ふぅ。
再訪するまでに、紹介してくれた彼女には下ネタのうまい切り返し方もセットで聞いておかなくちゃ。
オーセンティックバー「Bar rest fine(バレストフィーヌ)」
新市街のプールスコート通り沿いにあるビルの地下1階にあるバー。
まだ少し飲みたい気分だったので、事前に熊本出身の友人に聞いていたバーに少し背伸びして行ってみることに。
入店するとすぐに大きなピアノがあり、またその奥に茶室のようにかがまないと入れない入り口がある。そこを潜ると、ようやくカウンターバーが出現する。
どうしてこんな複雑なつくりになっているのか聞いてみると、入り口から中を見えないようにしておくだけでこの場に似つかわしくない雰囲気のお客をお断りすることができるから、とのこと。入店できたということは認めてもらえたということでいいのだろうか…?
ふとドアマンが店先で入店をジャッジするベルリンの某クラブのことが思い起こされた。一方こちらのバーは、普通にしていればそんなに厳しい条件はないと思うのだが。
ダークで大人の雰囲気に、気づけばすごく時間が経っていてウトウトしている自分がいた。少し飲みすぎたかもしれない。
酔い覚ましの駆け込み寺?! 〆に薬膳スープカレー「SPICE LABO(スパイスラボ)」へ
熊本出身の友人曰く、「どれだけ飲んでもここに行けば翌朝大丈夫だから。体調を整えるためにも寄っておくに越したことはないよ」とのこと。
先ほどまでの飲酒量を考えると、寄らない手はない(笑)
しかも、深夜2時まで営業しているという酔っぱらいにとって夢のようなお店。
注文したのは、10種類以上の素揚げされた野菜がこれでもかと乗ったスパイシーなカレー。
作りおきではなく、注文してからひとつずつ作ってくれる丁寧なお仕事をされている。
このお店のすごいところは、カスタマイズできるのはトッピングだけではない点。スープの種類やメインの具材、辛さの段階も1〜15段階まで自分好みに調節できる。私のような食にこだわりがあるタイプの人間にとっては最高のお店だ。
スパイスが薬膳のはたらきをしているからか、食べ応えがあるのに不思議とギルティな気持ちにならない(いや、寧ろ「罪悪感」は最高のスパイスなのかもしれないけど・・・)
ある意味、このカレーの美味しさをより感じるためにたくさん飲んでおいた方がいいのでは、と逆説的に考えてしまった…。
新市街の楽しい雰囲気にのまれた夜に、ぜひ行ってみて。
2日目
早朝から、ホテルの最上階にあるスカイスパにて展望露天風呂とサウナを2セット決めてリフレッシュした。朝日を浴びながら、ゆっくりとお湯に浸かって今日のスケジュールを立てることもできてご機嫌なスタート。
誰に気を遣うでもなく、自分でスケジュールを立てて思い通りに行動できるのがソロ旅の最高の楽しみだ。
今朝は、敢えてホテルの朝食は食べずに2日目の活動を開始。
そんな気分屋な行動もソロ旅だからできること。
〜「ぬりえ」みたいなソロ旅の計画の立て方〜
🔖私のソロ旅の計画の仕方はまるで「ぬりえ」みたいだと気づいたことがある。
簡単に説明すると、当日を迎えるまではいつどこに泊まるレベルのザックリした計画を立てている場合が多いのだが(理由は、いつどこに行きたいと言い出すか分からない気分屋な自分を上手く手なづけるため)当日の朝になれば、ザックリと余白を残しておいた計画に、タイムスケジュールまできっちりと無駄がないように入念に立てているケースがほとんど。
ぬりえで言うと、旅に出る前は輪郭だけ描いておいて、旅に出てからは旅先の宿で早朝から「今日はどんな風に過ごそうか?」とぬりえに色を塗るように、えんぴつを舐めなめしながら、楽しく悩んでいる。
そう、このコラムを書いている今も旅先でぬりえに色を塗っているのです。
PREMIUM COFFEE 専門店の焙煎所 『α』へ
ホテル周辺をGoogleマップで眺めていたところ、ホテルから数分の距離に気になるカフェ兼ロースタリーを発見した。
とてもダークで落ち着いた大人の雰囲気に私の好きのアンテナがMAXに…!!!
午前中のうちに阿蘇へ移動する予定をしていたが、その前にどうしても寄りたいと思った。
気になったところに思い立ったら行けるのもソロ旅のいいところ。
実はこの場所は来てみてから気づいたが、昨夜のディナーの場所の数軒となりという立地だ。好きなお店が近くに固まっているのは何だか嬉しい。
照明やブルーレジンのウッドテーブルにも店主のこだわりが感じられて本当に素晴らしい空間だった。この場の雰囲気を壊さぬように心を落ち着かせながら、ドンピシャに好きな世界観を前にしてシャッターを切る手が止まらなかった。
この場所で物撮りの撮影をさせてもらえたら最高だろうなぁ…と撮影スタジオとしてのポテンシャルも感じた(職業病)
注文したのは「ソイラテ」。
深煎りコーヒーの苦味の奥に、フワッと香るアロマが最高に美味しい目覚めの一杯だった。
やっぱりホテルの朝食は食べなくて正解だった、と小さく自分を褒めた。
大人でも褒めてもらえたら嬉しいというもの。別に、誰かに承認を求めなくたって、自分で自分を認めてあげる術があれば救われる。
どうでもいいが、私はこれを勝手に「セルフよしよし」と呼んでいる。
風光明媚な水前寺公園へ
阿蘇へ向かう道すがら、もう一つ立ち寄りたい場所があった。
それがここ『水前寺公園』だ。
水前寺公園は、錦鯉が悠然と泳ぐ池を中心に、園内をぐるっと一周することができる桃山様式の回遊式庭園。
市街地の近くにありながらも緑豊かなスポットとしてホッと一息つける憩いの場所だ。
園内は、20分もあれば徒歩で一周できるのでのんびりお散歩を楽しめる。
池の向こうには、富士山を模した築山があるのが一番の見どころ。海を模したとされる池の向こう側にそびえる富士の姿は、歌川広重の浮世絵のイメージと重なる…(ジーン)
園内には、細川家ゆかりの出水神社もあり細川家歴代藩主とガラシャ夫人が祀られているそうだ。
春には桜が満開になると聞いて、熊本を訪れるたび季節の移り変わりを感じに訪れてみたいと思えた。
阿蘇へ向かう道すがら、都会の緑を感じに立ち寄ってみてはいかがだろうか。
熊本名物・いきなり団子
公園の入り口には、熊本名物・いきなり団子の製造と販売を兼ねた売店があり、お団子が蒸される蒸気にそそられて一つ買ってみた。いきなり団子とは、さつまいもとあんこが団子の皮で包まれて蒸された郷土菓子で私は大好きだ。
出来立てアツアツのお団子を頬張りながら、日本庭園を眺める贅沢。
何気にこういう地元のおばあちゃんが作ったお菓子が実は一番美味しかったりするんだよなぁ。
熊本ラーメンといえば、「天外天」へ
ちょうどお昼どきだったので、新市街に本店を構えていた頃から通っていた「天外天」へ。初めて食べた熊本ラーメンがここのものだったので、私の中で熊本ラーメンと言えば、天外天一択だった。
新市街に本店があった頃は、呑んだ後の〆に持ってこいで三日三晩通うほど好きになったから、移転のニュースを聞いたときは、正直とてもショックだった…。
今は菊陽という新エリアに移転したと聞いて、方向的にも阿蘇へ向かう途中のランチタイムにもってこいだと寄ってみることに。
平日でも並んでいると聞いていたが、オープンとほぼ同時に入店すると並ばずにスムーズに入れた。
熊本ラーメンの特徴は、キクラゲと生のタマネギが入っていること。これが絶妙なアクセントのように感じる。
見た目の割に、スープはあっさりしていてコクがあって気づいたら飲み干していることもほとんど。今回ももちろん替え玉をキメて久々の再会を味わっていただいた。
誰かに会う予定があると、ニンニクましましは気がひけるけど、そんなことも気にすることなく好きなものを好きなだけ食べる楽しみを謳歌できるのもソロ旅だからこそ(そう思うと、ほんとに気がラク…。)
阿蘇の雄大な自然に癒されに、草千里ヶ浜へ
阿蘇を代表する風景のひとつ、草千里ヶ浜。
標高約1,100mの高さにあり、放牧されたお馬さんたちが草を喰みながら草原をのんびりと歩く姿を眺める。
そんな絶好のロケーションに、何だかここが日本であることを忘れてしまう。
一年を通して、季節ごとに違った表情が楽しめるのも魅力で春夏は緑が鮮やかに輝き、秋は黄金色のススキが視界いっぱいに広がる。
敷地内には、カルデラの影響でできた大きな池や、東には噴煙を上げる阿蘇中岳の姿も望める。
しばし時間を忘れてのんびりすることで思考を空っぽにすることができるデジタルデトックスにはもってこいの場所だ。
今回の旅のテーマ・目的のひとつである、阿蘇の自然を肌で感じることができた。
次回は、星空を眺めに来てみたい。
マイナスイオンを浴びに鍋ヶ滝へ
阿蘇のカルデラをつくった約9万年前の巨大噴火でできたとされる鍋ヶ滝。水の流れ落ちるさまがカーテンのように幅広くとっても神秘的。
落差約10m、幅約20mの滝で、JRの車内ポスターにもよく掲載されている場所。
地上から下るような位置にあるこの滝は、真っ正面から眺めることはもちろん、滝の裏側にまわって洞窟から水しぶきを浴びながら、間近で滝の流れを感じることができる、まさにパワースポット。
滝を見ていると、不思議と浄化された気持ちになる。これこそがまさにパワースポットと呼ばれる所以なのかな。
今回の旅のメインイベント、念願の黒川温泉へ
今回泊まるのは黒川温泉郷にある「ふじ屋」さんという温泉旅館。
全8室からなるこぢんまりとした旅館は、木のぬくもりを感じる空間をひとつひとつ手作りで作り上げてきたとのこと。
以前、この場所を訪れた際に外観からでも十分感じられる趣ある佇まいに惹かれて、いつか泊まってみたいとウィッシュリストに入っていた。
温泉旅館でソロ旅はありなのか
公式サイトを見てみると、ちょうど1泊2食付き「一人旅プラン」というものが用意されていたので予約してみた。
温泉旅館は、大抵の場合2名〜という制約があるところも多いもの。女性ひとりでも安心してお泊まりいただけます、という説明書きがあるのもはじめてソロ旅をする人にとっては嬉しい気遣いではなかろうか。
お部屋へチェックイン
お部屋は、一人旅専用の4畳半の「琵琶」という和室。
コンパクトでありながら、トイレ・洗面台・冷蔵庫も完備している。
昔の文豪が泊まっていそうなお部屋でちょっとワクワク…。
洞窟のような書斎があるのも、執筆や読書に最適じゃない?
黒川温泉郷を散策してみる
黒川温泉のコンセプトは、“温泉街全体がまるでひとつの旅館のように”。
それを表す言葉が「黒川温泉一旅館」。
三十軒の宿と里山の風景すべてを、「一つの旅館」として考えられていて、
ひとつひとつの旅館は「離れ部屋」。そして、旅館をつなぐ小径は「渡り廊下」。温泉街全体の風景が、まるで一つの旅館のように自然へと溶け込むようにと捉えられている。
季節ごとに美しく表情を変える自然と、豊富なお湯が私たちの誇りです、と語る温泉街のマップからは、なんとも素敵で心あたたまるものを感じる。
黒川温泉郷はコンパクトなつくりなので徒歩で簡単に周遊できてしまう。
入湯手形があれば各旅館で日帰り入浴も楽しめるのもいい。
小腹が空いたら、パティスリー麓(ろく)へ
黒川温泉での私のお気に入りは、パティスリー麓のジャージーシュークリーム。
店内のオーブンで焼いたシュー生地に注文を受けてからクリームを絞り、作りたてを提供してくれる。
シュークリームは隠し味に塩麹が使用されており、牛乳は地元小国の「小国ジャージー牛乳」、卵は山都町の「蘇陽の月」を使用するこだわり。
濃厚でリッチなのに、ペロリと一つ食べきれてしまうやさしい味わいで、つい夕食前にお腹におさめてしまった。
ここのもう一つの定番人気商品として、「黒川温泉ジャージーミルクプリン」がある。シュークリームと同じ牛乳と卵を使っているもので、こちらはテイクアウトしてお部屋でいただくことにした。
1品1品丁寧にバランスのいいお料理を—がテーマの「ふじ屋」さんの夕食
あっという間に夕食の時間に。
私は人一倍食いしん坊なので、ソロ旅の楽しみといえば真っ先に食事の時間が上がる。
夕食は、ふじ屋さんのお食事処「道草」でいただくとのこと。
案内された席は、半個室となっていて少し外の声もしているのがBGMのようで寧ろ心地いい。
配膳をしてくださる若い仲居さんが「どちらからお越しですか」と尋ねてくれたのをきっかけにしばしお喋りを楽しんだ。
スタッフさんとの会話があると、ひとりでいるようでひとりには感じない。
ずっと誰かと一緒に過ごすというのは疲れてしまうけど、ソロ旅の中に人とのふれあいがあるとそれが思い出として色濃く残る。
海外に行ってもそう、私はローカルとふれあう何気ない時間がやっぱり好きだし旅の醍醐味だと感じる。
お互いの文化のシェアというと大袈裟だけど、
「これすごくいいから試してみて」
「うん、分かった。やってみるね!」
くらいの温度感がもう二度と会わないかもしれない刹那的なものであったとしても好きだ。
肥後牛&馬刺し付 季節の創作懐石コースは、有田焼の器に盛られた色彩豊かな品々を目と舌の両方で楽しめる。
まずは熊本と言えば、馬刺し。赤身もさくらも文句なしに美味しい。
ふじ屋さんで和のコースをいただくことにしていたので、敢えて当日まで和の料理は食べないでおいた。
熊本には海の幸に山の幸、本当に美味しいものがたくさんあって、毎回食事の回数が足りなくなって目移りしてしまうのが悩み。
最後まで大満足のコースだった…。
これまで数々の旅館でお食事をいただいてきたけど、個人的に作り手の愛があってダントツに一番美味しい、と感じた。
聞くとその理由は、食材へのこだわりにあるという。
熊本・阿蘇の旬を盛り込んだ創作会席料理は、季節の野菜や上質のお肉、天然のダシを使うことでカラダにす~っと馴染む工夫がされているとのこと。
温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たい状態でお召し上がりいただきたい、というのも一見当たり前のようで当たり前ではない。高級旅館を謳っていても、そうではないところもたくさんあるからだ。
お食事が美味しいと宿の満足度や評価がそれの何倍にも比例する。
あらためて、「ふじ屋」さんを選んだ自分の直感は正しい、と思った。よしよし。
星空見物へ
食事を終えたタイミングで、良かったら星空見学に行かれてください、とプチサプライズが。
満天の夜空に、まばゆい星たちが燦々と輝いていた、という感想に実写を添えたいが残念ながら肝心の写真が残っていない。
その場の情景に感じいったとき、人はシャッターを切るのを忘れてしまうようだ。いや、でもそれはそれでいいのかもしれない。
美食に、星に、癒されて、今夜もぐっすり眠れそうだ。
3日目
ふじ屋さんには、「半露天風呂」「立ち湯」「岩造りの温泉ミストサウナ」「個室岩盤浴」「家族風呂」「温泉顔みすと」「一人湯上り処」など、他にもたくさんの顧客を楽しませる工夫が各所に点在していて、とてもこぢんまりした旅館のそれとは思えない。顧客を飽きさせない工夫は見習いたいと思った。
姉妹旅館、のし湯へ
さらに、滞在中「ふじ屋」の浴衣を着用していれば、姉妹館「のし湯」の露天風呂も利用できるのが嬉しいポイント。
雑木林が囲む自然の形状を活かしながら造り上げたという、野趣あふれる源泉掛け流しの露天風呂が魅力。
岩造りの湯舟に浸かり、木漏れ日や星空といった自然を存分に感じながら、森林浴する贅沢も叶う。立ち寄り湯としても利用可能だが、ふじ屋さんに泊まっていることでのし湯も楽しめるのは、一度で二度美味しい◎
栄養満点の朝食でパワーチャージ
身支度を済ませて、昨夜と変わらぬ掘り炬燵の席に案内され、作り立ての朝ごはんをいただく。
炊き立てのごはんにたっぷりのお汁だけでも十分なご馳走なのに、焼き魚やふろふき大根といった心あたたまる郷土のたくさんのおかずにお腹も心も喜んだ。
名残惜しく、チェックアウト
あっという間にチェックアウトの時間になってしまった。
チェックアウトの際、宿の方に昨夜の川辺のライトアップは見られましたか?と尋ねられた。
(え…?と思った)
どうやら、黒川温泉の名物となっているものを見逃してしまったようだ。
だけど、ソロ旅をしていてこういうことは珍しくない。
その時は、見どころを逃しても大丈夫。本気で好きなら、またきっと来るはず、そんな風に思うようにしている。
気持ちを上手に切り替えて前に進もう。
山吹色のジャージーミルクソフトを食べに『山のいぶき』へ
黒川温泉を後にする前に、宿の仲居さんにおすすめしてもらったジャージーソフトを食べに『山のいぶき』に。
旅先では、普段セーブしている乳製品もついつい食べてしまうことから、結局選べず「和紅茶とミルクのミックスソフト」と「飲むヨーグルト」を買ってみた。
別名ゴールデンミルクと呼ばれるジャージーミルクは濃厚だけど、すっきりとした甘さで良質な牛乳はやっぱり違う…!と思わせてくれる。
店名の由来について考えてみると、本来の牛乳って真っ白じゃなくてほんのり黄色に近いような色味をしているからかなと想像した。
牛乳は、こだわりの牧場から毎朝届く搾りたてのフレッシュミルクとのこと。低温殺菌・ノンホモ製法でより自然に近い味を提供していてこれはおすすめしたくなるはずだ…!と納得の味だった。
築100年以上の旧洋裁女学校跡地、tien tien(ティアンティアン)へアンティークな癒しを求めて
熊本市内へ向かう道すがら、阿蘇の自然の中に佇む、築100年以上という旧洋裁女学校跡地を改装したカフェとアンティーク雑貨のかわいいお店に立ち寄ってみた。
オーナーこだわりのフランスのアンティークのあしらいを随所に残したシックな雰囲気の店内は、女性ウケ抜群だと感じた。
女学校を改装した店内は、どこか懐かしくて妙に落ち着く。
ランチや手作りのスイーツも心を込めて作られているのが伝わる作り手の顔の見えるお店だった。
🔗旅のコラム
人生に自分を感じる、ソロ旅という選択肢を— vol.1🌿
日々のちょっとしたいざこざやちょっとした言葉のすれ違いで簡単にもつれてしまう人間関係。
四方八方にお伺いを立てる360°外交に、必要以上に気を遣ってしまう性格。
理不尽な仕事。
いい子でいなきゃ、優等生でいなきゃ。
今でもたまにそんな呪縛がこだまする。
かつて自分以外の誰かの感情を優先しすぎた結果、当時のわたしは本当の自分というものが分からなくなり、ちょっと壊れた。
本当の自分なんて存在するのか論はさておき、たまには、誰にも気を遣わずに自分を解放して癒してあげたい。
そう思い、会社員を辞めて旅に出た。
結果的にその旅は、のちの自分に多くをもたらすことになるきっかけをつくってくれた。
いつも自分が好きな自分を保つには、この世にはトラップが多すぎる。
自分のご機嫌は自分で取れるのがカッコいい大人。
大人であれば自分を上手にコントロールしよう、とマスメディアは勝手に正論ばかりを押し付けてくる。
高い洋服を買ってお洒落を楽しもう、
ご褒美にケーキを食べよう、
とか、表面的で画一的なことばかり。
そんな対処療法で果たして、本当に自分の心は救えるのか。
自身の憤りを宥めることはできるのか。
どんな時に、心が触れた?
この時、本当はどんな風に感じた?
旅を通して、そんな気持ちをつぶさに見つめていきたい。
非日常の旅から日常に戻るときも続けられるように。
きっとその過程でしか、本当の自分なんて見えてこないから。
いつも温かいサポートありがとうございます。旅先での食事、カメラ機材への投資として使わせていただいています!ソロ旅の記事のリクエストやご相談は、お気軽にコメントへお寄せください。